防衛大臣記者会見

日時
令和3年10月26日(火)11:14~11:27
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
岸防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

  新型コロナウイルス関連です。前回の定例会見以降、6名の隊員が新規に感染していることが確認をされました。一方で、前回の会見の際に感染者として報告をいたしました4名のうち1名は、新型コロナウイルスに感染していなかったことが判明をいたしました。これで、本日までの累計は4,866名となります。また、自衛隊員のワクチン接種状況については、10月22日までで、24万7千人、約94%に対して第1回目の接種が行われました。22万9千人、87%に対して第2回目の接種が行われたところであります。中国及びロシアの海軍の艦艇の動向について申し上げます。10月18日から23日にかけて、10隻に及ぶ中国・ロシアの海軍艦艇が、わが国を周回する形で、津軽海峡、伊豆諸島周辺海域及び大隅海峡を通過し、東シナ海へ向けて航行したことを確認しました。伊豆諸島周辺海域及び東シナ海においては、両国の海軍艦載ヘリの発着艦を確認いたしました。防衛省・自衛隊としては、厳重なる警戒監視を行うとともに、わが国近傍におけるヘリの飛行に対しては、航空自衛隊の戦闘機をスクランブル発進をさせて対処したところであります。わが国周辺における中露両国によるこのような大規模かつ長期間にわたる活動は、初めての確認であります。極めて異例なことであると思います。わが国近傍において、10隻もの艦艇により軍事演習を行いながら、わが国を周回させる形で航行したことは、わが国に対する示威活動を意図したものと考えております。このような行動は、わが国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増していることを如実に示すものであって、地域の平和と安定の観点からも重大な関心をもって注視すべきものであります。わが国が自由で民主的な国として繁栄を続けていくために、国としての独立を全うし、国民の生命・財産を守りぬくことは当然の前提となります。そのため、防衛省としては、引き続き厳重な警戒監視活動を実施するとともに、わが国の防衛力を大幅に強化するため、あらゆる努力を行っていく所存であります。また、自衛隊による活動に加え、同盟国である米軍との共同活動、さらに、価値観や利益を共有する諸外国の軍隊との様々な活動などを通じて、国の平和と独立を守るとともに、地域の平和と安定に寄与していくという、わが国の強い意思と能力を明らかにしていく所存であります。

2 質疑応答

Q:冒頭御発言のありました中露の艦艇の合同巡視活動と彼らが発表しているものについてですが、今回の中露の活動に関する分析、また今回軍事的な圧力、挑発を指摘する声も聞かれますが、改めて大臣の受け止め、お考えをあわせてお聞かせ下さい。

A:冒頭申し上げましたように、わが国周辺における、この中露の両国によるこのような大規模かつ長期間にわたる活動は初確認のことであります。極めて異例です。わが国近傍において10隻もの艦隊により軍事演習を行いながら、わが国を周回させる形で航行したことは、わが国に対する示威活動を意図したものと考えられます。このような行動は、わが国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増しているということが如実に示されたものであって、地域の平和と安定の観点からも重大な関心を持って、注視すべきものであると思います。中露両国は、昨年や一昨年に、日本海、東シナ海などにおいて、爆撃機による共同飛行を行うなど、近年、緊密な軍事協力を進めているところでありますが、わが国としても高い関心を持って注視していく考えであります。

Q:今月19日に北朝鮮が発射をした弾道ミサイルについてですね、アメリカのペンタゴンは昨日の会見で発射されたのは1発というふうに分析しています。防衛省は発射したのは2発というふうに発表しているかと思いますが、分析中としていたもう1発について新たに分かっていることがあればお願いします。

A:北朝鮮が19日に発射した弾道ミサイルについては、各種の情報を基に、徹底した分析を行っており、分析結果が出たら速やかに報告をしたいと思っております。いずれにせよ、防衛省として、引き続き関連情報の収集・分析を努めるとともに、警戒監視に万全を期してまいりたいと考えます。米国、韓国を始めとして、関係国と緊密に連携をしながら、国民の命、平和な暮らしを断固守り抜く決意であります。こうした状況を踏まえて、総理の御指示の下で、いわゆる「敵基地攻撃能力」の保有も含めた、あらゆる選択肢を検討し、防衛力の抜本的な強化にも取り組んでまいりたいと考えます。

Q:発射されたのは2発という分析のまま変わらずという認識で合っていますでしょうか。

A:いわゆるもう1発については、引き続き、分析を行っています。

Q:中国とロシアの動向についてですね、関連して質問させていただきたいのですけれども、こうした活動が初確認で、極めて異例だというような御認識を示されたと思うんですけれども、これは重大な関心を持って注視をしていくということなんですが、こうした活動ですね、懸念であるとかですね、脅威であるとか、もう少し高いレベルで認識を示されることはありますでしょうか。懸念や脅威ということについてはどうでしょうか。

A:言葉はともかくとして、事態としてですね、このようなことが行われたのは初めてのことであります。また、中露間での連携がとられていること、非常に航行においても長期間に渡っていることなど考えてもですね、わが国の安全保障環境が厳しさを増していることを如実に示したものであるということは間違いないところであります。そうしたことに対して、わが国としてはしっかりと関心を持って注視をしていく必要があると考えております。

Q:関連しましてもう1問なんですけれども、こうした中露のですね、共同した活動というのは活発になっていると思うんですけれども、防衛省・自衛隊の警戒監視活動ですね、これを強化されていくというようなお考えはございますでしょうか。

A:従来から、この警戒監視活動においては万全を期しているところではありますが、周辺国の活動が活発化している中で、そのような警戒監視についても怠りのないようにしてまいりたいと考えます。

Q:中露の艦艇の関連でお伺いさせていただきます。日本もですね、米国などと共同して各地で共同訓練などやっていると思うんですけれども、こうした今年、特にそういう訓練が多いかと思うんですけれども、こうした活動が中露の動きの引き金になっている可能性っていうのはどういう風に御覧になっているでしょうか。

A:我々の行っている共同訓練等ですね、これは周辺国にも十分配慮したものと考えておりますし、必要な共同訓練によってそれぞれの地域の平和と安定にも寄与するものになっていると考えております。

Q:関連で、それぞれが共同訓練とかをどんどんやっていくと、事態がエスカレートしていく可能性もあると思うんですけれども、改めて中国やロシアと防衛当局間でも対話していく必要性というのはどういう風にお考えでしょうか。

A:常にですね、中国やロシアを含めて国際社会との間でしっかりとした対話を基に、地域の平和と安定、繁栄のために努力をしてまいりたいと考えます。

Q:別件でですね、先日、大臣、日経新聞とCSISのシンポジウムで安保戦略や大綱、中期防の改定に当たって3つの留意点ということを申し上げておりました。これは、防衛省としてもこの考え方で今後議論を進めていくという理解でよろしいでしょうか。

A:私は22日ですね、日経・CSIS共催のシンポジウムに講演をいたしましたけども、その際、現下の厳しい情勢から目を背けることなく、何が足りないかをしっかりと見極めるということ、旧来の固定的な考えから脱却し、将来にわたり意義が低下する部分は思い切って見直しをすること、また、世界の先端軍事技術に遅れないように、新たな技術を積極的に取り入れていくこと、この3点について留意していきたいと述べたところであります。私としては、この3点に留意しながら政府内で議論を行ってまいりたいと考えておりますが、講演において述べました、時期・内容等ですね、詳細については今後調整をしてまいりたいと考えます。

Q:関連で最後に1問だけ。今、おっしゃったところで、将来にわたり意義が低下する部分は思い切って見直すということでしたけれども、これは防衛力としても、今持っている防衛装備品ですとか、軍隊というか、組織の中でどういったものを具体的に、何か念頭にあるものがもしありましたらお願いいたします。

A:具体的には申し上げませんが、非常にコストがかかっている部分があると思います。相手側からコストをかけさせられている部分もあると思いますけれども、そういったところで、効果との関係でですね、しっかり見直しする部分については見直しをしていくということだろうと思います。

Q:中露の艦艇の活動の関連なんですが、昨日、米海軍のデル・トロ長官と大臣、表敬訪問で会談されていまして、その際にも中露艦艇について触れられたと思います。先ほどおっしゃられた示威活動を意図したものと考えられるという部分について、デル・トロ長官とそうした認識を共有されたのかどうか、この中でどういったお話があったかどうか、教えて下さい。

A:デル・トロ長官の表敬訪問を受けたわけですが、内容については、一つ一つについて今、申し上げることは差し控えさせていただきます。ただ、わが国を取り巻く安全保障環境が非常に厳しさを増す中で、日米同盟の必要性というものについてはですね、お互いにまた考え方を一つにしたところであります。

以上