防衛大臣記者会見

日時
令和4年2月10日(木)13:30~13:48
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
岸防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 本日、オースティン米国防長官、ソ韓国国防部長官と、日米韓3か国の電話会談を行いました。本会談において、私から北朝鮮のCVIDを求め、すべての関連する国連安保理決議に従って北朝鮮が国際的な義務を完全に順守するという、国際社会の共通目標の達成に向けて日米韓3か国が緊密に連携することの重要性を改めて提起をいたしました。そして、日米韓3か国は、北朝鮮の弾道ミサイルの発射は地域の安全保障を不安定化させるとともに、関連する国連安保理決議の明確な違反であると強調することで一致をいたしました。また、日米韓3か国の安全保障上の協力の重要性を再確認するとともに、将来、対面での日米韓防衛相会談を開催すること、北朝鮮の弾道ミサイル発射に対し、3か国で緊密に連携していくことでも一致をいたしました。防衛省としても、今後も様々な機会を活用し、日米韓3か国の連携を強化してまいります。

2 質疑応答

Q:昨日、公明党で国家安全保障戦略の改定に向けた議論が始まりました。政府が意欲を示している敵基地攻撃能力には、公明党の方は慎重な姿勢を示しているというふうに伝えられていますけれども、大臣にとって、公明党に対してどのような議論を望むか教えてください。

A:国家安全保障戦略が概ね1年かけてこれから策定していくと、このような中で、昨日、公明党の外交安全保障調査会において、国家安全保障戦略等の策定に向けた議論が開始されたと承知をしております。党の議論の内容についてコメントすることは差し控えますが、今後、政府として検討を進めていく中で、与党の意見にもよく耳を傾け、しっかりと相談していきたいと考えております。

Q:冒頭の日米韓の電話会談についてお伺いします。今日、この会談の中で韓国側は、韓国側の能力、核ミサイル抑止に対する韓国側の能力について説明をしたということですけれども、日米韓の3か国の連携が更に実戦的なものになったかと思いますが、これについて大臣の受け止めをお願いします。

A:会談の中身について、この場でお話しすることは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、様々な議論を行いました。大変実りある機会だったと思います。

Q:日米韓の電話会談についてなんですけれども、1月にミサイルの発射が相次いだ中での今日の電話会談でしたけれども、この会談は北朝鮮に対して、どういったメッセージになるかということについて、会談の真意について、ありましたらお願いいたします。

A:会談の中味ですけれど、地域の安全保障についても、議論を行ったところであります。詳細については、相手国との関係もあることから、控えさせていただきたいと思いますけれども、日米韓の3か国で地域の安全保障の不安定化させるような北朝鮮の弾道ミサイル発射はですね、明確な国連安保理決議の違反であるということを強調することで一致をしたところであります。

Q:関連して、今日の会談についてお伺いしたいんですけれども、今後、週末にはですね、外務大臣の同じく日米韓の会合が予定されています。今回の防衛大臣間の会合を踏まえて、期待していることがありましたらお願いします。

A:たまたまそういう形で続く、防衛相会談に続いて外相の会談が行われることになりましたけれども、北朝鮮のミサイルの脅威というものに対して、しっかりした統一したメッセージ、3か国で連携したメッセージを発信していただければと思っています。

Q:関連してもう1問だけ、今回の会談の中で、韓国側としてはですね、日韓の能力を強化していくといったことを説明されているんですけれども、大臣の方からも、敵基地攻撃の議論を踏まえた今後の日本の防衛力のあり方などの議論もされたんでしょうか。

A:北朝鮮の弾道ミサイル発射に対しましては、しっかり3か国で緊密して連携していくということは一致しているところではありますけれども、更なる詳細については控えさせていただきたいと思います。

Q:ウクライナ問題について伺います。万一、ウクライナで戦争が勃発した場合、自衛隊は後方支援を含めて何らかの形で派遣される可能性の有無を御教示ください。日本の同盟国である米国が、ロシアのウクライナ侵攻の可能性を繰り返し発表している点からは、仮定の問題というよりも差し迫った問題と考えられますので、ぜひ、御教示ください。

A:ただいまの御質問でございますが、まさに、仮定の問題に対して予見することは差し控えさせていただきたいと思いますが、ウクライナの情勢については高い関心を持って注視して参りたいと思います。

Q:話題変わって、日米韓に戻るんですけれども、今回2年以上空いて、対面含め2年以上空いての対話という機会になったと思うんですけれども、長い時間が空いた理由っていうのは、どういうところにあるんでしょうか。

A:日米韓はタイミングの問題もあると思いますけれども、いずれにしても北朝鮮が続いて7回ミサイルの発射を繰り返す中ですね、すぐに行えることができたということは有意義だったと思います。

Q:以前もこれ伺ったんですけれども、補正予算とですね、本予算の一体化が第2次安倍政権以降、続けられているんですけれども、これで非常に防衛予算のですね、不明瞭化になっていませんでしょうか。例えば、防衛省の発表する統計とかですね、そういったもの、すべて本予算のみを基準に書かれているわけです。補正予算は書かれていない。今年みたいに7,000億から8,000億という高額の予算をですね、追加でということになるとですね、かなり防衛費の実態の正確に把握していないんじゃないかと、これは問題ないとお考えですか。

A:御質問の趣旨がはっきりしませんけれども、補正予算等ですね、毎年その財政の状況、経済の状況と毎年事情が変わってくると思います。そういう意味では、その時々の情勢に従って、日本の安全保障として必要な予算を計上しているということだと思います。

Q:そもそも補正予算はですね、予算編成時に想定しなかった予算を手当てするという性格のものだと思うんですね。それは財政法にも書いていると思うんですけれども。それで、元々買う必要のある飛行機とかですね、装備を買うのが、こういうお買物予算で使うのはいかがなものということと、例えば、テクニック的に言うと、防衛予算、例えば来年度予算ゼロにして、補正で6兆円を要求したと。そうすると防衛予算は今年ゼロになります。というようなトリッキーなことも可能になるわけですね、今のままであると。こういうことをやっていると、非常に財政規律上問題はないんでしょうかということなんですが。

A:予算を作成するときに、補正予算のことを考えているわけではございませんから、政府として案を作成して、国会で議論をしているということであります。

Q:もう1点だけ。以前もお尋ねしたんですけれども、防衛費を2%に上げるという、GDP比2%上げるという自民党の話があるんですけれども、以前、大臣にお尋ねしたときに、これを2%というのは、今の日本の算定基準のパーセンテージでいくのか、NATOの基準でいくのか、これで数字が大きく変わってくるんですけれども、大臣、以前は、まだ決めていませんというお話でしたが、これ自民党とお話ししているときに、どちらの基準で、そういう防衛予算2%という議論をされるんでしょうか。

A:NATOはNATOで、GDPの2%でという基準が、ある意味国同士の中での経済のニーズに応じて採用されているわけですけれども、わが国の場合は、そういう観点では算定をしてないわけです。必要な予算を計上しているということですから、お尋ねの点は、わが国には当てはまらないというふうに考えます。

Q:つまり、今のわが国の基準で算定した防衛費対GDP比を基準に議論をするというふうに、以後了解してよろしいでしょうか。

A:GDP比で議論するということはございませんので、あくまでも参考で考えているわけでございます。

Q:自民党はそういうふうに政策で言ってるんですけれども、それは省として関係ない、政府としては関係ないというお立場ですか。

A:予算を作成する意味においては、直接的には結び付かないということです。

Q:ウクライナ問題に関してですけれども、外交・安全保障分野で世界トップクラスのシンクタンクである、アメリカ政府の戦略にも影響力のあるCSISが1月27日にウクライナ危機で、仮にロシアがウクライナに侵攻すれば、東欧を遥かに超えて、地球規模へと戦争がエスカレートする可能性があると指摘しています。地球規模の戦争のエスカレーションには、当然、ロシアと国境を接し、米国の同盟国であり在日米軍基地のある日本も含まれることになると思いますが、岸大臣は、ロシアとウクライナとの間で紛争が勃発したら、日本にまで戦火が及ばないようにするために、どのような外交をすべきだとお考えになりますでしょうか。

A:ただ今の御質問ですけれども、民間のシンクタンクの発表に一つ一つコメントすることは差し控えさせていただきたいと思いますし、また、仮定の御質問にもお答えは差し控えさせていただきたいと思います。

Q:でも、戦争が起こったらということではなくて、起こらないようにするためにはどのような外交をお考えかということを伺いたいんですけれども。

A: いずれにしても、わが国として、ウクライナ問題についてはしっかり関心を持って注視していきたいと考えております。

Q:2月8日の衆議院予算委員会で田村さんが質問されましたけれども、馬毛島についての購入価格に造成費の上乗せがされているのではないかと指摘されました。田村さんが理事会に出された文書と、防衛省に残っている資料とを照合等される予定はございますでしょうか。

A:田村議員の言っていた文書について、我々としては出所がはっきりしないということで、取り上げるつもりはございません。

Q:もう1点だけ、適切な段階で積算根拠については説明されるということですけれども、それは引き続き保持される予定で結構でしょうか。

A:具体的な時期について予断を持ってお答えできませんけれども、今後適切な段階で御説明をしたいと考えております。

Q:大規模接種会場での自衛隊の活動が始まったかと思うんですけれど、これは以前お話ししたかと思うんですけれど、かなり医官の方から不満が出てきたと。まあその待遇とかですね。それに関して、今回何か改善されているところはございますでしょうか。

A:昨年、非常に厳しい中で、大規模接種センターを運営して、利用者の方には感謝をしていただきました。確かに、働いていらした方々、医官・看護官、大変な苦労をされたと思います。また今年ですね、こういった形でもう1回、大規模接種会場という形で運営をしている中で、様々な御意見が出てるかとも思いますけれども、皆さん一所懸命にやっていただいてるというふうに考えております。

以上