防衛大臣記者会見

日時
令和4年4月22日(金)09:42~09:57
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
岸防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 20日に自衛隊法の一部改正が施行されたことを受け、本日、同法第84条の4に基づく在外邦人等の輸送について、新たな閣議決定が行われました。本閣議決定は、在アフガニスタン邦人等輸送における経験等及び今般の法改正の内容を踏まえて、政府部内の連携の強化、輸送対象者についての在外公館による平素からの把握、自衛隊の態勢強化等、在外邦人等の輸送に係る総合的な措置の一層の充実を図るものとしています。今後とも、防衛省・自衛隊として、在外邦人等の安全のために全力を尽くしてまいります。大型連休の大規模接種会場の件です。新型コロナワクチンを接種している自衛隊大規模接種会場の予約について、3回目の接種を希望している方が早期に予約を確定させ、大型連休期間中の予定を立てやすくするように、4月18日18時から、大型連休期間を含む2週間分の予約を受け付けております。3回目のワクチン接種の接種対象者で、まだ接種を受けていない方々におかれましては、この機会に是非接種を検討していただきたいと思います。防衛省・自衛隊としては、引き続き、安全に1人でも多くの方に一日でも早く円滑にワクチンを接種することができるように、全力で取り組んでまいります。

2 質疑応答

Q:2問御質問させていただきます。まず、昨日、自民党の安全保障調査会は政府への提言をまとめ、「敵基地攻撃能力」の名称について、「反撃能力」と変更し、防衛費GDP比2%以上とすることについても、5年以内として提言することとしました。大臣の受け止めを教えてください。

A:自民党において、国家安全保障戦略等の策定に向けた議論を行っていることは承知をしております。今、党内の議論でございますので、また提言等も出てくると思いますけれども、そういったことを待ちたいと思います。

Q:2点目お伺いします。米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設について、先日、国土交通大臣が沖縄県に対し、沖縄防衛局の設計変更申請を承認するよう勧告していましたが、沖縄県は20日の期限までに承認はしませんでした。事業の当事者として、県と国交大臣それぞれに求めることがあれば教えてください。

A:辺野古への移設工事に係る変更承認申請については、国交大臣により、不承認処分が取り消すとの、こういう裁決が行われて、あわせて、承認処分を行うよう勧告が行われたということで承知しております。防衛省としては、これが国交大臣の事務についてでございますので、お答えをするべき立場にございません。また、変更承認申請については、今後、沖縄県において適切に対応されるものと考えております。防衛省として、普天間飛行場の1日も早い返還を実現するために、引き続き、辺野古への移設に向けた工事を着実に進めてまいりたいと思います。

Q:鹿児島県馬毛島へのFCLP移転等基地整備計画で、環境アセスメント準備書を2日前に公告されました。基地整備に向けた所感をお聞かせください。また、方法書の際に鹿児島県知事が求めた米軍機などが経路を外れ種子島上空を飛ぶ場合の想定は、ごく稀なケースということで準備書には盛り込まれませんでした。たとえ稀だとしても想定を示すべきだという地元の声もありますが、防衛省としてのお考えをお示しください。

A:政府として、厳しさを増す安全保障環境を考えますと、できるだけ早く、運用が開始できるように、馬毛島における施設整備を取り組んでいく必要があると考えております。環境影響評価法を順守し、環境に配慮して進めていきます。したがって、馬毛島内における施設整備は、環境影響評価書の公告後に着手するとしています。防衛省としては、公告後の速やかな工事の着手のために、令和4年度予算に滑走路等の整備に要する経費を計上し、準備作業を進めているところでございます。環境影響評価の手続について、確定的なスケジュールを申し上げることはできませんが、環境アセスメント手続を経た後、今年度中も含め、できる限り速やかに、工事に着手したいと考えているところでございます。塩田知事のコメントについては承知をしているところでございますけれども、空母艦載機のいわゆるFCLPは、艦載機が空母への着艦の能力を集中的に高めるため、滑走路を空母に見立てて行う訓練であります。そのため、緊急時を除き、あえてお示した以外の経路を飛行することはないと考えております。これを踏まえて、航空騒音の予測については、環境影響評価準備書にお示しをいたしました。その上で、周辺環境への影響の程度を把握するため、馬毛島の施設の運用開始後から3年程度、航空機騒音等に関して自主的な「環境監視調査」を実施する予定であります。いずれにしても、航空機騒音について、地元の関心が高いものと承知をしてますので、これまでも西之表市との協議の場における意見交換等を通じて、市民の皆様に不安の解消に努めているところであります。引き続き、努力してまいります。

Q:今年度中に基地本体の着工をされたいということでお考えを示されましたが、FCLPの馬毛島での開始時期の目指す時期であるとか、目途というのはありますでしょうか。

A:施設整備の工期につきまして、だいたい着工から概ね4年を考えております。FCLP実施のための施設整備を優先することとしていますけども、FCLPが可能になる時期としては、お答えする段階には今のところございません。

Q:冒頭の質問に関連するものに戻るんですけれども、「敵基地攻撃」という名称については、先制攻撃と誤解される可能性があるというふうな指摘がありましたけども、一般論として、昨日、自民党の提言で出てきた「反撃能力」という言葉だと、そういう指摘は当たるとお考えでしょうか。

A:まだ、提言を受け取っておりませんので、確たるコメントはいたしかねますが、現在、それらの点について党内でも様々な議論がなされているものと承知をしております。また、提言がまとまりましたら、それをベースにしっかり省内でも議論してまいりたいと思います。

Q:冒頭の質問に少し戻るんですけども、沖縄県名護市辺野古の基地建設に関連して、国交省の勧告に対する回答と合わせてですね、沖縄県側は国と対話を求める文書というものも合わせて出しているんですけども、この対話の必要性とかですね、その受け止めについてお考えを伺います。

A:政府としてですね、これまでも辺野古移設が唯一の解決策であるとの方針に変わりはございません。この方針に基づいて、着実に工事を進めていくことこそが、普天間飛行場の1日も早い全面返還を実現し、その危険性を除去することにつながると考えております。これからも、丁寧な説明をしてまいりますとともに、沖縄県を始めとして、地元の御要望は伺ってまいります。

Q:月刊文藝春秋5月号で、安倍元総理が、わが国の周辺にはロシア・北朝鮮・中国といった核保有国が存在し、北朝鮮はICBMの試験発射に成功した。このICBMはアメリカ全土が射程圏内に入り、安全保障上のリスクが高まっている中、核シェアリングを含め議論すべきとしています。また、ロシアも先日、日本海で巡航ミサイルの発射実験を行い、昨日、ICBMの発射実験に成功したと発表しています。ところが、同じ文藝春秋5月号でフランスの歴史人口学者の泰斗、エマニュエル・トッド氏が、「核共有は駄目だ。核武装して自立しろ。」と説いてます。安倍元総理の議論は無視できないと思いますが、防衛省はミサイルを導入し、弾頭を核弾頭にする核共有を考えているのでしょうか。また、ニュークリアシェアリングは駄目だという議論をどう考えるのでしょうか。大臣のお考えをお聞かせください。

A:わが国の周辺の安全保障環境は非常に厳しさを増しているところであります。わが国の国民の命と、そして平和な暮らし、これをしっかり守りぬいていくために何が必要かということの議論をしっかり積み重ねていくことが何より大切だと思っております。これから年度末、国家安全保障戦略策定に向けて、しっかりと議論を重ねてまいりたいと考えております。核共有については、非核三原則をわが国は厳守する立場であります。これを考えてはおりません。

Q:政府が検討している自衛隊機によるUNHCRの物資輸送派遣についてお伺いします。インドが自衛隊機の受け入れを拒否したことについて、高市政調会長が昨日ですね、「政府の根回し不足だ」という発言をされていますけれども、こうなった原因について大臣どのように御報告を受けているかということと、今回のインドの拒否によって、今後のインドとの防衛協力に影響がないか、大臣のお考えをお願いします。

A:御指摘のような自衛隊機の派遣による支援も含めて、今後のウクライナ避難民への支援の在り方については、政府全体で検討しているところでございます。防衛省・自衛隊として、引き続き、関係省庁と連携しながら、できる限りの支援を行ってまいります。また、インドとの関係においては、外交上のやりとりでございますので、コメントは控えたいと思います。

以上