防衛大臣記者会見

日時
令和4年5月20日(金)11:07~11:22
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
岸防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 本日、私から、冒頭1件ございます。わが国の国際平和協力の取り組みについて申し上げたいと思います。先ほど行われました閣議において、国連の南スーダン共和国ミッション、UNMISSへの要員の派遣期間について、来年の5月31日まで1年間の延長が決定されました。わが国の、このPKO活動でありますけれども、1992年に初めてカンボジアPKOに部隊を派遣しました。その後、ゴラン高原、東ティモール、ハイチ、南スーダンなどのPKO活動に参加をし、本年30周年を迎えたところであります。このような中で、防衛省・自衛隊は、現在、わが国の要員を派遣している唯一の国連PKOであるUNMISSへの要員派遣に加え、これまでの活動で培った経験を活かして、国連PKOの能力向上の支援を行っています。一昨日、訪日中のカレ国連事務次長とお会いをし、その際に、私から、このような防衛省・自衛隊の取り組みをお伝えし、カレ事務次長からも謝意が示されたところであります。また、ウクライナ情勢に関してですけれども、防衛省・自衛隊として、装備品等の提供や政府専用機による避難民受入支援を行い、今月初めからPKO法に基づくウクライナ避難民救援のためのUNHCR物資の輸送を行っています。この現況について申し上げれば、第1便は3日にドバイからポーランドのジェシュフ空港までビニールシート約24トンを輸送しました。第2便は13日、ドバイからルーマニアのアンリ・コアンダ国際空港までソーラーランプ7トンを輸送しました。第3便は18日に入間を出発し、現在、ポーランドに向けて毛布を輸送しているところであります。防衛省・自衛隊として、このような我々の強みを活かした活動を積極的に行い、引き続き国際社会の平和と安定に貢献してまいります。

2 質疑応答

Q: 北朝鮮の動向についてなんですが、核実験の準備をすべて終えた段階であるですとか、ICBMへの燃料への注入をしているというような報道がありますが、防衛省としての分析をお聞かせください。

A:防衛省としても、北朝鮮の軍事動向については、米国とも連携しつつ、情報収集・分析を進めてきております。御指摘の米政府による発言、あるいは報道についてもですね、情報を共有し、連携をしているところであります。その上で、北朝鮮が実際に弾道ミサイルを発射する時期等について予断を持って申し上げることは困難ですが、防衛省としては、近日中に、長射程の弾道ミサイルの発射を含め、北朝鮮が更なる挑発行動に出る可能性があると考えています。また、北朝鮮による核実験の準備状況についても、早ければ今月中にも核実験を実施するための準備が整う可能性があると考えております。北朝鮮は、累次にわたり核武力の強化に言及するなど、国際社会に背を向けて、核・ミサイル開発を継続していく意図を有していることは明らかであり、断じて容認できません。防衛省としては、引き続き、米国等とも緊密に連携しつつ、必要な情報収集、分析及び警戒監視に全力を挙げていくとともに、北朝鮮の非核化に向け、日米、日米韓で緊密に連携をしてまいります。

Q:沖縄の日本復帰50年に合わせて沖縄県の玉城デニー知事から提出された新たな建議書について、大臣はもうお読みになりましたでしょうか。お読みになって特に気になった点や受け入れ難い点があれば具体的に教えてください。

A:沖縄県が、復帰後50周年を節目として取りまとめた建議書、これは私も読ませていただきました。政府において、これまで様々な御意見を受け止めながら、沖縄の発展のために取り組んできたところであります。この点、基地負担の軽減については、沖縄における米軍の施設・区域の整理・縮小をはじめ、様々な努力を行ってきたところですが、復帰から50周年を迎えても今もなお、沖縄の皆様には大きな基地負担をお掛けしておるところであります。防衛省としては、これからも、様々な御意見をお伺いしつつ、日米同盟の抑止力を維持しながら、基地負担の軽減に引き続き取り組んでまいります。内容の一つ一つについてコメントを申し上げるというよりも国民の皆様からの広い御議論をしっかりいただき、御意見をいただき、そのことを政策にまとめて、政策を前に進めて、国民の皆様の御理解と御支援をいただきたいと思います。そのことが重要であると考えております。

Q:弊社の報道で中国が新疆ウイグル自治区の砂漠地帯に航空自衛隊のAWACSと同形状の構造物を置いていることがわかりました。中国軍はミサイルで攻撃する訓練の仮想標的という見方があります。防衛省・自衛隊としてこうした事態を把握しているかを含め、防衛省の分析、大臣のご所感をお聞かせください。

A:ご指摘の報道については承知しているところでございますが、わが方の情報収集能力が明らかになるおそれがありますので、詳細をお答えすることは困難であることを御理解いただきたいと思います。その上で、中国については、透明性を欠いたままで、継続的に高い水準で国防費を増加させ、核やミサイル戦力を含め軍事力の質・量を広範かつ急速に強化しております。海空域における軍事活動を急速に活発化させているところであります。中国の軍事動向は、国防政策や軍事力に関する透明性の不足と相まって、わが国を含む地域と国際社会の安全保障上の強い懸念となっております。防衛省としても、関連動向について、今後も強い関心を持って注視してまいります。

Q:中国の活動に関連してお伺いいたします。防衛省は一昨日ですね、爆撃機2機が沖宮間を通過したと発表されました。今朝の官房長官会見でも、対艦ミサイルを積んでいる可能性があるということでしたけど、改めて防衛省として、今回の動向をどういうふうに分析しているかと、あとは「遼寧」が沖縄南方では活動しておりますけども、これとの関係はどういうふうに御覧になっているのかお願いします。

A:18日午前、対艦ミサイルを搭載している可能性のある中国軍の爆撃機2機が、沖宮間を通過し、太平洋への往復飛行を行った、このことを航空自衛隊が確認をいたしました。また、沖縄南方の海域においては、5月上旬以降、中国の海軍空母「遼寧」が300回以上にわたって断続的に艦載戦闘機、艦載ヘリの発着艦を行っていることを海上自衛隊が確認をしております。これらの活動は、太平洋等の遠方の海空域における作戦遂行能力を高めるための活動である可能性があります。防衛省・自衛隊としては、わが国周辺の海空域における動向に引き続き注視するとともに、わが国周辺海空域における警戒監視活動に万全を期してまいります。

Q:関連して、週明けには日米の首脳会談が予定されておりますけども、中国の動き含めて、地域情勢についても議論になるかと思いますが、大臣としてどういった議論を期待しているかお願いいたします。

A:首脳会談の中身について、予断をもってお話することはできませんけども、非常に厳しさを増しております、この安全保障環境において、日米間の連携というものは非常に大切でありますから、そういう意味でしっかり日米同盟の強化につながる動き、中身になってほしいと思ってます。

Q:今の中国爆撃機に関連してお尋ねしますが、同じ日に林外務大臣との日中の外相会談がありましたが、そのようなものが行われている最中に、爆撃機をこのように沖宮間に派遣してくることについての受け止めというのをお聞かせいただけないでしょうか。

A:日中の外相会談が、たまたまその日に行われたということですが、そことの関連性について、私の方からコメントすることは控えたいと思います。

Q:5月23日に予定されてます日米首脳会談について、その中で共同声明に、中国の行動を共同で抑止し対処する方針を明記する調整に入ったという日本経済新聞で報道されております。また、米国が核を含む戦力で日本を守る拡大抑止を堅持する意思についても明記すると報じられています。中国名指しの包囲網を中国側がアジア・太平洋版のNATO東方拡大と危険視しており、日中関係における経済面でのマイナスの影響が懸念されます。日本は1月から3月のGDPが年率換算で1.0%のマイナス成長となっており、中国を刺激する共同声明を発することにより、日本経済にとって重要な対中貿易を滞らしてしまえば、GDPの更なる下振れを増長させてしまうのではないでしょうか。岸大臣のお考えをお聞かせください。

A:先ほども申しましたけれども、日米の首脳会談に先立って中身について申し上げあげることは、避けたいと思います。わが国の安全保障、わが国の防衛政策をしっかり進めるために、実のある首脳会談を行っていただきたいと考えております。

Q:北朝鮮の動向について確認させていただきたいんですけれど、先ほど大臣は、近日中に長射程の弾道ミサイルの発射を含め、あらゆる可能性、更なる挑発行為に出る可能性があると考えているとおっしゃいましたけれども、長射程の弾道ミサイルというのは、いわゆるICBMも含むということでよろしいでしょうか。

A:近日中に長射程の弾道ミサイルの発射も含めということでICBMも含めて予想されております。

以上

下線部:修正事項(ウクライナ避難民救援→ウクライナ被災民救援)