防衛大臣記者会見

日時
令和3年9月3日(金)11:15~11:39
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
岸防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 コロナです。前回の定例会見以降、293名の隊員が新たに感染をいたしていることが確認されました。合計4,430名となります。日パラオ親善訓練等について。IPD21として初めて太平洋島嶼国地域を訪問している護衛艦「かが」、「むらさめ」、「しらぬい」は、9月1日、パラオ周辺海域において、パラオ共和国海上保安局の巡視船「ケダム」等とともに、日パラオ親善訓練を実施をいたしました。パラオ共和国の巡視船「ケダム」は、日本財団が平成30年に寄贈したものであります。日・パラオの重層的な友好関係を示すものであると考えています。今回の親善訓練は、違法・無報告・無規制漁業への対策や海上法執行強化に対するわが国の「自由で開かれたインド太平洋」の要となる太平洋島嶼国地域へのコミットメントを示しています。訓練に引き続き、IPD21部隊は、9月2日からパラオ共和国のコロール港に寄港しており、コロール港岸壁において、パラオ大統領を表敬いたしました。防衛省・自衛隊としては、今回の訓練や寄港を通じ、パラオ共和国との相互理解の促進を図るだけでなく、「自由で開かれたインド太平洋」の維持・強化に向けて協働している姿を示すことができたと考えております。また、今後、IPD21部隊は仏領のニューカレドニアといった太平洋島嶼国地域を訪問する予定であります。防衛省・自衛隊として、引き続き、この地域の安定と繁栄に深くコミットしていくというわが国の意思を示してまいりたいと考えております。日・太平洋島嶼国国防大臣会合の実施についてであります。9月2日午前9時から約2時間半、いわゆるJPIDDをテレビ会議形式で実施をいたしました。本会合においては、「FOIP」、「海洋安全保障」、「新型コロナウイルスへの対応」、「気候変動と人道支援・災害救援」について率直かつ幅広い意見交換を行い、議論の成果として、全参加国のコンセンサスにより「日・太平洋島嶼国国防大臣会合共同声明」を採択しました。また、私から、自衛隊艦艇による寄港や航空機による寄航を通じた交流や、海洋安全保障や災害対処をはじめとする分野における人材育成面での協力を通じて、防衛協力を推進していくとの方向性を表明し、参加各国から歓迎の意が示されたところであります。防衛省・自衛隊としては、初開催となりました今次会合の成功を踏まえて、地域の安全保障上の課題に対処するため、JPIDDのパートナーシップの重要性を念頭に、対話と協力を継続し、「FOIP」の維持・強化に向け、より積極的に貢献していく考えであります。英空母打撃群の日本寄港について、9月4日から9日までの間、英空母「クイーン・エリザベス」が、そして、9月5日から7日までの間、英補給艦「タイドスプリング」が在日米軍横須賀海軍施設に、また、同じく9月5日から7日までの間、オランダのフリゲート艦「エファーツェン」が海上自衛隊横須賀基地に寄港いたします。私は、この機会を活かし、6日にオランダのフリゲート艦「エファーツェン」及び英空母「クイーン・エリザベス」を訪問し、「エファーツェン」艦長及び英空母打撃群の司令官等と意見交換を行う予定であります。また、現在、英空母打撃群との間で「パシフィック・クラウン21」と称する一連の共同訓練を実施をしております。これまでの2回の訓練に引き続き、9月2日から7日までの間、東シナ海から関東南方に至る海空域において、共同訓練を実施しております。本訓練には、護衛艦「いせ」、「あさひ」などの艦艇のほか、航空自衛隊のF-2やF-15戦闘機などが参加し、英空母打撃群との間で、対抗戦訓練や対潜戦訓練などを実施をいたします。こうした英空母打撃群の日本寄港や自衛隊との共同訓練の実施は、長い歴史と伝統を有する日英防衛協力が「新たな段階」に入ったことなどを示す象徴となるものであります。防衛省・自衛隊は、今後も基本的価値と戦略的利益を共有する英国などと共に、「FOIP」の維持・強化、そして、グローバルな安全保障上の課題への対処のために協働し、地域の平和と安定に引き続き積極的に貢献していく考えであります。

2 質疑応答

Q:アフガニスタンの邦人等輸送で自衛隊機が今帰ってきているところかと思いますが、今回のオペレーションの評価を大臣お願いします。

A:まず全体で、大変厳しい制約の下でしたけれども、現地に残る数名の邦人のうち、日本政府の手配した手段による退避を希望する者1名、自衛隊機により無事にアフガニスタンを出国させる。また、米国からの要請を受けて、出国を希望するアフガニスタン人14名の輸送を行いまして、任務を終了いたしました。評価ということでありますけれども、さまざまなお声があるのは知っておりますけれども、現在、外務省との間で緊密に情報共有している中で、実務レベルを含めて、評価ということでありますけれども、今、引き続き、これは国として政府として検討していかなければならないことだと考えております。

Q:今の質問に関連しましてですね、評価について引き続き検討をということなんですけれども、以前もありまして、やはり現地スタッフですね、退避を実現させることができなかったことについて、どのようにお感じになっているかということと、昨日の自民党の部会が開かれましてですね、派遣が遅かったのではないかというような意見もあります。今回のオペレーションと派遣のタイミングについてはどのようにお考えになっているか、この2点についてもう少しお伺いできればと思います。

A:まず、防衛省・自衛隊としては、アフガニスタンに残留する邦人等が一刻も早く退避できるように最大限取り組んできたところであります。8月31日に外務大臣の任務終結の依頼を受けて、派遣していた自衛隊部隊の帰国を決定したところではありますけれども、今後も政府の一員として、現地職員等の安全確保や必要な出国支援に向けた努力を継続していきたいと考えています。それぞれの現地で大使館やJICAにおいてですね、日本人スタッフとともに日本のために、あるいはアフガニスタンのために同じ志をもって、働いてきた仲間であるアフガニスタン人のスタッフについて、退避を希望する人達に対してですね、やはり、しっかり検討していかなければならないというふうに考えておるところであります。また、遅れの問題でありますけれども、そういうご指摘があることは存じておりますけれども、防衛省・自衛隊としては、外務省との間で緊密に情報を共有している中で、実務レベルを含めて、予想されるさまざまな対応について検討を行っております。アフガニスタンに残留する邦人等が一刻も早く安全に退避できるよう最大限に取り組んでいるところであります。その中で、評価ということでありますけれども、現在、まだ退避の努力が未だに継続されている中において、それについて評価はおこなっていくことは差し控えたいと考えています。

Q:アメリカの海兵隊のデビッド・バーガー総司令官が、9月1日にアメリカのシンクタンクのCSISで今年11月に「いずも」において、アメリカ海兵隊のF-35Bの発着訓練を実施するというふうに述べたんですが、これは大臣も7月末に、今年度中に「いずも」の上で発着訓練実施するというようなことをおっしゃっていたと思うので、11月で間違いないかがどうかが一つ。それに関連して、先日の概算要求で着艦誘導装置を先行取得するための経費を来年の分として要求したと思うんですが、そうするとですね、今年F-35Bの発着訓練をやる時には、まだ着艦誘導装置が取得できないと思うんですけど、その予算は来年度予算分として要求したものですから。そのあたりの着艦誘導装置というのは、アメリカ海兵隊のものを流用するのでしょうか。

A:米軍との共同訓練等については、さまざまな部隊規模の間で、日々情報の交換等々よりとりを行っておりますが、そのような具体的な日程については、いまだ調整中であります。また、詳細についてここで述べることは、差し控えさせていただきたいと思います。装備のことについてもですね、今年行われるような、そういう訓練についても詳細については、申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。

Q:先ほどのアフガンの関係なんですけれども、先ほど入間基地にC-2輸送機が到着したということですが、今回自衛隊のオペレーションについてどうお考えですか。また、到着した自衛隊員について何かお伝えすることはありますでしょうか。

A:評価につきましては、先ほどからも申し上げていますけれども、オペレーションにつきましては、いまだに努力が継続されている段階ですので、評価について差し控えさせていただきたいところですけれども、今回派遣をされた自衛隊員の皆さんについては、厳しい環境の中で彼らの持てる力を100%発揮して、任務を遂行してもらったものだと思います。大変な苦労があったと思いますので、その努力に対してお疲れ様と申し上げたいと思います。

Q:繰り返しの質問になるのですが、アフガンの関係なんですが、評価については、まだオペレーション全体が継続しているため差し控えたいということ大臣おっしゃられましたけども、自衛隊としてはですね、派遣は撤収命令を出して、自衛隊としての活動というのは、これで一区切りついたのかと思います。そういう意味でも自衛隊のオペレーションの評価というところはいかがでしょうか。

A:自衛隊は今ですね、帰路についているところでありますけども、スケジュール等については差し控えさせていただきます。今申しましたように自衛隊の諸君はですね、大変厳しい困難な状況の中で、彼らの持てる力を100%発揮して、任務遂行に努めていただいたものと了解をしております。

Q:現地スタッフの退避が実現できなかったことへの評価という質問が最初の方にもあったかと思うんですが、大臣、現地スタッフの方はファミリーだということをかねておっしゃっていたと思います。そういった中で、今の段階で実現できなかったということを改めてお聞かせいただけないでしょうか。

A:希望する現地スタッフの退避について、引き続き努力を続けているところでございますので、そのことについて今申し上げることは差し控えさせていきただきたいと思います。

Q:昨日の自民党の国防部会ではですね、自衛隊法に関してなんですけれども、84条の4、今回の輸送任務に関して、安全確保の確認に時間がかかるのではないか、そういった環境をもっと整備するべきではないかという声やですね、今回適用されなかった84条の3についても、今回のような相手当事国の同意が取りづらい状況もあると、そういった場合でもですね、相手国の同意がない場合でも派遣を可能にできるような条項を作るべきではないかという声も上がっております。そういった法改正、法運用に関して、今後どのような御対応が必要かと考えているのかお願いします。

A:今回につきましては、状況を総合的に勘案して84条の4に基づいて、輸送の安全を確保した上で実施をするということになっております。当該輸送を安全に実施できることということが要件として掲げられているわけです。これは安全が確保されないと判断される場合は危険を承知で輸送を行えば邦人等に事故等が起こる事態にもなりかねません。在外邦人の安全確保という、そもそもの目的を達成できないことが予想される危険を回避する方策を講じた上で、安全に輸送を行う旨を規定しているものであります。よって、在外邦人の安全確保というそもそもの目的を達成するためには、「輸送の安全」という要件は必要であるというふうに考えております。また、84条の3についてのお話もございました。これはケース・バイ・ケース、全体的な状況を総合勘案して決めていかなければならないことだというふうに思っておるところであります。今回については、今申し上げましたとおり、84条の4を適用したということであります。

Q:今質問のありました84条の3と4についてお伺いします。今、大臣今回の派遣に至る過程での適用の仕方についてご説明いただきましたが、判断の遅れという指摘がある中で、今回の自衛隊法の条文というのは、何か判断の遅れにつながったというふうなところはいかがお考えでしょうか。

A:輸送のこと自体が、安全確保の確認が遅れたんではないかというようなご指摘だと思うんですけども、そういうことではないと考えております。いずれにいたしましても、安全の確保の確認というものが大変重要でありますので、しっかり確認した上で、派遣をする必要があると考えます。

Q:関連してですね、結果的にその1日の差によってといったところで、今回判断の遅れという批判が上がっていると思いますけども、今回の判断にかかった期間というのは適切だったか、もしくは今後何か運用の面とかで改善すべきところがあるとお考えでしょうか。

A:結果としてですね、アフガニスタンの今回退去実現できなかったという結果が残っているわけでございます。そのことについて、しっかり検証していく必要はあると思います。

Q:話題変わるんですけども、今月末に予定されている自民党総裁選に関連して、平井大臣などはすでに菅さんを支持すると表明されていますけども、大臣個人として大臣どのようにお考えかと、その理由についてもお願いします。

A:私は菅内閣の一員としてですね、しっかりその菅政権を支えていく立場であります。適切に判断をしていきたいと考えます。

Q:今の言いぶりだと菅総理を指示するのかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

A:適切に判断をいたします。

Q:昨日陸幕長の会見がありまして、滋賀県の大津駐屯地でクラスターが発生したという中で、ワクチン接種を行っていた隊員はその中で、2回接種が一人のみということでしたが、改めて隊員のワクチン接種への考えをおしえていただけないでしょうか。

A:隊員に対するワクチン接種というものは、さまざまな災害派遣とか、緊急対応の必要もありますので、大変重要なことだと思います。その上で新型コロナウイルスワクチンの接種対象者というのは約25万9千人自衛隊の中にはいます。このうち、先週金曜日までに15万5千人に対して第1回目、そして、9万8千人に対して第2回目の接種が行われたところであります。引き続き、できるだけ早く多くの隊員がワクチン接種を受けることができるように着実に進めてまいりたいと思います。

Q:アフガン情勢の関連でアフガン仮定の話に戻るんですが、派遣を巡るですね、事前の情報分析についてお伺いいたします。先日の外務省や防衛省の説明も中でもですね、カブールの陥落について、アメリカですら想像できないスピードでの陥落であったという評価がありました。1日のですね、イギリス議会の外交委員会でもですね、情報分析の誤りを外務大臣が認めるような発言があったということとか、議員の方からですね、より早い角度からタリバンの前進もですね、指摘するような厳しい評価も実はあったというような話も出ておりました。事前の情報分析をですね、今回から出てきた課題というのは、大臣どのように感じでおられますでしょうか。

A:現地の情報分析というのは、そういう意味でも含めて、大変重要なものだと考えております。わが国として、その情報分析が適切になされていたのかどうか、そうしたことも含めて今後しっかり検証をしていかなければならないと考えます。

Q:その辺りの検証結果というのは、どっかの段階で纏められたりとかですね、何かチームを作られたりとか何かご予定はありますでしょうか。

A:今のところスケジュールという部分については、特に考えておりませんけれども、いずれにいたしましても、今回のオペレーション全体について、振り返って検証する必要があると考えております。

以上