防衛大臣記者会見

日時
令和3年12月3日(金)11:51~12:21
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
岸防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 コロナですが、新たに感染をした自衛隊員は現時点で確認はされておりません。よって、累計も変わりませんが4,882名であります。

2 質疑応答

Q:米軍三沢基地所属の例のF-16の燃料タンク投棄事件といいますか、大臣の方ですと、先日、アメリカに対してですね、飛行の安全が確保されるまで、F-16の飛行を行わないように求めたはずですけども、一部報道によれば、三沢市の方でF-16が飛行をしているのを見たという目撃情報も出ています。そもそも、米軍の方から日本に虚偽の説明を最初はしていたことも含めてですね、米軍の方のその後の対応について、今どうなっているのか教えて下さい。

A:まず、11月30日、三沢飛行場所属のF-16戦闘機1機が飛行中に、エンジンの油圧が下がり続けているという警告が出たために、青森空港に緊急着陸をいたしました。この際、緊急着陸に備えるために、燃料タンク2個を投棄したということであります。現時点において、人的被害は確認されていません。投棄した2個の燃料タンクは、深浦町の役場近くの道路などで発見をされ、米軍により回収作業中であります。緊急着陸したF-16は、青森空港に駐機中であります。着陸に伴い青森空港の滑走路が閉鎖されたことにより、民間機に欠航等の影響が出たとの報告を受けてます。このような事案の発生は、地元の方々に大きな不安を与えるものであって、あってはならないことだと思います。防衛省としては、本件の情報を受けて、速やかに関係自治体への情報提供を行うとともに、東北防衛局の職員を深浦町及び青森空港へ派遣し、関係機関と連携の上、情報収集を行ってまいりました。また、1日午前、幹部会議において私から「米側に対しまして、飛行の安全が確認されるまでの間、F-16戦闘機の飛行を行わないよう求めること」「米側に対し、当省及び地元に対する十分な情報提供を行うよう求めること」「当方として、米国との連携、情報収集・分析を密に行って、対応に万全を期すこと」の3点を指示しました。その上で、防衛省として直ちに米側に対し遺憾の意を伝え、飛行の安全が確認されるまでの間、同型機の飛行を行わないよう求めるとともに、原因の究明、実効性のある再発防止策等をですね、講じるよう強く申し入れてまいりました。このような中で、2日の午後、事故の原因を踏まえた安全対策の説明等もないままに、米側が同戦闘機の飛行を再開したことについては、極めて遺憾であります。引き続き、事故の原因や安全確保についての説明等を米側に求めてまいりたいと思います。

Q:一応確認ですが、今の件について、米側に再度、再び抗議を一応する計画であるということでしょうか。

A:すでに今の状況で、事故原因や安全確保については説明等をですね、米側に求めてまいります。

Q:今のF-16に関して、改めて飛行中止、飛行停止を要請されるおつもりはございませんでしょうか。

A:既にもう、飛行の安全が確認されるまでの間は同型機に飛行を行わないようにということを求めたわけですが、そのことに説明のないままに飛行が再開されているというのが今の現状であります。まずは、先方から安全確保、飛行の事故原因等ですね、そうしたことをしっかりと説明を求めていきたいと思います。

Q:関連してもう1問伺います。米軍はパイロットが手順に従って地上の状況を確認した上で、手順に従って投棄したと説明をしているようですが、大臣として、パイロットや米軍のこの投棄の対応は適切だったとお考えでしょうか。

A:緊急着陸をする状況ですね、この手順として燃料タンクの投棄ということが行われたんだと思います。その状況については、状況によって異なるのかもしれませんけども、いずれにしましても、その点についても含めて説明を求めてまいりたいと思います。

Q:それは民家、2つとも民家・集落の近くであったという結果をもってしてもということでしょうか。

A:投棄した燃料タンクがですね、その居住地区に落下したということ自体ですね、一つ間違えれば大変な惨事につながりかねないということで、住民の安全で平和な生活に深刻な影響を与える、あってはならないものであると考えております。防衛省として、米軍に対しまして、原因究明、実効性のある再発防止策等講じるようですね、強く申し入れを行ってまいります。

Q:重複していたら申し訳ないんですけども、関連で、米軍のF-16が再度飛行を再開したっていうのは、防衛省としてはいつ確認したんでしょうか。これは三沢所属のものということでよろしいでしょうか。

A:時間ははっきりしませんが、昨晩のうちに三沢のF-16ということで確認をしております。

Q:今回の事故について、地元に情報が伝えられたのが発覚から4時間後だったということなんですけれども、米側のその連絡体制については、防衛省への連絡も含めて不備はなかったかどうか、どういったお考えでしょうか。

A:タンクの投棄について、米側から防衛省に連絡を受け、情報を整理した上で、9時半頃ですね、地元に情報提供をいたしました。

Q:9時半頃に防衛省が地元に提供したと。防衛省に米側からちゃんとした連絡があったのは何時くらいでしょうか。

A:それよりも、手前の時間なんですけれども、様々な情報のやり取りがありましたので、まず、情報の整理を行った上で、地元に情報提供をいたしました。

Q:特段、米側として遅かったといった、そういった認識はないんでしょうか、大臣としては。

A:まず、事故の第一報という意味では、もっと早く来ておりましたので、その上でタンクの投棄については、その時間になったということだと思います。

Q:関連でお尋ねします。つまり、大臣は最初の着陸から4時間後、3時間後ですね、米側から、もちろん様々な調整の上で、地元に情報を流す必要があったわけですけれども、とはいえ、これだけ時間がかかっていることについては、遅いというふうには、はっきりおっしゃられないのはなぜなんでしょうか。

A:様々な情報の整理をする必要はあったのだと思います。事故の一報については、事故発生から間もなくもたらされたと思いますけれども、投棄についてはちょっと時間がかかったものだと思っております。

Q:関連して、その投棄に関する情報ですが、最初に岩木山周辺にというお話から、だいぶ手前の深浦町に落ちています。発見されました。このことについては大臣どのようにお考えでしょうか。その情報が非常にあやふやだったということについてという意味です。

A:それはそうですね、パイロットが投棄をして、それから流れますから。その落下地点について、当初の考えていたところとずれていたというところもあると思います。

Q:佐賀空港へのオスプレイ配備についてお伺いします。地元漁協が公害防止協定を条件付きで見直すことを決めましたが、これについてまず受け止めをお願いします。

A:今般、有明漁協から公害防止協定の見直しの方向で御判断をいただきました。そのことに対しまして、西久保組合長をはじめとする有明海漁協の皆様に対しまして、この場をお借りして御礼を申し上げたいと思います。防衛省としては、頂いた条件に丁寧に対応し、オスプレイの配備計画について、可能な限り早期に有明海漁協の御理解と御協力をいただけるように取組んでまいりたいと考えております。

Q:関連してなんですけれども、提示された条件について、具体的な対応方針やスケジュール感など教えていただければ。

A:今後はですね、まず、有明海漁協からいただいた条件の一つであります駐屯地予定地の土地価格の提示については、速やかに用地測量及び不動産鑑定業務に着手をしていきたいと考えております。また、排水対策や駐屯地予定地以外の空港西側の土地取得の考え方については、漁協の御了解をいただけるよう丁寧に対応してまいりたいと考えます。

Q:用地関係は月内にも始めるということでしょうか。

A:今後のスケジュールについては、まだ未定でございます。

Q:一部報道で、中東地域に派遣する海自護衛艦について、今月末の期限を延長をせず、アフリカ・ソマリア沖で海賊対処に当たっている別の護衛艦に中東任務を兼務させるとの報道もありますけれども、事実関係と、こうした配置換えを行う狙いについて教えて下さい。

A:そういった報道については承知をしておりますけれども、情報収集活動にあたる護衛艦の活動期間を延長しないとの指摘も含めまして、御指摘のような方針を固めたという事実はございません。この活動の延長については、現在政府として検討を行っているところであります。防衛省としては、今後、関係府省庁とも連携の上、地域情勢の関係国の動向等を慎重に見極めた上で、政府全体で活動の延長の要否についても含めて、適切に判断してまいりたいと考えます。

Q:明日から東北と北海道で始まる、オスプレイ移転の日米共同訓練についてお伺いします。沖縄の負担軽減という名目で始まってですね、今回で14回目になるんですけれども、普天間飛行場には訓練期間中にですね、オスプレイ以外の米軍機も飛来する場面でですね、宜野湾市からは、騒音データやですね、苦情に目立った変化がないと、そして負担軽減の実感がないという声が聞こえます。この沖縄の負担軽減に資する訓練になっているのかどうか、大臣の見解をお聞かせください。

A:この訓練移転の実施によってですね、長期間にわたり、普天間飛行場に所在するMV-22オスプレイ等が沖縄を離れることになり、その間、沖縄における駐留、訓練の時間が削減され、沖縄の負担軽減に寄与するものと考えております。防衛省として、引き続き、沖縄の負担軽減のため、様々な取組を進めてまいりたいと考えます。

Q:関連してですね、参加する米軍のオスプレイはですね、今回三沢基地を補給拠点にされます。機体が異なるとはいえですね、先程からあります三沢では、F-16の燃料タンク投棄がありましてですね、防衛省として飛行停止求めてもなかなか聞いてくれないというような実態が明らかになってます。この米軍の運用に不安を残したままの訓練になるんですけれども、訓練に影響はないんでしょうか。その見解を教えてください。

A:米軍に対してはですね、当然米軍機の運用に当たっては、地元の意向、地元の皆さんの声に配慮する必要があると思います。安全対策等ですね。その上で、防衛省として米軍に対して騒音規制の措置の遵守、地元の重要な行事に対する配慮をするよう申し入れを行い、また、普天間飛行場のオスプレイ訓練移転等を着実に実施し、さらに住宅の防音工事など、地域社会との調和に係る各種政策を通じて周辺住民の方々の御負担を可能な限り軽減できるよう努めるなどの措置を講じてまいっておるところでございます。

Q:確認ですけど、訓練は予定通どおり実施するということでよろしいんでしょうか。

A:今のところ予定どおり実施をする予定になっております。日米の共同訓練においてはですね、双方において安全の確保を図ることはもちろんのことだと思います。安全の徹底について、米側にも留意しているというふうに伝えております。

Q:秋田県と山口県に配備を計画していたイージス・アショアについてお伺いします。昨年6月に配備計画の停止を表明されましたけれども、住民への説明会を、秋田県には今月下旬に開催することを検討していると伝えられています。今月下旬に住民説明会を開くということでよろしいでしょうか。それと、計画停止から約1年半になりますけれども、今説明会を開く判断をした理由についてお聞かせください。

A:地元説明についてはですね、イージス・アショアの配備断念に至った経緯についてしっかり説明をすることを考えております。これをできる限り早い実施ができるように、地元自治体と今調整しているところであります。近いうちにお知らせしたいと考えております。

Q:近いうちというのは、実施時期を含めて近く発表があるということでしょうか。

A:はい。

Q:関連してですが、今後、住民説明会について佐竹知事は今月の1日に少なくとも政務三役に顔を出してもらいたいということを述べておりますが、大臣は、どなたが対応されるのが適切とお考えでしょうか。

A:今、どのような形になるかですね、検討しているところであります。

Q:青森のF-16の件について伺います。今回青森の件では、安全確認されるまでの飛行停止を求めていて、先日の沖縄県の米軍機からの水筒落下時は飛行停止を求めていないとして、防衛省の対応に差があるとの意見が出ております。防衛省として飛行停止を求める際の基準などがあるのか、この点についてお伺いします。

A:今回のF-16の事案についてはですね、エンジンの油圧が下がり続けるという警告が出ていたために緊急着陸をしたものであります。米側に対しまして、飛行の安全が確認されるまでF-16の飛行を行わないことを申し入れた、そのぐらいの事案であるわけであります。宜野湾におけるオスプレイからの水筒の落下等もですね、一つ間違えれば人的被害もあるわけですけども、そういう意味ではあってはならない事故ではありますけども、防衛省として、米側に対して、原因究明、安全管理の徹底、実効性のある再発防止策について申し入れをしております。オスプレイについてはですね、機体自体の問題ではなかったわけですけれども、F-16は機体自体にトラブルが起こっていたと、こういうふうに了解をしております。

Q:台湾に関連して伺います。1日に安倍晋三元首相がオンラインのシンポジウムで、中台関係について「台湾有事は日本有事であり、日米同盟の有事である」と述べ、中国をけん制しました。中国外交部は極めて誤った発言だと抗議をしましたが、安倍氏の発言、そして中国からの抗議についてどのように受け止めているか教えてください。

A:安倍元総理の発言については承知しておりますが、一つ一つについてコメントをすることは差し控えさせていただきたいと思います。台湾は、日本にとって、自由や民主主義、法の支配、基本的人権といった基本的価値を共有する極めて重要なパートナーであり、大切な友人であります。台湾をめぐる情勢の安定については、南西地域を含むわが国の安全保障にとって重要であり、わが国として、台湾をめぐる問題について、対話により平和的に解決されることを期待するという立場に変わりはございません。日米間では、本年、首脳会談や「2+2」、防衛相会談において、台湾海峡の平和と安定の重要性について認識を共有しているところであります。近年、中国が軍事力の強化を急速に進める中で、中台の軍事バランスは全体として中国側に有利な方向に変化をし、その差は年々拡大する傾向が見られます。また、中国軍機による台湾南西空域への度重なる進入を含めて、中国は台湾周辺における活動を更に活発化させております。防衛省としても、このような状況について引き続き関連動向を注視してまいりたいと思います。

Q:端的に伺います。大臣は「台湾有事は日本有事であり、日米同盟の有事でもある」という安倍氏の同様の認識をお持ちという理解をしているのでしょうか。対中抑止に向けて台湾との直接対話の必要性があるとお考えでしょうか。教えてください。

A:既に政府からコメントがされております、台湾を巡る状況については、国内でこうした考えがあることは、中国としてこれを理解してもらう、この必要があると考えております。中国側の一方的な主張については、受け入れられることはできません。

Q:先ほど質問にで出た日米共同訓練のことで関連してお尋ねしたいんですが、オスプレイの参加等に関連して、大臣は予定どおり実施されるとおっしゃいましたが、その中で、騒音への配慮などというご回答をされたかと思うんですが、少なくとも青森県民にとっては、そういったことよりも、今回の件を受けた心理的不安みたいなものが多分にあると思いますが、そうしたことは検討された上でも、予定どおり実施するということなんでしょうか。

A:米軍に対しまして、安全への配慮をしっかりとるように、今後も申し入れをしてまいりたいと思います。

Q:三沢のF-16の飛行停止の要請ですが、アメリカのインド太平洋軍司令部や米国防総省へも要請をされたのか教えてください。

A:申し入れにつきましては、12月1日に私の指示を受けまして、地方協力局長から在日米軍司令官に対して、飛行の安全が確認されるまでの間、F-16の戦闘機の飛行を行わないように申し入れたほか、様々なレベルでも申し入れを行っております。

Q:この上部機関のインド太平洋軍司令部や米国防総省の方にも要請はされてるんでしょうか。

A:インド太平洋軍に対して、私から直接ということはやっておりませんけども、組織としての在日米軍に対しまして、しっかり申し入れを行ったということであります。

Q:その在日米軍への要請ですが、これは宛先は在日米軍司令官でよろしいんでしょうか。

A:在日米軍司令官です。

Q:要請に対して先方から回答はあったのでしょうか。

A:今のところないです。

Q:今のところはまだなにもない。分かりました。

Q:F-16の件なんですが、防衛大臣が飛行停止を求めたのに、米軍は再開したと。主権国家としておかしな形態だと思うんですが、それについて大臣の考えを教えてください。

A:極めて遺憾な事態だと思います。引き続き米軍に対して、安全の確認それから事故原因の究明等々ですね、求めていきたいと考えております。

Q:質問は、主権国家としておかしいと思われますが、大臣はどう考えますか。

A:ですから、そういう対応をしております。

Q:主権国家としておかしいと思いますか、思いませんか。

A:主権国家としてって言いますか、当然、米軍が運用されているものにつきましては、地域の安全を配慮したものでなければならないと考えております。

Q:主権国家としておかしいですか、おかしくないですか。その考えを教えてください。

A:我々は政府としてそのように対応してるということです。

Q:主権国家としておかしいと思いますか、おかしくないと思いますか。

A:これは、何度お答えをしても同じやりとりになってしまいますので。

Q:もう結構です。

A:はい。

Q:今のお話に関連しますが、アメリカ軍がですね、もし、今飛行停止を申し入れたにも関わらず、今後日本側に説明のないままに、もし飛行を新たに再開された場合の措置というのはお考えでしょうか。

A:再開された場合の措置。

Q:措置ですね、対抗措置とか、そういうことです。

A:引き続き説明を求めてまいりたいと思います。

Q:分かりました。

以上