防衛大臣臨時記者会見

日時
令和4年1月31日(月)10:31~10:39
場所
防衛省A棟1階エントランス
備考
北朝鮮による弾道ミサイル発射事案(1月30日)後の岸防衛大臣臨時会見(3回目)

1 発表事項

 現時点までに得られた諸情報を総合的に勘案いたしますと、北朝鮮は、昨日7時52分頃、北朝鮮内陸部から弾道ミサイルを1発、東方向に発射しました。詳細については現在分析中でありますが、当該ミサイルは最高高度約2,000キロメートル程度で、約800キロ程度飛翔するロフテッド軌道で発射され、落下したのは日本海のわが国の排他的経済水域外と推定されています。今回発射されたミサイルは、2017年5月などに発射されたIRBM級の弾道ミサイル「火星12号」とみられますが、詳細については分析中であります。「火星12」の射程は、最大約5,000キロメートルに達する可能性があり、これまで2017年5月にロフテッド軌道で1回、同年8月及び9月にわが国領域の上空を通過する形で、それぞれ1回の合計3回発射されています。今回の発射について、北朝鮮は生産・装備されている「火星12」の検収射撃試験を行い、運用効果等を確認したと発表しています。2017年9月の発射時に性能や信頼性を検証し、戦力化を実現したと述べていることも踏まえれば、より実用化、生産段階にあると示唆していると考えられます。北朝鮮は、特に今年に入ってから、巡航ミサイルの発射発表も含めれば、4週間弱で7回に及ぶかつて無い頻度で、また新たな態様での発射を繰り返しています。これまでの北朝鮮による弾道ミサイル等の度重なる発射やミサイル技術の著しい向上はもちろんのこと、更に一方的に挑発の段階をエスカレートさせるような今般の発射は、断じて許されるものではありません。今回のような烈度の高い弾道ミサイル発射を含め、一連の北朝鮮の行動は、わが国と地域及び国際社会の平和と安全を脅かすものであります。このような弾道ミサイル発射は、関連する安保理決議に違反するものであり強く非難致します。防衛省として、北朝鮮の軍事動向について引き続き米国等とともに緊密に連携しながら、必要な情報の収集・分析に全力を挙げるとともに、いわゆる敵基地攻撃能力の保有も含め、あらゆる選択肢を検討し、今後とも防衛力の抜本的な強化に取り組んで参ります。

2 質疑応答

Q:代表から2問お伺いします。この一連のですね、ミサイル発射の意図について改めてどう考えるかというところと、今後ですねICBM、大陸間弾道ミサイルが発射されるのではないかという分析もありますが、そこについてはどのようにお考えでしょうか。

A:北朝鮮は2018年4月の時点では、核実験や中距離大陸間弾道ロケットの試験発射が必要なくなった旨述べるとともに、2021年の党大会でも、当該ミサイルの誕生に言及しています。それにもかかわらず、今回の発射に至った狙いや意図について断定的に申し上げることは控えますが、少なくとも長射程の弾道ミサイルの実用化を含め、さらに関連技術や運用能力の向上を図る意図や、一方的に国際社会に対して挑発の段階をエスカレートさせる狙いがあることは明らかであります。どういった狙いがあるにせよ、北朝鮮による弾道ミサイル等の度重なる発射や、ミサイル技術の著しい向上は断じて許されるものではありません。必要な情報の収集・分析および警戒・監視に全力を挙げて、関連する国連安保理決議の完全な履行をすすめ、北朝鮮の完全な非核化を目指して参ります。

Q:ICBMの可能性についてはいかがでしょうか。

A:今後の北朝鮮の行動について、断定的に申し上げることは差し控えたいと思いますけども、その上で北朝鮮はこれまでも2020年の10月に軍事パレードで新型ICBM級弾道ミサイルの可能性があるものを登場させています。2021年1月の党大会でもICBM関連事業の推進に言及しているところです。こうしたことを踏まえれば、北朝鮮が引き続き弾道ミサイルの長射程化を追求してくる可能性があることに変わりはありません。いずれにせよ、いかなる射程のものであろうと、度重なるこの北朝鮮による弾道ミサイルの発射は、安保理決議違反であるとともに、わが国と地域、国際社会の平和と安定を脅かすものであり、断じて許されるものではありません。引き続き必要な情報の収集・分析、警戒監視に全力を挙げてまいります。

Q:今回、4年以上発射のなかった中距離以上のミサイルの発射ということで、日本にとっての脅威の度合というのは、今回の発射からレベルが上がったというふうに見られているのか、そのあたりお願いいたします。

A:彼らは2017年にも、たくさんのIRBM級の、今回と同じようなですね、ミサイルを撃っているところです。今回また、長射程の弾道ミサイルを発射したということで、彼らの意図を断定的に推定することはいたしませけれども、様々な技術の向上を図っていることは明白であります。そうしたことはですね、わが国、また地域社会にとって大きな脅威であります。そうしたことも含めて、情報収集・警戒監視に更に全力を挙げてまいりたいと思います。

Q:先ほど、17年5月のIRBMと見られるというようなお話があったかと思うんですけれども、今回のミサイルは同系と考えていいのか、それとも何かしら改良されているものなのか、その辺の分析はいかがでしょうか。

A:今、分析を更に進めているところですけども、現時点では2017年5月のIRBM「火星12」と見られるということであります。

Q:大臣がおっしゃったようにですね、「火星12」はその後、2017年に日本列島を越える飛翔もありました。当時はPAC-3を全国に展開したりといったこともありましたけれども、改めて迎撃態勢は大丈夫なのかと、単純に今回のようにロフテッド軌道の時に迎撃できるのかどうかといったあたりはどのようにお考えでしょうか。

A:北朝鮮がそういった技術を向上させているとともにですね、様々な発射を繰り返しています。大切なのは、わが国の国民の安全、平和な暮らしを守っていくということを考えて、今後とも万全の態勢を作っていくということであります。

以上