防衛大臣臨時記者会見

日時
令和3年11月23日(火)17:36~17:49
場所
防衛省A棟1階エントランス
備考
日越防衛相会談後の岸防衛大臣臨時会見

1 発表事項

 本日15時から16時50分の1時間50分間、ベトナムのザン国防大臣との間で、本年9月のベトナム訪問以来、約2か月ぶり、そして3回目となります日越防衛相会談を実施をいたしました。本年9月のハノイでの防衛相会談において、日越防衛協力は、我々二国間だけではなく、地域や国際社会の平和と安定のために、より積極的に貢献するための協力であるとの再定義したことを踏まえて、本日、この「新たな段階に入った日越防衛協力」の下で、日越がそれぞれの持つ強みやリソースを活かしながら、具体的な取組を進めていくことで一致をしました。その上で、最近の東シナ海・南シナ海を含む地域情勢について意見を交わしました。その中で、私とザン大臣は、既存の国際秩序と相容れない力による一方的な現状変更の試みについて強く反対をし、法の支配に基づく既存の国際秩序を維持するために日越が引き続き協働していくことなどで一致をいたしました。また、二国間協力について、今般、ザン大臣から国連アビエ暫定治安維持部隊(UNISFA)への参加準備のための知見共有に関する要請がありました。私から、陸上自衛官を中心とした要員のベトナムへの派遣を含む、所要の協力を行う旨申し上げ、この協力を「新たな段階に入った日越防衛協力」のモデルケースとして、引き続き積極的に進めていくことで一致をいたしました。防衛装備協力については、9月に署名された「日越防衛装備品・技術移転協定」を踏まえて、艦艇分野を含め、具体的な装備移転の実現に向け、引き続き協議を加速化していくことで一致をいたしました。このほか、本日、サイバーセキュリティ分野や衛生分野での協力に関する覚書が署名され、これらの分野での協力の具体化に向けて議論を進めていくことで一致をいたしました。また、ASEANとのサイバーセキュリティ能力構築支援事業を進めていくに当たり、ベトナムでの将来的な事業実施を含め、緊密に連携していくことで一致をいたしました。防衛省・自衛隊としては、本日の防衛相会談、そして、明日の日越首脳会談の成果も踏まえて、「新たな段階に入った日越防衛協力」の下、地域と国際社会の平和と安定に向けて一層積極的に貢献していく考えであります。もう一点あります。中国及びロシア空軍機の動向についてであります。11月19日金曜日、午前から午後にかけて、中国の爆撃機(H-6)が2機及びロシアの爆撃機(TU-95)これが2機ですね、日本海から東シナ海、更には太平洋にかけて、長距離にわたる共同飛行を実施したことを確認いたしました。これに対しては、航空自衛隊の戦闘機を緊急発進させるなど、継続的に監視を行いました。わが国周辺における中露両国によるこのような長距離にわたる活動は令和元年7月、昨年の12月以来3度目となります。過去2回と比べ、今般の飛行では、中露両国機はわが国の周辺に至る前に、中露双方の領空を相互に通過して日本海に進出したと思われるなど飛行態様の多様化が見られ、今後、中露がこのような活動を定期的に行い、更に軍事的な連携を深めていく可能性も否めません。両国の戦略爆撃機によるわが国周辺での度重なる軍事演習は、わが国周辺における活動の拡大・活発化を意味するとともに、わが国に対する示威行動を意図したものと考えられます。それぞれ強大な軍事力を保有する両国の共同による軍事行動は、各国の懸念を高めるものと認識をしております。先月の中露艦艇によるわが国の周回航行も含め、中露両国の軍がわが国の周辺で共同行動を継続している状況は、わが国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増していることを如実に示すものであり、安全保障上の観点から重大な懸念を有していると言えます。本日の日越防衛相会談においても、私からこの旨ザン大臣に申し上げたところであります。わが国が自由で民主的な国として繁栄を続けていくためには、国としての独立を全うし、国民の生命・財産を守りぬくことが当然の前提となります。そのため、防衛省としては、引き続き厳重な警戒監視等を実施するとともに、わが国の防衛力を大幅に強化するため、あらゆる努力を行っていく所存であります。また、自衛隊による活動に加え、同盟国である米軍との共同活動、さらには、価値観や利益を共有する諸外国の軍隊との様々な活動などを通じて、国の平和と独立を守り抜くとともに、地域の平和と安定に寄与していくという、わが国の強い意思と能力を明らかにしていく所存であります。

2 質疑応答

Q:冒頭2問お聞かせください。1点目ですが、改めてベトナムのザン国防大臣との会談を受け、御所感をお聞かせください。

A:ザン大臣とは、本年9月の私のベトナム訪問以来では約2か月ぶりです。そして、その前にテレビ会談をやりました。3回目の会談となりました。これは日越防衛当局間の強固かつ緊密な絆を示すものであります。本日の会談では、9月のハノイでの防衛相会談からわずか2か月足らずの間で、「新たな段階に入った日越防衛協力」の下で、ベトナムによるUNISFA参加に向けた協力について一致し、サイバーセキュリティ分野及び衛生分野での覚書の署名に至るなど、様々な分野での協力を、スピード感をもって具体化することができ、極めて実務的かつ有意義な会談であったと考えております。防衛省・自衛隊としては、本日の防衛相会談、そして、明日の日越首脳会談の成果も踏まえて、「新たな段階に入った日越防衛協力」の下で、引き続きベトナムと緊密に連携をとりながら、地域と国際社会の平和と安定に向けて一層積極的に貢献していきたいと考えております。

Q:2点目お聞かせください。ベトナムのクオン総参謀長と山崎統幕長も先週テレビ会談を行われていて、ベトナムは地政学的にも重要だと思われますが、そういった様々なレベルでの防衛協力についての展望など、お聞かせください。

A:日越防衛当局間では、本年9月の防衛相会談から、わずか2か月足らずの間で、今月19日には両国の統幕長級のテレビ会談が行われました。本日の会談ではサイバーセキュリティ分野及び衛生分野での覚書の署名に至り、ベトナムによるUNISFAの参加に向けた協力について一致するなど、様々な分野での協力を、スピード感をもって具体化することができています。私としては、本日の防衛相会談、また明日の日越首脳会談の成果も踏まえて、この「新たな段階に入った日越防衛協力」の下で日越がそれぞれの強みやリソースを活かしながら、地域と国際社会の平和と安定により積極的に貢献すべく、引き続き日越防衛協力を力強く推進させていきたいと考えております。

Q:今回、衛生分野とサイバー分野で覚書を結ばれたと思いますけれども、具体的にこの覚書を基にどういったことを協力関係としてやっていきたいか。あと、今回これだけ頻繁にベトナムと会談しているということで日本が重視している証だと思うんですけれども、どういった観点からベトナムが大事かといった点も併せてお願いします。

A:防衛省として、安全保障上の極めて重要な課題でありますサイバー分野、サイバー攻撃に対して、迅速かつ的確に対応するためには、わが国自身の体制強化のみならず、諸外国と効果的に連携していくことが大変重要と考えています。わが国にとってベトナムは「幅広い戦略的パートナー」であって、「自由で開かれたインド太平洋」を維持・強化していく上で重要な国であります。これまでもベトナムに対するサイバーセキュリティ分野の能力構築支援事業など、様々な協力を実施してまいりました。その一環として、「新たな段階に入った日越防衛協力」の下で、防衛当局間で覚書に署名をし、サイバーセキュリティ分野において一層協力を促進していくことは、両国のサイバー防衛能力の向上に繋がる重要な取組と認識をしております。防衛省として、本日署名された覚書を踏まえながら、防衛当局間で緊密なコミュニケーションを継続してまいります。今後、ベトナムとの間で、両国のサイバーセキュリティ防衛能力向上に資するよう効果的な連携が具体化していくことを期待をしています。2018年の日越防衛協力に関する共同ビジョンにおいて日越両国は、衛生分野での二国間協力を推進していくことで一致をしております。今回署名した覚書は、日ベトナム防衛当局間で今後協力が見込まれる分野について、両国の認識を確認するとともに、衛生分野での協力全般を促進していくことを目的としています。今後、本覚書に基づいて両国の防衛当局間の衛生分野における協力の促進に向けて防衛省として取り組む考えであります。覚書の具体的な内容については、相手方との関係もありますので、お答えは差し控えさせて頂きたいと思います。

Q:装備移転について、艦艇を含めて一層加速していくということですけども、わずか2か月ですが、何かこう進んだ議論ですとか、そういった議論だったりとかそういったものはあったんでしょうか。

A:中身については、相手方との関係もありますのでお答えを差し控えさせて頂きたいと思いますが、ベトナムとの間では、例えば様々な意見交換を今行っておるところであります。

以上