防衛大臣記者会見

日時
令和4年3月4日(金)09:30~09:41
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
岸防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 陸上自衛隊は、本日から25日までの間、東富士演習場及び沼津海浜訓練場において、米海兵隊と共同訓練を実施いたします。本訓練は沖縄の負担を軽減するため、普天間所属のMV-22オスプレイ等の訓練を沖縄県外に移転する事業も併せて行います。この訓練では、水機団と第31海兵機動展開隊の水陸両用作戦に係る共同訓練を行います。そして、陸上自衛隊のV-22オスプレイが、初めて米軍との共同訓練を実施し、日米のオスプレイによる共同編隊飛行や水陸機動団と連携したヘリボンによる空中機動訓練を実施をいたします。この訓練を通じて、日米共同で作戦を実施する場合における連携要領を実動により演練し、日米間の連携強化及び共同対処能力の向上を図り、日米同盟の抑止力・対処力を一層強化していきます。

2 質疑応答

Q:ウクライナに対する政府の支援についてですけれども、岸田首相は昨日の記者会見で、医療品をはじめ日本として可能な人道的支援の在り方を考えていきたいと述べました。政府が医薬品や防弾チョッキなど自衛隊が持つ物資を供与する方向で調整に入ったとの一部報道もありますが、現在の検討状況も含めて事実関係を教えてください。

A:まず、今回のロシアによるウクライナ侵略は、力による一方的な現状変更の試みであり、欧州のみならず、アジアを含む国際秩序の根幹を揺るがす行為であります。明白な国際法違反であり、断じて容認できず、厳しく非難をいたします。わが国の安全保障の観点からも、決して看過できません。政府として、国際社会と連携しながら、ウクライナに対して、様々な支援を実施してきていますが、現在、政府内で行っている検討等の逐一についてお答えすることは差し控えます。引き続き、わが国として可能な支援のあり方について、現下の状況をしっかりと踏まえ、何ができるかを検討してまいります。

Q:岸田総理は「敵国の基地を攻撃する敵基地攻撃能力を持つことを検討を始める」と、2月22日の国会で発言されました。一方、安倍元総理が2017年、現役の総理だったときに、「総理大臣の立場でございますから、この核シェアリングについては全く検討も研究もしていない」と発言されていましたけれども、2月27日のフジテレビ「日曜報道THE PRIME」に出演した際には、核シェアリングについて、「この世界はどのように安全が守られているのかという現実の議論をタブー視してはならない」と発言し、総理時代の発言を翻しています。岸田総理は、敵基地攻撃能力や、安倍元総理の核シェアリング議論によって、敵基地攻撃能力の獲得や核シェアリング準備を進めるつもりだと隣国が受け止めた場合の影響についてどう考えているのだろうというふうに思われます。ロシアは、ウクライナに対してと同じように、敵意をむき出しにして標的として日本をとらえることに全くならないと、大臣はお考えでしょうか。これは仮定の話ではなく、ロシアはウクライナがNATOへ加盟しようとしていたり、核配備の可能性がある段階で神経を尖らせ、反対の立場をとって、まだNATO加盟も短距離核ミサイルも配備していない、いわば議論の段階でそれらを食い止めようとしてウクライナに侵攻したと考えられます。日本は、ロシア極東の隣国であります。ウクライナの事例を踏まえて、またロシアと隣国であるという共通点を含めて、極めて現実的なことであると考えておりますので、ぜひ大臣のお考えをお聞かせください。よろしくお願いします。

A:御指摘の発言については承知をいたしております。閣僚としては、政策上の方針として非核三原則を堅持していくとの考えに変わりはございません。

Q:ロシアによるウクライナ侵攻を受けて、ドイツでは国防費を大幅に増やしてGDP2%超えとするという方針が示しています。フランスのマクロン大統領も国防費を増強する考えを示しています。日本も年末に向けて国家安保戦略の策定を続けていますが、大臣は今回のウクライナ侵攻が日本の安保環境に与える影響についてどう考えでしょうか。また、防衛費の増額の必要があるというふうにお考えますか。

A:今回のウクライナ侵略のような、力による一方的な現状変更をインド太平洋、とりわけ東アジアで許してはならないことだと思います。わが国の防衛の任に当たる防衛大臣として、関連動向の情報収集・分析に万全を期すとともに、わが国の領土、領海、領空を、そして、国民の生命と財産を守り抜いてまいります。今回のウクライナの侵略も踏まえて、新たな国家安全保障戦略を策定してまいります。また、現下の厳しい状況も念頭において、ドイツが国防費の大幅増を表明したことは承知をしています。わが国としても、厳しさを増す安全保障環境の下で防衛力を強化するために必要な予算をしっかりと確保してまいりたいと考えております。

Q:冒頭発言でありました陸自と米海兵隊との共同訓練についてお伺いいたします。中国でしたりロシアの動向など、安全保障環境が厳しさを増しておりますけれども、改めて、この訓練を行う意義について、また、V-22が初参加ということですが、今回の訓練の初参加の意義について教えていただけますでしょうか。

A:今回の訓練は、日米共同で作戦を実施する場合における連携要領を実行動により演練し、日米間の連携強化及び共同対処能力の向上を図るものであります。陸自の水陸機動団と31MEUを基幹とする部隊が参加し、東富士演習場、沼津において、ヘリボンによる空中機動訓練や着上陸訓練を実施する予定であります。日米のオスプレイによる共同編隊飛行訓練、あるいは、ヘリボンによる空中機動訓練、こうしたものは初めてだと認識しておりますが、そういうことを行ってまいりたいと思います。

Q:先ほどの国家安保戦略に関して伺いますけれども、今回のウクライナの事態を受けてですね、今おおむね1年で見直しをいうスケジュールがありますけれども、これを少し前倒しとかですね、そういう必要性を感じてらっしゃるかどうかお聞かせください。

A:今回のロシアによるウクライナ侵略というものは、先ほども申しましたけれども、ヨーロッパのみならずですね、アジアを含む国際秩序の根幹を揺るがすような行為であって許されるものではありません。このような状況の下で、国家安保戦略を1年間かけて策定をしていくということでありますけれども、このウクライナの状況も踏まえて、しっかりしたものを立てていかなければならないというふうに考えております。

Q:続けて、元々安保戦略の見直しは、総理が中国の文言を含めて検討するというところから議論が始まったと思うんですけれども、今回の事態を含めて、やはりロシアに対してもですね、国家安保戦略の記述を変えたりだとか、扱いを変えるということは検討されているのでしょうか。

A:わが国を取り巻く安全保障環境は非常に厳しさを増している中でですね、国民の命、生命を守っていく、平和な暮らしを守っていく、このことのために何が必要なのか、あらゆるオプションを排除せずに検討してまいりたいと考えています。

以上