防衛大臣記者会見

日時
令和4年2月8日(火)09:24~09:42
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
岸防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 本日の閣議におきまして、「防衛省設置法等の一部を改正する法律案」が決定をされました。この法律案は、令和4年度予算案に関連して、宇宙・サイバー領域における体制強化などのための自衛官定数の変更、外国における緊急事態に際して防衛大臣が行う在外邦人等の輸送の要件等の見直し、自衛隊が外国軍隊に麻薬等に該当する医薬品を譲渡する場合における特例規定の整備及び自衛官等がマイナンバーカードを用いて病院等を利用できるようにするための所要の規定の整備を行うものであります。トンガ王国における国緊活動については、輸送艦「おおすみ」が、既にトンガ周辺の海域に到着しておるところであります。近日中にも首都のヌクアロファ港に入港し、火山灰撤去のための用具や飲料水といった緊急援助物資をトンガの皆様にお届けする予定であります。なお、飲料水については、トンガ政府の検疫終了後、CH-47ヘリコプター2機によりトンガ政府から要望のあった離島へ輸送することを調整中であります。また、C-130輸送機2機については、1月22日から2月2日までの間、4回の物資輸送を実施し、飲料水、高圧洗浄機、缶詰等の緊急援助物資をトンガの皆様にお届けしたところでありますが、輸送艦「おおすみ」により日本の緊急援助物資の引き渡しの目途がたったことを踏まえて、C-130輸送機2機については、今週中に、日本国内での待機に移行します。防衛省・自衛隊としては、トンガ王国の一日も早い復旧・復興と持続的な発展のため、引き続き、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。

2 質疑応答

Q:F-15の墜落が疑われる事案についてなんですけれども、事故の発生から1週間以上経過しました。これまでに新たに見つかった物や、現在の捜索態勢について改めて教えていただけますでしょうか。

A:F-15の事故については、引き続き搭乗員2名が行方不明であります。航空自衛隊、海上自衛隊、海上保安庁の航空機や艦艇などにより、現在も現場周辺海域の水上や水中及び沿岸部の捜索を行っているところであります。捜索の結果、これまで、機体の一部と考えられる複数の物件が回収されていますが、引き続き、人命の救助に全力を尽くすとともに、機体の捜索に努めてまいります。事故原因等については、現在、航空幕僚監部の航空事故調査委員会において調査を進めており、原因究明に努めているところであります。

Q:冒頭、大臣から発言があった在外邦人輸送等の要件の見直しについてなんですけれども、今回、岸田総理から指示を受けて84条での改正になったと思うんですけれども、まずこの受け止めと、今後、安全に実施するとされていた要件を方策を伴うことでできると変更したわけですけれども、ここで考慮するべきポイントなど大臣のお考えをお願いします。

A:今、御指摘の点ではございますけれども、主な改正内容については次の3点であります。政府専用機の使用を原則とする規定を削除し、多様な状況に応じ、輸送機、適切な輸送手段をより柔軟に選択できるようにすること。これと合わせて、在外邦人の輸送を行う際の要件である輸送の安全に関する規定を改めること。輸送の主たる対象者の範囲を拡大し、現地に邦人がいない場合でも、邦人の配偶者または子である外国人や、在外公館や独法(独立行政法人)の現地職員等の外国人のみのために、自衛隊を派遣することができるようにすること。これらの改正により、民間機と同様の安全性が確保されない限り自衛隊を派遣できないといった誤解がなくなるとともに、海外における将来の様々な緊急事態に際し、在外邦人等の輸送をより迅速かつ柔軟に実施できるようになるということであります。

Q:輸送の安全に関する要件の改正について、安全に実施しということで、誤解を解くと大臣おっしゃられましたけれども、検討にあたって、現地の状況が見通せない中で、予期せぬ戦闘に巻き込まれるとかそういった事態の恐れはないのか、その点、大臣のお考えをお願いいたします。

A:常にそういった要件については、情勢を分析し、総合的に判断してまいります。

Q:今回の安全に実施の部分なんですけれども、前回のアフガンでの退避のときは、米・英軍機がカブール空港周辺で活動していたということも踏まえると、そういった状況が想定にあるんでしょうか。つまり、自衛隊機を派遣するときに、例えば、同盟国の軍隊が動いてる時は派遣するとか、そういった状況が想定されるんでしょうか。

A:個別の要件というよりも、ただいま申しましたように、全体で総合的に判断する必要があると思います。

Q:今の部分に関連してなんですけれども、この条文が変わっても派遣する判断、判断するときの条件というというのは変わらないという、そういう理解でよろしいでしょうか。

A:これまでもですね、同様に行っていたわけですけども、アフガンのケースの時にいろいろな議論もございました。その中で、実際にはできていたことでございますので、支障は生じていなかったわけですけども、今後とも、しっかり判断をしてまいりたいと考えます。

Q:別件で大規模接種センターに関連してお伺いいたします。大阪については新たに会場を設けることを、昨日防衛省、発表されましたけれども、今までと違って大阪も2会場ということで人繰りとかも大変かと思うんですけれども、自衛隊の人繰りや、自衛隊病院の窓口の閉鎖とか、訓練の延期とか、そういった影響が出ていないかどうかということをお願いします。

A:大規模接種会場の設置・運営に当たっては、自衛隊病院の恒常的な業務や新型コロナウイルス患者の受け入れ業務に影響を及ぼさないように、接種会場を別途設置するとともに、民間看護師の活用も図るなど、各種の工夫を行っているところであります。恒常的な任務や訓練への影響はないと考えております。

Q:話題変わりまして、在沖米海兵隊が昨日ですね、那覇港湾施設で航空機を使った訓練を実施すると発表しました。沖縄県など反発していますが、今回の訓練が、5.15メモに違反するかどうか防衛省の見解をお願いします。

A:米海兵隊は2月8日から13日の日程で、那覇港湾施設において、人道支援や非戦闘員の退避等の訓練を予定しております。MV-22オスプレイやCH-53Eなどの航空機、海軍の輸送艦艇が使用されるものと承知をしております。一般論として申し上げれば、在外自国民保護をはじめ、緊急時における非戦闘員の退避においては、航空機や船舶などの様々な手段を用いてこれらに対応し、その過程において港湾が活動場所として使用されることは想定されます。今般の訓練に関しても、米側の説明によれば、一般的に、港湾の使用が想定されている運用に係る訓練だと考えられ、那覇港湾施設の使用主目的に沿ったものだと考えています。防衛省としては、引き続き、地元の皆様に与える影響が最小限となるように、引き続き、適切に対応してまいりたいと考えております。

Q:米軍無人機が全国の自衛隊で初めて配備される鹿児島県鹿屋市の件でお伺いします。明日ですかね、九州防衛局の方が、地元への説明をするということですけれども、どういった内容を説明するのか、お分かりでしたら教えてください。

A:米空軍の無人機MQ-9の日本への一時展開についての検討でありますけれども、今後、海上自衛隊鹿屋航空基地への展開の可能性を視野に、検討に必要な現地調査を行いたいと考えております。鹿屋市に対しては、こうした防衛省の考え方について、先月27日に説明させていただいております。改めて、2月9日には、わが国を取り巻く安全保障環境をはじめ、今般の検討の背景などのほか、新型コロナウイルス感染防止策を含め、今後予定している現地調査の概要を中心に説明をしていく考えであります。引き続き、地元自治体に対して、調査の内容や結果について、適切なタイミングで丁寧に説明させていただきながら、検討を加速させてまいりたいと考えております。

Q:追加でもう1点お伺います。鹿屋がKC-130の空中給油訓練を受け入れた際に、今後訓練拡大や米軍基地化を考えていないとする協定を防衛局の方と結んでおります。こういったところの整合性についても明日説明されるという予定でよろしいんでしょうか。

A:KC-130の鹿屋基地におけるローテーション展開に関する協定について、平成28年に、この取り決めをしたものであります。米軍無人機MQ-9の日本への一時展開について、日米間で検討しているところですが、具体的な展開の概要は、調査の結果を踏まえて検討の上、決定されるものであり、現在のところ何も決まったものではありません。また、鹿屋基地への一時展開が決まっているものでもありません。今後の調査の内容や結果等について、丁寧に説明させていただきながら、日本への一時展開について、本協定との関係も含めた検討をしてまいりたいと考えております。

Q:本日2月8日なんですけども、北朝鮮の朝鮮人民軍の創建日にあたりますが、改めて、今年に入って相次ぐ北朝鮮によるミサイル発射と、極超音速ミサイルなどの迎撃が困難とされるミサイル技術の進展に伴い、日本に対する脅威の度合いが高まっているかなど、大臣の受け止めと、敵基地攻撃能力の保有を含めて日本の防衛力強化の必要性について大臣の考えをお願いします。

A:わが国周辺において、極超音速滑空兵器、変則軌道で飛翔するミサイルなど、ミサイルに関する技術が急速なスピードで今、変化・進化をしておるところです。特に、北朝鮮は今年に入ってから、巡航ミサイルの発射発表も含めて4週間弱で7回に及ぶ、かつてない高い頻度で、新たな態様でのミサイル発射を繰り返しています。こうした技術の進歩に応じて、迎撃能力を高める不断の努力が必要であります。具体的には、迎撃ミサイル「PAC-3」の能力向上、衛星コンステレーションの検討など、取り組みを引き続き進めてまいります。これに加えて、国民の命や暮らしを守るために十分な備えができているのかという問題意識の下で、新たな国家安保戦略等を策定する中で、ミサイル迎撃能力の向上だけでなく、いわゆる「敵基地攻撃能力」を含めたあらゆる選択肢を排除せず、現実的に対応してまいりたいと考えます。

Q:F-15の関係でお尋ねします。前回、この墜落についてはまだ推定というリリースに留まっているんですけれども、1週間経ちました。この墜落というのは、現段階では、防衛省としては断定されているんでしょうか。機体が沢山見つかっているという状況からすると断定というふうに認定されているのでしょうか。教えてください。また、フライトレコーダーは回収させているんでしょうか。

A:今までも、様々な機体の一部がですね、回収されております。そのような状況の中で、当該機体は墜落したものと推定されていますが、その現状に変更はございません。フライトレコーダーについては、まだ見つかっていないところです。

Q:大臣、そうしますと墜落したというふうに断定されるのは、機体の大多数の部分が見つかった段階と思ったらいいんでしょうか。

A:それらの状況を見ながらということになると思います。

以上