防衛大臣臨時記者会見

日時
令和4年1月30日(日)11:34~11:42
場所
防衛省A棟1階エントランス
備考
北朝鮮による弾道ミサイル発射事案(1月30日)後の岸防衛大臣臨時会見(2回目)

1 発表事項

 北朝鮮は、本日7時52分頃、北朝鮮内陸部から、弾道ミサイルを1発、東方向に向けて発射をいたしました。現時点においては、わが国の航空機や船舶への被害報告の情報は確認されておりません。詳細については現在分析中でありますが、最高高度約2,000キロ程度、30分程度、約800キロ程度飛翔し、落下したのは日本海のわが国の排他的経済水域の外と推定されます。今回の弾道ミサイルが、2,000キロに及ぶ高度に達し、約800キロ飛翔したことを踏まえれば、ロフテッド軌道で発射され、当該弾道ミサイルは、中距離以上の弾道ミサイルであったと考えられます。なお、高度2,000キロ以上で飛翔したのは、2017年11月29日のICBM級弾道ミサイル「火星15号」の発射以来であります。この時は高度約4,000キロを大きく超える飛翔でありました。2017年には合計4回、高度2,000キロを超える中距離や長距離の弾道ミサイルの発射がありました。また、防衛省からは政府関係機関に対しまして、速やかな情報共有を行いました。北朝鮮は特に今年に入ってから、巡航ミサイルの発射発表を含めれば、4週間弱で7回にも及ぶ、かつて無い高い頻度で、新たな態様での発射を繰り返しています。昨今の北朝鮮による核・ミサイル関連技術の著しい発展は、わが国の及び地域の安全保障にとって看過できないだけではなく、昨今の北朝鮮による弾道ミサイル等の度重なる発射は、わが国を含む国際社会全体にとっての深刻な課題であります。このような烈度の高い弾道ミサイルの発射は関連する安保理決議に違反するものであり、強く非難をいたします。総理には、本件について直ちに報告を行い、情報収集・分析に全力を挙げ、国民に対して、迅速・的確な情報提供を行うこと、航空機、船舶等の安全確認を徹底すること、不測の事態に備えて、万全の態勢をとることの3点について指示がありました。これを受け、私からは米国等と緊密に連携しつつ、情報収集・分析に全力を挙げること、不測の事態の発生に備え、引き続き警戒監視に万全を期すことについて指示を出しました。その後、関係幹部会議を2回にわたり開催するなど、対応に万全を期しているところであります。防衛省としても、引き続き、関連情報の収集・分析に努めるとともに、警戒監視に万全を期してまいります。米韓をはじめとして、関係国と緊密に連携しながら、国民の生命そして平和な暮らしを断固守り抜いていく決意であります。こうした状況も踏まえ、いわゆる「敵基地攻撃能力」の保有も含め、あらゆる選択肢を検討し、今後とも防衛力の抜本的な強化に取り組んでまいります。

2 質疑応答

Q:今日、中距離以上だったということで、日本の領土も射程圏に入ってくる可能性であったりとか、また今後ICBMの発射などエスカレートする可能性など、お聞かせ願えればと思います。

A:今回、彼らロフテッド軌道で発射したものだと考えられますが、今、所要の情報を総合的にまた専門的な分析を行う必要がありますので、その上で、この2,000キロに及ぶ高度に達しているということ、800キロ飛翔したということも踏まえれば、当該ミサイルは中距離以上の弾道ミサイルであったことは、可能性としてあります。これ以上については分析中であります。

Q:中距離以上ということでしたけれども、改めて、ICBMの可能性も含まれるという理解をしてよろしいんでしょうか。

A:現在、今申しましたように総合的な分析を進めているところでございますが、今申し上げましたように、中距離以上のミサイルであったということであります。

Q:IRBMの可能性は。

A:そういう意味も含めて、中距離以上ということを申し上げたところであります。

Q:ロフテッド軌道は一般的に迎撃が難しいとされていますけれども、そのあたり、今回の発射を受けてどういうふうにお考えでしょうか。

A:北朝鮮は、様々な態様での発射をここのところ繰り返しています。技術の確立を目指したものだと思いますけれども、分析を今進めているところであります。

Q:あと、これも分析中かも知れませんけれども、2017年5月に発射された「火星12」と飛翔距離や高度が似ているかと思うんですけれども、このあたりはどう。

A:このときもロフテッド軌道であったということでありますが、これも含めて分析中ということになります。

Q:今回北朝鮮はですね、既に核開発・核実験ですとかICBMの再開を示唆した中でこういった発射になったわけですけれども、そのあたりのことはどういうふうに分析されていますでしょうか。

A:様々な態様で発射を繰り返しております。これは我々としては受け入れられるものではございませんし、それから今回の弾道ミサイルの発射についても、国連安保理決議に明らかに違反していることであります。強く抗議をいたします。抗議自体は、北京を通じて先方にされたものと了解をしております。

Q:今年に入って7回目ということですけれども、これまでは短距離の弾道ミサイルなどが中心でしたが、今回中距離以上ということで、日本やグアムなどが射程に入るミサイルだと考えられますけれども、その点、北朝鮮の狙いですとか、脅威のレベルが増したという御認識はあるでしょうか。

A:様々な態様での発射を繰り返しております。北朝鮮側の意図について我々から確固としたことを申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、その上で、先方の今回の発射はですね、わが国のみならず、国際社会に対する平和と安定を脅かすものであって、断固として受け入れられるものではないということは申し上げます。

以上