防衛大臣記者会見

日時
令和4年2月22日(火)11:14~11:26
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
岸防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 2月19日、ロシア大統領府及び国防省は、戦略核及び非核戦力による「戦略抑止力演習」を実施した旨発表しました。ロシアは、当該演習において、ICBM、SLBM、空中発射型ミサイル(ALCM)などの様々なミサイルを発射した旨発表するとともに、ウクライナ周辺に所在する南部軍管区及び黒海艦隊も演習に参加した旨、明らかにしています。また、このうちICBMについては、ロシア西部から発射し、わが国北方のカムチャツカ半島に着弾させていたとしています。通常であれば、秋頃に行われる当該演習をこの時期に行うとともに、ICBM、SLBMや爆撃機といったいわゆる「核の三本柱」を運用しない南部軍管区及び黒海艦隊の参加も得て、核戦力・非核戦力の双方のミサイル発射演習を行ったことは異例であります。ロシアは、今般のウクライナ情勢における緊張の高まりを受け、国際社会に対し、核戦力・非核戦力を含むあらゆるレベルにおいて能力を発揮することができることを誇示する狙いがあるとみられます。ウクライナ情勢を巡っては、21日にロシアのプーチン大統領がウクライナ東部の親露派勢力の独立を承認する大統領令に署名し、ロシア軍による平和維持活動名目で介入を行う旨指示したとしていますが、防衛省としては、こうしたウクライナ情勢を含むロシア軍の活動全般について、重大な関心を持って注視しており、関連する軍事動向について、情報収集・警戒監視を継続してまいります。

2 質疑応答

Q:岸田総理大臣は18日の衆議院予算委員会で、いわゆる「敵基地攻撃能力」の名称について、今後、名称を含めて検討をしていくことを考えていかなければならないと答弁しました。この答弁についての受け止めと、いわゆる「敵基地攻撃能力」の名称の変更について、大臣御自身のお考えをお聞かせください。

A:総理は18日、「敵基地攻撃能力」の名称について、予算委員会において、国会で議論する際に、一般に広く用いられている用語を現時点では使用しているが、様々な議論がある中で、今後名称も含めて検討していくことは考えていかなければならないと述べられました。重要なことは、ミサイル技術が急速なスピードで変化する中で、国民の命や暮らしを守るために何が求められているのかということについて、あらゆる選択肢を排除せず、現実的に検討していくことが重要であると考えています。政府としては、今後、新たな国家安保戦略を策定し、その中で議論を行っていきたいと考えておるところであります。

Q:冒頭に関連して、大臣はですね、昨日、プーチン大統領の独立の承認の大統領令の署名と、平和維持ということで関与するということに関して、重大な関心をもって注視していくということでしたけれども、これらの行動っていうのは、ミンスク合意に反する可能性もありますし、かなり危険な状況だと思うんですけれども、改めて大臣としての考え方や受け止めをお願いいたします。

A:これは我々も、従来から申し上げているとおり、領土の一体性を重視しておりました。そういう観点から、重大な関心をもって注視していくということで、この後どういう動きになっていくかということについても含めて、注視してまいりたいと思ってます。

Q:ウクライナに関してもう1点伺います。先ほど大臣、重大な関心をもって注視ということでしたけれども、今後の防衛省の対応として、自衛隊機の派遣などの検討についてはどうでしょうか。邦人退避についてです。

A:現在、もちろん防衛省・自衛隊として、いかなる状況になったときにも対応できるように、平素からしっかりした態勢をとっておりますが、ウクライナの情勢については、現時点ではチャーター機をチャーターしております。そういったことで対応することを考えているところです。

Q:現状ではチャーター機を優先させて、自衛隊機の派遣については、まだ本格的な検討になってないということでしょうか。

A:まずはチャーター機で対応してまいりたいと思っていますが、いかなる状況にも自衛隊としては備えているということであります。

Q:関連して1問お伺いします。まずチャーター機優先とのことですが、平和維持活動という名目で軍を派遣することを受けて、自衛隊がいざとなったときに派遣できるような態勢を整えるために、先遣隊のようなものを派遣するお考えはありますでしょうか。

A:現時点においては、重大な関心をもって注視をしているという状況であります。

Q:プーチン大統領がドネツク州とルガンスク州の独立を承認いたしました。この後の展開として、ロシア軍が両州に入ることが想定されていますけれども、今後ウクライナがNATO加盟を申請し、即承認となった場合、ロシアとNATO全体が直接対決することになり、バイデン大統領が言っていた「アメリカ人とロシア人が撃ち合うとき、それは世界大戦になる」という言葉が現実になるかもしれません。このバイデン大統領の予言的な言葉をどうお考えになりますでしょうか。日本も巻き込まれる世界大戦になるとお考えでしょうか。日本は米国の同盟国であり、他方ロシアは日本の隣国でもあります。今、最前線はロシアとウクライナ国境ですけれども、極東でも米国とロシアが衝突し、日本も参戦するような事態を大臣は想定していらっしゃいますでしょうか。お考えをお聞かせいただければと存じます。

A:プーチン大統領は、その独立を承認する大統領令に署名をしたということです。その後の仮定の御質問でございます。そこに答えることはお控えさせていただきたいと思います。

Q:関連すると思いますが、2問お願いします。北京オリンピックが閉幕しまして、東アジア情勢について、北朝鮮や中国の軍事動向について、今どのように御覧になっているか、というのがまず1点です。もう1点が、ロシアに関連して、冒頭にミサイル実験のお話がありましたけども、こういったロシアのミサイル技術が日本の安全保障に影響をどのように与えるかについてお願いします。

A:まず、ミサイル技術については急速に発達・進化している状況であると考えております。こうしたことに対して、我々としてもですね、どのように対応できるか、そういうことの問題意識を持って、わが国の国民の命、平和な暮らしを守り切ることができるかという問題意識を持って、あらゆる選択肢を排除せずに、これから国家安保戦略を策定していく中で検討を進めてまいりたいと思います。北京オリンピックが閉幕しました。オリンピック期間中が終わったということで、今後どのような動きがでてくるのか、これについては予断をすることはできませんけれども、しっかり関心を持って注視をしていきたいと思います。情勢について注視していきたいと思っています。

Q:先ほどのお話のちょっと確認なんですけれども、仮定の話だとのいうふうにお話し頂戴しましたけれども、ということは、極東でも米国とロシアが衝突しまして、日本も参戦するような事態を想定していないというふうに理解してよろしいでしょうか。

A:その前のですね、NATO加盟を承認するとか、そういったことも含めて、仮定の問にはお答えを差し控えたいということでございます。

以上