防衛大臣臨時記者会見

日時
令和4年6月5日(日)11:16~11:26
場所
防衛省A棟1階エントランス
備考
北朝鮮による弾道ミサイル発射事案後の岸防衛大臣臨時会見

1 発表事項

 詳細については現在分析中でありますが、北朝鮮は本日9時台、複数の地点から、弾道ミサイルを少なくとも6発発射いたしました。いずれも落下したのは北朝鮮東側の沿岸付近及び日本海であり、わが国のEEZ外で、飛翔距離は以下のとおり推定とされています。まず、9時6分、北朝鮮西岸付近から東方向に向けて発射し、最高高度約50km、約350km飛翔。それから2番目が、9時10分頃、北朝鮮東岸付近から東方向に向けて発射、最高高度約50km、約300km程度飛翔。3番目に9時15分、北朝鮮西岸付近から東方向に向けて発射し、最高高度約50km、約400km程度飛翔。4番目、9時24分頃、北朝鮮内陸部付近から東方向に向けて発射し、最高高度約100km、約350km程度飛翔。5番目は、9時30分頃、北朝鮮西岸付近から東方向に向けて発射し、最高高度約50km、約400km程度飛翔。6番目が、9時41分頃、北朝鮮内陸部付近から東方向に向けて発射、最高高度約100km、約300km程度飛翔いたしました。また、上記の弾道ミサイルには、変則軌道で飛翔したものが含まれている可能性があります。さらに、以上の弾道ミサイル6発以外にもミサイルを発射した可能性があり、関連する情報を収集・分析しているところであります。今回の発射について、防衛省から、政府内及び関係機関に対しまして、速やかに情報共有を行いました。現在までのところ、航空機、船舶に被害報告等の情報は確認されておりません。北朝鮮は、今年に入ってから、巡航ミサイルの発射も含めれば17回に及ぶ、かつてない高い頻度で、かつ新たな態様での発射を繰り返しています。特に、今回のように少なくとも短時間で3か所以上から極めて多い発数の発射というものは異例とも言えます。断固として許容できるものではありません。また、これまでの弾道ミサイル等の度重なる発射も含めて、一連の北朝鮮の行動は、わが国、又、地域、国際社会の平和と安全を脅かすものであり、断じて許すことはできません。関連する安保理決議に違反するものであり、強く非難をいたします。また、北朝鮮に対して、北京の「大使館」ルートから抗議をいたしております。総理には、本件について直ちに報告を行いまして、情報収集・分析に全力を挙げ、国民に対して、迅速・的確な情報提供を行うこと、それから、航空機、船舶の安全確認を徹底すること、不測の事態に備え、万全の態勢をとること、この3点について指示がありました。私からは、米国と緊密に連携しつつ、情報収集・分析に全力を挙げること、不測の事態の発生に備え、引き続き警戒監視に万全を期すこと、これらについて指示を出しました。 防衛省としては、引き続き関連情報の収集・分析に努め、警戒監視に万全を期してまいります。米国、韓国を始めとして、関係国と緊密に連携しながら、国民の生命、そして平和な暮らしを断固として守り抜く決意です。あらゆる状況に備え、いわゆる「反撃能力」も含めて、あらゆる選択肢を検討し、今後とも防衛力の抜本的な強化に努めていきます。

2 質疑応答

Q:今発表がありましたミサイル、少なくとも6発だと思いますが、それについての弾種がもし分かっていれば教えください。またですね、今回6発連続して発射がされたというような発表ですが、同じ種類のものと推定されるのか、もし分かっていればお願いいたします。

A:弾種につきましては、所要の情報をもとに総合的、専門的に分析をする必要があります。現時点では、確たることを申し上げることはできません。ということで弾種についても確認中であります。

Q:同じ種類かどうかというのも分析が必要という理解ですか。

A:はい。

Q:変則軌道のものが含まれている可能性があるというふうな言及がありましたが、こちらは複数でしょうか。それとも1発でしょうか。

A:少なくとも1発以上の変則軌道のものが含まれるということであります。

Q:少なくとも3か所以上から発射するのは異例ともいえるということでしたけれども、こうした複数の場所から同時に発射する意図、狙いをどのように分析されていらっしゃるかお願いします。

A:北朝鮮は、先月12日に3発の弾道ミサイルを発射したほか、例えば2006年には1日のうちにスカッド、ノドン、デポドンⅡを7発、そして2009年にはスカッド又はノドンを7発発射した、このような事例がございます。また、北朝鮮が弾道ミサイルを3発以上発射した直近の事例として申し上げますと、2017年3月6日には4発のスカッドERを同時に発射され、いずれも1,000km以上飛翔しております。これらの発射の後には、北朝鮮は「連発発射訓練」、「同時発射訓練」を成功裏に実施した旨を発表しています。このような過去の事例を踏まえれば、飽和攻撃などに必要な連続発射能力の向上といった狙いがある可能性があります。これ以上は引き続き分析を行う必要があると考えます。

Q:今ご紹介いただいた過去の事例は、同じ場所から発射しているのか、それとも今回のように全然違う場所から発射しているのかわかりますでしょうか。

A:2006年と2009年で違うんですけれども、2006年は違う場所、2009年が同じ場所でございます。

Q:直近で米韓の合同軍事演習もありましたけれども、それとの関係というのはどういうふうにお考えでしょうか。

A:こうしたことについても引き続き情報分析をする必要がありますので。

Q:最後にICBMは今回はなさそうという分析ですか。

A:これも分析中であります。

Q:今ご説明のあった東、西、内陸部と同時に多様的なところから撃ってくるというのは、日本の防衛に対する脅威というのはどのように上がっているのか、ご説明をお願いします。

A:彼らのその複数場所から同時発射する能力の試験を行っているということであります。我々としても引き続き意図等についても分析をしていく必要があると思います。

以上