防衛大臣記者会見

日時
令和3年10月1日(金)11:12~11:34
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
岸防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 会見に入る前に一言。先日は私自身の健康管理の不手際から皆様に、まず閣議を始めとする公務の欠席をいたしましたし、皆様との大切なコミュニケーションの場である、この会見の場をドタキャンすることになりまして、迷惑をお掛けしました。お詫びを申し上げたいと思います。残された期間、しっかり役目を努めてまいりたいと思います。私からはコロナ関連ですが、27人の隊員が新たに感染していることが確認されました。これまでの累計で4,849名の隊員が感染が確認されております。自衛隊員のワクチン接種状況ですが、9月24日までに、約22万5千人、約86%に対して第1回目の接種が行われました。また、約15万6千人、約60%に対しまして第2回目の接種が行われたところでございます。以上です。

2 質疑応答

Q:冒頭大臣からご説明ありましたようにですね、体調不良で御欠席されたということなんですけれども、心配する声もあると思いますが、1週間ぶりの会見ですけれども、現在の体調について少しお聞かせいただけますでしょうか。

A:今週の月曜日にちょっと熱が高くなりまして、大事をとってお医者さんに診てもらったんですけれども、コロナではなかったんですが、尿路感染ということでありました。静養が必要だということでありましたので、だいたい昨日一昨日には熱自体は下がってたんですけれども、その他の様々な指標、まだ下がり切ってなかったんで、様子を見てたところです。状況も随分改善したので、今日から復帰をいたしました。

Q:一昨日はですね、岸田新総裁が誕生しましてですね、大臣としての岸田新総裁への期待とですね、菅内閣としての閣僚会見は今日で実質最後になると思います。岸田新総裁への期待と、一年間振り返ってみての感想をお聞かせ願えないでしょうか。

A:まず、一年間を振り返ってお話をしたいと思いますが、この1年、9月の就任以来ですね、現場の状況をしっかりこの目で確かめていきたいと考えまして、北海道から沖縄・与那国島まで、現場でしっかり任務に励む隊員の皆様に接してまいりました。真摯にこの職務に取り組む隊員の姿に接してきたわけですけれども、この全国の隊員に対してまして、心からの敬意を表したいと思います。また、わが国の防衛という崇高な使命に、この隊員の皆様とともに就くということで、私自身も責任の重さを感じておりましたし、共にこの仕事を担うことができたということを誇りに思っております。また、この1年間、例えば弾道ミサイルへの対処といった事態対応、また、JPIDDで議長を務めたことをはじめとしてですね、各国との防衛協力・交流に尽力をしたこと、大規模接種センターをはじめとする、このコロナ感染症対応、長く厳しい闘いの、とても内容の濃い一年間だったというふうに思います。私を支えてくれた全国の隊員の皆さんに感謝を申し上げたいと思います。また、岸田政権が始まります。安全保障環境が非常に厳しい中でのスタートとなるわけでございますが、このような状況の中で、岸田政権においても、引き続き、わが国の平和と国民の安全、そして領土・領海・領空をしっかりと守っていくという責務をしっかり果たしていかなければいけないんだろうというふうに思っております。期待をしておるところでございます。

Q:今のに関連してお伺いいたします。次期政権に向けて、防衛上の課題、こういったことを今後解決していくべきだというような考えがありましたら教えていただけますでしょうか。

A:まず、先程も申しましたけども、わが国を取り巻く安全保障環境の厳しさ、スピード、これまでにないスピードで厳しさを増しています。その中で、わが国をしっかりと守り抜いていくためのわが国自身の防衛力を整えていかなければなりません。先般の概算要求でも、そのためのわが国に必要な概算を計上いたしましたけれども、しっかりと構築していかなければいけないと思います。それから、日米同盟の強化、こうしたこともですね、更に進め、共同訓練の高度化なども含めて、更に進めていかなければならないというふうに思いますし、それから国際協力関係も、今、多くの国々が「自由で開かれたインド太平洋」に向けてですね、協力をする態勢になっておりますけども、そうした関係の強化というものを図っていかなければいけない。こういうふうに思っております。

Q:今、日米同盟の強化というお話しが出ました。年内に「2+2」を開くというふうに7月の首脳会談の際に決まっていると思いますが、それに向けて既にあまり時間がなくなってきています。残された課題、今後解決すべきことはありますでしょうか。

A:様々、日米関係においては、平素から意見交換が、その他も含めてですね、情報交換をしておりますけれども、年内までに向けて、しっかり課題を調整し、解決に向けて交渉、議論が進むことを期待しております。

Q:中国を標的とした電磁パルスによる敵基地無力化論を地上波のテレビで開陳している政治家がいらっしゃいます。具体的には9月10日のテレビ朝日「ワイド・スクランブル」に出演され、中国との戦争を前提に敵基地を一刻も早く無力化する、これ先にやった方が勝ちと述べ、ツールとして強い電磁パルスを用いる。しかも向こうからミサイル発射の兆候が見えた場合に行うと言われました。中国の先制攻撃のその更に先手をとることを地上波で公言されたわけです。その無力化論の現実性についてお伺いします。敵基地無力化論とは、中国の先制ミサイル攻撃を察知して相手国領空に核ミサイルを飛ばして高航空で爆発させ、そこで発生した電磁パルスにより敵基地を無力化するものと聞いております。これは一般論として軍事技術的に可能と防衛省はお考えでしょうか。また、日本が核を保有すること、運搬手段としての長距離ミサイルを保有することも可能とお考えでしょうか。この点を石破元防衛大臣に会見で伺ったところ、EMP爆弾には攻撃に伴い核爆発が伴い、中国の日本が核保有すれば、今のNPT体制があっという間に瓦解する、それが良い世界のあり方だと私は思いませんとはっきりと懸念を示されました。更に発生した電磁パルスによりミサイルを誤作動させたり誤発射させたりすることがなく、静かに無力化することは本当にできるのでしょうか。なお、この場合、全基地を同時に無力化できなければ、こちらが核の先制使用をしているので敵からの残存核戦力による報復は避けられないと思いますが、安全保障対策としてこれは得策でしょうか、大臣のお考えをお聞かせください。

A:まず今お話の中で、中国との戦争を前提としているというお話がありましたが、そのようなことは全く考えておりません。ただ、ミサイル防空のためですね、今、弾道ミサイルに対してBMDで対処するわけですけれども、そのようなことで、いいのかどうかということについては、昨年の安倍総理の談話の中にはですね、問題提起がございました。そうした中で抑止力をしっかり高めていくということが必要なんだと思います。そうした議論がまだ政府の中でもしっかりと進めていかなければならないことだというふうに思っております。技術的な問題については事務方にお問い合わせいただきたいと思います。

Q:話題変わりましてですね、先日の17日の閣議後会見で質問いたしました航空自衛隊那覇基地のパワハラ問題についてなんですが、現在の調査の進捗状況とですね、調査に当たって市ヶ谷から沖縄に調査担当者の派遣予定などはあるのか、この点お伺いいたします。

A:パワハラ問題、これは組織として「絶対許さない」という強い姿勢をもって、その根絶を図らなければならないと、その必要があると考えております。この点は、前回もお話をしたとおりでございます。御指摘の事例につきましては、現在、部隊において事実を速やかに調査させておりますが、詳細については、調査に支障がございますので、この場でお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。いずれにしても本件は、厳正かつ速やかに対処したいと、このように考えております。

Q:関連としましてですね、このパワハラ問題を弊社の報道番組の「news23」で報道しました後ですね、TBSに対して現役の自衛隊員や家族らからですね、20件を超えるパワハラ事案の訴えが寄せられております。防衛省としてですね、自衛隊内でのパワハラ問題の深刻さをどのように認識され御対応されているのか、大臣の御見解をお願いいたします。

A:先程申しましたけども、パワハラというのはあってはならない問題であります。具体的な施策としては、管理者・監督者に対する教育の徹底、相談体制の充実、防衛省職員ハラスメント防止週間の実施などに取り組んでいます。令和2年1月、当該違反行為について厳罰化を図る旨通達し、同年3月1日以降に起こした違反行為からは適用がなされております。相談体制の充実の一環としては、ハラスメントに関する悩みを抱えている隊員の中には、部内の相談窓口には相談しにくいようなことを感じている者がいることからですね、令和2年度からは、第三者である弁護士による相談窓口、これも設置をすることといたしました。防衛省としては、このパワー・ハラスメントを防止し、隊員がその能力を十分に発揮できるような健全な職場環境を整備し、隊員の人格・尊厳を保護できるようにするために必要な施策を講じてまいりたいと考えております。

Q:話題戻りまして総裁選についてお伺います。総裁選で大臣は、高市氏を支持する考えを示していましたが、結果として岸田氏が新総裁に選出されました。今後新政権をですね、どういった思いでお支えていかれるおつもりか、お考えあれば教えてください。

A:総裁選を通じて、大変有意義な、実のある議論が多々交わされたと考えております。その上で、自民党として一致した中で、これから岸田体制を作っていくことになるというふうに考えておりますけれども、その一員として、岸田体制をしっかり支えていきたいと、こういうふうに思ってます。

Q:もう1点伺いします。新内閣でですね、どなたが防衛大臣を務めるかというのにも今注目が集まっておりますが、仮に続投の要請があった場合、大臣としてお受けになる考えはありますか。

A:これは人事の問題でもありますし、仮にと言われてもなかなかお答えできるようなものではないので、失礼したいと思います。

Q:防衛大臣就任に当たってですね、菅総理から7項目の指示があって、その一つに普天間飛行場の移設と基地負担軽減というのがあったかと思います。この1年、どのように取り組んで、どのような成果があったとお考えでしょうか。

A:沖縄の基地負担軽減について、これは政府の最重要課題の一つであります。「できることはすべて行う、目に見える形で実現する」という強い気持ちを持って取り組んでまいりました。私の就任以降も、基地負担軽減を着実に進めてきております。例えば本年3月には、普天間飛行場の一部返還跡地で道路整備が行われて、市道宜野湾11号が全線開通をいたしました。道路交通状況の改善が期待されるところです。また、辺野古への移設についても、キャンプ・シュワブの南側の埋立については、着実に工事が進んできております。海面から4mまでの埋立が本年8月に完了し、新たな護岸の工事にも着手しているところであります。政府としては、普天間飛行場の1日も早い全面返還の実現に向けて、辺野古への移設を着実に進めるとともに、沖縄の基地負担軽減についても、一つ一つ着実に結果を出すべく全力で取り組んでまいりたいと考えております。

Q:北朝鮮の関係でお伺いしたいんですけれども、昨日ですね、また新たに開発された対空ミサイル発射実験を行ったということで明らかにしております。現状でどのような分析をされているかということとですね、今週の火曜日もありましたけれども、最近また、そのミサイルの発射を繰り返しているという現状があります。こうした状況について大臣として、どのように見ているかということを一言いただければと思います。

A:本日ですね、北朝鮮メディアが、北朝鮮の国防科学院が先月30日、昨日ですね、新たに開発した「新型対空ミサイル」の「試験発射」を行ったと発表していること、このことは承知をしているところです。北朝鮮の軍事動向については、防衛省として、平素から重大な関心を持って情報収集・分析に努めています。事柄の性質上ですね、個々の具体的な内容についてお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。いずれにしても、防衛省としては、北朝鮮の軍事動向について、引き続き、米国や韓国とも連携をしつつ、必要な情報の収集・分析及び警戒監視に全力を挙げてまいりたいと考えております。

Q:北朝鮮の関連でお伺いいたします。先日の弾道ミサイルの可能性があるものの発表ございましたけれども、官房長官の方からミサイルというふうに断定されたと公表されました。現時点でその後、何か公表できる材料があれば教えてください。

A:正確にはですね、北朝鮮は、9月28日6時38分頃、北朝鮮の内陸部から、1発の弾道ミサイルの可能性があるものを東方向に発射をしたということでございます。詳細については引き続き分析中であります。この点、9月29日の北朝鮮メディアについては、新しく開発した極超音速ミサイル「火星8号」の試験発射を初めて実施をした、ミサイルの安定性や誘導機動性、滑空飛行特性などを実証した旨が報じられていると承知しているところです。詳細については更に分析を進める必要があると考えていますけれども、これまで得られた諸情報を総合的に勘案すると、今般の発射は、関連する安保理決議に違反をする弾道ミサイル技術を使用したものと判断されております。この点、極めて遺憾なことであります。政府としては、北京の「大使館」ルートを通じて、北朝鮮に対して厳重に抗議を行い、強く非難したものと承知をしておるところであります。防衛省としては、引き続き、米国等とも緊密に連携しながら、必要な情報の収集・分析及び警戒監視に全力を挙げまいりたいと考えております。

Q:関連して北朝鮮のミサイルに関してですね、防衛省の方でも検討されておられますけれども衛星コンステレーションをやはり早期に整える必要があるのではないかというご意見がありますけれども、その点については大臣どのようにお考えでしょうか。

A:この技術についても、今後ですね、他のものと含めて、研究を進めてまいらねばならないというふうに考えております。

Q:緊急事態宣言が解除になりましたけれども、防衛省の見解ですとか感触ですとか、そのあたりの通達というのはどのように勘案されていますでしょうか。

A:今のところ、この防衛省の省内はですね体制、通達については見直しておりませんが、状況を注視しつつ、検討してまいりたいと思います。

Q:それはイベント関連も同じだというふうに思っていいでしょうか。

A:緊急事態が解除されたといってもですね、基本的なことは変わらないというふうに思っております。蔓延防止のための基本的な必要事項については、引き続き、注意をもって進めてまいりたいと考えます。

以上