防衛大臣記者会見

日時
令和4年4月1日(金)10:32~10:44
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
岸防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 防衛省・自衛隊は、FOIPの維持・強化に資するべく、昨年の12月から、海自の掃海母艦「うらが」及び掃海艦「ひらど」を、インド太平洋・中東地域に派遣するIMED21を実施をしてきました。IMED21部隊は、12月にブルネイと親善訓練を実施したのを皮切りに、「日本・南西アジア交流年」に当たる今年に入り、バングラデシュ、インド、スリランカと訓練を実施し、南アジア諸国との連携強化と相互理解の増進を図りました。また、バーレーン周辺海空域において米国主催の「国際海上訓練」に参加したほか、カンボジアのシハヌークビルへ寄港し、リアム海軍基地を訪問するなど、IMED21を通じ、インド太平洋・中東地域における様々な国々との連携を強化したものと思います。このように、IMED21部隊は、6か国に寄港しながら、7回の共同訓練等を行った後、現在、日本への帰路についています。本派遣を通じて得られた成果も踏まえて、引き続きインド太平洋・中東地域における関係国との連携強化を図ってまいります。

2 質疑応答

Q: 本日、新設されました「グローバル戦略情報官」について、求められる役割や期待することなど、大臣のお考えをお聞かせください。

A:近年、国際社会においては、フェイクニュースの流布を含む様々な宣伝工作等が行われるなど、伝統的な安全保障領域にとどまらない動きが指摘されています。国際情勢が複雑化しつつある状況において、政治・経済・軍事・技術等、多様な側面を横断的に情報収集・分析する必要があり、本日付で、国際情勢を多面的・横断的に収集・分析するためのポストとして「グローバル戦略情報官」を防衛政策局調査課に新設したところであります。「グローバル戦略情報官」には、今後、諸外国による対外発信の戦略的な意図や、フェイクニュース等の影響を踏まえつつ情報分析を行い、防衛省のみならず政府全体の情報業務に貢献することを期待しています。

Q:一昨日の夜に、国後島方面から照明弾のような光が目撃されました。ロシアの発表している北方領土訓練との関連も含め、大臣としてどうとらえていらっしゃるか教えてください。

A:ロシアの国防省が25日、北方領土の択捉島及び国後島を含む地域において軍事演習を開始した旨、発表したことは承知をしております。ロシア側の意図について確たることを申し上げることは控えますが、その上で、少なくともロシア側の発表を踏まえれば、時期や訓練内容について例年並みである一方、参加人員の規模は例年のこの時期としては比較的多く、ウクライナ侵略のための、ロシアが全土から人員を動員しているとされる中にあっても、極東における活動能力を示すために北方領土において演習を活発に行っている旨、発信しているものと考えられます。防衛省・自衛隊としては、ロシアによるウクライナ侵略の動きも念頭に置きつつ、わが国周辺におけるロシア軍の動向について、引き続き情報分析、警戒監視を万全に期してまいりたいと思います。

Q:鹿児島県馬毛島へのFCLP移転を巡って、地元自治体に払う米軍再編交付金の算出根拠となる省令の改正を、昨日官報で告示されたと思うですけれども、この改正のねらいや意義についてお願いいたします。

A:令和4年度には、再編特措法に基づき、自衛隊の馬毛島基地を再編関連特定防衛施設に指定の上、西之表市、中種子町及び南種子町を再編関連特定周辺市町村に指定することを前提に、再編交付金の予算を計上しています。一方で、再編交付金の算定方法については、駐留軍の再編の円滑な実施に関する特別措置法施行規則に定められているところ、当該施行規則が定められた当時において、恒久的にFCLP施設の整備場所や具体的な計画内容が決まっていなかったため、FCLPによる影響を考慮した算定方法ではありませんでした。このため、防衛省としては2本の滑走路と港湾施設を有する恒久的なFCLP施設を馬毛島に整備することとしていること等を踏まえ、自衛隊馬毛島基地に係る再編交付金が適切に算定されるように、施行規則を改正したものであります。

Q:今回、省令を改正して、FCLPの移転に伴って加算がされるということなんですけれども、これに伴って地元の理解が広がるような、そのような狙いもありますか。

A:これは、まさに手続きを定めたものであります。地元の理解は理解で進めていきたいと思います。

Q:ウクライナ情勢に関連してお伺いしたいんですけれども、今日の夜にでも林外相が政府専用機でポーランドに向かうと思いますけれども、今朝の部会でも、もし希望する人がいれば、一緒に避難民を連れて帰ってくるということも考えているという説明があったようですけれども、この場合、政府専用機に乗る法的な根拠というものはどういったものがあるのか教えてください。

A:林外務大臣が総理の特使として訪問されますが、帰路について、避難民の輸送については、まだ決定されておりませんので、お控えさせていただきたいと思います。

Q:北朝鮮情勢に関連して、最近ですね、韓国やアメリカなどで北朝鮮の核実験に関する動きの報道が相次いでおります。防衛省としてどのように分析されているのか、何かしら動きを感知されているのかどうか、受け止めも含めてお願いいたします。

A:御指摘のような報道等については承知をしているところでありますが、北朝鮮の軍事動向については、防衛省として、平素から重大な関心を持って情報収集・分析に努めております。個々の具体的な情報の内容については、わが国の情報収集・分析能力が明らかになりかねないために、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。その上で、北朝鮮は、国際社会に背を向けて核・弾道ミサイル開発のための活動を継続する姿勢を依然として崩していないことから、さらなる挑発行動に出る可能性も考えられます。いずれにしても、防衛省として、北朝鮮の軍事動向について、引き続き、米国等とも連携をしながら、情報収集・警戒監視に全力を挙げ、わが国の平和と安全の確保に万全を期してまいりたいと思っております。また、米国、韓国をはじめとする国際社会とも緊密に連携しながら、関連する国連安保理決議の完全な履行を進め、北朝鮮の完全な非核化を目指してまいります。

以上