防衛大臣臨時記者会見

日時
令和3年9月6日(月)16:43~16:54
場所
在日米海軍横須賀基地英空母「クイーン・エリザベス」係留岸壁横高台
備考
蘭フリゲート艦「エファーツェン」及び英空母「クイーン・エリザベス」視察後の岸防衛大臣臨時会見

1 発表事項

  先ほど、オランダのフリゲート艦「エファーツェン」及び英空母「クイーン・エリザベス」を視察させていただきました。「クイーン・エリザベス」艦上では、ロングボトム駐日英国大使、また、ムーアハウス英空母打撃群司令官と共に、今後の日英防衛協力の更なる進展について、私の決意を述べさせていただいたところです。空母「クイーン・エリザベス」を中心とする英空母打撃群が日本に寄港する意義は大きく、その実現は、「自由で開かれたインド太平洋」の維持・強化のため、英米及びオランダの関与とわが国との連携を安全保障・防衛面でも示し、地域の平和と安定を促進するものと確信をしています。防衛省・自衛隊としては、今後とも、基本的価値と戦略的利益を共有する各国と共に、「自由で開かれたインド太平洋」の維持・強化、そして、グローバルな安全保障上の課題への対処のために協働し、地域の平和と安定に引き続き積極的に貢献していく考えであります。

2 質疑応答

Q:率直にですね、今回イギリスの最新鋭のですね、英空母「クイーン・エリザベス」が日本に初めて寄港することになったんですが、率直に御覧になった感想は何か、いろいろと御視察されたと思うんですけれども、率直に御感想はいかがでしたでしょうか。

A:4月にウォレス大臣が訪日をされて、その時に空母「クイーン・エリザベス」の寄港についての話をいただいてから、今日の日を心待ちにしておりました。本日、実際に「クイーン・エリザベス」に乗艦させていただいて視察をいたしました。大変、空母、大きい雄大な佇まいを目の当たりにしまして、インド太平洋地域の平和と安定に対する英国の強い意思というものを感じることができたと思います。英空母打撃群の日本寄港は、「自由で開かれたインド太平洋」の維持・強化のため、英米がオランダとともに関与とわが国との連携を安全保障・防衛面でも示すものだと考えております。これまでに実現したことは、防衛大臣として大変感慨深く、また、その旗艦に私が乗艦することで、英国との防衛協力の更なる進展を国内外に広く発信することができたと考えています。

Q:空母の視察の時にですね、空母打撃群の司令官とはですね、どのようなお話をされたのか、また、日英関係等々ですね、確認されたことがあれば教えていただけますでしょうか。

A:司令官に対してはですね、これまで米軍や、あるいはオランダとの共同で打撃群を率いてこられたわけです。その努力に敬意を表するとともに、日英間の防衛協力の更なる発展に、この寄港が繋がればということを私の期待として述べさせていただきました。

Q:イギリスと日本の防衛協力、次期戦闘機とかレーダーとかいろいろと進んでいますが、今回もこうやって、「クイーン・エリザベス」が横須賀にきてですね、率直に今イギリスは日本にとって、準同盟国、英語でいうとQuasi-allyというんですけれども、そういう表現も今、外国メディア出てきているんですが、大臣、イギリスは今、準同盟国みたいな位置付けにあると御覧になっていますか。

A:準同盟というのがどういうものかと定義もございませんから、それに対するコメントは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、イギリスを始めとして、ヨーロッパの各国はインド太平洋地域、とりわけ東アジアと地域に対するプレゼンスを強めてきている状況であると思います。そうしたことはですね、多くのヨーロッパの諸国を始め、多くの国々はこの地域に関与するということ自体が地域の平和と安定、そして繁栄に寄与するものだと考えています。

Q:9月11日で米同時テロから20年になりますけれども、その間の自衛隊の活動について、ご見解をお聞かせください。

A:9.11から20年ということでございますけれども、まず、このテロは米国のみならず人類全体に対する卑劣かつ許しがたい行為であります。これに対しまして、世界の国々が、立場の違いを超えて非人道的なテロリズムを非難し、そして、力を合わせて立ち向かうことを決意した。わが国としても、旧テロ対策特別措置法を成立をさせて、そしてこれに基づき、自衛隊は他国への補給を支援を行いました。9.11テロの発生から今年で20年ということでございますけれども、防衛省・自衛隊はその間、インド洋での補給活動に加えて、イラクにおける人道復興支援、また、国連PKOへの協力、また、諸外国と協力して行う海賊対処、海外の大規模災害の際の緊急援助、他国軍への能力構築支援などにですね、わが国の強みを活かした、様々な形での国際貢献を進めてまいりました。これらの活動は非常に高い評価を得てきたというふうに考えております。世界では今もなお、様々な紛争が発生しております。テロや難民、貧困といった国境を越えた問題が非常に深刻化している状況だと思いますが、こうした中で、防衛省・自衛隊としては、これまでの活動の実績の上に立って、わが国の強みを生かして、これからも国際社会の平和と安定のために積極的に貢献していきたいと考えております。

Q:「クイーン・エリザベス」が今回横須賀に寄港するまでの間、共同訓練等を実施されましたが、同時期に中国も東シナ海で軍事演習を行っております。この間の軍事的な緊張をどのように大臣として考えていらっしゃるかと、抑止力を高める一方で、中国との対話、それから軍事的緊張を低めるための取り組みも必要だと思いますけれども、そういった点についてどのようにお考えか教えていただけますか。

A:中国やロシアの活動というのは、今回の寄港と関連してということではないというふうに考えていますけれども、防衛省としては、そのことについてお答えを差し控えさせていただきたいと思います。わが国周辺において、演習や訓練も含めて中国及びロシアの活動が活発化をしています。引き続き、こうした動向については注視をしていきたいと考えています。また、防衛省・自衛隊としては今後も引き続き、「自由で開かれたインド太平洋」の維持・強化のために、この英空母打撃群との訓練を始めとして、他国との共同訓練を通じて、自衛隊の戦術技量の向上といった面でも、しっかり、この寄港を役立てていきたいと考えています。

Q:尖閣諸島については、日米同盟間で守られていると思うんですけれども、それに関連して欧州諸国は、イギリスを含む欧州諸国はどのような役割を果たせるとお考えでしょうか。

A:尖閣諸島については、歴史的にもこれはわが国の固有の領土であります。日本はこれをしっかりと守っていかなければならないと考えています。そして、この東シナ海や南シナ海で起こっていること、すなわち、国際法に依らないこの海洋秩序の変更ですね、そうしたことについては、地域の問題だけではないと思います。そうしたことに関して、ヨーロッパの国々が関心を持ち、そして、この地域にプレゼンスを発揮していただくこと自体が地域の平和と安定に資するものだと考えています。

以上