防衛大臣記者会見

日時
令和3年11月5日(金)10:42~10:51
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
岸防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 新型コロナですが、前回以降新たに感染した隊員は、現時点で確認されておりません。累計は、4,869名で変わりはございません。自衛隊記念日の記念行事であります。令和3年度の自衛隊記念行事の日程に関して、観閲式について、11月27日に陸上自衛隊朝霞駐屯地において、無観客の形態で総理大臣による視察及び訓示を実施することとなりました。観閲式は、自衛隊最高指揮官である総理大臣に部隊を観閲していただき、もって、隊員の使命の自覚及び士気の高揚を図るとともに、国民の皆様の自衛隊に対する理解と信頼を深めていただくことを目的として実施をしております。このため、観閲式の様子については、映像配信を実施し、国民の皆さまにもご覧いただき、防衛省・自衛隊への理解を深めていただけるよう努めてまいります。次に、任務遂行中に不幸にして職に殉じた隊員を追悼するため、自衛隊殉職隊員追悼式を11月20日に防衛省市ヶ谷庁舎講堂において、総理大臣御来席のもと、参列者を限定して規模を縮小して実施をいたします。その他の行事については、新型コロナウイルス感染症の状況を考慮し、感謝状贈呈式、自衛隊音楽まつり、体験飛行及び自衛隊記念日レセプションは中止をいたします。なお、自衛隊音楽まつりについては、その代替行事として、昨年度と同様に「青少年のための3自衛隊合同コンサート」を令和4年3月28日から30日に開催をいたします。

2 質疑応答

Q:アメリカの国防総省が発表しました中国の軍事動向に関する年次報告書において、中国が2030年までに、少なくとも1,000発の核弾頭を保有する意向を持っている公算が大きいと強調しました。400発台と指摘した昨年版の想定から大幅に引き上がったということになりまして、核の脅威が高まって、地域の安全保障環境悪化も懸念されます。大臣の御所感とですね、それを含めて中国の軍拡が急速に進んでいる現状について、あわせて御認識をお伺いできますでしょうか。

A:米国防省は、現地時間3日に、「中国の軍事及び安全保障の発展に関する年次報告書2021年版」を公表したと承知をしております。報告書では、中国は、核戦力の近代化、多様化、拡大を目指しており、陸海空の核運搬手段に投資してその数を増やすとともに、2027年までに最大700発の運搬可能な核弾頭を保有し、また、2030年までに少なくとも1,000発の核弾頭を保有することを企図している可能性を指摘していると承知をしております。米国防省の分析内容や、その変化についての一つ一つにコメントすることは差し控えたいと思いますけども、防衛省として、中国は、国防費の高い伸びを背景に、核・ミサイル戦力や海上・航空戦力を中心に軍事力を広範かつ急速に強化しつつ、宇宙・サイバー・電磁波といった新たな領域に関する能力の強化、また、いわゆるゲームチェンジャーの技術の開発にも力を注いでいるとみています。また、東シナ海、南シナ海、太平洋などにおける活動を引き続き拡大・活発化をしておるところです。こうした中国の動向は、国防政策や軍事に関する不透明性と相まって、わが国を含む地域と国際社会の安全保障上の強い懸念となっています。軍事動向等については、今般の報告書の内容も含め、今後とも強い関心を持って注視してまいりたいと考えております。また、引き続き、関係諸国とも連携しつつ、安全保障分野における様々な対話や交流を通じ、中国に対し、核政策も含め、国防政策及び軍事力の透明性向上や国際的な行動規範の遵守を働きかけていきたいと考えております。

Q:今の質問に関連しましてですね、アメリカの報告書からは、やっぱり核弾頭の保有を増やしていくという中国がですね、その方向性というのはですね、見えてくると思うんですけれども、現在、日本がですね、いわゆる「敵基地攻撃能力」の議論も進めていくという中で、この中国の核弾頭を増やしていく方向性がこの報告書から見えることについては、どのようにお考えになってますでしょうか。

A:分析内容の一つ一つに、今コメントをすることは控えたいと思います。その中で、核弾頭の増という形を中国が打ち出そうとしているということについてはですね、今の厳しいこの安全保障環境を更に複雑化させていく可能性もあると思いますので、我々としてはしっかりと注視をしてまいりたいと思います。

Q:やはり、かねてからおっしゃっていますけれども、いわゆる「敵基地攻撃能力」の議論を進めていくという重要性については、どのようにお考えでしょうか。

A:これは中国の動向如何に関わらず、わが国を守り抜くために何が必要かということを考えていかなければならないと思います。「敵基地攻撃」も含めて、様々なオプションを含むですね、わが国の防衛力をしっかり整えて、抑止力を高めていくということが必要であると思います。

Q:台湾関係について伺います。米軍のミリー米統合参謀本部議長がですね、今月、中国が台湾に侵攻する可能性について、半年や1年2年という近い将来に起こり得ると思わないという認識を示しました。大臣として、この発言に対する受け止めをまずお聞かせください。

A:これは、ミリー統参本部議長がシンクタンクのイベントにおいて発言をされたということ、このように承知をしておりますけれども、一つ一つにコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。その上で、台湾をめぐる情勢については、国際社会の安定にとっても重要であります。台湾をめぐる問題について、わが国としては、当事者間の直接の対話により平和的に解決されることを期待するというのがこれまでの一貫した我々の立場であります。近年、中国が軍事力を強化させている中で、中台の軍事バランスは全体として中国側に有利に変化し、その差は毎年大きくなっていると考えております。中国の台湾周辺における活動の活発化、こうしたことについて、防衛省としても引き続き関連動向についてしっかり注視をしてまいりたいと考えております。

以上