防衛大臣臨時記者会見

日時
令和4年5月5日(木)02:37~02:55(日本時間)
場所
米国ワシントンD.Cウィラードコンチネンタルワシントン地下1階
備考
岸防衛大臣日米防衛相会談後会見ぶら下がり

1 発表事項

 先ほど、11時10分からテタテを含む約75分間、オースティン国防長官と日米防衛相会談を実施をいたしました。まず、昨日の北朝鮮は弾道ミサイルを発射しましたが、北朝鮮による度重なる弾道ミサイル発射・核開発等は、地域と国際社会の平和と安定に対する、より重大かつ差し迫った脅威であり、断じて容認できないとの認識で一致し、日米、日米韓で緊密に連携していくことを確認をいたしました。ロシアによるウクライナ侵略を、国際秩序に対する深刻な挑戦であるとして厳しく非難するとともに、ウクライナへできる限りの支援を継続していくことを確認をいたしました。オースティン国防長官からは、ウクライナへの支援において日本が発揮しているリーダーシップに謝意が示されました。私からは、インド太平洋地域と欧州の安全保障は区別して考えることができないとの観点から、欧州の安全保障へのコミットメントを強化していく考えを述べました。さらに、東シナ海・南シナ海においては威圧的な行動など、インド太平洋地域における中国の最近の行動についても議論しました。その上で、インド太平洋地域における力による一方的な現状変更を許容せず、これを抑止し、必要あれば対処するために連携を強化していくことを確認をいたしました。また、台湾海峡の平和と安定の重要性も改めて確認をしました。そして、本年1月の「2+2」においても確認した日米同盟の抑止力・対処力の強化に向けた取組を速やかに具体化していくことで一致をいたしました。私からは、日本の防衛力の抜本的な強化に対する決意を述べ、オースティン長官から歓迎の意が示されたところです。また、その上で、今後も日米の戦略を擦り合わせていくことを確認をいたしました。関連して、拡大抑止については、オースティン長官からは、日本に対する核を含めた米国の拡大抑止のコミットメントは揺るぎないものとの力強い発言がありました。私から、現下の国際情勢において核抑止が信頼でき、強靱なものであり続けるため、あらゆるレベルでの二国間の取組が従来にも増して重要である旨を述べ、オースティン長官と認識を共有しました。また、次期戦闘機についても議論を行い、私から、日英協力の可能性について説明をし、オースティン長官からは日英協力の進展に歓迎の意が示されました。また、チーミングという形でF-Xと連携することも想定されるUAVの開発について、日米協力の可能性を探っていくことについて一致をいたしたところです。米軍再編については、普天間飛行場の辺野古移設や馬毛島の施設整備を含め、引き続き日米で緊密に協力していくことで一致するとともに、本年、本土復帰50周年を迎える沖縄の負担軽減に係る協力を一層加速させていくことを確認をいたしました。本日の会談では、地域情勢や日米同盟の強化について対面で率直な議論を行うことができ、日米同盟の強固さを国内外に示す力強いメッセージとなったと考えています。引き続き、オースティン長官とともに、地域や国際社会の平和と安定のため、日米同盟の抑止力・対処力の強化に向けて取り組んでまいりたいと考えます。

2 質疑応答

Q:会談に関連して北朝鮮のミサイル発射、直近の発射ですけれども、会談での擦り合わせも含めて最新の分析、何かアップデートがあればご教示ください。また、ロシアが先日、日本の政治家、閣僚らに対する入国禁止措置というものを発表しまして、大臣もその中にお名前含まれていますが、受け止めあればお願いいたします。

A:まず、ミサイルの件、北朝鮮は、日本時間の4日12時2分頃、北朝鮮西岸付近から、1発の弾道ミサイルを、東方向に向けて発射をいたしました。詳細については現在分析中です。最高高度約800km程度、距離は約500km程度飛翔し、落下したのは、北朝鮮の東岸の日本海であり、わが国のEEZ外と推定されます。また、防衛省から、政府、関係機関に対して、速やかに情報共有を行いました。現在のところ、航空機や船舶からの被害報告等の情報は確認されていません。北朝鮮は、今年に入ってから、巡航ミサイルを含めて13回に及ぶ、極めて高い頻度で、かつ新たな態様での発射を繰り返しています。昨今の北朝鮮による核・ミサイル関連技術の著しい発展は、わが国及び地域の安全保障にとって看過できないばかりではなく、これまでの弾道ミサイル等の度重なる発射も含めて、一連の北朝鮮の行動は、わが国、地域及び国際社会の平和と安定を脅かすものであります。断じて容認できません。関連する安保理決議に違反するものでもあり、強く非難します。北朝鮮に対して、北京の「大使館」ルートを通じて抗議を行いました。総理及び総理臨時代理である官房長官には、本件について直ちに報告が行われ、総理からは、「情報収集・分析に全力を挙げ、国民に対して、迅速・的確な情報提供を行うこと」、「航空機、船舶の安全確認を徹底すること」、「不測の事態に備え、万全の態勢をとること」この3点についての指示があったところです。これを受けて私も直ちに報告を受け、「米国等と連携しつつ、情報収集・分析に全力を挙げること」、「不測の事態の発生に備え、引き続き警戒監視に万全を期すこと」について指示を行い、あわせて国際社会がロシアによるウクライナ侵略に対応している中での発射であり、断じて容認できないとの考えを省内に伝達をいたしました。その後、防衛省において、副大臣の下、関係幹部会議を開催するなど、対応に万全を期している旨報告を受けています。防衛省として引き続き関連情報の収集、分析に努めるとともに、警戒監視に万全を期してまいります。米国、韓国を始め、関係国と密接に連携しながら、国民の生命、そして平和な暮らしを断固として守り抜いてまいります。こうした状況を踏まえ、いわゆる敵基地攻撃能力も含め、あらゆる選択肢を検討し、今後も防衛力の抜本的な強化に取り組んでまいります。それからロシアの件ですね。5月4日にロシアの外務省が、日本によるロシア人に対する個人制裁等を理由として、日本人63人のロシアへの無期限入国禁止を発表し、この中には私も含まれております。その他にも鬼木副大臣や岩本政務官、中曽根政務官、山崎統幕長が含まれていると承知をしております。今般のロシアによるウクライナ侵略は、力による一方的な現状変更であるとともに、国際秩序に対する深刻な挑戦であります。断じて容認できません。この点、本日の会談でも、オースティン長官と認識を共有するとともに、これを厳しく非難したところであります。軍事的手段に訴え、今回の事態を招いたのはロシア側であり、日露関係がこのような状態に追いやった責任は全面的にロシアにあるにもかかわらず、ロシア側が今回このような発表を行ったことは断じて受け入れられません。自らこのような措置を行って、自ら対話の窓を閉ざしてですね、孤立の道を歩んでいるのではないでしょうか。

Q:拡大抑止についてお伺いします。今回、冒頭発言でもですね日米双方共、核を含めた拡大抑止ということで核について言及しています。この背景とねらいについて、また、今回の会談において拡大抑止についてどのような進展があったのか教えてください。

A:わが国を取り巻く安全保障環境は非常に厳しさを増しています。現実に核兵器が存在していることを踏まえれば、わが国が安全を確保するために、わが国の防衛力に加えて、米国の拡大抑止が不可欠であります。こうした問題意識の下で本日の会談では、オースティン長官から、核を含むあらゆる能力を通じた、わが国に対する米国の拡大抑止のコミットメントが揺るぎないものである旨の発言がありました。私から、核抑止が信頼でき、強靱なものであり続けるための、あらゆるレベルでの二国間の取組が従来にも増して重要である旨を述べ、オースティン長官と認識を共有したところであります。

Q:今回の訪米の目的として、日本が改訂を進める安保3文書についての日米の擦り合わせという部分も大きかったと思いますが、敵基地攻撃能力についての認識の擦り合わせが行われたのか、またその他の分野での擦り合わせの状況も教えてください。

A:この3文書の改訂については、私からオースティン長官に説明をいたしました。細かい点は、私から特に述べることは致しませんが、オースティン長官からも了解するということは、お話があったところであります。いわゆる敵基地攻撃能力に関するやりとりですが、あらゆる選択肢を排除せず、現実的に検討しているということを述べさせていただいたところです。様々な議論を行いました。

Q:今の、オースティン長官から了解するというのは、何に対する了解だったのでしょうか。

A:3文書の改訂のプロセス等々ですね、先方も納得していただいた。私からの説明に理解を示していただいたと思います。

Q:いわゆる敵基地攻撃に対してというわけじゃなくてという。

A:具体的な中身については、ここではお控えをさせていただきたいと思います。

Q:自民党の提言では反撃能力という言葉を使っておりましたけれども、そういった自民党の提言などは、話題に上りましたでしょうか。

A:そういうことも含めて私からは説明をさせていただきました。

Q:それに対してオースティン長官から反応はありましたでしょうか。

A:単語の一つ一つというわけではございませんけれども、基本的に日米で連携をしてまいりたいと思います。

Q:最後に一点だけ、北朝鮮に関連してなんですけれども、より重大かつ差し迫った脅威と、「より」を付けて今までよりもちょっとレベルが脅威認識を上げたのかなと思ったんですけれども、あえて今回そうした表現を使った理由をお願いします。

A:北朝鮮の昨日の弾道ミサイルの発射も含めて、非常に頻繁に北朝鮮は、この事態のエスカレーションをしておるところです。そうしたところに、日米、日米韓でしっかりと対処していかなければならないということだと思います。

Q:台湾環境の平和と安定についてどのようなやりとりがなされたのかということと何か認識を共有したことがあれば教えてください。あともう一つ、次期戦闘機の話で日英の協力となった場合、アメリカとのインターオペラビリティの部分についての影響等はないのでしょうか、そのあたりについて教えていただきたい。

A:中国が軍事力の強化を急速に進めている中で中台の軍事バランスは中国側に有利に変化をしています。年々その差が拡大をする傾向が見られる中で、本日の会談ではオースティン長官との間で、台湾海峡の平和と安定の重要性を改めて強調をいたしました。台湾をめぐる情勢の安定は、南西地域を含むわが国の安全保障はもとより、国際社会の安定にとっても重要であります。防衛省としても、引き続き、関連動向に注意してまいりたいと思います。それから次期戦闘機の件であります。本日の会談では、次期戦闘機に関しても意見交換を行いました。具体的には私から日英協力の可能性について説明をし、米側から理解が示された、また、日英協力の進展を歓迎する旨の言及があったところであります。また、オースティン長官との間でチーミングという形でF-Xと連携することも想定されるUAVの開発について日米協力の可能性について探っていくことにつき一致をしたところです。いずれにせよ、米国との間では相互運用性の確保のため共同検討などを行う等、引き続き、緊密に連携してまいります。

以上