防衛大臣臨時記者会見

日時
令和4年1月12日(水)10:34~10:42
場所
防衛省A棟1階エントランス
備考
北朝鮮による弾道ミサイル発射事案(1月11日)に係る岸防衛大臣臨時会見

1 発表事項

 北朝鮮は、昨日7時25分頃、北朝鮮の内陸部から、弾道ミサイル1発を東方向に発射しました。現時点で得られた諸情報を総合的に勘案しますと、当該ミサイルは、通常の弾道ミサイルよりも低い最高高度約50km程度を最大速度約マッハ10で飛翔し、また、左方向、北方向ですけれども、への水平機動も含め、変則的な軌道で飛翔した可能性があります。飛翔距離等について、昨日、通常の弾道軌道だとすれば約700km未満飛翔した可能性がある旨お伝えしていたところですが、左方向への水平軌道も含め、変則的な軌道で飛翔した可能性があることも踏まえると、飛翔距離はこれ以上に及ぶ可能性があり、引き続き分析中であります。いずれにせよ、わが国の排他的経済水域外に落下したものと推定されています。これまでの弾道ミサイル等の度重なる発射も含めて、一連の北朝鮮の行動は、わが国と地域の平和と安全を脅かすものであり、わが国を含む国際社会全体にとっての深刻な課題であります。また、このような弾道ミサイル発射は、関連する安保理決議違反であり、強く非難します。防衛省としては、北朝鮮の軍事動向について、引き続き、米国等とも緊密に連携しながら、必要な情報収集・分析及び警戒監視に全力を挙げ、わが国の平和と安全の確保に万全を期してまいります。

2 質疑応答

Q:今回発射されたミサイル、先週のものと比べてですね、同型というふうには言えるのでしょうか。

A:先週の5日ですかね、発射をされたものと外見上は同型のものであると推測はされます。外見上の類似点があるということです。

Q:今回、今のところですね、進んでいる分析を受けて、精度だったりとか脅威っていうのはかなり向上しているようにも見られるんですけど、どのようなお考えでしょうか。

A:今回、先ほども申しましたとおり、非常に低軌道、50km程度でマッハ10と推測されています。そして、変則軌道も水平方向への変則軌道ということも含めてですね、これまでになかった部分も含めて、更にしっかり分析を進めていく必要があると思います。

Q:マッハ10の速度が推測されるということと、あと変則軌道ということで、今回のミサイルは極超音速ミサイルというふうに防衛省として分析されるということでよろしいでしょうか。

A:「極超音速兵器」についてはですね、各国が開発を進めているところであります。いまだに国際的に定まった定義があるわけではございません。例えば、米国、中国、ロシアは、弾道ミサイルから発射され、大気圏突入後に極超音速、マッハ5以上の速度で、滑空飛翔・機動するとされている極超音速滑空兵器、いわゆるHGVですね、などの開発を行っているものと承知をしております。その上で、通常の弾道ミサイルであっても、マッハ5を超える速度で飛翔するものは一般に存在すると承知をしております。現時点で確たることを申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。

Q:1月5日、あるいは昨年9月、10月に続いてのミサイル発射ですけれども、度重なる北朝鮮側のこうしたミサイル試射、発射の意図について、どのように分析されてらっしゃいますでしょうか。

A:北朝鮮の意図についてですね、断定的にお答えすることは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、今回の発射、今後更に分析を進めていく必要はあります。その上で、北朝鮮はこれまでの発射を通じまして、関連技術や運用能力の向上を図ってきています。昨今の北朝鮮による滑空ミサイル関連技術の著しい発展は、わが国及び地域の安全保障にとって看過できないものとなっています。いずれにせよですね、一連の弾道ミサイル発射を含めて、北朝鮮の軍事動向は、わが国の安全に対する重大かつ差し迫った脅威であり、地域及び国際社会の平和と安全を著しく損なうものとなっているものと認識をしています。政府として、こうした状況を踏まえて、いわゆる「敵基地攻撃能力」の保有も含め、あらゆる選択肢を検討し、今後とも防衛力の抜本的な強化に取り組んでまいります。

Q:政府として何か既に抗議は行っていらっしゃるのでしょうか。

A:北京の「大使館」ルートを通じてですね、抗議しているものと承知をしております。

Q:先の発表では、「少なくとも1発」という当初発表だったと思うんですが、今回1発というふうになってますけども、どういったような分析をされて、こういった形になったのでしょうか。

A:様々な情報について総合的に分析をした結果ですね、弾道ミサイル1発という判断をいたしました。

Q:北朝鮮側の報道では、今回久しぶりに金正恩氏が視察をしたということですけども、この点についてどういうふうに分析をしてらっしゃるんでしょうか。

A:先週の5日の発射に続いての今回の発射ということになったわけですけども、金正恩氏が視察をしたという情報については承知をしております。事実とすれば、北朝鮮側はそれなりの自信を持っていたのでないかと承知をしてます。

以上