防衛大臣記者会見

日時
令和4年6月14日(火)10:15~10:38
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
岸防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 シャングリラ会合を終えました所感について申し上げます。実に3年ぶりの対面での会合となりました。このシャングリラ会合、VTCも活用しておりますが、やはり率直に対面で意見交換を行うということの重要性を感じました。緊密に調整することの重要性を再認識いたしたところであります。ロシアのウクライナ侵攻を受けて、様々な国と協議をいたしましたが、これについても重要性を改めて認識したところであります。私からは、力による一方的な現状変更の試みというものは、どこでも起きうるということを申し上げてまいりました。今回の会合において、この認識を広めることができましたことと同時に、各国と共有できたことは大変良かったと思います。こうした対面の場を今後も活用して、わが国の取組や考え方について、そうした場面で発信してまいりたいと考えております。明日の9時30分から、訪日中のマールズ豪州の国防大臣と会談をする予定であります。マールズ大臣とは、シンガポールでお会いした直後であります。就任から間もない時にこの日本でお会いできることを大変楽しみにしております。日豪「特別な戦略的パートナーシップ」の強化と「自由で開かれたインド太平洋」の維持・強化に向けて豪州の強い意志の表れだと感じております。今回の会談では、地域情勢について、より高い水準で戦略認識を共有するとともに、今後の日豪防衛協力について、さらに具体的な協議を行う予定であります。

2 質疑応答

Q:風力発電設備がですね、ミサイルなどを感知する自衛隊のレーダーの支障になっているということで、防衛省が一部の事業者に計画の変更を要請したということが既に報道されていますけれども、具体的にどの都道府県でこういった事例が確認されているかという点を、まずお聞かせください。それと自衛隊のレーダーに影響を及ぼすことでですね、ミサイルを探知することが遅れてしまう恐れがあるということは、安全保障上の脅威になりかねないという見方もありますが、それについても大臣の御見解をお聞かせください。

A:この風車の問題、風力発電の設備の問題ですけど、政府一丸となって取り組むべき課題でありますと同時に、自衛隊・米軍の運用に影響を及ぼす可能性があるというものであります。具体的な点について、事業者との関係もありますので、お答えを差し控えますが、一般論として言えば、例えば、風力発電設備の設置される場所、規格によっては、管制レーダー等ですね、レ-ダー性能に悪影響を及ぼすほか、救難ヘリの活動等ですね、航空機の運用に支障が生じるおそれがあります。このような影響を局限し、自衛隊の円滑な運用の確保、風力発電の導入促進、この両面からですね、事業者との早期の協議に努めているところであります。引き続き、この自衛隊・米軍の円滑な運用、風力発電の導入の両立に取り組んでまいります。

Q:冒頭のシャングリラ会合について追加でお伺いします。韓国の統合ニュースは、韓国のイ・ジョンソプ国防相と岸大臣の間で、関係改善に向けて、やりとりが行われたと報じました。日米韓防衛相会談の際にお会いしたと思うんですけれども、それ以外の場所でどういったやりとりがあったのか、その中身を教えてください。

A:イ・ジョンソプ国防部長官とは、同じホテルでしたので、何回か顔を合わせる機会がありました。その中で、初対面でありましたので、また新政権ができた直後でもありますので、私からは就任のお祝いとか、コーテシーの範囲内でいろいろとお話をしたところであります。具体的に防衛関係についてお話をするような時間はなかったものですから、日米韓の3か国の会合でまたお会いをして色々とお話をしたところであります。

Q:日米韓の共同声明以上のことは、特に立ち話等ではなかったということでしょうか。

A:立ち話においては、本当に儀礼的な御挨拶ということであります。ただ意思疎通については、非常に重要だと思っております。インド太平洋地域の平和と安定のために今後とも、緊密に意思疎通を図っていきたいと思います。

Q:PKO協力法に関してなんですけれども、法律の成立から明日で30年の節目を迎えます。これまでの防衛省・自衛隊としての取組についての評価と、今後どのように取り組むお考えかをお聞かせ願いますでしょうか。

A:この30年間に亘りましてカンボジア、ゴラン高原、東ティモール、南スーダンをはじめ、世界の様々な地域でのPKOに参加をしてまいりました。南スーダンには、現在も4人の自衛官が司令部要員としてUNMISSの活動に貢献をしてまいっております。また、国連の三角パートナーシップ・プロジェクト、これにも支援として、アフリカ・アジア諸国への陸上自衛官を派遣し、施設・医療分野での貢献を実施する等、国連PKOで培った経験を活用して、PKO要員派遣国の能力構築支援について取り組んでいるところであります。わが国は、現地ミッション司令部要員の派遣といったわが国自身の直接的な貢献と、能力構築支援などの他国の活動への支援を両輪としてしっかり各種の取組を推進してまいります。

Q:重ねてすみません、今おっしゃったとおりですね、部隊派遣の中心というのが途上国になってきていて、日本が大規模な部隊を派遣するということが少し下火になってきているんですけれども、こうした現状というのはどのように評価されていますでしょうか。

A:あり方がやはり変わってきております。その中でわが国として、わが国の能力を活かせる形、現地のミッション司令部要員、それから能力構築支援、そうした形で大きな部隊を派遣するということではなくてですね、重要なノウハウをしっかり伝えていくというようなことに支援の中心が移ってきているんではないでしょうか。

Q:日韓関係でGSOMIAについてお伺いいたします。13日にパク・チン、韓国の外務大臣が訪米中にGSOMIAについて正常化させたい、正常な状態に戻したいというような発言をされました。その発言の受け止めと、韓国が19年にGSOMIAを凍結するといって、その後、凍結した関係にはなっているわけですけれども、現在、日韓関係でどういった支障がでているのかについてお願いいたします。

A:日韓の間には、様々な安全保障上の課題もあります。一方で乗り越えていかなければいけない課題も多く含まれていると思います。GSOMIAにつきましては、そういった安全保障上の課題に直面した際に、しっかり機能しているとは思いますけども、現場ではですね、思いますけども、更なる円滑な運用に向けて、双方の意思疎通、そういったものが行われることを期待しております。

Q:先日行われた日中防衛相会談についてお伺いします。日本側の発表の中では、当局間の対話・交流の推進が重要だということで一致したとありますが、昨年行われたテレビ会談で話題になったホットラインについての言及はありませんでした。ホットラインについて今回、どのような意見交換があったのか、今後の予定も併せて教えてください。

A:ホットラインについて、とりわけ早期の運用開始に向けて努力をしていくということであります。

Q:6月に入ってからですね、沖縄県の米軍嘉手納基地に多くの米軍戦闘機が集結して訓練を行っています。米軍のインド太平洋地域、とりわけ東アジア地域を重視する姿勢の表れとも捉えられますが、この地域で米軍の活動が活発化することの意義について、御所感をお願いいたします。

A:日本の防衛及び「自由で開かれたインド太平洋」の確保のために、米軍の即応性の向上というものが挙げられます。このことを主目的としていると説明を受けておるところでございます。ロシアによるウクライナ侵攻が行われている中で、中国による一方的な現状変更の試みや軍事活動の活発化ですね、それと、北朝鮮によるミサイル発射、こうした安全保障上の課題の高まりにおいて、一層厳しさを増している中ですが、こうした中で繰り返し米軍はインド太平洋地域の重要性を繰り返し強調しております。防衛省としては、米軍はこのような現下の厳しい状況を踏まえて、必要な部隊の即応性と練度の維持・向上を図る上で重要な取組を行っているものと考えております。引き続き日米間で連携し、日米同盟の抑止力、対処力の強化に努めてまいります。

Q:在沖米海兵隊が2016年に実施した調査で、普天間飛行場内の消化設備の場所で国の基準値の576倍にあたるPFOS、PFOAが検出されていたんですけれども、これについて日本政府はいつこの調査結果を受け取ったんでしょうか。2018年の時点で知らされていた可能性が指摘されているんですけれども、事実であるとすれば公表しなかったのはなぜか、併せて教えてください。

A:この2016年の調査につきましては、2018年に報道があった際に、米国の情報公開制度に基づいて開示された文書が米側のホームページ上に公開されていることが確認いたしております。その上で、米側とはですね、様々なやり取りを行ってきているところではありますが、2016年以降は、在日米軍が保有している泡消火剤、これを訓練の目的として使用しておらず、厳格に管理してきたということ、2021年9月に、沖縄に所在する全ての海兵隊の施設において、高濃度のPFOS等を含む泡消火剤の交換作業を完了した、こういう旨の説明を受けているところであります。

Q:いつ結果を受け取ったのかというところについてはどうでしょう。

A:その件について、事務方で対応しますので、後程聞いていただればと思います。

Q:北朝鮮について伺います。12日に韓国軍が、北朝鮮が黄海に向かってロケット砲を5発前後発射したと報道しておりますけども、防衛省の分析と、意図について何か分かっているものがあれば教えてください。

A:報道は承知しておるところであります。北朝鮮の軍事動向については平素から重要な関心をもって情報収集・分析に努めてきているところでございますが、個別の情報の内容については、お答えすることが困難であることを御理解をいただきたいと思います。いずれにしても、防衛省として北朝鮮の軍事動向について、引き続き、米国・韓国等と緊密に連携しながら、必要な情報の収集・分析、警戒監視に努めてまいります。

Q:鹿児島県海自鹿屋航空基地での米軍機KC-130空中給油機訓練について、すでに岩国基地からの移転が決まっていた2017年に米政府監査院が米議会に出した報告書の中に、「鹿屋基地の施設が不十分で、部隊の需要を満たしていない」と記載があることが分かりました。このことを把握されているか、そのことに対する受け止めをお願いします。また、「鹿屋以外の訓練場所を検討するワーキンググループを設立することで日米が合意した」との記述がありますが、このような事実があったのか教えてください。

A:今、御指摘のような記述がですね、あったことは承知しておりますが、まず当該の報告書は、米国の会計検査院が米国の議会に対して報告したものでありますから、当該報告書の内容の逐一について、防衛省としてコメントする立場にはないことを御理解いただきたいと思います。防衛省として、引き続き地元の御理解と御協力が得られるように丁寧に説明を、対応しながら、今後ともローテーション展開が円滑に進展していきますように取り組んで参ります。

Q:実際訓練がですね、昨年は一度も実施されていないんですけども、専門家から再編計画の妥当性を問う声というのが上がっています。その点についてはいかがでしょうか。

A:我々がですね、我々の計画に従って、地元の方々ともですね、御理解を得ながら、御協力を得ながら丁寧に進めてまいっておるところでございます。

Q:幹事社質問にありました風力発電の関係でお伺いをします。お話しいただいた風車の問題ですけども、メーカーには中国製が多く含まれており、また風力発電市場に中国系企業が進出しているという状況もあります。空自レーダーの機能に影響を及ぼす可能性があるこうした市場に、外資が自由に入り込める状況に安全保障上の問題は無いのか、どのようにお考えでしょうか。

A:風力発電の問題については、それがどこ製のものかよりも、以前の問題として、レーダーの能力等に支障をきたす可能性があるということでございますので、まずはその点についてしっかり検討していかなければいけない問題だと考えております。

Q:先ほど嘉手納基地への外来機飛来についてコメントされたんですけど、その重要性強調されましたけども、その一方で地元からは騒音などの基地負担が増すことに対して懸念が上がって、実際に被害を訴える声が上がってるんですけども、これについてはどうお考えでしょうか。

A:防衛省として、この厳しい安全保障環境の中で、日米同盟の抑止力の維持をしつつ、嘉手納飛行場における外来機による騒音の軽減を図るということは、非常に重要な課題であると考えております。そのため、航空機の騒音を軽減するための取組としてはですね、米軍に対しまして、騒音の規制の措置を遵守、地元の重要なルールに配慮する申し入れを行い、また、嘉手納飛行場の訓練移転などを着実に実施をし、防音工事ですね、住宅防音の工事などを地域社会との調和が図れるように、各種の施策を通じて地元の皆様の負担を可能な限り軽減できるように努めてまいっているところであります。今回の展開に際しても、夜間・早朝の飛行を避けるなど、航空機騒音規制措置を遵守することを始めとして、住民の皆様に与える影響が可能な限り少なくなるように申し入れを行ってきております。引き続き、影響を最小限にとどめるように努めてまいりたいと考えます。

以上