防衛大臣記者会見

日時
令和3年11月19日(金)11:21~11:37
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
岸防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 新型コロナウイルスであります。前回の定例会見以降、4名の隊員が新たに感染していることが確認されました。累計は4,881名ということになります。

2 質疑応答

Q:先ほど、官邸で経済安全保障の関係閣僚会議が開催されましたけれども、この分野において、防衛省としてどのように取り組まれていくか、現在の方針を教えてください。

A:本日の第1回の会議においてはですね、主要課題等について意見交換がなされ、そして経済安全保障の維持・強化に向けたわが国の大きな方向性の共有や、法案の策定に向けた各種準備に関する総理の御指示がありました。防衛省としては、防衛大綱に基づく防衛生産・技術基盤の維持・強化と並行して、政府内でこのような経済安全保障の取組が進展していくことは重要であると考えています。政府全体としての課題解決に貢献すべく、引き続き関係省庁と緊密に連携をしてまいります。

Q:日・フィリピン関係についてお伺いします。岸田総理は、日本とフィリピンとの間で「2+2」の設置、ということで首脳会談で合意しました。こちらついて、大臣は6月にロレンザーナ国防相と会談をしてますけれども、「2+2」でどういったことを議論していくか、期待することを教えてください。

A:17日ですね、岸田総理大臣とドゥテルテ大統領の間での電話会談において、10周年を迎えました戦略的パートナーシップを更に強化すべく、「2+2」の立上げに向けて検討を進めていくということで一致をしたところであります。地域の安全保障環境が厳しさを増す中で、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の構築のために、外交や安全保障に関する両国のハイレベルの連携強化へのコミットメントを示す観点から、今回の発表に至ったものであります。御指摘の点につきまして、現在、日・フィリピン両国間でこの「2+2」の立ち上げに向けて検討をしているという段階であります。防衛省・自衛隊ではですね、「自由で開かれたインド太平洋」の維持・強化に向けて、こうした枠組みを戦略的に活用しながら、地域情勢や二国間・多国間の協力などについても率直な議論を行って、地域の平和と安定に一層の貢献をしてまいりたいと思います。

Q:大臣、お尋ねしたいんですけど、時事通信と日経が既に「補正予算が7千億円以上要求」というふうにと書いているんですけれども、これは事実でしょうか。

A:周辺各国が防衛費の大幅な増額を今行っており、軍事力の強化を図るなどですね、わが国の周辺の安全保障環境というものがこれまでにない速さで変化をして、厳しさを増しています。そうした中で、現中期防に定める各種事業の実施をより一層加速し、防衛力を強化していく必要があります。令和3年度補正予算案の内容等については、現在、政府部内で調整中であります。必要な防衛力強化を加速するための予算をしっかりと確保できるように調整をしてまいります。

Q:大臣あの、前もこれお尋ねしたんですけど、本来補正予算っていうのは、編成当時に想定していなかった予算を手当てするものだというふうに財政法の29条に書いているんですけれども、航空機とかそういう装備はですね、そもそも想定するべきものであって、本予算で請求すべきものではないでしょうか。これをやらないっていうことは、防衛予算を過小に見せるっていうことでもあるんじゃないですか。結局、今年度の予算に入れたとしても、来年度の予算にこれ入れたとしても、両方ともこれ6兆円を超える金額になりますよね。そういうことは、国民に対してあまり不誠実ではないんじゃないでしょうか。

A:冒頭でも申し上げましたけれども、わが国周辺の安全保障環境がですね、これまでにないスピードで厳しさを増していると。このような中で、現中期防に定める各種事業の実施をより加速していくことが大変重要であるというふうに判断をしたところであります。

Q:なぜ来年度予算で要求しないんでしょうか。

A:まずは、今年度予算で要求していくことで加速をしていくということであります。

Q:それであの、そういうことでも説明しないかもしれませんけれども、日経でも「補正予算枠で装備を新規取得するのは異例だ」みたいな、こういう誤報を出しているわけですよ。防衛省の方として、なぜこういう予算のやり方をするかということをもっと丁寧に説明すべきでないですか。

A:内容については検討中でありますので、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。

Q:来年度以降のホストネーションサポートについてお尋ねします。アメリカからの増額要求に応えるための調整をしているという一部の報道もありますが、こちらの事実関係をお願いいたします。また、どれくらいの規模になって、今後のスケジュールもどうなっていくのかもよろしくお願いいたします。

A:日米両政府がですね、本年2月の両国の合意に基づいて、令和4年度、4月1日以降の新たな特別協定につきましては、合意に向けて交渉を継続していくということになっております。その詳細については、米側との関係もありますのでお答えを差し控えさせていただきたいと思いますけれども、いずれにいたしましても、交渉に当たっては、一層厳しさを増す地域の安全保障環境、またわが国の厳しい財務状況、こうしたものを踏まえまして、引き続き適切に対応してまいりたいと考えております。

Q:少し中長期的な視点に立った質問をさせていただきます。今週16日に、日本の海上自衛隊の潜水艦が、南シナ海でアメリカ海軍と初めて対潜水艦戦の訓練を実施したと発表されました。このように、今後、南シナ海で日本の潜水艦が共同訓練なり、共同監視活動、共同パトロールなりの活動が日常的になった場合に、航続能力に優れる原子力潜水艦を日本が保有すべきではないかというような議論が高まってくるのではないかと思うんですね。それで、一つその証拠として、16大綱、2004年の大綱を作った際に、2001年に政府内では、原子力潜水艦の保有の可否が議論された、検討させたというのを聞いています。2001年に比べれば、今の、大臣御承知のとおり、東アジアの安全保障環境がかなり厳しくなっていると思うんですね。それを踏まえて、9月の自民党選でも2人の候補、高市さん、河野さんが原潜の保有に前向きな発言をされましたが、大臣、この間、防衛大綱に向けての会議も発足されましたが、日本の原子力潜水艦の保有の議論は、これから中長期的に考えて議論する価値があるかどうか、今後10年を見据えてですね、南北朝鮮も原子力潜水艦保有の計画を目指していますけれども、オーストラリアもそうですね、そういうことを踏まえて、原潜の保有可否の議論を、原潜の保有を検討する価値があるかどうか、現状を踏まえて、率直に御意見をお聞かせください。

A:まず、訓練については、今、安全保障環境非常に厳しさを増しています。そこに対応するために実践的な訓練を積み重ねていく、この必要が、前以上に必要になっているというふうに考えております。原子力潜水艦の保有については、これまでも様々な議論がなされているところであります。わが国の安全保障環境を踏まえながら、しっかりと考えていかなければいけない。今、原子力潜水艦をすぐに議論といいますか、保有についての議論を行っているという状況では特にございません。過去の議論は必ずしも詳らかではありませんが、引き続き、通常の能力向上を目指していきたいというふうに考えます。

Q:昨日ですが、普天間飛行場の方でオスプレイを使ったつり下げ訓練というのが実施されました。確認した範囲では2回目のようなんですが、度重なるこの訓練に対してですね、いわゆる世界一危険な飛行場と言われているものに、更に輪をかけるような危険な行為じゃないかと。この政府の掲げる危険性の除去というものに反するのではないかという声が市民から出るのもまあもっともなことだと思うんですけども、大臣の見解としては、受け止めとしてはどうでしょうか。

A:昨日、14時45分頃及び15時20分頃から16時20分頃にかけて、普天間飛行場内において、MV22のホバリングした状態で物資を上げ下げする様子というものが確認をされております。米軍は、従来その任務遂行能力を維持し、日米安保条約の目的を達成するために必要な訓練を様々行っているところであります。その中で、米軍が訓練をするに当たっては、公共の安全に妥当な配慮を払うのは当然のことであります。防衛省としては、引き続き、米軍と密接に連携を図りながら、安全面に最大限の配慮を求めて、地元の皆様に与える影響が最小限にとどまるように、適切に対応してまいりたいと考えております。

Q:陸自の水機団用に、ATV(汎地形車両)6両が今年調達されて試験運用されていたんですけれども、結局これ、オスプレイに載せるはずが、横幅が狭すぎてほとんど実際乗らないということが分かっています。これを多分、採用はしないんだと思うんですけれども、なぜこういう、サイズは分かっていたわけでなぜこれをやったかっていう。結局聞くとですね、もっと小さいモデルの川重にあったと。聞いたんですね。それを使ってしまうと、道交法で公道を走れない。だからこれにしたんだって話があるんです。こういうですね、自衛隊を縛る法律って多々、このATVに限らず多いと思うんですけれども、それをなぜ防衛省の方で、そういう法制を直そうという努力をなさらないんでしょうか。多々、壁面通過レーダーも過去そういう形で防衛省で開発されたことがあるんですけれども、そういう、規制があるからこれを使えない、だから変な物を買う、ということがなぜこう、長年放置されているんでしょう。

A:防衛省の装備に関する運用について、それを規制するような法律についてはですね、他省庁ともしっかり協議をしてまいりたいと考えます。

Q:小泉内閣の時代に国民保護法、有事法が成立して、それまでは病院も、自衛隊の持ってる病院が実際に使えなかった。使ってしまうと「潜り」になってしまう。演習でしか使えない病院も平気に運用してたわけですよ。そういうことは、まあ多少なりとも進歩があったわけですけれども、それ以降の政権で、全くそういう法制面での問題点を解消していないように思うんですけれども、大臣いかがお考えでしょう。

A:必要な法整備に関しては、事務方でも引き続き協議をしてまいります

Q:自民党の方から、防衛費を2倍にしようという話があると思うんですけれども、実質的にはそれ、何を根拠に2倍というので議論をされているのかなというのが気になりまして。今、わが国の政府が言っている防衛費、大体GDPの0.9%台ということなんですけれども、NATOの基準で計算すると1.4%台になると。そうすると、そのどちらを基準にするかによって、その防衛費2倍という議論も、金額も変わってくるかと思うんですけれども、大臣は何を基準にそういう議論をなされた方がよろしいと思われますでしょうか。

A:GDP比較の問題は、与党内でも、あるいは他の党も含めた中で、様々な議論がなされているのは承知をしております。我々としてですね、わが国の平和と安全を守るために必要な装備を整えていかねばならないと考えております。

Q:何を基準に、議論のたたき台として、こっちとこっちで違う基準を基に議論をしてもかみ合わないかと思うんですね。例えばその、今のわが国のそのGDP比で計算したものなのか、NATOの基準で計算したものなのか、どちらをベースに議論をするべきだというふうにお考えでしょう。

A:それは私たちが決めるような話ではないというふうに思います。

以上