防衛大臣記者会見

日時
令和3年11月24日(水)11:12~11:23
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
岸防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 私の方から1件、新型コロナですけれども、前回の定例会見以降、感染した自衛隊員は現時点では確認されておりません。累計は4,881名で変化が認められません。

2 質疑応答

Q:中国の測量艦がですね、先週ですかね、領海に侵入したと判断される事例があったというふうに防衛省から発表されましたけれども、こうした中国の動きについての受け止めを伺えますでしょうか。

A:11月17日ですね、中国海軍のシュパン級測量艦1隻が、午後8時40分頃、屋久島の南、わが国の接続水域から領海に向けて西進し、翌18日午前1時20分頃、口永良部島の西のわが国の接続水域を西に向けて航行するのを、P-1哨戒機が確認をいたしました。防衛省としては、当該測量艦がわが国の領海を航行したものと判断しており、これを受けて、中国側に対して外交ルートを通じて、今般の中国海軍の測量艦の航行について、わが国周辺海域における中国海軍艦艇のこれまでの動向を踏まえ、わが国の懸念を伝えました。また、11月19日には、中国の爆撃機(H-6)が2機及びロシアの爆撃機(TU-95)が2機、これが日本海から東シナ海、更には太平洋にかけての長距離にわたる共同飛行を実施したことを確認しました。両国の戦略爆撃機によるわが国周辺での度重なる軍事演習は、わが国周辺における活動の拡大、活発化を意味するものとともに、わが国に対する示威行動を意図したものと考えられます。それぞれ、強大な軍事力を保有する両国の共同による軍事活動は、各国の懸念を高めるものと認識しています。このほか11月18日にも、対馬海峡を南下する中国海軍のルーヤンⅢ級ミサイル駆逐艦1隻及びロシア海軍のウダロイⅠ級駆逐艦1隻を確認しています。防衛省としては、中国海軍艦艇・航空機等のわが国周辺海空域における動向について引き続き高い関心をもって注視するとともに、わが国周辺海空域における警戒監視活動に万全を期してまいります。

Q:冒頭とちょっと関連するんですけれども、中露の連携の動きに関して伺います。先程紹介のあった中露の空軍がですね、日本海の合同パトロールを行ったり、先月は海軍がですね、日本を取り巻く海域で海上パトロールを行いました。この中露が連携する場面が目立ってるんですけれども、防衛当局としてどのような関心をもって見ているかということと、あと両国に対して何かしらの呼びかけや働きかけを行う考えはあるかについて教えてください。

A:中露の連携についてですね、これはそれぞれ強大な軍事力を持っている国がですね、共同による軍事活動というものを行っております。このことは、わが国に対するのみならず、各国に対しても懸念となるものであります。懸念を高めるというものと認識しておるところです。こうした中露の連携の動き、こうしたものについても高い関心を持って注視してまいりたいと思います。あと、申し入れについては、測量艦の航行については、中国側に対し、外交ルートを通じて、わが国の懸念を伝達しているところです。共同飛行について、両国に対してそれぞれの外交ルートを通じ、地域の安全保障上の観点から、わが国としての重大な関心を表明するとともに、先般の中露海軍艦艇による日本を周回する形での共同航行実施も踏まえて、中露両国の軍がわが国周辺での一連の共同行動を継続している状況に対して、安全保障上の観点から重大な懸念を伝達しています。

Q:関連しまして、中露の共同飛行に関しては、わが国に対する示威行動を意図したものだというふうにおっしゃっていましたけれども、今回の測量艦の領海侵入に関しては、どういった意図などは、分析されているものがもしありましたらお願いいたします。

A:彼らの意図についてはですね、引き続き分析中であります。いずれにいたしましても、測量艦の存在を確認し、そしてその後領海を通航したことを判断しておるところでございますので、外交ルートを通じて懸念を伝えているというような状況です。

Q:在日米軍駐留経費負担の関係でお伺いできればと思います。中国、ロシアの動向も含めて、周辺の安全保障環境の変化する中での交渉ということになるかと思いますけれども、日米同盟の重要性が高まっている中での交渉ということで、現在の交渉の状況や目指すべき方向性について、大臣、何かありましたらお願いいたします。

A:日米の両政府としては、本年の2月の合意に基づいて、令和4年4月1日以降の新たな特別協定について、合意に向けて交渉を継続しておるという状況であります。詳細については米側との関係もあります。まだ交渉中ですので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。いずれにせよ、交渉にあたっては一層厳しさを増す安保環境、そしてわが国の厳しい財政状況等も踏まえて、引き続き適切に対応してまいりたいと考えます。

Q:先ほど出た測量艦の関係で1点だけお尋ねします。当日発表があったときには、まだこれが無害通航にあたるのかどうか分析中だというお話だったんですが、そのあたりは何か進展ございましたら教えてください。

A:これについては、引き続き分析を行っているところでございます。

Q:今の件に関連してなんですが、測量艦が無害通航であれば、外交ルート通じて懸念を伝達する必要はないわけですよね。測量艦が測量をしている可能性が高いということで、外交ルートを通じて懸念を伝達したということではないんでしょうか。

A:中国艦艇がですね、無害通航であってもわが国の領海を通航した場合については、その状況によって懸念を伝達することはございます。いずれにしても、中国側に対して外交ルートを通じて、今般の中国測量艦の通航については、わが国周辺海域における中国海軍艦艇のこれまでの動向を踏まえて、わが国の懸念を伝達しているところでございます。

Q:関連してなんですが、外国の測量艦が日本の領海内に侵入して、測量している場合、海上警備行動の発令の対象になりますか。

A:状況によると思います。いずれにしても、無害通航とは判断できませんので、その場合はですね。

Q:潜没潜水艦の場合などは、無条件で海上警備行動の発令対象になると思うんですが、測量艦が測量している場合というのは100%ではなく状況によるということですか。

A:そういう状況によるものだと思います。

Q:場合によっては、測量艦が日本の領海に入って測量していても海上警備行動を発令しないことがあり得るということですか。

A:測量艦が測量しているかどうかということの判断がですね、非常に難しいところだと思います。その中で、状況によって判断されるべきだというふうに考えております。

Q:今回の場合は、まだ未だに測量艦が測量していたかどうかということは分からないということでしょうか。

A:今、分析中ということです。

以上