防衛大臣臨時記者会見

日時
令和4年3月8日(火)19:05~19:14
場所
防衛省A棟1階エントランス
備考
ウクライナへの装備品等の提供にかかる関係幹部会議後の岸防衛大臣臨時会見

1 発表事項

 本日の国家安全保障会議等を踏まえまして、自衛隊法や防衛装備移転三原則の範囲内で、防弾チョッキ、鉄帽、防寒服、天幕、カメラのほか、衛生資材、非常用糧食、発電機を譲与し、これを自衛隊機等により輸送するといたします。その上で、私から、速やかに自衛隊の航空機によりこれらの装備品等の輸送を開始するよう命じました。今回の支援は、国際法違反の侵略を受けているウクライナへの支援であり、欧州のみならず、アジアを含む国際秩序の根幹を揺るがす行為に対し、国際社会と結束して毅然と行動することは、わが国の今後の安全保障の観点からも極めて重要であります。わが国は、平和国家としての歩みを一歩一歩重ねる中で、自由や民主主義、法の支配、基本的人権の尊重といった普遍的価値の旗を堂々と翻す国となりました。我々は、志を同じくする仲間と手を携え、自由を愛し、民主主義を信望し、人権が守られないことに深く憤り、強権をもって秩序を変えようとする者があれば断固としてこれに反対していかなければなりません。我々はウクライナの皆さんと共にあります。今この瞬間も、強権をもって秩序を変えようとする者に対して果敢に抗い続けているウクライナの皆さんに対して、今後できる限りの支援を行っていきます。詳細は後刻、事務方よりブリーフをいたします。

2 質疑応答

Q:今夜ですね、第1段の輸送ということですけれども、今後第2期や第3期といった続くスケジュール感などを、今分かっているものがありましたら教えてください。

A:総理からも一刻も早く、一日でも早く届けるようにという御指示があったわけです。その御指示に従って我々もその第2便以降ですね、これについてもできる限り、早く届けられるように準備をしていきたいと思います。

Q:自衛隊機等による輸送とのことですが、目的地については、これらの周辺国ということでの理解でよろしいでしょうか。

A:はい。本日、航空自衛隊の小牧基地からKC-767が防弾チョッキと鉄帽を搭載し、ウクライナの近隣国に向け離陸する予定です。近隣国、国名はポーランドですが、詳細は、差し控えさせていただきたいと思います。

Q:関連して、ポーランドからウクライナへはどのように輸送手段で運ぶのでしょうか。

A:そこからウクライナ。

Q:はい。

A:それも相手国があることですので、私からは差し控えさせていただきたいと思います。

Q:今回の三原則の運用指針の変更に関連してお伺いしたいんですけれども、自民党の部会ではですね、ウクライナに限定せず、国、地域とすべきといった意見なども出たそうなんですけれども、これから今後、そういった方向で検討していく可能性があるのかと、あとは、こういうケースが他にもあった時に改めて同じように指針の変更をして対応するのかといったこと、その辺の考え方をお願いします。

A:今回は、ウクライナ政府からの要請も踏まえて、自衛隊法や防衛装備移転三原則の範囲内で非殺傷の装備品等を提供するべく、3月4日に開催されました国家安全保障会議において、資材を提供すると、こういうことから、調整を検討することになったわけです。その中で、運用指針を調整するということが行われたわけでございますが、全体の中では。今後についてはですね、不断の検討を重ねていきたいと考えております。

Q:関連して、今回ウクライナに適用する形で指針を変更しましたけれども、こういう事例が続くと、あまり運用指針がある意味がないような気もしてくるんですけれども、その辺りは、毎回毎回こう、それに適用した運用指針を作れるというか、変更できるという気がするんですが、それはどうお考えでしょうか。

A:今回提供される装備品のうち、防弾チョッキは防衛装備移転三原則の防衛装備に該当するわけです。これらは非殺傷の、自らを護る装備品でありますから、今回当該装備品をウクライナに提供することは、国際的な平和及び安全の維持に資するものであって、防衛装備移転三原則の範囲内であります。その趣旨にも合致したものであると、考えております。そのため、今回、運用指針の改正によって、防衛装備移転三原則が形骸化するということではありません。

Q:今回、ウクライナに物資を供与するということで、ロシア側から既に非友好国ということで認定されていますけれども、ロシア側からの反応で、そういったリスクについてはどうお考えでしょうか。

A:今回のロシアのウクライナ侵略ですね、明らかにウクライナの主権及び領土の一体性を侵害するものであります。武力の行使を禁ずる国際法の深刻な違反であるとともに、国連憲章の重大な違反でもあります。この断じて許されない力による一方的な現状変更は、国際秩序の根幹を揺るがすものでございます。このような国際社会の平和と安定を著しく損なう事態において、現在、国際社会はウクライナ支援のために結束し前例のない対応を行っております。欧州のみならず、アジアを含む国際秩序の根幹をゆるがす行為に対し、国際社会と結束して毅然と行動することは、我が国の今後の安全保障の観点からも極めて重要であると考えております。

以上