防衛大臣記者会見

日時
令和4年5月13日(金)09:51~10:04
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
岸防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 なし

2 質疑応答

Q:15日で沖縄の本土復帰50年を迎えます。大臣の所感をお聞かせ下さい。また、先日、沖縄の玉城デニー知事が首相に手渡した建議書では、在日米軍基地の7割が沖縄に集中する現状に触れ、「沖縄を平和な島とする目標は50年経過した現在も未だ達成されていない」と指摘し、米軍普天間飛行場の移設断念や日米地位協定の改定を求めました。この受け止めについてもあわせてお聞かせ下さい。

A:本年5月15日で、沖縄の本土復帰から50年を迎えます。当時は、様々な御意見がある中で、自衛隊の配備が進められました。私も大臣就任直後の一昨年10月に沖縄を訪問し、現地の部隊を視察しましたが、自衛隊は、沖縄を含むわが国の平和と安全を守るための任務をしっかり果たしてきたものと確信をしております。また、沖縄の特性との関係で、離島を中心とした急患輸送や、全国でも突出した数の不発弾の処理への対応といった任務の遂行は、沖縄の住民の皆さんの安心・安全の確保や地域の社会・経済の発展に大いに寄与したものと考えております。近年のわが国を取り巻く安全保障環境は、50年前とは大きく異なっています。これまでにない速度で厳しさを増しているところです。南西地域の防衛体制の強化を図るため、沖縄本島に加え、与那国、宮古、そして本年度中に石垣島への部隊配備を進めてきております。また、在日米軍と連携し、わが国の防衛のための抑止力の強化に努めておるところです。沖縄の基地負担の軽減については、沖縄の最重要課題の一つで、これまで、米軍施設・区域の整理・縮小をはじめ、様々な努力を行ってきたところですが、復帰から50年を迎える今もなお、沖縄の皆様には大きな基地負担をおかけしているところであります。沖縄において取りまとめられた新たな「建議書」を始め、様々な御意見をお伺いしつつ、日米同盟の抑止力を維持しながら、沖縄の基地負担軽減に引き続き取り組んでまいる考えです。このように防衛省・自衛隊は、これからも与えられた任務と政策課題を関係省庁や米国等と連携をしながら、しっかり果たしていくことで、沖縄を含むわが国の平和と繁栄を確固たるものにしていく所存であります。

Q:関連して、今も言及ありましたけども、防衛省として沖縄の基地負担軽減にはどう向き合ってきたか、今後どう捉えて、どう解決していくのかということを、少し具体的に大臣の考えをお聞かせください。

A:今なお沖縄の皆様には、大きな基地負担を背負っていただいているところでございます。このような状況は到底是認できるものではなく、引き続き国を挙げて基地負担の軽減に取り組み、結果を出してまいりたいということが必要であると考えております。こうした考え方の下でこれまで、北部の訓練場の過半数の返還を実現したほか、現在は、「沖縄統合計画」に基づき、沖縄県の人口の8割が集中する県の中南部の土地の返還を推進しております。返還された跡地は、自然遺産といった観光資源や、医療拠点、また幹線道路といった県民の皆さんの生活の利便性の向上に資するように利用されております。こうした目に見える成果を一つ一つ積み上げていくことが何より重要であると考えております。引き続き、結果を出すべく全力を傾注してまいります。とりわけ、世界で最も危険と言われる普天間基地が固定化され、危険なまま置き去りにされることは、絶対に避けなければなりません。辺野古移設に向けた工事を着実に進め、普天間基地飛行場の1日も早い全面返還を実現していく考えであります。日米同盟の抑止力を維持しながら、負担軽減に引き続き取り組んでまいります。

Q: 今、言及がありました沖縄の本土復帰50年の関係につきまして、追加でお伺いさせていただきます。今、おっしゃった建議書、玉城知事から提出された建議書についてなんですけれども、この中ではですね、県民の平和を希求する思いとは全く相いれないとしていわゆる「敵基地攻撃能力」の保有に反対をしています。政府としてはこうした点を含めてしっかり受け止めるということになるのでしょうか。またこうした防衛政策一般について地方自治体が提言することが適切だとお考えでしょうか。

A: わが国の防衛政策、また、防衛省・自衛隊の活動には、国民の皆様の理解、そして御支援が不可欠であります。このような観点から、地方自治体を始め、国民の皆様に広く御議論をいただいて、様々な御意見をいただきながら、政策を進めていくことは大変重要なことであると考えております。

Q:幹事社質問に関連してちょっと詳しく聞ければと思うんですけれども、建議書についての受け止めの部分をもう少し、大臣が読んでみてのご感想などを含めて詳しくお伺いできたらありがたいんですけれども。

A:現地のこれは皆さんにもですね、様々なご意見があることを承知いたします。その上でそういったお声を広く議論いただいたお声を聞きながら様々な政策を進めてまりたいと考えております。

Q:昨日の北朝鮮のミサイル発射に関連してお伺いします。韓国軍は、北朝鮮が超大型放射砲と称する短距離弾道ミサイルの可能性があると分析しているとの報道がありますが、日本の現在の分析、分かっている範囲でお願いします。

A:昨日の北朝鮮によるミサイル発射については、昨日発表したとおりでありますが、北朝鮮の西岸から、3発の弾道ミサイルを東に向けて発射をいたしました。最高高度約100km、そして、通常の弾道軌道だとすれば、約350km飛翔し、わが国のEEZ外である北朝鮮の東岸の日本海側に落下したものと推定されております。当該ミサイルの詳細については、更に分析中でありますが、2020年3月29日などに発射をされました短距離弾道ミサイルC、いわゆる、北朝鮮が超大型放射砲と称するもの、いわゆる「KN25」でございますが、その可能性も含めて、更なる分析を進めています。これまでの弾道ミサイルの度重なる発射も含めて、一連の北朝鮮の行動は、わが国、地域、国際社会の平和と安定を脅かすものであり、断じて容認することができません。また、ウクライナへの侵略が発生している中で、立て続けにミサイルを発射していることは許されることではありません。関連する安保理決議に違反するもので、強く抗議、非難をいたします。防衛省としても、引き続き関連情報の収集と分析に努めるとともに、警戒監視に万全を期してまいります。

Q:沖縄の本土復帰50年の話に戻りますけども、もう一つ追加で50年前の1972年前後には米中接近・日中国交正常化があり、米国のニクソン政権のグアムドクトリンにより米軍のプレゼンス低下が懸念されたため、朝鮮半島有事における在沖縄米軍基地の重要性を日米間で確認したという状況がありました。当時と現在を比べ、沖縄の地政学的な重要性について政府としてどのように位置づけておられますでしょうか。

A:沖縄は、まず南西諸島のほぼ中央にあります。わが国のシーレーンにも近いなど、安全保障上極めて重要な位置にあります。特に、南西諸島の防衛の観点からは、沖縄は他では代替できない地理的優位性を有していると考え ます。わが国を取り巻く安全保障環境は、中国による軍事力の広範かつ急速な強化や東シナ海・南シナ海における一方的な現状変更の試み、また北朝鮮による核・ミサイル開発や極めて高い頻度でのミサイル発射など、一層厳しさを増しております。このような中で、安全保障上極めて重要な位置にある沖縄に米軍が駐留することは、日米同盟の抑止力の重要な要素であり、また、わが国の平和と安全を確保する上で必要なことであります。同時に、沖縄の皆様には大きな基地負担を負っていただいており、負担の軽減を図ることは政府の大きな責任であります。防衛省として、これからも、日米同盟の抑止力を維持しながら、基地負担の軽減に引き続き取り組んでまいります。

以上