防衛大臣記者会見

日時
令和3年12月28日(火)13:02~13:17
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
岸防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 コロナですが、3名の隊員が新たに感染していることが確認されました。 合計で4,890名となります。金曜日の会見でも御質問がありましたので、防衛産業の支援策の強化について改めて御紹介をさせていただきます。厳しさを増す安全保障環境や技術革新の急速な進展等の状況を踏まえれば、わが国の防衛を全うするためには、防衛産業・技術基盤の維持・強化への重点的な取組が必要不可欠であります。特に、防衛産業は、自衛隊のオペレーションに不可欠な装備品の研究開発・生産・維持整備を担っているわが国の防衛力の一部であり、基盤強化が急務であります。防衛省は、来年、防衛装備庁装備政策課に「防衛産業政策室(仮称)」を新設し、防衛産業支援などの中核的機能を果たします。さらに、令和4年度予算案において、防衛産業のサイバーセキュリティ向上や製造工程の効率化、米軍調達への参入などを促進していくための防衛産業支援に関する事業経費32億円を確保したところであります。こうした経費を本格的に予算に計上したことは、今回初めてであり、非常に意義のあることだと考えております。さらに来年以降、国家安全保障戦略、大綱、中期防の策定にあたって、防衛生産・技術基盤の在り方にも留意して議論した上で、防衛産業の競争力・技術力を維持・強化し、活性化させるために、更なる対策を検討してまいりたいと考えております。毎年恒例でありますが、今年一年の私が選んだ漢字ということでありますが、これは「烈」という字であります。わが国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増し、し烈なものとなっていることに加えて、今年の夏、熱海での災害派遣や新型コロナウイルス等の戦いなど、活動現場のし烈さの困難さを思えばですね、防衛大臣として、現場の隊員の、し烈な現場でしっかり働いていただいている隊員の皆様には頭の下がる思いがしております。このような私の思いを表す漢字として「烈」という字を選びました。令和4年も25万人の隊員の先頭に立って、わが国の防衛という崇高な使命を果たしていきたいと考えております。

2 質疑応答

Q:来年は3文書の改定が控えますが、2022年は防衛大臣にとってどんな1年になるのか、意気込みをお聞かせください。また、防衛力を強化するにあたり、どのような考え方のもと、どんな言葉を使って国民に理解を求めていくのか、大臣の御認識を併せてお願いいたします。

A:今年12月6日、岸田総理は所信表明演説において、防衛力を抜本的に強化していくため、国家安保戦略、防衛大綱、中期防を概ね一年かけて策定していくことを述べられました。防衛省としても、「防衛力強化加速会議」を立ち上げ、これまでに4回の会議を重ねて開催しております。来年は、厳しい安保環境の中で国民の命や暮らしを守りぬくために、国家安保戦略、大綱、中期防の策定に向け、政府全体や省内の議論を通じて、更に検討を深化させていくことになります。その意味で、来年はわが国の安全保障にとって非常に重要な一年になると考えています。わが国の防衛を全うするため、私の下で、防衛省・自衛隊が一丸となって、様々な課題に全力で、正面から取り組んでいきたいと考えております。防衛力の強化でありますが、まず、防衛省・自衛隊の活動について国民の皆様の御理解をいただいていくことが、防衛力強化の中で大変重要だと考えております。今後とも、例えば、国会や記者会見、あるいはマスコミの取材など様々な機会を通じて、厳しさを増す安全保障環境や、その中で国民の命や暮らしを守るために必要になる取組について、分かり易い言葉で丁寧に説明をし、国民の皆様にもしっかりと御理解をいただくように考えております。

Q:中国・ロシア軍の連携の動きについて伺います。10月にはですね、中露の海軍10隻が日本周辺で海上合同パトロール実施して、11月には両空軍がですね、戦略爆撃機の共同飛行というのがありました。1年振り返る中でですね、こうした中露の連携の動きというのは、わが国の安全保障環境にどのようなインパクトを与えたんでしょうか。改めて御認識をお聞かせください。

A:10月、11月に確認をされました、この中露両国による艦艇あるいは爆撃機等によるですね、わが国周辺の度重なる軍事演習、これはわが国周辺における活動の活発化を意味するとともに、わが国に対する示威活動を意図したものと考えております。このような行動は、わが国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増すことを如実に物語っているのではないかなと。地域の平和と安定の観点からも、安全保障上の懸念を持って注視してまいりたいと考えております。また、今後、中露がこのような活動を定期的に行い、更に軍事的な連携を深めていく可能性も否定できないところであります。防衛省として、引き続き厳重な警戒監視を実施してまいりたいと考えております。

Q:大臣、今日、岸田総理とお会いになられまして、日中防衛相会談についてお話しされたかと思いますが、岸田総理から先日の日中防衛相会談についてどのような話があったのか、また、ホットライン開設について岸田総理から具体的な指示があったのかについてお願いします。

A:今日、閣議の後の立話で、岸田総理に昨日の日中会談について、概略を御説明をしました。岸田総理からは、とにかくこちらから言うべきことをしっかりと言っていくこと、それが大変重要だというようなコメントをいただいたところです。それ以上の中身については、遠慮させていただきたいと思います。

Q:冒頭の防衛産業の話なんですけれども、そもそも防衛産業が、今のような基盤が弱体化するような状況になっているのは、どういう原因があるというふうに大臣、御認識されているかということと、原因を取り除くためにいろいろ政策的な部分もあると思いますけれども、どういったことが全体的に必要になってくるかということについて、考え方はいかがでしょうか。

A:防衛産業全般に言えること、まず、防衛装備を生産をするということに対するですね、イメージというものもあると思います。そういうことに対してなかなか積極的になれないという企業が多い中で、防衛産業自体がなかなかぜい弱な体制を抜け出せないというところが大きいんじゃないかというふうに思っております。今後ですね、わが国の防衛産業をしっかりしたものにしていくために、これはわが国の防衛力自体を上げていくことになりますけれども、そのために企業ともしっかり連携をとっていかなければならないかなというふうにも考えております。

Q:辺野古に関連して1件だけ伺わせてください。沖縄県が辺野古の埋め立て対象区域のサンゴの採捕許可の取消ししたことを不服としてですね、8月に沖縄防衛局が農水大臣に対して行政不服審法に基づく審査請求をした件について、本日付で沖縄県の特別採捕許可取消処分は違法であるとして、JPK地区については処分取り消し、移植が完了したI地区は審査請求を却下するという裁決が出ました。大臣としての受け止めを教えてください。

A:農林水産省から沖縄防衛局に対しまして、本日12時頃、農水大臣が、サンゴ類の特別採捕許可の取消処分を取り消す等の裁決をした旨の連絡があったと報告を受けております。詳細については、いまだ沖縄防衛局が裁決書の送達を受けていない段階ですので、コメントは控えさせていただきたいと思います。移植作業の実施に当たっては、専門家の意見を踏まえて、水温を含め、作業当日の現状を確認の上ですね、移植の可否を判断して実施しているものであり、引き続き適切に対応してまいります。

Q:12月23日以降、自衛隊と米軍が台湾有事を想定した日米共同作戦計画の原案を策定しているということが報じられています。これは、有事の初動段階で米海兵隊が南西諸島に攻撃用軍事拠点に置き、住民が戦闘に巻き込まれるものであり、玉城デニ―沖縄県知事は24日に防衛省に訪れ、「台湾有事によって沖縄が再び攻撃目標になるようなことがあってはならない」と危惧を表明し、その内容の詳細を明らかにするよう求めています。来年1月に開催予定の日米安全保障協議委員会、いわゆる「2+2」での正式な計画策定以前に、米国側の意向に押されるようにして計画が進行していることを、防衛省としてはどのようにお考えでしょうか。また、防衛すべき日本、守るべき平和と安全には、南西諸島とその161万人の住民は含まれていないのでしょうか。そして、自衛隊は住民の避難を補助しないのでしょうか。ご教示ください。

A:防衛省・自衛隊としては、平時よりですね、あらゆる事態に対処できるようにしっかりした防衛体制というものを確立しておく必要があると考えております。今おっしゃられたようなことにつきましては、2015年に策定されましたガイドラインの下で、日米両政府は、わが国の平和と安全に関連する緊急事態に際し、自衛隊と米軍がより緊密に連携して適切に対応できるように、「共同計画」を策定・更新することとしています。共同計画の策定状況や具体的内容等の詳細については、緊急事態における日米両国の対応に関わることですから、事柄の性質上、お答えを差し控えさせていただきます。

以上