防衛大臣記者会見

日時
令和4年1月11日(火)10:56~11:10
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
岸防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 まずコロナであります。前回の定例会見以降、93名の隊員が新たに感染していることが確認されました。 これまでの合計で5,013名であります。また、ゲノム解析の結果、これまでに感染が確認された隊員のうち9名については、オミクロン株への感染が確認されました。新型コロナウイルス感染症の拡大に関し、1月6日の岸田総理の「沖縄県について、自衛隊等から医療現場への看護師の派遣を用意する」との発言を受け、防衛省・自衛隊においては、沖縄県知事から自衛隊に対して医療支援に係る災害派遣要請が寄せられた場合に迅速に対応できるように所要の検討を行ってきたところであります。本日10時13分に、沖縄県知事から陸上自衛隊第15旅団長に対し、医療支援に係る災害派遣要請があったことから、看護官と准看護師あわせて10名を県内2か所の病院に派遣し、本日から現地確認等の諸準備を行った上で、明日から医療支援活動を実施する予定であります。また、本日、総理のぶら下がり会見において、「自衛隊により大規模接種会場を設置する」旨の発言がありました。先ほど、私は省内関係幹部を招集し、必要な準備を速やかに開始するよう指示をしたところです。防衛省・自衛隊としては、今後も、自治体や関係省庁とも緊密に連携しつつ、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に取り組んでまいります。

2 質疑応答

Q:在日米軍施設での新型コロナ感染拡大を受け、基地からの外出について、「必要不可欠な活動のみ」とする外出制限が昨日から始まりました。対応は米軍任せのため、実効性を確保できるか見通せないとの指摘もありますが、大臣の所見をお願いします。

A:9日、日米両国は、新型コロナウイルス感染症の拡大に対処するための措置に関する日米合同委員会声明を発出したと承知をしています。この声明では、日本全国における新型コロナウイルス感染者数の増加の重大性を認識し、これを深刻に受け止めるとした上で、在日米軍が、今月10日から14日間の施設・区域外における行動制限、施設・区域内外でのマスク着用義務化、出国前・入国時検査及び入国後14日間の行動制限の維持といった措置をとることについて確認をしました。また、これらの措置については、日本政府との協議の下、新型コロナの状況を踏まえて必要に応じ調整が行われることとされています。加えて、在日米軍は、今月10日から14日間、夜間外出を禁止することとしたと承知をしています。先般の日米「2+2」において、私からも、外出制限の導入も含めた感染症拡大防止の措置の強化と徹底を米側に強く求めたところであります。今後の感染状況も注視しながら、感染拡大の防止及び在日米軍従業員を含めた地元の方々の不安解消に向けて、日米間で連携をより一層強化していくことが重要であると、このように考えております。

Q:北朝鮮のミサイルについてお伺いいたします。1月5日のミサイルは、通常の弾道ミサイルよりも低い高度ということでしたけれども、今回のミサイルの高度について何か特異な分析等あれば、お願いいたします。

A:先ほど申しましたけれども、それ以上の詳細については、ただ今分析を進めておるところであります。

Q:1月5日に次ぐこのミサイルの発射というタイミングについてですね、また、国連安保理の会合が開かれた直後というタイミングということもありまして、その点についての受け止めがありましたら、お願いいたします。

A:北朝鮮側の発射の意図等についてはですね、我々としてコメントする立場にはございません。いずれにいたしましても、ミサイルの詳細については、ただ今分析中であります。

Q:冒頭大臣から御発言がありました、大規模接種会場に関してですけれども、設置する時期ですとか、場所、これまでは東京と大阪に設置しておりましたけれども、引き続き東京と大阪なのか、あとは派遣する人数ですとか、どれくらいの人に接種する想定なのかといった、現在の構想があればお願いいたします。

A:ただ今の総理からの御発言を受けて、先ほど、関係幹部会議、省内で関係幹部を招集して必要な準備を速やかに開始するよう指示をしたという状況でありますが、規模とか時期、場所、そういった詳細については、これから協議をしてまいりたいと思います。

Q:関連しまして、前回2か月延長したときは、思ったよりも予約者数が伸びなかったこともありましたけれども、今回、3回目接種ということで、どれくらいの需要があるというふうに踏んでいるのか、お考えをお願いいたします。

A:今ですね、各自治体、接種の主体ですね、各自治体におけるその接種会場というものの設置がですね、想定したよりもあまり進んでいないといった状況から、まずはそちらを、積極的に設置を促しているという状況だと思いますが、そんな中で、わが方でどれだけの規模のものを設置したらいいのか、こういったことも検討してまいらねばならないと思います。

Q:防衛省は、ミサイル迎撃に対して電磁力で弾を発射するレールガンを2010年代後半に実用化の計画と報じられました。しかし、2016年、米国の国防副長官がレールガンについて、「在来の砲塔で発射可能な超高速発射弾(HVP)でも開発や試験を行わずに同様の効果が得られることが判明した」と発言しています。それでもあえて、2016年の基礎研究費21億円に加えて、今回の防衛力強化加速パッケージの65億円の研究費をかけて開発する理由はなんでしょうか。また、この投資は将来的に有効であるとの確約はおありなのでしょうか。また、レールガンは大量の電力を必要とするため、原子力発電所を延命させる根拠となるのではという指摘もあります。しかしそうなれば、原子力発電所は敵ミサイルやドローン兵器の格好の標的となり、攻撃の理由や正当性の口実を与えることにもなります。攻撃されれば壊滅的な被害を日本全国に与えることが明らかで、日本防衛のアキレス腱といっても過言ではありません。ミサイルの迎撃のために防衛の最大の弱点である原発の存在を必要とし、原発の電力に依存する兵器を開発しようとし、敵ミサイルにさらし続けるという矛盾について防衛大臣のお考えをお聞かください。

A:いわゆるゲーム・チェンジャーとなり得る先端技術に重点的に投資をし、早期に実用化させることは重要であると考えております。こうした考えの下で、極超音速兵器にも対処しうるレールガンについて、来年度から本格的な研究に着手する予定です。レールガンは、ミサイル防衛や対艦攻撃など、様々な用途に活用しうる可能性を秘めていることから、わが国防衛にとって重要な事業であると考えております。いずれにしましても、防衛省としてわが国の防衛力強化を加速するため、レールガンの早期実用化に向けて着実に取り組んでまいりたいと考えています。

Q:先ほどお尋ねした、原発が標的となることの矛盾に関してはいかがでしょうか。

A:レールガンの様々な用途についての可能性ということも先ほど述べさせていただきましたけれども、そうしたことから考えますと、わが国の防衛にとって、重要な事業であると考えているところであります。

Q:それと最初にお尋ねした、米国の国防副長官が発言されていた、「開発試験を行わずに従来の超高速発射弾でも同じ効果が得られる」というふうに発言されていらっしゃいますけれども、このこととの関係についてはいかがでしょうか。

A:米国のレールガンへの研究事業については、昨年12月に成立いたしました米国の国防権限法において関連経費が盛り込まれたところであって、こうしたことを踏えますと、米国がレールガンの研究開発を中止したとは承知をしておりません。

以上