防衛大臣記者会見

日時
令和3年11月10日(水)10:11~10:34
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
岸防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 コロナであります。前回の定例会見以降、3名の隊員が新しく感染をいたしました。累計は4,872名となります。昨日11月9日、ボワルディ・アラブ首長国連邦国防担当国務大臣との間でテレビ会談を実施をいたしました。私からは、在アフガニスタン大使館員のカブールからの出国に際しまして、UAEからの支援に対して謝意を申し上げました。二国間の防衛協力・交流についての意見交換を行い、ボワルディ大臣とは、2022年の日UAE外交関係樹立50周年に向けて、防衛当局間においても緊密なコミュニケーションを継続するとともに、引き続き防衛協力・交流を推進していくことで一致をしたところです。あわせて、私からは中東地域における日本船舶の安全確保を目的とした自衛隊の情報収集活動について言及をいたしました。中東地域における平和と安定及び航行の安全の確保のため、引き続き連携することで一致をいたしました。

2 質疑応答

Q:今日午後にも第2次岸田内閣が発足する見通しです。総理が取り組みたいとしている国家安全保障戦略の見直しと基地攻撃能力の保有の議論について、年内にも与党協議という報道がありますが、与党協議の進め方のイメージ、スケジュール感を教えてください。

A:報道については承知をいたしておるところですけれども、この国家安保戦略の策定に関する具体的な日程、内容などは、現時点では決まっておりません。今後調整してまいりたいと思います。

Q:10月19日の北朝鮮のミサイルについてですが、昨日、防衛省は発射数を2発から1発へと訂正しました。こうした事態への受け止めと今後の再発防止策について、大臣のお考えをお聞かせください。

A:昨日のピンナップと重複いたしますけれどもお答えをいたします。北朝鮮が10月19日に発射した弾道ミサイルについて更なる分析を進めた結果、新型のSLBM1発が飛翔時にとった変則軌道は、低高度を飛翔するとともに、一旦下降してから再度機動して上昇する、いわゆるプルアップ機動であったと分析をしております。なお、飛翔距離は約600キロとの分析に変わりはありません。一方、北朝鮮側の発表では、「側面機動」が導入されたとされております。その意味するところが必ずしも明らかではありませんが、仮にこれが水平方向への機動を意味するものであれば、今般の発射において、顕著な水平方向への機動があったとは評価しておりません。今般発射されたミサイルについて、2019年5月4日等に発射された短距離弾道ミサイルA、いわゆる「イスカンデル型」の「KN-23」との外形上の類似点があり、同ミサイルをベースとして開発された可能性があります。短距離弾道ミサイルAと同様、新型SLBMにおいて、操舵翼の可能性があるものが確認でき、こうした操舵翼による空力制御等の機構により、変則的な軌道での飛翔が可能となっていると推定しています。また、10月に行われました「国防発展展覧会」に登場した展示物のうち、これまで北朝鮮により名称等が発表されていないSLBMの展示物とみられるものと外形上の類似点が多く、該当展示物は、今般発射されたミサイルを表したものである可能性があります。北朝鮮は、弾道ミサイルを発射可能なコレ級潜水艦1隻を保有しております。2016年からは同艦から「北極星」型SLBMを3回発射しているとみられます。コレ級潜水艦は、SLBM1発のみを搭載可能とされており、主に試験艦として運用されているとみられています。これに加えて、北朝鮮は、従来保有するロメオ級潜水艦を改修したとみられていますが、現時点において、これが運用段階にあるとは考えておりません。こうした北朝鮮の潜水艦の動向や、今般のミサイルが「北極星」よりも一回り小さいことを踏まえると、北朝鮮は、発射管など一部を改修した上で、今般の新型SLBMをコレ級潜水艦から発射したものと推定しています。なお、19日以来、引き続き分析中としてきたもう1発については、その詳細は、わが方の情報収集能力に関わることからお答えを差し控えますが、諸情報の総合的な分析を通じ、諸条件が重なった結果、能力が向上した警戒監視レーダーが偶然に宇宙物体を捉え、それを弾道ミサイルの航跡と判断したものとの分析に至りました。変則軌道での飛翔などを含めて、昨今の北朝鮮による核・弾道ミサイル関連技術の著しい発展や、その多様化・複雑化は、わが国及び地域の安全保障にとって看過できないものであります。引き続き、警戒監視・情報収集に万全を期すべく、今回のような事案が再び起きないよう、対応の手順を見直すとともに、能力向上に努めてまいりたいと思います。

Q:今日、第2次岸田内閣が発足して林元文部科学大臣が外務大臣に就任する方向で報道されておりますけれども、新しい外務大臣とですね、今後、国家安保戦略なり、アメリカとの関係なり、「2+2」などもあると思いますけれども、どのように外交防衛政策を担っていかれたいかということころの抱負をお願いできますでしょうか。

A:外務大臣の人事が今日行われるわけでございますから、また新たな方とですね、しっかり「2+2」なり国家安保戦略なり、そうした分野で取り組むことを楽しみにしております。安全保障環境、非常に厳しさを増している中、その状況がこれまでも続いておりますので、しっかりした対応を外務大臣とともにとってまいりたいと思います。

Q:話題変わりまして、辺野古の工事現場に軽石が漂着して、現在工事が中断しています。長期化すれば進捗にも影響が出てくるかと思いますが、防衛省として関係省庁などと撤去に向けた調整などされてますでしょうか。

A:本年8月に発生しました海底火山の噴火による軽石が、キャンプ・シュワブの沿岸でも確認されたことから、作業船への影響を踏まえて、普天間飛行場代替施設建設事業の一部につきまして、11月8日以降、作業を一時中断しておりましたが、本日は、状況が改善したため作業を再開しております。また、漂着した軽石の撤去については、現在、その要否も含め対応を検討しているところでありますが、政府内の検討状況も踏まえて、適時適切に対応してまいたいと考えております。

Q:一部報道で、尖閣諸島などの防衛力強化のために、南西諸島で那覇空港以外の空自展開、飛行場群の創設を検討とありましたが、事実関係等教えてください。

A:現時点におきましては、南西諸島の民間空港を利用して、自衛隊の戦闘機や部隊の配備を新たに行う具体的な計画というものは有しておりません。わが国を取り巻く安全保障環境を踏まえれば、南西地域の防衛体制の強化は重要な課題と認識しております。今後とも様々な方策を検討してまいりたいと考えております。

Q:話題戻りまして、ミサイルの発射数の訂正の関係なんですけども、10月19日の発射から、これまで時間がかかったということの、これについての評価とですね、あと当初から1発というふうに発表していたアメリカや韓国との間で、この件に関して何かやりとりがあったのか教えてください。

A:今般の発表につきましては、防衛省において、専門的・技術的な分析を行うのに相応の時間を要しています。こうした分析・準備が整ったことから、昨日ですね、お示しをしたものでございます。当初「もう1発」と発表していたものですが、諸情報の総合的な分析を通じて、諸条件が重なった結果、極めてまれな事象が発生をいたしました。偶然に宇宙物体を捉えたものであったとの分析に至ったことから、今般こうしてお示しをしたものであります。変則軌道での飛翔などを含めて、昨今の北朝鮮による核・ミサイル関連技術の著しい発展や、その多様化・複雑化は、わが国及び地域の安全保障にとって看過できないものであると認識をしております。引き続き、警戒監視・情報収集に万全を期すべく、今回のような事象が再び起きないように、対応の手順を見直すとともに、能力の向上に努めてまいりたいと考えております。

Q:この件に関して、アメリカや韓国が当初1発と発表していたと思うんですけれども、防衛省、日本政府の間でやりとりはあったんでしょうか。

A:日米韓とはですね、一般論ですけれども、常に情報交換・情報収集をしておるところでございます。具体的な中身についてはお答えを差し控えさせていただきたいと思います。

Q:ミサイルの件でもう1点お尋ねします。対応手順を今後見直すというお話ありましたけれども、先ほどの別の記者も質問しておりましたが、米国、韓国は当初から1発というふうに発表しておりました。これから日本がミサイル発射について発表をする場合にはですね、米国、韓国との情報を擦り合わせた上での発表になってくるんでしょうか。この辺りはどのようになるんでしょうか。

A:まず、「もう1発」と発表していたものにつきましては、先ほども申しましたように、諸条件が重なった結果、極めて稀な事象が発生しました。偶然に宇宙物体を捉えたものと考えておるところでございます。その上で、これまで北朝鮮による弾道ミサイルの発射について、自衛隊の警戒監視レーダーによる情報を含む各種情報を総合的に勘案して分析を行ってきておるところです。今後を含めて、わが国レーダーの運用の詳細については手の内を明らかにすることとなりますので、お答えを差し控えさせていただきますが、防衛省・自衛隊として、飛翔体の情報の確度を高めるための方策を実施してまいりたいと考えております。

Q:すみません、ちょっと私の質問の仕方が悪かったのかもしれませんが、今後ですね、弾道ミサイルが発射された場合に、防衛省の方から例えば弾数ですとか、飛翔距離など発表するにあたっては、韓国側、あるいは米国側と情報を調整した上で、擦り合わせた上で発表するということになるんですか。こういったミスを防ぐために。

A:状況に応じて対応するということになると思います。適切に対応してまいりたいと思います。これまでも日米韓とですね、情報共有は行っているところではございますけれども、その対応については適時適切に行ってまいりたいと考えております。

Q:すみません、その情報共有を適時行っている中で、なぜ、先方は1発と言っている中で、日本は2発というふうに発表したんですか。

A:防衛省・自衛隊として収集している個別の情報というのもございます。そうしたことを判断をして、今回「もう1発」という発表をさせていただきました。

Q:ミサイルについて伺いたいんですが、2009年に、防衛省のミスで、北朝鮮が発射していないのに北朝鮮がミサイルを発射したという発表をしてしまって、それを北朝鮮が揶揄したっていう件がありましたけども、このときはなぜ誤情報を防衛省が政府に流したかという詳細な説明があったのですが、今回は全く詳細な説明がないと。今後されるつもりはありますでしょうか。

A:平成21年4月4日の事案につきましては、情報伝達の過程でSEWの有無についての確認をすべきところが、守るべき情報伝達手順を怠った結果、実際に発射が確認されていないにもかかわらず、発射との誤報を伝達したものと承知をしております。このため、同事案を受けて、再発防止策として、防衛省の中央指揮所や航空総隊司令部におけるSEWの有無に係る確認の徹底、官邸危機管理センターへの情報伝達の際のSEWの有無に係る確認の徹底、情報伝達の際の分かりやすい言葉の使用の徹底等を行うこととしたところでございます。こうした誤報事案を踏まえた情報伝達については、今回の事案についても適切になされていたものと認識をしております。北朝鮮からの弾道ミサイルの発射の事実についても、今回適切に確認をしております。今回はわが方の情報収集能力の開示と密接に関係するため、可能な限りで説明をしていることころであります。

Q:前回は極めて詳細に、どういう手順で、どこからどういう情報が伝わって、どこがどういう判断をして、どういうポストの人が官邸に伝えたかということまではっきり説明してますが、今回は説明されるおつもりはありませんでしょうか。

A:前回は、先ほども申しましたけども、人的な部分もございます。そういう意味で説明をしたところがありますけれども、今回はですね、わが国の情報収集能力についてですね、密接に関連する情報となりますので、詳細についてはお答えを控えさせていただきたいと思います。

Q:逆に説明しないと、前回のように北朝鮮に揶揄されたり、あるいは韓国から揶揄されたりということがあり得るんじゃないでしょうか。

A:北朝鮮は当事者です。韓国とはまた取る情報も違っておりますから、そのことについて、先方からですね、揶揄をされても、そこは我々としてやるべきことをやっていくということだと思います。

Q:先ほどの、辺野古のですね、軽石漂着で、工事を今日再開したということなんですけれども、その再開したというのは、軽石の影響がいわゆる避けられるということが確認できたから、影響のない部分から再開したのか、それとその軽石を撤去するというお話でしたけれども、その撤去の方法に関しては、何かオプションとしてはどういったものがあるのか、民間に委託するですとか、自衛隊の方に出動をお願いだとか、色々オプションはあると思うんですけれども、色んなオプションがもし決まっておりましたらよろしくお願いします。

A:撤去の方法とか、そういった詳細につきましては、今後自治体等とですね、調整してまいるところでございますけれども、詳細は事務方にお聞きをいただければと思います。撤去を決めたということではございません。ただ、状況が改善したということで工事を再開、ということであります。

Q:再開したのは、いわゆる影響がないという判断のもとで再開したとうことですか。

A:今の状況は、今日の時点では状況が改善したので、影響が出ないという判断から再開ということだと思います。

Q:県内の一部の海岸で、なんかその軽石が一夜にして、たぶんその潮流か何かで流されたと思うんですけれども、そういった現象があったということなんですかね。

A:日々、軽石の量は変わってまいると思うんですけれども、作業ができる程度の軽石の漂着という状況から、再開を判断したということだと思います。

以上