防衛大臣記者会見

日時
令和4年1月28日(金)08:45~09:00
場所
国会議事堂本館内閣議室前
備考
岸防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 昨日、島田事務次官が新型コロナウイルスに感染していることが確認されました。私も念のためPCR検査を受検しましたが、陰性を確認しております。サイバーセキュリティの強化やAIの導入促進が喫緊の課題になっている中で、サイバー領域における最新技術やサイバー攻撃の最新動向等に関する高度な知識・スキル及び豊富な経験・実績を有する人材を「サイバーセキュリティ統括アドバイザー」として、今年度に引き続き、令和4年度も募集したいと考えています。また、AIの導入に向けて、機械学習やデータ分析などの高度な知識・スキル及び豊富な経験・実績を有するAI人材を「AI・データ分析官」として、今年度に引き続き、令和4年度も募集したいと考えております。こうした高度専門人材の募集を、本日1月28日から開始いたします。御自身の知見を活かして、国の安全保障分野に貢献する意欲をお持ちの方の募集をお待ちをしております。詳細は防衛省ホームページに掲載しておりますので、確認してください。

2 質疑応答

Q:昨日発射された北朝鮮からの飛翔体についてですね、今朝、北朝鮮の労働新聞が、27日、昨日の分については「地対地戦術誘導弾」と、25日の方は「長距離巡航ミサイル」を発射したと発表しましたが、現段階で新たに分かった日本側としての分析ありましたらお願いします。

A: 現時点までに得られた諸情報を総合的に勘案いたしますと、北朝鮮は、昨日午前8時頃、北朝鮮東部から弾道ミサイルを2発発射したものと推定していますが、詳細については分析中であります。これらのミサイルは、極めて低い高度で短距離を飛翔したものと推定しておりますが、わが国の領域やEEZへの飛来は確認されておりません。今回発射されたミサイルは、2019年5月4日などに発射された短距離弾道ミサイル、いわゆる短距離弾道ミサイルAと外形上類似点のある固体燃料推進方式の短距離弾道ミサイルであるとみられますが、詳細は分析中であります。北朝鮮は今年に入ってから、巡航ミサイル発射の報道も含めれば、約3週間で6回という、かつてない高い頻度で、また、新たな態様でのミサイル発射を繰り返しています。昨今の北朝鮮による核・ミサイル関連技術の著しい発展は、わが国及び地域の安全保障にとって看過できないだけではなく、北朝鮮による弾道ミサイル等の度重なる発射は、わが国を含む国際社会の全体にとって深刻な課題であります。このような弾道ミサイルの発射は、関連する安保理決議に違反するものであり、強く非難いたします。防衛省としても、北朝鮮の軍事動向について、引き続き、米国等と緊密に連携を取りながら、必要な情報の収集・分析に全力を挙げるとともに、いわゆる「敵基地攻撃能力」の保有も含め、あらゆる選択肢を検討し、今後とも防衛力の抜本的な強化に取り組んでまいります。

Q:今ほど、弾道ミサイル2発で短距離とみられるということでしたが、安保理決議違反ということになりますと、北朝鮮側にすでに抗議をされたり、今後されるご予定は。

A:抗議はしております、いたしました。

Q:北朝鮮の「大使館」ルートを通じてという理解でよろしいですか。

A:はい。北京の通常のルートで。

Q:ミャンマーのクーデターから間もなく1年になり、質問させていただきます。昨年のクーデターの後に、防衛大学校の方で国軍関係者2名を留学生として新たに受け入れていたことが分かっておりますが、問題が指摘されています。どのようにお考えかということです。それとあと、新年度も新たに受け入れるお考えはあるのか、見直しの考えがあるのか否かをお答えいただけますでしょうか。

A:ミャンマーで多数の死傷者が発生し続けている状況は、防衛省・自衛隊としても強く非難をいたします。その上で、防衛大学校では、自衛隊法第100条の2に規定されている「教育訓練の受託」の枠組の下で、ミャンマー政府の依頼を受け、平成27年からミャンマー人留学生を受け入れています。防衛省・自衛隊における留学生の受入れについては、将来、派遣国の組織の幹部となる留学生への教育訓練をわが国において行い、併せて人的関係を構築することで、派遣国との相互理解・信頼関係を増進する防衛協力・交流上の意義があると考えています。また、留学生の受入れを通じて、 発展途上国等からの留学生に対し、民主主義国家である日本における、厳格なシビリアンコントロールの下で運用される実力組織の在り方を示す効果も期待されています。来年度の留学生の受入れについては現時点で決まっておりませんが、いずれにせよ、ミャンマー人留学生の受入れについては、このような意義を踏まえて、適切に対応してまいりたいと考えております。

Q:これまで、クーデターの後受け入れたこと自体が問題であるというお考えはあるのでしょうか。

A:いろいろな考えはあると思うんですけども、我々やはり、先ほども申しましたけども、民主主義国家の実力組織としていかにあるか、厳格なシビリアンコントロールの下で運用される実力組織の在り方をしっかりと示していくと、こういったことを考えております。

Q:それに見合わなければ、見直しもあり得るということですか。

A:今、私が申し上げた考え方で進めております。

Q:2月1日で、中国が海警法が施行されてから1年になりますけれども、この間の尖閣諸島周辺での海警船の動きについての評価とですね、大臣含め、日本政府としては各国との会談の際に、海警法の問題点を随時訴えてきたと思うんですけども、この取り組みの成果について、それぞれお伺いできますでしょうか。

A:施行の前後にかかわらずですね、中国は、東シナ海において力を背景とした一方的な現状変更の試みを継続しております。海軍艦艇の恒常的な活動の下で、わが国の抗議にかかわらず、中国海警局に所属する船舶が尖閣諸島周辺のわが国領海への侵入を繰り返している、このような試みは断じて容認することはできません。2021年の状況について具体的に申し上げますと、依然として中国海警船による侵入が継続しているのみならず、中国海警船がわが国領海に侵入した上で、付近を航行していた日本漁船への接近しようとする事案が発生しています。尖閣諸島の接続水域内において、海上保安庁の巡視船が海警船の航行を確認した連続日数は、157日と過去最長を更新しました。さらに、1年間に尖閣諸島周辺の接続水域で確認された中国海警船の活動については、活動日数が332日となり、過去最多だった2020年の333日に引き続き、高い水準となりました。防衛省としては、尖閣諸島を巡る情勢に関して、冷静な対応を継続しつつ、わが国の領土・領海・領空を断固として守るとの方針の下で、引き続き、海上保安庁など関係の省庁と連携をとりながら、警戒監視・情報収集に万全を期してまいりたいと考えております。

Q:呼びかけの確認についてはどういう評価でしょうか。

A:ずっと、私としては、中国海警法に関するわが国の強い懸念について、昨年行いました魏鳳和国務委員兼国防部長に対しましても、直接伝達をし、中国側の行動の改善を強く求めました。また、各国の国防大臣と意見交換を行う際にもですね、東シナ海、南シナ海を含め、現状変更を試みるいかなる一方的な行動にも反対するとともに、中国海警法に関する深刻な懸念を共有し、同志国を含めて緊密に連携していくことで一致をしてきたところであります。この一年間で、米国、豪州、ベトナム、フィリピン等が海警法に対する立場を対外的に表明するなど、着実に中国海警法に対する懸念が広く浸透してきていると考えております。今後とも様々な機会を捉えて、わが国の領土・領海・領空はしっかり守っていくとの決意の下で、「力を背景とした一方的な現状変更の試みや、緊張を高めるいかなる行為に対しても強く反対していく」というメッセージを、国際社会に向けて発信していくことが重要であると考えております。

Q:海上自衛隊鹿屋航空基地への米軍無人機の一時配備の現状についてお伺いします。昨日、九州防衛局の担当者が説明をされたようですけれども、改めて今回の計画の全体像といいますか、狙いとか、あとなぜ鹿屋航空基地にされているのかといったことをお願いします。

A:同盟の警戒監視能力を向上させる一環として、警戒監視用の米空軍の無人機MQ-9(エムキューナイン)の日本への一時展開について、日米間で検討を進めておるところであります。展開先についても日米間で検討しているところ、海上自衛隊の鹿屋航空基地への展開の可能性も視野に、今後、米側要員も参加する形で、検討に必要な現地調査を行いたいと考えております。昨日、こうした点について、鹿屋市に説明をいたしました。引き続き、地元自治体に対して、調査の内容や結果等について、適切なタイミングで丁寧に説明をさせていただきながら、検討を加速してまいりたいと考えています。なお、現時点においては、鹿屋への展開が決まっているものではございません。

Q:今日、嘉手納基地の周辺住民の在日米軍機への飛行差止めなどの訴訟を提起するとのことですが、それについての大臣の受け止めと、加えて、何か対策がさらに講じられるようなものがあれば、お考えをよろしくお願いいたします。

A:報道は承知しておりますが、現時点においては訴状が送達されておりませんので、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。内容について、関係機関と検討の上で、適切に対応してまいりたいと思います。いずれにいたしましても、防衛省としては引き続き、騒音による地元への影響をできる限り軽減できるよう、全力で取り組んでまいります。騒音の軽減を図るということは、大変重要なことだというふうに考えております。このような認識の下で、防衛省としては、住宅防音工事の他ですね、海軍駐機場の移設を始めとする騒音軽減イニシアティブ、米軍に対する騒音規制措置の順守や、地元の重要な行事に配慮するよう申し入れをすること、嘉手納飛行場の戦闘機の移転訓練、さらに、地域社会との調和に係る各種施策を通じて、周辺住民の方々の御負担を可能な限り軽減していくように努めるなどの措置を講じているところであります。いずれにしましても、防衛省として、今後とも米側に対し、嘉手納飛行場周辺における騒音の軽減が図られるよう一層の協力を求めるとともに、可能な限り地元の負担軽減に努めてまいりたいとい考えております。

以上