防衛大臣記者会見

日時
令和4年4月15日(金)09:32~09:43
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
岸防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 2021年度の緊急発進回数についてです。空自による緊急発進の回数は、1,004回となって千回を超えました。過去最高を記録した2016年度の緊急発進回数1,168回に次いで、過去2番目に多い回数となって、また、昨年度の緊急発進回数は一昨年度と比べますと300回近い大幅な増加となっています。このうち、昨年度の中国機に対する緊急発進回数は722回であり、2016年度の851回に次いで、過去2番目に多い回数です。また、一昨年度と比べますと約260回の増加となっています。これが全体の緊急発進回数の大幅な増加につながっています。昨年度のロシア機に対する発進回数は266回であり、一昨年度、258回と同水準でありました。昨年度の中国機の活動について申し上げますと、沖縄本島と宮古島の間の通過の公表回数は、8月の無人機の通過の公表も含めて12回となります。一昨年度は4回でしたから、それと比較しますと、大幅な活動の拡大がみられます。このうち、情報収集機の通過が多数を占めておりまして、中国は情報収集とみられる活動を活発化しているとみられます。11月には、3度目のわが国周辺での中露爆撃機による長距離共同飛行が確認され、12月にわが国周辺を航行中の中国空母から艦載機の発進が確認されるなど、わが国の周辺空域において、その飛行の態様も多様化・高度化されています。8月及び3月の2回にわたって新型の無人機を対領空侵犯措置中に確認するなど、中国では、多種多様な無人機の自国開発を急速に進める動きがみられます。このように、中国によります、この一層の活動の活発化につきまして、国防政策や軍事力に関する透明性の不足と相まって、わが国を含む地域と国際社会の安全保障上の強い懸念となっています。また、ロシア機の活動について言えば、昨年度9月、3月と2回にわたる領空侵犯など、ロシア機はわが国周辺の活発な活動を継続しています。国際社会がロシアによるウクライナ侵略に対応している中にあっても、この傾向に変わりはありません。防衛省・自衛隊としては、わが国の領土・領海・領空を断固として守り抜くとの方針の下で、引き続き国際法及び自衛隊法に従って、対領空侵犯措置に万全を期していく考えであります。詳細は後ほど事務方から説明をさせます。

2 質疑応答

Q:日本海などで米海軍空母「エイブラハム・リンカーン」をはじめとする空母打撃群と日米共同訓練を実施しているタイミングでロシアが日本海にミサイルを発射したとされますが、その分析や受け止めをお聞かせください。

A:御指摘の発表は承知しているところです。ロシアは、通常戦力の近代化の一環として、海上発射型巡航ミサイル「カリブル」搭載艦の増勢を図っています。今般、ウラジオストク沖で「カリブル」を発射させたとみられる2隻の潜水艦は、昨年11月に極東に配備されたものであると考えられています。ロシア側の意図について確たること申し上げることは差し控えますが、その上で、ロシアが、昨年4月等にも同様に、新たに配備された「カリブル」搭載艦から当該ミサイルを発射した旨公表していいます。こういうことを踏まえれば、本件は、実戦配備後の発射訓練であって、現下の情勢においても、海上戦力の近代化を内外に示したいとの意向があるものと見られます。いずれにしても、わが国周辺においては、近年、最新の装備の配備や演習・訓練を含むロシア軍の活動が活発化の傾向にあるところ、防衛省としては、わが国周辺におけるこうした一連のロシアの動向について、引き続き、懸念を持って情報収集・警戒監視に努めてまいります。

Q:北朝鮮の情勢について伺います。今日は金日成主席の生誕から110年の節目です。弾道ミサイルの発射や核実験など、さらなる挑発行為に出る可能性についてどうみられるか、また防衛省としてどう対応するお考えか。

A:北朝鮮は今年に入ってから弾道ミサイルを頻繁に発射を繰り返しています。本日、その一つの記念日でありますけど、平素から重大な関心を持って情報収集に努めておりますけれども、事柄の性質上お答えは差し控えさせていただきます。その上で、北朝鮮は、国際社会に背を向けて核・弾道ミサイル開発のための活動を継続をする姿勢を依然として崩していないことから、今後さらなる挑発活動に出る可能性も考えられます。防衛省としては、北朝鮮の軍事動向について、引き続き米国等とも緊密に連携しながら、情報の収集、警戒監視に全力を挙げてわが国の平和と安全の確保に万全を期したいと思います。

Q:一昨日の13日、外国人だけでも自衛隊機に乗せられるようにした改正自衛隊法が、参院で可決をし、成立しました。去年の夏のアフガニスタンの教訓を踏まえた改正でしたけども、今回の改正の受け止めと今後の期待をお願いします。

A:今般の法案は、昨年のアフガンにおける邦人輸送の経験を踏まえて、在外邦人等の輸送に係る規定である自衛隊法第84条の4の改正を行ったものであります。本改正によって、在外邦人等の輸送をより迅速かつ柔軟に実施できるようになります。海外で、邦人が危機にさらされた時、邦人の保護・退避に全力で当たることは、国として当然の責務であります。防衛省・自衛隊としても、あらゆる事態において適切に対応できるように、在外邦人等の安全のために引き続き全力を尽くして参ります。

Q:ウクライナ支援について伺います。政府は近くウクライナ支援のために自衛隊機を派遣して、UNHCRなどの物資を運ぶという一部報道がありますが、これに関しての事実関係と、今後の自衛隊機の運航のスケジュールについてお願いします。

A:今回のロシアによるウクライナ侵略に対しては、国際社会が団結して、結束して対応することが大変重要であります。わが国としても、G7を始めとする国際社会と連携しながら、ウクライナ及び避難民を受け入れる近隣国に寄り添った支援を引き続き実施してまいります。御指摘のような支援も含めて、今後のウクライナ避難民への支援の在り方については、現在、政府全体で検討しているところでございます。防衛省・自衛隊としても、引き続き、他省庁と連携しながら、できる限りの支援を行ってまいります。

 

以上