防衛大臣記者会見

日時
令和3年9月7日(火)11:07~11:20
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
岸防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 まず新型コロナウィルスですが、前回の会見以降、132名の隊員が新規感染が確認されました。合計で4,562名となります。自衛隊員自身へのワクチン接種の件でありますが、全体で対象者25万9千人のうち、先週金曜日、9月3日までの段階で、18万7千人・約71%に対し第1回目の接種が行われました。第2回目については、11万5千人・約44%に対して接種が行われたところであります。全国の接種率と比較しますとかなり進みつつあるのかなというふうに思いますが、引き続き、自衛隊員の接種について、積極的に進めてまいりたいと考えております。

2 質疑応答

Q:昨日、大臣は「クイーン・エリザベス」の視察をされたかと思います。それに伴い、日英米蘭の共同訓練を行い、一方で、日米豪印の「マラバール」の訓練も行っています。こうしたヨーロッパの国々やパートナー国と自衛隊がこうして共同訓練を重ねる意義についてお願いします。

A:わが国を取り巻く安全保障環境が非常に厳しさを増す中でですね、国民の命、平和な暮らしを守って、領土・領海・領空を守り抜くという、わが国の国防をしっかり全うするためには、やはりわが国自身の防衛力を整備していくこと、それから日米同盟及び各国との安全保障協力をそれぞれ強化してゆくことが大変重要になってくるということです。これらの強化にあたって、特に各自衛隊が行う共同訓練につきましては重要な役割を果たしていると考えます。米国、豪州、インドに加え、欧州諸国を含む諸外国の軍隊との共同訓練の実施は自衛隊の戦術技量の向上、各国との連携強化を図るだけでなく、民主主義や法の支配といった基本的価値と戦略的利益を共有する国々が、「自由で開かれたインド太平洋」の維持・強化に向けて協働するを示すという意味で大変重要であるとこう思っております。特に、今般の「クイーン・エリザベス」を中心とする英空母打撃群の日本寄港の機会を捉えた一連の共同訓練であります「パシフィック・クラウン21」の実施は、長い歴史と伝統を有するこの日英防衛協力が「新たな段階」に入ったこと、FOIPの維持・強化のために英国の関与が強固かつ不可逆的であること、そして日英防衛協力が、わが国の安全保障のみならず、インド太平洋地域の、そして国際社会の平和と安定の確保に資するものであると考えております。

Q:航空自衛隊の那覇基地で、泡消化剤の専用水槽から有機フッ素化合物の一種であるPFOSとPFOAが指針値の9,200倍の濃度で検出されたことがわかりました。本来なら真水が入っているはずの場所で高濃度で検出されたということで、汚染源が別に存在すると、するんじゃないかというような可能性もあって識者からは今後も広がる可能性があるとの指摘が出ています。原因究明とですね、他の基地でも同様な調査を行う調整があるか、大臣のお考えをお願いします。

A:まず、この4月に公表した調査結果において、消火設備の水槽から高濃度のPFOS等が検出されたことを踏まえて、今般、那覇基地内の別の2箇所の水槽の水質調査を実施した結果、同様に高濃度のPFOS等が検出をされたところです。このような結果を受け、那覇基地を含む、その他の消火設備の水槽の状況についても、今後調査を行う予定であります。その詳細については、検討中でございます。いずれにしましても、今般の那覇基地の事例を踏まえ、PFOS等の混入に対して適切な措置がしっかりとなされるように検討してまいりたいと思います。

Q:昨日、航空自衛隊新田原基地地元の町長が、F-35Bの配備について、事実上容認するという発言が町議会でされました。このことについて、大臣の受け止めを教えてください。

A:町長からは、一般質問において「受け入れを前提として協議を進めたい」旨の発言があったものと承知をしております。わが国の防衛に協力するために、F-35Bの新田原基地への配備について御理解をいただいたものと認識しておるところです。わが国の周辺国の航空戦力の近代化の進展は著しいものがあります。また、わが国周辺空域における活動を急速に拡大させている状況において、あらゆる事態に切れ目なく必要な対処を行い、有事における航空優勢を獲得・維持するためには、戦闘機運用の柔軟性向上に資する短距離離陸・垂直着陸戦闘機、いわゆるSTOVLであるF-35Bを導入し、配備することが極めて重要であると考えています。このため、新富町長からは、新田原基地への配備について今般御理解いただいたことは大変ありがたく存じます。今後、新富町以外の他の関係自治体とも相談しつつ、F-35Bの1個目の飛行隊の配備について、進めてまいりたいと考えております。

Q:佐賀空港のオスプレイ配備計画に関して、地権者アンケートの集計が出たんですけれども、その受け止めをお願いします。

A:陸自のオスプレイの佐賀空港配備については、8月27日に、意向確認のために九州防衛局から地権者に送付していたアンケートを開票し、そして9月3日の有明海漁協のオスプレイ等配備計画検討委員会において、集計結果の説明がなされたものです。今般のアンケートの集計結果を踏まえ、引き続き、有明海漁協において協議がなされるものと承知をしております。集計結果に関する評価については、現時点では防衛省からお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。その上で、防衛省としては、今般のアンケート結果を踏まえて、オスプレイ等配備計画検討委員会において、有明海漁協から早急に前向きな御判断を頂けることを願っております。いずれにしても、島嶼防衛能力の構築は喫緊の課題であります。可能な限り早期に有明海漁協の皆様の御理解・御協力を頂けるように、引き続き、丁寧な対応に努めてまいりたいと考えています。

Q:明日9月8日は、サンフランシスコ平和条約と旧日米安保条約署名70年を迎えるタイミングになります。戦後日本はサンフランシスコ平和条約と、後に改正された日米安保条約の下で、軽武装と経済成長に徹する路線を歩み続けたと受け止められています。大臣から見て、日本はこの70年間、正しい道を歩んできたのかどうか、課題があればどこにあると考えるか、御見解をお聞かせください。

A:サンフランシスコ平和条約、70年前に署名がされ、そして連合国軍の占領が終了しました。わが国は独立を回復して国際社会に復帰することができたのです。そして同日の日米安保条約、そしてこれは1960年に改定をされました。米国による対日防衛義務などが明記をされたものであります。日米同盟はわが国の外交・安全保障の基軸となって、日米安保体制の下で、日米同盟の抑止力・対処力を高めることが、わが国の平和と安全の確保にとって不可欠なものとなったわけでございます。70年前からこれまでの間、わが国は一貫して平和国家として歩んでまいりました。専守防衛を初めとする基本方針を堅持しつつ、国民の努力によって経済大国として栄え、豊かな国民生活を築いてきました。平和国家としての立場から、国際社会等と連携し、インド洋での補給支援や、イラクにおける人道復興支援、国連PKO活動、海賊対処、国際緊急援助活動、こうしたわが国の強みを活かしつつ、様々な形で国際貢献を行ってまいりました。そうした活動は非常に高い評価を得てきたと考えております。また、70年前からこれまでの間、わが国を取り巻く安保環境は変化をし続けております。その中で、日米両国は3度にわっていわゆるガイドラインを策定し、日米同盟の抑止力を高めてきました。そして、2015年の平和安全法制の整備、これにより、日米同盟は深化し、かつてないほど強固なものになってきたと考えています。このように、政府はこれまで国民の命と平和な暮らしを守り抜くという最も重要な責務を果たすとともに、国際社会に貢献してきたと考えております。近年、わが国を取り巻く安全保障環境は厳しさを増しています。その中においても、その責務をしっかり果たすことができるように、私としては、引き続きわが国が自らを守る体制を強化し、その果たし得る役割の拡大を図り、もって日米同盟の抑止力と対処力の一層強化を図っていく必要があると考えています。

以上