防衛大臣記者会見

日時
令和3年12月24日(金)11:23~11:43
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
岸防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 まず、新型コロナですけれども、前回の会見以降、2名の隊員が新たに感染していることが確認されました。本日までに4,887名が感染したことが確認されています。令和4年度の予算について。わが国周辺の安全保障環境がこれまでにない速度で厳しさを増す中、必要な防衛力を大幅に強化し、各種事業をより一層加速することが重要であります。このため、「防衛力強化加速パッケージ」の下、令和4年度の当初予算を、令和3年度補正予算と一体として編成することにより、前年度比で防衛関係費の大幅な増額を実現しました。令和4年度当初予算は、過去最大となる、必要かつ十分な予算を確保しており、10年連続の増加を維持しています。令和3年度補正予算と令和4年度予算を合わせた合計額は、初めて6兆円を超え、6.2兆円に上り、前年度比で7.8パーセントの大幅な増額となっています。また、GDP比は1.1パーセントとなっております。今回の予算編成では、主要装備品は、「防衛力強化加速パッケージ」の下、概算要求したものを全て取り切るとともに、研究開発費は、ゲームチェンジャーとなり得る最先端技術に対する投資を大幅に増やしています。来年は、新たな国家安全保障戦略を策定する重要な年になります。「防衛力強化加速パッケージ」の下で一体として編成した予算を土台とし、防衛力を抜本的に強化すべく、スピード感をもって防衛力強化の議論を進めてまいります。本日、令和4年度のF-35Aの取得方法の変更について、国家安全保障会議において決定され、閣議において了解されました。これは、令和元年度から令和3年度に引き続き、令和4年度のF-35Aの取得についても、国内企業が最終組立・検査を実施することが、完成機輸入に比べより安価な手段であると確認されたことから、取得方法を国内企業が参画した製造に変更されたものであります。本日、国家安全保障会議の九大臣会合及び閣議において、「中東地域における日本関係船舶の安全確保に関する政府の取組の一部変更」が決定され、中東地域における自衛隊の情報収集活動の期間が、令和4年11月19日まで約1年間延長されました。また、今回の変更により、ソマリア沖・アデン湾において海賊対処行動を行う部隊に、情報収集活動の任務を併せて付与することにより、護衛艦1隻及び固定翼哨戒機2機が海賊対処行動と情報収集活動を兼務することとなりました。中東地域においては、日本関係船舶の防護を直ちに要する状況にはないものの、高い緊張状態が継続していることから、引き続き、日本関係船舶の安全確保のための取組みが必要です。防衛省・自衛隊としては、日本関係船舶の安全確保に必要な情報収集活動に引き続き万全を期してまいります。なお、現在、次の派遣部隊「さみだれ」が、海賊対処行動と情報収集活動を兼務するための必要な準備を進めております。来年1月9日に呉地区を出港する予定であり、2月後半に活動海域において両任務を引き継ぎ、活動を開始することとしております。

2 質疑応答

Q:2問、予算に関して伺います。今後、防衛費を積み増しするために、補正と当初予算のパッケージ化というのは続けていくのでしょうか。また、補正は性質上、必ずしも枠が約束されていない上に、概算要求にも上限がありますが、今後、この6兆円規模の土台を保つためにどのような方策が必要なのか、大臣の御認識をお願いいたします。

A:今回の予算編成においては、わが国を取り巻く安全保障環境がこれまでにないスピードで厳しさを増す中で、必要な防衛力を大幅に強化するため、この「防衛力強化加速パッケージ」の下で、令和4年度予算を、令和3年度補正予算と一体として編成することにより、前年度比で防衛関係費の大幅な増額を確保・実現しました。 将来的な予算編成のあり方について、現時点でお答えすることは差し控えたいと思いますが、いずれにいたしましても、厳しさを増す安全保障環境の下で、必要な防衛力を大幅に強化するために、必要な予算を着実に確保してまいりたいと考えております。今年、6.2兆円という規模を確保することができたわけですけども、周辺各国が軍事費の大幅な増額等により軍事力の強化を図り、わが国周辺での軍事行動を急速に活発化させています。わが国を取り巻く安全保障環境がこれまでにないスピードで変化をし、厳しさを増す中で、必要な防衛力を大幅に強化していくことが喫緊の課題であります。こうした中で、令和4年度予算を、令和3年度補正予算と一体として編成することにより、これらの予算をあわせて6兆1,744億円を計上し、防衛関係費の大幅な増額を実現しました。今後の防衛関係費の規模や内容については、安全保障環境等を踏まえて検討していくことが必要となります。引き続き、防衛力を大幅に強化するために必要な予算を着実に確保してまいりたいと考えております。

Q:イージス・アショアの配備断念に伴う地元説明会についてお伺いします。秋田県では昨日、説明会が開かれました。この中で、なぜ住宅地の新屋が候補地になったのか明確な説明がなく、住民には不満を残す形となりました。防衛省としては、住民に納得してもらえる説明をしたと考えているのかどうか教えてください。

A:イージス・アショアの配備断念に至る経緯等に係る説明会については、秋田県知事等からの要望も踏まえて、地元自治体と開催に向けて調整を重ねてまいりました。防衛省としては、必要な御説明をすることができたのではないかと考えております。

Q:防衛省が提示した地元説明について、住民は説明回数を増やすこと、広い会場に変更することを要望して、東北防衛局または自治体に書面で提出しています。しかし、いずれも応じてもらうことができませんでした。国民が行政に要望に応えてもらうにはどうすればいいのか、教えてください。

A:秋田県知事等からの御要望も踏まえて、地元自治体と調整を重ねてまいりました。その上で、説明会を今回セットしたものであります。

Q:自衛隊と米軍が、台湾有事を想定した新たな日米共同作戦計画の原案を策定したとの報道があります。先程、玉城デニー知事も鬼木副大臣に詳細を明らかにするように求めていましたが、事実関係の方をお願いします。

A:2015年に策定されました「ガイドライン」の下で、日米両政府は、わが国の平和と安全に関連する緊急事態に際し、自衛隊と米軍がより緊密に連携して適切に対応できるように「共同計画」を策定・更新することとしています。なお、「共同計画」の策定状況や具体的内容等の詳細については、緊急事態における日米両国の対応に関わるものでありますから、事柄の性質上、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。次回の日米の「2+2」について、できるだけ早いタイミングで開催すべく調整していますが、具体的な日程は現時点では決まっておりません。

Q:海兵隊が南西諸島に臨時の広域用管理拠点を置くということも指摘されていますが、このあたりの事実関係はいかがでしょうか。

A:日米は平素から様々な意見交換をしておりますが、このことの内容については、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。

Q:今日閣議決定された予算の中で、馬毛島関係が契約ベース3,000億円を超える予算が案として計上されています。一方で、環境アセスは当然のようにまだ終了していないわけで、滑走路等、本体工事に直結するような今回の予算の計上について、地元では反発する可能性もありますけれども、そのあたりのところ、現在の防衛省の考え方を教えてください。

A:厳しさを増す安全保障環境を考えますと、防衛省としてはできる限り早期にこの馬毛島の運用が開始できるように、馬毛島における施設整備に取り組んでいく必要があると考えています。自衛隊施設を早期に整備し、運用を開始するために必要な環境アセスメントの手続きを経たあとで、円滑かつ速やかに馬毛島内での施設整備に着手できるよう、準備を進めておく必要があります。このため、令和4年度の予算に滑走路等の整備に要する経費を計上したところであります。これらの施設の馬毛島内における整備の着手は、環境アセスメントの手続きを経た後に実施することとしています。このように、馬毛島の自衛隊施設の整備は、環境影響評価法に沿って、環境に配慮して進めていくことになります。

Q:岩国に対する米軍再編交付金に関してなんですけれど、今年度で期限が終了するにあたって、来年度以降の措置に対する予算を今回の予算の中に盛り込んでいるというふうにお聞きしました。改めて、この新しい制度の意義ですとか、どういった根拠に基づくものなのかといったことを御説明いただければと思います。

A:岩国飛行場における再編交付金についてはですね、本年度、令和3年度で交付が終了することとなります。交付期限の延長といったことはありません。他方で、防衛省として、わが国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中で、日米同盟の抑止力の維持とわが国の地域社会への影響の緩和を成り立たせる施策を不断に検討しております。今般、令和4年度予算案の施策として、わが国の安全保障において、広範囲での高い戦力投射能力等、特に重要な機能を有し、かつ、地域社会への騒音等影響が甚大である特定の米軍部隊が、継続して活動するものとして指定された防衛施設の周辺市町村を対象とする交付金制度を設け、対象となる米軍部隊として米空母艦載機部隊を指定し、対象防衛施設として岩国飛行場を指定し、その周辺市町村として山口県岩国市、和木町、周防大島町、広島県大竹市を考えています。そのための所要額としては、約21.5億円を計上しています。

Q:先ほどの台湾を巡る報道に関しての追加の質問なんですが、一般論として、日本国内で新たに米軍が、臨時であれ拠点を設ける場合に、クリアをしなければいけない法的なハードル、クリアしなきゃいけないものというのはどういったことがあるのかということについて、教えていただけますでしょうか。

A:基本的にはですね、合同委員会の合意に基づいて運用されるということになります。これ以上の詳細については、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。

Q:最近相次いでおります中国海軍の空母「遼寧」のですね、沖縄近海での艦船機の発着艦について、まず大臣の受け止めをお願いいたします。

A:今般の空母「遼寧」及び中国艦艇及び艦載機による活動はですね、非常に急速に活発化しております。また、わが国周辺海空域においては、何らかの訓練と思われる活動や情報収集活動を行っていると考えられる艦艇や航空機が多数確認をされているところです。近年、中国軍の活動内容に質的な向上がみられ、また、実戦的な統合作戦遂行能力の向上の動きもみられるところで、防衛省・自衛隊としては、引き続き、わが国周辺海空域における中国軍の動向について、重大な関心をもって注視してまいりたいと考えております。

Q:先だって、1日2回、「遼寧」の活動について公表がありました。これまで、こうしたことはなかったと、私が調べた範囲ではなっておりますが、奇しくも同じ日に、在日米軍駐留経費の実質合意が発表されました。偶然なのかもしれないですけれども、中国の脅威を煽る意図があるのではないかという声もありますが、こうした意見については大臣、どのように思われますか。

A:中国側の意図について、私からコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。

Q:今回の4年度予算の中ではですね、防衛産業への支援策というものが初めて本格的に計上されたというふうに聞いております。大臣として今、防衛産業の支援の必要性について、問題意識としてどういったことをお考えか教えてください。

A:日本の防衛産業につきましては、必ずしも強固な体制ではない、どちらかといえば脆弱な体制の中で動いているんだと考えております。その中でしっかり、経済安全保障の観点からもですね、しっかりした調達の体制が取れるように、防衛産業と様々な意見交換、コミュニケーションをとっていく必要というのはあると思います。これからの課題であると考えております。

以上