防衛大臣記者会見

日時
令和4年4月26日(火)14:07~14:17
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
岸防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 4月23日に発生した北海道網走沖の観光船事故に伴い、同日19時40分に海上保安庁第1管区海上保安本部長からの災害派遣要請を受け、陸・海・空各自衛隊の各種航空機、U-125、UH-60など及び海上自衛隊の艦艇、護衛艦「せんだい」などを現場に派遣し、要救助者の捜索に係る災害派遣を実施しております。今回の事故でお亡くなりになった方々に、心より哀悼の意を表しますとともに、御家族、関係者の皆様に心よりお悔やみを申し上げます。防衛省・自衛隊としては、引き続き、関係省庁と緊密に連携して、一刻も早く要救助者を発見すべく、全力で捜索活動を行ってまいります。

2 質疑応答

Q:沖縄県の北大東島への移動式警戒レーダー配備について、測量業務に向けた入札公告の時期が早まって週内とされるんですけれども、その事実関係を尋ねます。また、配備の意義や今後のスケジュール、移動式レーダー配備後に固定的な基地の配備も行う可能性を見込んでいるのかも併せて教えてください。

A:中期防衛力整備計画において、太平洋側の島嶼部の移動式警戒管制レーダーの運用基盤を整備することとしており、その配備候補地について検討を進める必要があることから、今後、北大東村における航空機を用いた測量等調査業務の入札公告を行う予定であります。わが国の周辺国は、太平洋側の海空領域で活動を活発化させています。活動域も拡大している一方、大東諸島を含む、太平洋側の島嶼部は、これまで警戒管制レーダー及び地上電波測定装置等を設置しておらず、警戒監視・情報収集の空白地域となっています。東シナ海東部方面から沖縄本島と宮古島の間を通過して太平洋へ進出してくる航空機等への対応は喫緊の課題であります。移動式警戒管制レーダー等を運用するための基盤を整備することにより、隙のない情報収集・警戒監視の態勢を保持したいと考えております。なお、配備にあたっては、レーダー等の運用基盤や要員の宿泊施設等の整備を検討しているところですが、いずれにせよ、現地調査の結果を踏まえて今後検討を進めていく予定であります。

Q:明後日28日で、サンフランシスコ平和条約が発効して70年となります。まず、70年間の日米関係への評価と今後の展望をお願いします。

A:70年前に発効致しましたこのサンフランシスコ条約により、連合国軍の占領が終了し、わが国は主権を回復して国際社会に復帰しました。また、平和条約と同日に署名されました日米安保条約は、その後1960年に改定され、米国による対日防衛義務などが明記されたわけです。70年前からこれまでの間、わが国を取り巻く安全保障環境は変化し続け、近年、一層厳しさを増しているわけです。その中で、日米両国は3度にわたり日米防衛協力のためのガイドラインを策定し、日米同盟の抑止力を高めてきました。また、2015年には、あらゆる事態に対して切れ目のない対応を可能とする平和安全法制を整備致しました。これにより、日米同盟は深化し、かつてないほど強固なものになりました。日米同盟は今やインド太平洋地域、そして世界全体の平和と安定の礎であり、その重要性はかつてなく高まっています。防衛省・自衛隊としては、日米同盟の抑止力・対処力の強化のため、引き続き、宇宙・サイバーを含む領域横断的な防衛協力、拡大抑止の強化、米軍再編の実施等の様々な分野での日米の防衛協力を進めてまいります。

Q:当時、日本は、ソ連や中国を含まない「単独講和」を選択したことで、安全保障面で課題を今に残しています。この点についてサンフランシスコ講和体制についてのお考えはどうでしょうか。

A:わが国は、サンフランシスコ平和条約を受諾することによって主権を回復し、国際社会に復帰致しました。この条約は今日にいたるまで戦後秩序の基本的な枠組みを提供しているものと認識しております。

Q:北朝鮮に関連しますけれども、昨晩、北朝鮮で軍事パレードが行われたとの報道がありますけれども、防衛省として把握している状況などありましたらお願いします。

A:北朝鮮は昨日、「朝鮮人民革命軍創建90周年」に合わせ、金正恩委員長出席のもとで、軍事パレードを実施をいたしたものと承知をしております。今回のパレードについて、北朝鮮のメディアにおいては、金正恩委員長が演説を行い、核武力の強化等に言及したことなどが報道されております。その他にもICBM級の弾道ミサイルとみられるものを含む各種兵器の画像などが公表されたものと承知をしております。北朝鮮が、国際社会に背を向けて核・ミサイル開発のため活動を継続していく意図を有していることは明らかであります。防衛省としては、北朝鮮の軍事動向について、引き続き、米国等とも緊密に連携しながら、必要な情報の収集・分析及び警戒監視に全力を挙げ、わが国の平和と安全の確保に全力を期してまいります。また、米国及び韓国を始めとする国際社会とも緊密に連携しながら、関連する国連安保理決議の完全な履行を進め、北朝鮮の完全な非核化を目指してまいります。

Q:午前中の衆院安保委員会で、ミャンマー国軍から留学生4人を受け入れることを明らかにされましたけれども、4人のうち2人が幹部かと思いますが、この階級と授業料の免除と給付金の提供も続けるという理解で良いのかという点と、能力構築支援については引き続き中止されるというお考えでよいかという点を教えてください。

A:事務方から後で、事務的にお答えいたします。

Q:大臣、午前中の国会の中で、「省内でも様々な議論してきた」というお話をされていました。民主主義とか文民統制を理解する人を育てるというお考えかと思いますが、一方で市民を殺害している国軍を支援することに当たるんではないかという批判もありますけども、あらためて大臣のお考えをお聞かせください。

A:ミャンマーとの交流については、様々な議論がありました。その上で、我々として何ができるか、一方で、制裁等ですね、非難決議等も行っておるところでございますけども、ミャンマー国軍の民主的な運営、民主主義国における組織の在り方、そういったものをしっかり留学生に教え込むことで、将来のミャンマーを立て直すと、こういう力になってもらえればと思っております。

以上