防衛副大臣臨時記者会見

日時
令和4年3月24日(木)16:18~16:28
場所
防衛省A棟1階エントランス
備考
北朝鮮による弾道ミサイル発射事案後の鬼木防衛副大臣臨時会見

1 発表事項

 北朝鮮は、本日24日、14時33分頃、北朝鮮西岸付近から、1発の弾道ミサイルを東方向に向けて発射しました。現時点における分析では、発射された弾道ミサイルは、約71分飛翔し、15時44分頃、北海道の渡島(おしま)半島の西方約150kmの日本海、わが国の排他的経済水域内に落下したものと推定されます。飛翔距離は約1,100km、また最高高度は6,000kmを超えると推定されます。今般の発射は、わが国の安全保障に対する深刻な脅威であります。また、何らの事前の通報もなくわが国EEZ内に着弾させたことは、航空機や船舶の安全確保の観点からも極めて問題のある危険な行為であり、強く非難をいたします。その上で、今回の弾道ミサイルが2017年11月のICBM級弾道ミサイル「火星15」の発射時を大きく超える、約6,000km以上の高度で飛翔したことを踏まえれば、今回発射されたものは新型のICBM級弾道ミサイルであると考えられます。詳細については引き続き分析中であります。今回の発射について、防衛省から、政府内及び関係機関に対して、速やかに情報共有を行いました。現在までのところ、航空機や船舶からの被害報告等の情報は確認されておりません。今般のような事態を更に緊迫化させる弾道ミサイル発射を含め、一連の北朝鮮の行動は、わが国、地域及び国際社会の平和と安全を脅かすものです。国際社会がロシアによるウクライナ侵略に対応している中にあっても、国際社会に対する挑発を一方的にエスカレートさせるような発射を強行しており、断じて容認できません。関連する安保理決議に違反し、国際社会に背を向ける行為にほかならず、強く非難をいたします。北朝鮮に対して、大使館ルートを通じて抗議を行いました。総理には、本件について直ちに報告を行い、一つ、情報収集・分析に全力を挙げ、国民に対して、迅速・的確な情報提供を行うこと、二つ、航空機、船舶等の安全確認を徹底すること、三つ、不測の事態に備え、万全の態勢をとること、この3点について指示がありました。これを受け、岸防衛大臣からは、一つ、米国等と緊密に連携しつつ、情報収集・分析に全力を挙げること、二つ、不測の事態の発生に備え、引き続き警戒監視に万全を期すことについて指示がありました。その後、関係幹部会議を開催するなど、対応に万全を期しているところであります。防衛省としては、引き続き、米国等とも緊密に連携し、大臣指示に基づき情報の収集・分析及び警戒監視に全力をあげるとともに、米国、韓国をはじめとして、関係国と緊密に連携しながら、国民の生命、そして平和な暮らしを断固守り抜く決意です。こうした状況を踏まえ、いわゆる敵基地攻撃能力の保有も含めあらゆる選択肢を検討し、今後とも防衛力の抜本的な強化に取り組んでまいります。

2 質疑応答

Q:EEZ内でICBM級ということで、受け止めをお願いできますか。

A:重複いたしますが、新型のミサイルでもあり、そうした安保理決議違反の行為、また、国際社会がこうした緊迫した中でも挑発的にエスカレートしていく行為ということで断固容認できないということで非難をいたします。

Q:今日、先ほど6,000kmの高度ということですけれども、ロフテッド軌道での発射という分析なのかどうか。

A:先ほど申し上げた詳細に、これ以上の詳細については分析中ではありますが、今回の弾道ミサイルが2017年11月のICBM級弾道ミサイル「火星15」の発射時を超える飛翔高度約6,000km以上の高度で、更に1,100kmの距離を飛翔したことを踏まえれば、ロフテッド軌道で発射されたということが言えると考えております。

Q:「火星17」かどうかっていう分析はどうでしょうか。

A:新型であるということは言えるんですが。名称等についてはこちらでは断定できないと。

Q:EEZ内へ落下したのは、いつぶりになりますでしょうか。

A:昨年の9月15日に、EEZ内が記録されているということです。

Q:実際にこのICBMの軌道で撃つのはまさに、副大臣おっしゃったように2017年11月以来だと思うんですけれども、これによって北朝鮮の米朝関係ですとか、今まで対話期間と言われていたものが、今日をもって終わったという、そういう認識になるでしょうか。

A:北朝鮮の意図するところについては、予断をもってお答えすることは差し控えますが、これまでにも北朝鮮が2021年1月の党大会において、ICBM級関連事業の推進に言及していることなどを踏まえれば、引き続き、弾道ミサイルの長射程化を追求する姿勢であることには変わりはないと見られます。また、北朝鮮は国際社会に対する挑発を一方的にエスカレートさせるように発射を強行し、関連する安保理決議を違反し続け、国際社会に背を向ける姿勢を示し続けており、今後もより一層挑発の度合いを強めていく可能性も考えられます。そうした、どういった狙いがあるにせよ、今回のような事態を更に緊迫化させる今般の弾道ミサイル発射を含め、一連の北朝鮮の行動は、わが国、地域及び国際社会の平和と安全を脅かすものであります。国際社会がロシアによるウクライナ侵略に対応している中にあっても発射を強行しており、重ねて断じて容認できません。米朝の関係というご質問でしたかね、そこについては、我々が断定的に答えることは差し控えたいと思いますが、いずれにしても、防衛省といたしましては、引き続き米国等とともに緊密に連携し、情報の収集・分析及び警戒監視に全力をあげてまいります。また、米国、韓国を始めとする国際社会とも緊密に連携しながら、関連する安保理決議の完全な履行を進め、北朝鮮の完全な非核化を目指してまいります。

Q:先ほど副大臣も、「火星15」をはるかに超えるということでしたけれども、「火星15」が最大射程10,000km以上とされていますけれども、今回通常に撃った場合、どこまで射程が伸びるというふうに考えていらっしゃるのか。

A:それも含め、分析中でございます。

Q:今回発射されたものは、2月と3月に2度発射されたICBM級のものと同一と見られるんでしょうか。

A:今回の弾道ミサイルが、2017年11月のICBM級弾道ミサイル「火星15」の発射時を大きく超える約6,000km以上の高度で飛翔したことを踏まえれば、今回発射されたものは新型のICBM級弾道ミサイルであるということが言えると思います。詳細については引き続き分析中であります。

Q:弾種と弾道に関してなんですが、新型ICBMであるということはもう断定であって、ロフテッド軌道であるということに関しては推定ということでよろしいでしょうか。それとも、両方とも断定でよろしいでしょうか。

A:そういう分析を、防衛省としております。

Q:今回、落下地点がかなり領土にも近い地点なんですけれども、Jアラートの活用とかっていうのはあったんでしょうか。

A:所掌、防衛省ではありませんが、鳴ったとは確認しておりません。

以上