防衛大臣記者会見

日時
令和3年8月31日(火)10:35~10:57
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
岸防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 新型コロナウイルスについて、前回の定例会見以降、246名の隊員が新たに感染をいたしました。合計で4,137名となります。これまでも海上自衛隊から発表がありましたけれども、「自由で開かれたインド太平洋」の維持・強化に資する日米印豪の連携を更に強化すべく、日米印豪共同訓練(マラバール2021)フェーズ1を実施をいたしております。具体的には、8月23日から9月10日の間、グアム島及び同島周辺海空域において、海上自衛隊の特別警備隊が、米印豪3か国の艦艇、特殊部隊等とともに各種戦術訓練を実施をしています。また、8月26日から8月29日の間、フィリピン海において護衛艦「かが」を始めとする、インド太平洋方面派遣(IPD21)部隊が、米印豪の海軍艦艇等とともに対潜戦訓練、対抗戦訓練など各種戦術訓練の実施をいたしました。防衛省・自衛隊としては、民主主義や法の支配といった基本的価値を共有するクワッドの4か国が緊密に連携していくことは「FOIP」の維持・強化を進めていく上で極めて重要であると考えております。こうした観点からも、今年の「マラバール2021」が昨年に続き、この日米印豪の4か国で実施できたことは大変意義深く、このような4か国防衛当局間の連携の深化を追求してまいりたいと考えております。それから、8月29日、防衛省・自衛隊は、アデン湾において、護衛艦「ゆうぎり」とドイツ海軍フリゲート艦の「バイエルン」との間で、共同訓練を実施をいたしました。今般の共同訓練は、本年4月の日独「2+2」、また6月の日独防衛相会談での議論を踏まえて調整してきたものであります。「バイエルン」が今月2日にドイツを出港して以降、自衛隊との間で実施する初の共同訓練となります。防衛省・自衛隊では、この共同訓練を通じ、ドイツと共に、戦術技量の向上や連携強化を図るとともに、海賊というグローバルな安全保障の課題に対処し、世界の繁栄の礎である海上交通の安全を確保していくとの意志と能力を示すことができたと考えております。防衛省・自衛隊としては、今後とも、基本的価値と戦略的利益を共有するドイツと共に、「FOIP」の維持・強化、また、グローバルな安全保障の課題への対処のために協働し、地域の平和と安定に引き続き積極的に貢献していく考えであります。9月2日、これまで延期となっていた日・太平洋島嶼国国防大臣会合(JPIDD)をテレビ会議で行います。この会合には、フィジー、パプアニューギニア、トンガの大臣級をはじめ、太平洋島嶼国及び地域のパートナーの国々から出席をいただく予定であります。「JPIDD」は、防衛省が主催する初の多国間の国防大臣会合として、太平洋島嶼国地域との信頼関係を構築し、今後、更なる防衛協力・交流を推進することを目的として開催するものであります。わが国と太平洋島嶼国は、共に太平洋の恩恵を受ける海洋国家であります。歴史的にも深い繋がりを持つ極めて重要な関係をもっていますが、法の支配に基づく自由で開かれた持続可能な海洋秩序の重要性について認識を共有する大切なパートナーであります。こうした観点から、防衛省・自衛隊としては、今般の「JPIDD」での率直かつ幅広い意見交換を通じて、わが国と太平洋島嶼国の関係強化に大きな弾みをつけ、「FOIP」の維持・強化に向けて、一層積極的に貢献していく考えであります。

2 質疑応答

Q:アフガニスタンについてお伺いいたします。アメリカ政府がですね、アフガニスタンからアメリカ軍の撤退を完了したというふうに発表しましたが、これを受けて自衛隊のですね、撤退の時期ですとか、今後どのようにされていくのか対応をお聞かせください。

A:アフガニスタンからの邦人等の退避については、防衛省・自衛隊としても、邦人や現地職員等の方々を退避させ、安全確保を図ることは極めて重要であるとの考えの下で、8月23日、外務大臣臨時代理である加藤官房長官からの依頼を受け、私から自衛隊に対して命令を発出し、C-2やC-130といった航空自衛隊の輸送機や現地で誘導等を任務とする陸上自衛隊の部隊を派遣したところであります。いずれにいたしましても、わが国として、米国を始めとする関係国と連携をしながら、現地に残る邦人や大使館、JICAの現地職員等の安全確保や必要な出国支援のため、全力で対処していく考えであります。防衛省・自衛隊として、そのような中で然るべく対応していきたいと考えております。引き続き、外務省と協力しつつ、安全な退避の実現に向け努力を継続しているところですが、今後については検討してまいりたいと考えています。

Q:米軍が撤収を完了したということでバイデン大統領が声明を出していると思いますけれども、31日という期限の中でですね、30日に撤退を完了したということで少し早まったなというふうに思うんですけども、大臣の方としてですね、アメリカ軍の撤退について、若干早まったことを含めてどのように受け止めていらっしゃいますでしょうか。

A:米軍については、いずれにしても31日を撤収の期限としてこれまで進めてきたところと承知をしております。これに際にしても早まったということでありますが、それに対しましてのわが国の対応としては、いずれにいたしましても今後検討してまいりたいと考えています。

Q:代表質問にも関連するとも思うんですけども、今、周辺国の方にですね、自衛隊待機している状況だと思うんですけども、撤退を受けてのオペレーションですね、これはどのように今後されていくのか改めてお伺いしてもよろしいでしょうか。

A:これも現地の情勢を見極めつつですね、今後検討していく考えであります。

Q:関連して質問なんですけども、基本的にこれ大臣、防衛省が自衛隊機を派遣するのは非常に素早かったと思うんですけど、その前段階で外務省が非常にそういう決定をするのが遅かったのではないでしょうか。そもそも、こういったなんですがガッチャマンのベルク・カッツェみたいに大使が15日に逃げてしまったと。その後大使館員も17日逃げてしまって現地の邦人を置き去りだと。そして、情報収集をまともにしてこなかったという、これ外務省の体質的な欠陥があるんじゃないでしょうか。大臣どうお考えでしょうか。

A:退避の努力というものが、未だに継続しております。そういった中において、今回のオペレーションの評価について行うことは、今控えさせていただきいたいと考えております。

Q:そもそも自衛隊を派遣する根拠の84条なんですけども、国家としての機能がちゃんときちんとしていないところに派遣できないと言っているわけでありますから、これそもそも派遣自体もおかしいのではないでしょうか。また、こういう法令自体がですね、そもそも危険だから自衛隊が行くはずなのに、危険なところに自衛隊は行かないというふうな条項になってまして、これもおかしいと大臣お考えになりませんか。

A:今回のオペレーションの根拠となっております84条の4でありますけども、邦人の輸送ということであります。これら先方の今回カブール空港、安全確保がされている中で行われるということであります。

Q:もう一つなんですけれども関連してなんですけれども、防衛駐在官がいるはずなんですけれども、日本の防衛駐在官、情報収集能力が非常に低いんじゃないでしょうか。これ大臣、いろいろとご存知だと思いますけれども、他国の武官同士があってですね、外務省の外交官という身分で行きます。そして、大使の非常に強い監督下に置かれて、予算もない、スタッフもいない、ほぼ武官としての情報収集能力が非常に低いというふうに過去取材して感じているんですけれども、これ、本来防衛省の方で、防衛駐在官を管轄するというようなことを考えるべきではないかと思うんですけれども、大臣いかがお考えでしょう。

A:繰り返しになりますけれども、未だその退避の努力が継続している中でありますから、オペレーションに関しての評価を行うことは差し控えさせていただきたいと思います。

Q:関連してお伺いします。今回米軍が撤退したことでですね、84条の4にある輸送の安全が確保されているという、ここ要件というのは満たしているというふうにお考えでしょうか。

A:これまで米軍がカブール空港をコントロールしている中で、今回のオペレーションをずっと積み重ねてきたものであります。評価については、差し控えさせていただきたいと思います。

Q:そうしますと事実上、米側が撤退した以上は活動ができないかなと思うんですけれども、その辺りはどうでしょうか。

A:これも先ほど申しましたけれども、状況を見つつ、検討してまいりたいと考えます。

Q:別件でですね、今日の午後にでも概算要求が省議決定されると思うんですけれども、今回の概算要求に向けて大臣の想いでの強い部分ですとか、力を入れた部分がありましたら、教えていただけますでしょうか。

A:わが国周辺の安全保障環境というものが、大変これまでにない速度で厳しさを増している中で、我々として、宇宙・サイバー・電磁波といった新領域における能力、また、海空領域における能力、多様な経空脅威へ対処する総合ミサイル防空能力、スタンド・オフ防衛能力、機動・展開能力、また、弾薬の確保や装備品の維持整備、こうした変化への対応に必要な防衛力を大幅に強化し、多次元統合防衛力を構築していきたいと考えております。あわせて、防衛分野での技術的優越の確保のため、必要な体制及びゲーム・チェンジャーとなり得る高い技術等の研究開発、防衛産業基盤を強化し、また、質の高い自衛隊員の十分な確保や処遇改善等を通じた人的基盤や、日米同盟・諸外国との安全保障協力を強化していく必要があると考えております。来年度の概算要求においては、本日最終的な調整を行った上で、現中期防に定める各種の事業の実施をより一層加速するために必要な経費をしっかり要求してまいりたいと考えております。

Q:アフガンの件に戻ります。先ほどの質問と被ってしまうところがあるかと思うんですけれども、自衛隊機はですね、もっと早く派遣していれば、より多くの方を輸送できたのではないかという声も上がっております。この点については、大臣はどのように受け止めますでしょうか。

A:今回のオペレーション、まだ退避オペレーションを継続している中でありますから、そのことの評価については、先ほどからも申していますけれども、差し控えさせていただきたいと考えます。

Q:アフガンの関係でお伺いします。今回の派遣に使った84条の4ですが、邦人等の輸送ということで一義的には邦人が輸送の対象になると思います。今回すでにお一人邦人の方、輸送されましたけれど、外務省の説明ですとほかに即時退避を希望された方がいらっしゃらないということでした。非常に少数の邦人に対して、それ以外に対象になる方、アフガンの現地の方が中心になると思いますけれども、この84条の4を適用したことについて大臣どのようにお考えかということを教えていただけますでしょうか。

A:84条の4、もちろん邦人の退避が、一義的には邦人の退避でありますけれども、政府関係者、必要な人間、そうしたところについては輸送ということになっております。

Q:関連してもう1点だけ。今後ですね、例えば政情不安定になった国があったときに邦人がそこに一人でもいれば簡単に自衛隊を派遣できてしまうような前例になってしまうのではないかというような懸念もあると思うんですけれども、今後の運用に際して、どのようなお考えか教えていただけますか。

A:一般的な話でありますか。色々その場その場での状況が異なると思います。状況に応じて最適な対応を考えていきたいと思います。

Q:昨日の官房長官会見でですね、長官から、邦人1人と、あとアフガン人14人を退避させたという明言があったんですけれども。一方、週末の外務省と防衛省の会見ではですね、退避の努力を継続している最中、こういった人数は明かさないという説明があったんですけれども。これ方針が変わった理由を教えていただけないでしょうか。

A:そのことについては、官房長官にお聞きをいただくのがいいんじゃないかと思います。

Q:グローバルホークについておたずねします。これ朝日新聞も報じてますけども、グローバルホークのブロック30、これは米軍では退役スプリウッドになっております。そもそもこのわが国ではグローバルホークを採用した時にブロック40はもう米空軍の運用していた、なぜ古い機体を使ってしかも今後部品の枯渇もブロック40に比べて早くなるはずなのに、性能が低く部品の枯渇が心配される機体を採用したのでしょうか。しかも当時の小野寺大臣にも質問したんですけれども、一番最初の予算要求のときにもですね、その時に部隊は決まっていませんというお話だったんですよ。つまり、運用も決まっていないのに装備を買ってしまうという、非常に、これ、納税者に対して無責任なんじゃないでしょうか。そして、これをそのまま唯々諾々と部隊化してですね、それを運用するという、これは本当に防衛費の使い方として正しい方法なんでしょうか。

A:グローバルホークは、搭乗員に対する危険や負担を局限しつつ、現有の装備品では十分に実施することが困難な、わが国領海・領空から比較的離れた地域での情報収集、事態が緊迫した際の空中での常時継続的な警戒監視等を行うということが可能であって、広域における常続監視態勢の強化に資するものであります。ですから、わが国としての導入の判断は正しかったものと考えております。

Q:大臣、そのおっしゃっていることだと、そもそもグローバルホークではなくて海洋監視型のトライトンの方が良かったんじゃないですか。実際、オーストラリアはトライトンを採用しております。わが国のような海洋国家がですね、海洋上であまり利用価値のないグローバルホーク、しかもその旧型のものを買うということは、そもそも理に適っていないと思うんですけどもいかがでしょうか。

A:グローバルホークの具体的な能力についてお答えをすることは差し控えさせていただきたいと考えます。繰り返しになりますけども、グローバルホーク、搭乗員に対する危険・負担を局限しつつ、現有の装備品では十分に実施することが困難である、領海・領空から比較的離れた地域での情報収集、常続的な警戒監視の態勢を強化するということに資するものであると考えております。

Q:大臣、その具体的な能力が云々って、大体、確かに細かいことはもちろんその米軍が秘にしてるでしょうけど、大まかなことは公開されておりまして、それをわざわざ私は言えませんとおっしゃるのは、納税者に対してどうかと思いますし、例えば部品枯渇の問題でいえば、アパッチ、陸自のアパッチです。これも12機しか今存在していない。飛ぶのはそのうち数機だ、しかも実際戦闘できるのは1、2機というふうに聞いております。しかももうすぐボーイングの方でサポートをやめてしまいます。こういったものに対して、これをどうするのか、防衛省は全く発表していないんですけども。こういう過去の実績があるからグローバルホークもお尋ねしてるんですけれども、ここらへんどうでしょう。政策官庁として無責任なんじゃないでしょうか。

A:細かいことにつきましては、事務方にお問い合わせをいただければ。

Q:細かくなくて、個々の装備に関しても、そういう調達ができない、もしくはサポートが終わってしまうと分かっているものを、なんでそれを買うんですかっていうのは、防衛省の体質的な問題ではないんですか。

A:我々の調達については、長期的な計画に基づいて計画されているものでありますので、またそういったことについては、事務方にもお問い合わせをいただければいいんではないかと思います。

以上