防衛大臣臨時記者会見

日時
令和4年6月22日(水)18:13~18:23(日本時間)
場所
プノンペン
備考
日ASEAN防衛担当大臣会合後の岸防衛大臣ぶら下がり会見

1 発表事項

 ○ 先程、日ASEAN防衛担当大臣会合に出席をし、ロシアのウクライナ侵略によりルールに基づく国際秩序の根幹が揺らぐ中で、これまで以上に、日ASEAN協力を強化していくことの重要性を指摘いたしました。その上で、新しい安全保障の課題に対する協力として、環境分野とサイバーセキュリティ分野における新たなイニシアティブを発表するとともに、本年中に3年ぶりとなります日ASEAN防衛当局次官級会合を開催することを表明をいたしました。ASEANの国防担当大臣の皆様からは、これまでのわが国の取組に対して謝意が示されるとともに、日ASEAN協力を一層推進していくことに期待が示されたところであります。本日の午前中、フン・セン首相を表敬をしました。昨日、カンボジア、インドネシア、ブルネイ、ベトナムの各国防大臣と会談を実施をいたしました。各国との防衛大臣会談では、地域情勢について意見交換を行うとともに、二国間の防衛協力・交流を引き続き強化していくことで一致をいたしました。ロシアのウクライナ侵略によって、国際秩序の根幹が揺らぐ中で、力による一方的な現状変更は、どの国・どの地域に対しても決して許されることではありません。防衛省としては、日ASEAN協力関係を一層強化し、引き続き「自由で開かれたインド太平洋」の維持・強化に取り組んでまいります。

 ○ ロシアと中国の艦艇の動向についてであります。6月15日以降、ロシア海軍艦艇7隻が、北海道南東海域から伊豆諸島に向かって太平洋を南下し、19日、うち5隻が沖縄本島と宮古島の間の海域を東シナ海に向けて航行した後、21日に対馬海峡を日本海に向けて航行し、日本列島をほぼ周回したことを確認をいたしました。また、6月12日、中国艦艇4隻が、対馬海峡を日本海に向けて航行し、うち2隻が津軽海峡を、残り2隻が宗谷海峡を通過して太平洋に航行いたしました。その後、これらのうち3隻が、ロシア艦艇と同様に伊豆諸島周辺を航行し、日本列島を周回しつつあるような動きを見せております。このように、約10隻ものロシア・中国艦艇が、短期間に同様の航路でわが国を周回する形で航行することは、両国によるわが国周辺における軍事プレゼンスの誇示であります。これはわが国に対する示威行動とも考えられるところで、防衛省として懸念を持って動向を注視しております。なお、昨日から本日にかけて、これらの艦艇とは別の中国艦艇が4隻、沖縄本島と宮古島の間を、さらに別の中国艦艇2隻が与那国から台湾の間を、それぞれ太平洋に向けて航行したほか、昨日の台湾国防部の発表によりますと、29機もの中国軍機が台湾南西空域へ進入したとされており、こうしたことも含めて、引き続き注視が必要であります。いずれにせよ、防衛省としては、ロシア海軍・中国海軍のわが国周辺海域における動向について引き続き注視するとともに、わが国周辺海空域における警戒監視活動に万全を期してまいります。

2 質疑応答

Q:今回のですね、会合の成果をですね、これからの日本の安全保障政策にどのように活かしていくか、お考えをお聞かせください。

A:今回の日ASEAN防衛担当大臣会合は、ロシアのウクライナ侵略等によりルールに基づく国際秩序が揺らぐ中での開催となりました。力による一方的な現状変更は、ヨーロッパだけの問題ではありません。東南アジアを含むインド太平洋地域の問題でもあります。今般の会合では、わが国とASEAN各国との間でこうした懸念を共有した上で、ASEANの中心性・一体性を尊重しつつ、各国と真に互恵的なパートナーシップを構築していくための具体的な議論ができたのではないかと思います。防衛省・自衛隊としては、日ASEAN協力及びASEAN各国との二国間の防衛協力・交流を強化し、引き続き、「自由で開かれたインド太平洋」の維持・強化を戦略的に推進していくことが重要と考えております。

Q:冒頭おっしゃった中露艦艇の動きに関してなんですけれども、中露艦艇の動きに対して、日米による共同訓練等の措置はとられたのか、また、今後そういった対応をとる予定があるかお願いします。

A:今回の中露の動きに対してはですね、自衛隊がしっかりとした警戒監視を続けているところであります。

Q:共同訓練等は行っていないということでよろしいですか。

A:今回の動きについては、自衛隊としての監視活動であります。特に、米軍との共同訓練という形では行っておりません。

Q:ミャンマーについて、1問ご質問させていただきます。先ほどの演説の中でですね、ミャンマーの留学生の受け入れについて、彼らが帰国した後で、市民への弾圧に加担するようであれば、留学生の受け入れを続けることは困難であるというふうにおっしゃられていました。これについて、あらためてご説明をお願いいただければと思います。

A:まず、会合における私の指摘は、ミャンマー人留学生を自衛隊の教育機関で受け入れることの趣旨等について、ミャンマー側にあらためて説明を行ったものであります。その上で申し上げますと、防衛省として過去のミャンマー人留学生等との間で様々なやり取りを行っているところですが、過去の留学生が市民に対する暴力行為に関与しているといった情報には接しておりません。やりとりの詳細については、先方との関係があることから、お答えできないことをご理解いただきたいと思います。

以上