防衛大臣臨時記者会見

日時
令和4年5月7日(土)15:50~15:58
場所
防衛省A棟1階エントランス
備考
北朝鮮による弾道ミサイル発射事案後の岸防衛大臣臨時会見

1 発表事項

 北朝鮮は、本日14時6分頃、北朝鮮の東岸付近から、1発の弾道ミサイルを、東方向に発射をいたしました。詳細については、現在分析中ですが、発射されたのは潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)と推定され、最高高度約50km、距離は600km程度飛翔し、落下したのは、北朝鮮の東岸の日本海側であり、わが国のEEZの外と推定されています。また、防衛省から、政府内、関係機関に対して、速やかに情報共有を行いました。現在までのところ、航空機、船舶からの被害報告等の情報は確認されておりません。北朝鮮は、特に今年に入ってから、巡航ミサイルの発射も含めて14回に及ぶ、極めて高い頻度で、かつ新たな態様での発射を繰り返しています。昨今の北朝鮮による核・ミサイル関連技術の著しい発展は、わが国及び地域の安全保障にとって看過できないだけでなく、これまでの弾道ミサイル等の度重なる発射も含めて、一連の北朝鮮の行動は、わが国、地域及び国際社会の平和と安全を脅かすものです。断じて容認できません。また、ウクライナへの侵略が発生している中で、ミサイルを発射したことは許されません。関連する国連安保理決議に違反するものでもあり、強く非難します。北朝鮮に対して、北京の「大使館」ルートを通じて抗議を行いました。総理には、本件について直ちに報告を行い、総理からは、①情報収集・分析に全力を挙げ、国民に対して、迅速・的確な情報提供を行うこと、②航空機、船舶等の安全確認を徹底すること、そして、③不測の事態に備え、万全の態勢をとること、この3点についての御指示がありました。私からは、これを受けて、①米国等と緊密に連携しつつ、情報収集・分析に全力を挙げること、②不測の事態の発生に備え、引き続き警戒監視に万全を期すこと、これについて指示をいたしました。その後、関係幹部会議を開催するなど、対応に万全を期しているところです。防衛省としては、引き続き関連情報の収集と分析に努めるとともに、警戒監視に万全を期してまいります。また、米国、韓国を始め、関係国と緊密に連携しながら、国民の生命、平和な暮らしを断固として守り抜く決意であります。こうした状況を踏まえ、いわゆる敵基地攻撃能力も含めあらゆる選択肢を検討し、今後とも防衛力の抜本的な強化に取り組んでまいります。

2 質疑応答

Q:北朝鮮のSLBMを巡っては、この4月の朝鮮人民革命軍の創設90年にあわせて実施された軍事パレードで、新型と見られるSLBMが登場していましたが、それに該当するのかどうかなど、分析がありましたらお教えください。

A:今回発射された弾道ミサイルの弾種については、所要の情報を基に総合的・専門的な分析を行う必要がございます。現時点では、SLBMと推定をされておりますが、その先については、現在も分析中であります。

Q:北朝鮮は、4日にも弾道ミサイルを発射したばかりでして、10日には韓国の新大統領の就任式もありますけれども、こうした連続して発射している意図などはどのように今、分析してるでしょうか。

A:それらも含めてですね、現在も分析を続けております。

Q:米国の国務省は、早ければ今月にも核実験の準備が整う可能性があるとの分析を公表しています。現時点でのお考えをお聞かせください。

A:防衛省として、北朝鮮の軍事動向については、米国とも連携をして必要な情報収集・分析を行っているところであります。その上で、実際に核実験を実施する時期等については、予断をもって申し上げることは控えますが、防衛省としても、北朝鮮による核実験を行うための準備状況については、米国と同様の認識を有しております。早ければ今月中にも核実験を実施するための準備が整う可能性はあると考えております。北朝鮮は、累次にわたって核の武力の強化に言及するなど、国際社会に背を向けて核開発を継続的に行っていく意図を有していることは明らかであります。断じて容認できることではありません。今後、核実験の実施も含めて、更なる挑発行動に出る可能性もありますので、引き続き米国とも連携しつつ、必要な情報収集、分析、警戒監視に全力を挙げていくとともに、北朝鮮の非核化に向けて日米、日米韓、緊密に連携してまいります。

Q:核実験、今月中にも早ければとおっしゃったのは、防衛省独自の情報として、分析として持っているということなんでしょうか。

A:防衛省として、北朝鮮による核実験を行う準備状況については、米国と同様の認識を有しているところであります。様々な情報分析の擦り合わせを行った上で、防衛省として判断をしているものでございます。

以上