防衛大臣記者会見

日時
令和4年1月25日(火)08:36~08:45
場所
国会議事堂本館内閣議室前
備考
岸防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 先週20日に、私からトンガ王国における国際緊急援助活動の実施を部隊に命じて以降、これまでに、C-130輸送機2機、C-2輸送機2機、輸送艦「おおすみ」を派遣いたしました。22日及び昨日には、C-130輸送機がトンガ王国のファアモツ国際空港への輸送を実施し、飲用水約5トンや高圧洗浄機など、火山灰撤去のための用具等をトンガの皆様にお届けすることができました。この点について、トンガ首相及び外務大臣から謝意をいただいたところです。本日以降も、随時、C-130輸送機により、緊急援助物資をトンガまで輸送する予定です。また、輸送艦「おおすみ」について、高圧洗浄機を含む火山灰撤去のための用具や飲用水の更なる輸送のため、現地に向かっているところであります。日本とトンガは同じ太平洋の海洋国家であり、防衛当局間でも昨年の日・太平洋島嶼国国防大臣会合、いわゆるJPIDDにおいて、人道支援・災害救援について意見交換を行っております。防衛省・自衛隊としては、トンガ王国の一日も早い復旧・復興と持続的な発展のため、自由や民主主義といった普遍的価値を共有する豪州等ともに、緊密に連携して全力で取り組んでまいります。2021年の3四半期までの航空自衛隊による緊急発進回数は785回となり、既に昨年度の年間全体での緊急発進回数725回を上回りました。中国について申し上げれば、2021年度の3四半期までの中国機に対する緊急発進回数は571回となり、既に昨年度の年間での中国機に対する緊急発進回数458回を100回以上も上回っています。また、昨年11月には、3度目となるわが国周辺における中露爆撃機による長距離にわたる共同飛行が確認されていますが、これは、わが国に対する示威行動を意図したものと考えられます。このように、近年、中国機の飛行形態は変化し、活動範囲は東シナ海にとどまらず、太平洋や日本海にも拡大し、長期間・長距離にわたる飛行も確認しています。加えて、台湾周辺における活動も昨年以降活発化しています。このように、わが国周辺の空域等において、中国機は活発な活動を継続しており、そのような状況が2021年度3四半期までの緊急発進回数の増加につながっていると考えています。防衛省・自衛隊としては、わが国の領土・領海・領空を断固として守り抜くとの方針の下、引き続き国際法、自衛隊法に従って、対領空侵犯措置に万全を期してまいりたいと考えております。

2 質疑応答

Q:ウクライナ情勢についてなんですが、アメリカがですね、大使館職員などに退避命令などを出していますが、防衛省として在留邦人ですとか、大使館職員の退避や保護など検討していることがあれば教えてください。

A:昨日官房長官からもお答えをしていますとおりですが、わが国政府としては、米国を始めとする関係国と緊密に連携しつつ、引き続き、事態の推移を注視しながら、在留邦人の安全確保に万全を期すため、速やかに必要な措置を講じていく考えであります。こうした考えの下、昨日、外務省はウクライナ全土の危険情報をレベル3に引き上げるとともに、ウクライナ滞在中の邦人の方に、商用便等を利用して出国することを強く勧めることとしたことを承知しています。いずれにせよ、防衛省・自衛隊としては、外務省を始めとする関係省庁と緊密に連携しつつ、邦人の安全確保を最優先に、情勢の推移に応じて適切に対応してまいります。なお、情勢いかんに関わらず、平素から陸・海・空自衛隊は、在外邦人等の輸送等にかかる派遣命令が発出された場合には、速やかに部隊を派遣できるように、所要の部隊、アセット等を指定して待機の態勢をとっているところであります。

Q:トンガの関連なんですけれども、今回現地に支援に向かっている隊員がですね、新型コロナウイルスに感染したというふうに、防衛省が発表されましたけれども、濃厚接触者も結構多いようですけれども、支援全体に影響がないのかどうか、大臣の考えをお願いします。

A:トンガ王国国際緊急援助空輸隊の隊員1名について、昨日、新型コロナウイルスの陽性反応が確認されました。当該隊員は、24日午前に発熱症状が確認されたため、活動拠点であるオーストラリアにおいて抗原検査を実施したところ、同日、新型コロナウイルスの陽性反応が確認されました。なお、当該隊員については、現在、現地の宿泊施設において隔離療養中であり、容態は安定しているところであります。そして、現時点において飛行に必要な運航員が確保されていることから、任務に影響があるものではございません。

Q:今週末に行われた名護市長選挙で、自民・公明が推薦する現職が再選されました。その受け止めをお願いします。

A:地方自治体の首長選挙は、地域の住民の方々のその地域の課題をめぐっての御判断とされる機会と考えております。防衛省として、そのこと自体にコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。その上で、辺野古移設の工事を着実に進めていくことこそ、普天間飛行場の1日も早い全面返還を実現し、その危険性を除去することにつながるものという考えに変わりはございません。今後とも、名護市をはじめとする地元の皆様の御理解を得る努力を続けながら、沖縄の基地負担の軽減を図るため、全力で取り組んでまいります。

Q:ウクライナ情勢でもう一点追加させてください。邦人退避とは別に、ウクライナに対してですね、欧米で足並みを揃えるために防衛省として何か取り組みとして御検討されていることがあるかということと、あと台湾有事との連動性についてどのように分析されてますでしょうか。

A:今、わが国としては欧米諸国とですね、しっかりその点については連携をとってまいりたいと思います。台湾情勢との関連について、現時点で私からコメントすることは差し控えさせて頂きます。

Q:鹿児島県の海上自衛隊鹿屋航空基地に、米軍の偵察機が配備されるという話があります。事実関係と、もし近く地元に説明されるのであれば、その日程等あれば教えてください。

A:報道については承知をしております。防衛省・自衛隊では、日米同盟の抑止力・対処力の強化のために、平素から米側との間で様々な議論を行っておりますが、個別具体の内容についてお答えすることは差し控えさせていただきます。

以上