防衛大臣記者会見

日時
令和4年2月15日(火)10:36~10:52
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
岸防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 先般発生しましたF-15DJ戦闘機の墜落事故について、2月11日と13日に操縦者2名が海中から発見・収容され、田中公司1等空佐並びに植田竜生1等空尉であることが確認されました。事故発生当初より、関係者の御協力を頂きながら、陸・海・空自衛隊を挙げて、懸命なる捜索活動を続けて参りました。死亡という報に接し、防衛大臣として痛恨の極みであります。操縦者2名に対しまして、謹んで哀悼の意を捧げるとともに、御家族の皆様に対しまして、心よりお悔やみを申し上げます。二人が所属していた飛行教導団(※1)は、日本の空を守る戦闘機パイロットを指導する役割を担っており、最精鋭のパイロットが集う部隊であります。その中でも二人は、極めて優秀なパイロットとして、先輩や後輩からも慕われ、信頼され、活躍していました。あの日も、二人は、厳しい夜間訓練を指導するために飛び立った直後の事故でありました。地元の皆様に御心配、御不安をおかけ致しましたが、防衛大臣として、かけがえのないパイロットを失ったことは筆舌に尽くしがたいものがあります。防衛省として、二人の命を失ったという重大なる結果を重く受け止め、事故の原因究明と再発防止策に全力をかかげるとともに、今後の自衛隊機の教育訓練及び任務体制に万全を尽くしてまいりたいと考えております。ロシアの海軍艦艇の動向についてであります。ロシア国防省は、1月から2月にかけて、ロシア海軍の全艦隊が、各艦隊基地周辺の海域と地中海、北海、オホーツク海、大西洋及び太平洋においてそれぞれ演習を実施する旨発表していると承知しています。こうした中、2月1日以降、これまでの間に、海上自衛隊の護衛艦「しらぬい」及び哨戒機「P-3C」が日本海及びオホーツク海の南部で活動するロシア海軍艦艇24隻を確認しました。今回、防衛省・自衛隊が確認したロシア海軍艦艇の多くは、この世界的な軍事演習の一環として活動を行ったものと考えています。ロシア海軍の全艦艇(※2)によるこの時期の大規模な軍事演習は異例であり、昨今のウクライナ周辺におけるロシア軍の動きと呼応する形で、ロシア軍が東西で活動し得る能力を誇示するため、オホーツク海や太平洋においても、その活動を活発化させていると考えられます。また、そもそも、オホーツク海におけるロシア海軍のこのような活動は、ロシアの戦略原潜の活動領域であるオホーツク海の軍事的重要性の高まりを背景とした活動の一環であるとみられています。防衛省としては、ウクライナ情勢を含むロシア軍の活動について、重大な懸念を持って注視しており、関連する軍事動向について、情報収集・警戒監視を継続してまいります。

2 質疑応答

Q:ウクライナ情勢についてですね、外務省は危険情報をレベル4に引き上げ、今後の情勢次第では民間航空機の運航が停止される可能性も否定できないとしています。この情勢を踏まえてですね、防衛省として在留邦人輸送のための自衛隊機派遣についてどのように考えているか教えてください。また、昨日、岸田総理は国家安全保障会議で邦人保護などの取り組みに遺漏なく対応するよう関係閣僚に指示をしたとのことですが、防衛省としての対応状況を教えてください。

A:外務省は今お話のあったとおり、2月11日に危険情報をレベル4に引き上げて、ウクライナ滞在中の邦人の方に、直ちにウクライナから退避することを勧告するとともに、13日にも退避を改めて強く勧告する領事メールを発出したものと承知をしています。このように、政府としては、邦人の安全保護に最大限取り組んでいるところ、防衛省・自衛隊としても、外務省を始めとして関係省庁と緊密に連携を取りつつ、情勢の推移に応じて適切に対応してまいりたいと考えております。なお、平素から、陸・海・空自衛隊は、在外邦人等の輸送等にかかる派遣命令が発出された場合には、速やかに部隊を派遣できるように、所要の部隊、アセット等を指定して待機の態勢をとってきているところであります。総理からの御指示ですけども、総理から私を含む関係閣僚に対しまして、邦人保護や外交上の取り組み等に関し遺漏なく対応するよう指示をいただいたところであります。これ以上の四大臣会合の議論の詳細については、お答えを差し控えさせていただきますが、いずれにしましても、邦人の安全確保に最大限取り組んできているところ、防衛省・自衛隊としても、外務省を始めとする関係省庁と緊密に連携を取ってまいります。事態の推移、情勢の推移に応じて適切に対応してまいります。

Q:今日、ロシアの海軍艦艇の動きについて紹介されましたけれども、「ウクライナ周辺での動きと呼応した活動し得る能力を誇示する」という趣旨について、もう少し具体的に説明していただけますでしょうか。

A:ロシアの意図についての御質問でございますが、ロシア海軍の全艦隊による同時期の大規模な軍事演習は異例でございます。かつ、ロシアは、ほぼ全ての艦隊から派遣された艦艇で、地中海、黒海に集結し、演習を実施すると発表しているところ、その中には、太平洋艦隊所属の艦艇も含まれているところです。また、極東における演習については、オホーツク海及び太平洋に広大な訓練海域を設定して演習を実施するとともに、2月12日には、演習に参加するロシア海軍の艦艇が、米海軍の原潜のロシア「領海」への進入に対応した旨、主張しています。こうしたことを踏まえれば、少なくとも昨今のウクライナ周辺におけるロシアの動きと呼応する形で、ロシア軍が東西双方で同時に活動し得る能力を誇示するため、ロシアの戦略原潜の活動領域であるオホーツク海においても、その活動を活発化させていると考えられます。

Q:現在も外交交渉が続いておりますけれども、一部では、明日にも軍事侵攻が始まるのではないかといった話も出ております。防衛省としてどのように現状分析されていて、その可能性をどう考えているかと、仮に軍事侵攻があった場合にですね、防衛省・自衛隊としてどういうことができるか、大臣のお考えをお願いします。

A:ウクライナの国境周辺の地域には、ロシア軍の増強等によってですね、緊張感が高まっています。わが国として重大な懸念を持って注視しているところです。御指摘の点等もあります。米政府の発信も承知しております。今後の展開について、予断を持ってお答えすることは差し控えさせていただきたいと思いますけども、関係国による外交努力の動きがある一方で、事態が急速に悪化する可能性が高まっています。政府としては、ウクライナの主権及び領土の一体性を一貫して支持しているところ、引き続きG7を始めとする国際社会と連携して、適切に対応していく所存であります。防衛省としても、ウクライナ国境周辺地域におけるロシア軍の増強の動きについて、重大な懸念を持って注視してまいります。

Q:仮にもし軍事侵攻があった場合に防衛省・自衛隊として果たす役割、どういったものがあるか、いかがでしょうか。

A:この部分は国際社会としっかり連携をとって、情報を密に取りながら事態に適切に対応してまいりたいと考えております。

Q:週末に鹿児島の方に御出張されて、馬毛島について知事と意見交換されたと思います。視察は残念ながら行けなかったということでしたけれども。知事とのお話の中で、知事がずっと使ってらっしゃった「遺憾」という言葉を今回使われませんでした。これは、地元の3市長が前向きに変わったということを受けて、そのような判断の変化が出てきたというふうに、大臣は捉えてらっしゃるのか。それとも、依然として厳しい考えを持ってらっしゃるというふうに捉えてらっしゃるのか、お聞かせください。

A:このタイミングで塩田知事と直接お会いすることができて、御意見を頂くことができたことは、大変有意義であったというふうに思います。今後とも丁寧に意見交換をしながら、本件を進めてまいりたいと考えております。塩田知事の言葉の使い方一つ一つにですね、コメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。

Q:知事と防衛省の言う丁寧な説明と、県が受け止める考え方、受け止め方の間に相当開きがあるということをずっとおっしゃっています。これを埋めていくために、どのようなことをして、埋めていこうというふうにお考えなのか、お聞かせください。

A:これまでの進め方に対して、鹿児島県の塩田知事からもそういう御不満の点があったということかもしれませんが、そういうところをしっかり補って、しっかり説明を尽くしてまいりたいと考えております。

Q:今、民航機が飛んでいる状態で、外務省が退避を呼び掛けているということかと思うんですけれども、今後事態が推移していく場合に、一概にはNATO加盟国でもあるポーランドもあって、陸路でも退避できるというふうに指摘もあると思うんですけれども、今後の自衛隊機の運用、空路での退避の有効性とか、実現可能性というのは、現時点でどのようにお考えでしょうか。

A:先ほども申しましたけれども、平素から陸・海・空自衛隊においては、在外邦人等の輸送等に関しまして、派遣命令が発出された場合には、速やかに部隊を派遣することができるように、所要の部隊、アセット等を指定して待機の態勢をとっているところであります。情勢の変化等、現地の状況については、しっかりと情報分析をして適切に対応できるようにして参りたいと考えています。

以上

  • 1下線部:修正事項(飛行教導団→飛行教導群)
  • 2下線部:修正事項(全艦艇→全艦隊)