防衛大臣記者会見

日時
令和3年8月27日(金)11:13~11:38
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
岸防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 新型コロナです。前回の定例会見以降、620名の隊員が新たに感染が確認されました。累計で3,891名ということになります。この620名のうち、4名は情報収集活動のため中東地域に派遣された護衛艦「あきづき」の隊員です。陽性が確認された4名の隊員及び濃厚接触の疑いがある者として指定された38名の隊員は、寄港地または護衛艦内において隔離療養中であります。防衛省・自衛隊としては、更なる感染拡大を防止し、隊員の安全確保に万全を期した上で任務を遂行してまいります。防衛省・自衛隊は、英空母「クイーン・エリザベス」を中心とする英空母打撃群が日本を寄港する機会を捉え、「パシフィック・クラウン21」と題する一連の共同訓練を実施しています。これまで、英空母打撃群とは、7月11・12日にアデン湾において海賊対処共同訓練を実施したほか、8月24日には、「米国主催大規模広域訓練2021(LSGE21)」の後段部分において、初めて日本周辺で訓練を行いました。同訓練に引き続く8月25・26日に、海上自衛隊は、「パシフィック・クラウン21-1」として、英空母打撃群と沖縄南方海空域において通信訓練を実施を致しました。海上自衛隊からは護衛艦「いせ」、「あさひ」、英空母打撃群からは空母「クイーン・エリザベス」のほか、駆逐艦「ディフェンダー」、フリゲート艦「ケント」、米駆逐艦「ザ・サリバンズ」、そしてオランダのフリゲート艦「エファーツェン」が参加致しました。防衛省・自衛隊としては、「パシフィック・クラウン21」を通じ、戦術技量の向上や各国との連携の強化を図るだけでなく、長い歴史と伝統を有する日英防衛協力が「新たな段階」に入ったこと、FOIPの維持・強化のために英国の関与が強固かつ不可逆的であること、そして日英防衛協力が、わが国の安全保障のみならず、インド太平洋地域と国際社会の平和と安定の確保に資するものであることを示していくことになります。以上です。

2 質疑応答

Q:アフガニスタンの情勢についてお伺いします。カブール空港周辺でですね、テロと見られるような爆発がありましたが、自衛隊の撤退というようなこともあるのか含めて、今後の対応というのをお聞きをしたいのと、韓国がですね、米軍と一緒にバスで空港までアフガニスタン人を運んだということなんですが、こういったような対応を日本でとるような可能性があるのかどうかお聞かせください。

A:アフガニスタンにおいては、各国は自らの軍用機で自国民や現地職員の方々を退避させる取り組みを行っています。人道的な観点から、自衛隊としても邦人や現地職員等の方々を退避させ、安全の確保を図ることは極めて重要な責務であり、8月23日、私が命令を発出し、現在部隊はこの重要な任務に当たっているところであります。現地において、まさにオペレーションの最中であります。隊員や輸送される邦人の命にもかかわることでありますので、詳細につきましては、お答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。日本政府として現地の情勢を、懸念を持って注視しております。情勢は流動的であるところ、予断は許しませんが、米国等の関係国と連携をして、カブール空港に派遣しているわが方要員の安全に十分留意しながら、邦人、現地職員等の安全な退避の実現に向けた努力を関係省庁一丸となって継続する考えであります。

Q:今のアフガン情勢の関係でお伺いします。大臣の発言ですと、輸送の安全という点に関しては、確保されているのかどうかという認識をお聞かせください。

A:現在ですね、カブール空港における安全については、米軍によって確保されているというふうに考えております。

Q:そうしますと、安全確保されているので引き続きオペレーションを継続中、そういうことでよろしいでしょうか。

A:はい。

Q:それからですね、カブールには今現在、自衛隊含む政府職員はどのくらいいらっしゃるのでしょうか。

A:全体のオペレーションの問題でございますので、詳細は控えさせていただきたいと思いますけれども、カブール空港においてしっかりと情勢分析も含めて、また輸送に関して必要な人員配置をしているところです。

Q:活動期間なんですけれども、報道なんかでですね、27日までというような報道も出ていると思うんですけれども、昨夜ああいったテロ事件の中で活動期間は今どのように考えていらっしゃいますでしょうか。

A:基本的にはカブール空港での安全が確保されている状況をしっかり検討してゆくことになります。米軍がですね、撤退の期限までに撤収をするということを鑑みますと、我々の活動できる範囲というのも限られてくるというふうに考えております。

Q:今ですね、邦人等の退避は実現されているのかどうか、現状のオペレーション、退避されているかどうか教えていただけますでしょうか。

A:これは今実際に進んで現地でオペレーションを行っているところでございますので、現状につきましてはお答えを差し控えさせていただきたいと思います。

Q:先ほどの質問に関連するんですけれども、やはり空港の外でですねテロ事件とみられるものが起こったということなんですけれども、やはり現地の情勢厳しくなっていると思うんですけれども、84条の4ですね、安全確保が前提となっていたと思うんですが、この安全という前提は確保されているのか、改めて教えていただけますでしょうか。

A:空港においての安全は引き続き確保されているというふうに判断を致しております。引き続き情報収集を徹底して現地の状況を適切に見極めていきたいと考えています。

Q:アフガン関係なんですけれども、今回のこのテロはIS系が関与しているというふうに言われています。派遣を命令した当時と比べてですね、情勢が変わってきているのではないかなと思うんですけれども、そのあたり大臣の御認識をお願いします。

A:現地時間の26日夜ですね、アフガニスタンのカブール空港のゲートの外ですけれども、アビー・ゲート付近の2カ所において、爆発が発生をした。少なくとも60人以上が死亡したという報道があります。米国防省によると、米軍人にも少なくとも12名以上の死者が確認されているということであります。爆発等においては、イスラム過激派組織(ISLL)の中央・南アジアにおける分派との指摘があります「ISILホラサン州」いわゆる「ISIS-K」が犯行声明を出しているということで承知をしているところですが、引き続き現地情勢の情報収集に努めてまいりたいと考えております。

Q:今回のテロに関連して、輸送対象者であるとか、部隊も含めなんですけれども、何らかの影響、被害はないということでよろしいでしょうか。

A:まず、その事案についてではありますけれども、犠牲になられた方々のご冥福をお祈りしたいと思います。また、派遣されている隊員については、現地から総員無事であり、安全が確保されているとの報告を受けております。

Q:引き続きアフガン情勢お伺いします。84条の4の要件となっている安全確保についてなんですけれども、大臣は米軍がカブール空港を統制しているということを理由に挙げておりましたが、仮にこれ米軍とIS系ですとか、戦闘行為が空港内で発生した場合は、これ安全確保ができなくなったと判断されるんでしょうか。また、対象者が残っている場合であっても安全確保が崩れたとなれば自衛隊は撤退するというふうに考えてらっしゃいますでしょうか。

A:仮定の状況ですからお答えは差し控えさせていただきたいと思います。いずれに致しましても米軍によりますカブール空港での安全確保、これは必要な話でありますし、情勢についてはしっかり分析しながら我々の救助を進めていきたいと思っております。

Q:今回の空港周辺の安全性についてですね、アメリカやイギリスから注意喚起、警告のメッセージが出されておりますが、このメッセージについてはどのように受け止めておられますでしょうか。

A:引き続き我々としてもですね、情報をしっかり収集して情勢分析を行っていかなければいけないと考えております。空港内の安全確保については先ほども繰り返しになりますけれども確保されているというふうに考えております。

Q:関連してなんですが、空港内の安全は確保されているというふうに御説明いただきましたが、空港に来るまでのですね、道に関してなんですが、今までのその空港への移動に関しては当事者によって行われるという日本の方針に変わりはないということでよろしいでしょうか。

A:基本的に、当事者に来て頂かなければいけませんが、政府としてできる限りの支援をしていくということであります。

Q:安全環境が変われば、自力で来てもらうという方針から何らかの支援が必要であれば行うということでよろしいでしょうか。

A:安全環境が変わるというよりも、元々ですね、しっかり手段については支援をしていくということでありました。

Q:アフガン関係で伺います。大臣先ほど、米軍が撤退期限までに撤収することを鑑みると活動できる範囲が限られると仰いましたけれども、米軍月内での撤収を予定していると思います。9月以降の派遣期間の延長について、これは無いというふうに考えているのでしょうか。

A:今のところそういうことを想定しているものではございません。あくまでも、実質的には今日が27日ですから、今日のぐらいの活動を考えておりますけれども。

Q:もう1点伺います。今後状況によっては撤退という可能性もあるかもしれないのですけれども、今後の動きの判断の時期について、リミットですけども大臣どのようにお考えでしょうか。

A:これは状況によって色々あると思います。いずれに致しましても、情勢をしっかり情報収集しながら、分析をして判断していきたいと思います。

Q:話変わりまして、沖縄の基地問題なんですけども、在沖縄の米海兵隊は昨日から米軍普天間飛行場から毒性が指摘される有機フッ素化合物の一種、PFOSを含む水の公共下水道への排水を始めました。沖縄県宜野湾市、地元強く反発していますけども、大臣の受け止めをお願いします。

A:普天間基地内のPFOSを含む水の取り扱いについて、処分方法を含めて、日米間で協議をしておったところであります。そうした中で、今般の米側による処理水の放流は、極めて遺憾であるというふうに思います。米側から放流した、開始した旨の連絡を受け、直ちに米側に対して強く抗議するとともに、放流を中止するよう申し入れを行いました。防衛省としては、更なる放流を行わないように働きかけるとともに、PFOSを含む水の処理について適切な措置がなされるよう、日米間でしっかりと協議してまいります。

Q:関連なんですけども、外務省、環境省含めて政府でも相次いで抗議、あるいは放流の中断を求めるということをやっている、行っているということなんですけども、今のところ米軍は放流を続けている模様なんですが、日本の下水道への放流を止める手立てとして何かお考えはありますでしょうか。

A:米側に対して、引き続きしっかり放流の中止を申し入れるとともに、適切な措置がとられるように、米側としっかりと協議してまいりたいと思います。

Q:今の関連なんですけども、日米協議の最中に一方的に放流したということは日米の信頼関係を損ないかねないような行動だと思いますが、今回の米軍の対応適切だったと大臣お考えでしょうか。

A:先ほどからも言ってますけども、協議の最中にですね、一方的に放流が行われたということでございます。我々としては、本当に遺憾の意を強くしております。米側に対して強く抗議をするとともに、引き続き放流を止めて、また協議をするように働きかけしておるところであります。

Q:沖縄の関係で、米軍の普天間飛行場の移設に伴う辺野古新基地建設に関して、防衛省は変更承認申請書の添付図書で、南部地区の糸満市と八重瀬町等から土砂を搬出するという計画をされているかと思いますが、これに関してお伺いします。県南部は沖縄戦の遺骨がまだたくさん残っていて、住民の方も反発の声も聞こえると思いますが、ここから採取をするということを決定した理由について改めてお伺いできますでしょうか。

A:現在沖縄県で審査中の変更承認申請書においては、変更承認後の埋立てに使用する土砂の調達先の候補地のひとつとして、沖縄本島の南部地区が記載されているところであります。変更承認後の埋立に使用する土砂の調達先については、工事の実施段階で、埋立工事の受注者が選定するものであります。現時点で具体的な調達場所は確定しておりません。その上で、変更承認申請書に記載されている県内の土砂の採取候補地は、関係法令で認められ、現に事業が営まれている鉱山から、県内で出荷することが可能であるとの回答を得た場所を取りまとめたものであります。変更承認申請を行うに際して、土砂の採取候補地となった自治体や地域住民に、事前の説明を行う必要があるものではないと考えておりますが、いずれに致しましても、まだこれは具体的な調達場所について確定したものではないということであります。

Q:アフガンの関連でお伺いします。自衛隊法84条の4、在外邦人輸送の実施要件ですが、空港内だけでなく、空港上空の安全も実施要件になるのでしょうか。

A:これは基本的には輸送の安全が確保されているという考えであります。

Q:対空脅威もあると思いますが、現時点では空港上空の安全も確保されているという御認識でしょうか。

A:そういうことは安全が確保されているという考えで変わりはございません。

Q:あともう1点、派遣隊員の家族の方にアフガン地域が安全であると、今大臣として、明言できるのか教えてください。

A:現実には、これはセキュリティの問題もありますから、情報保全の問題もありますので、お答えを差し控えさせていただきたいと思いますが、基本的には安全は確保された上でのオペレーションを行っているということであります。

Q:山崎統幕長が新型コロナウイルスの濃厚接触者に該当する状況にあるのではないかという情報があったんですが、事実関係を教えてください。

A:それについては、コメントを差し控えさせていただきたいと思います。

Q:そうだとも、そうではないとも言えないということでしょうか。

A:はい。

Q:それはどういう。

A:個人の健康の問題ですので。

Q:重要なオペレーションの最中だと思うんですけれども。いなくてもオペレーションに影響はないということでしょうか。

A:オペレーション上は、まったく支障をきたしておりません。

Q:米軍の普天間飛行場の移設に伴う辺野古の新規建設の関連なんですけれども、沖縄防衛局はN-2護岸の工事に着手しました。予定地の周辺にはですね、まだ移植されていないサンゴがあり、環境への影響が懸念されておりますが、大臣の受け止めをお願いします。

A:必要な作業の準備が整ったことから、本日、沖縄防衛局がN-2護岸の造成に必要となります、石材の投入を実施をし、工事に着手をしたという報告を受けております。防衛省としては、引き続き、普天間飛行場の一日でも早い全面返還を実現すべく、辺野古移設に向けた工事を着実に進めてまいりたいと考えております。

Q:アフガン情勢に戻ります。細かい話なんですけれども、任務の期限の関係なんですけれども、9月以降に派遣延長になるのかということで、今のところ想定はされていないと。その後、今日ぐらいの活動を考えているというような趣旨の発言があったと思うんですけども、茂木大臣も今日までのオペレーションでどれだけ人が運び出せるかだとおっしゃっています。事実上、現地からの輸送というのが、今日がデッドラインというふうにお考えでしょうか。

A:現地の状況がですね、非常に流動的であります。そうした中で、一瞬の時間も無駄にはできないと考えております。一瞬でも早く邦人の輸送が行われるように、最善の努力を重ねているところであります。

Q:明日以降の輸送は検討しているという理解でよろしいでしょうか。

A:これはオペレーションの問題ですので、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。

Q:先ほどの質問に関連しまして、米軍の撤収期限もある中でですね、大臣の方としては、輸送命令の終結ですね、どのような形になったら終結できるのか、どういうふうにお考えになっているのか教えていただけますでしょうか。

A:まず、現地でですね、もちろんオペレーションが完了すればそれで終結するようになりますし、状況の変化等々見ながら、オペレーションを継続するのかどうするのかということも判断をしていかなければいけないというふうに考えております。

Q:判断の時期も迫ってるところだと思うんですけれども、そういった判断はいつ頃になされるのかということを最後にお聞かせいただけますでしょうか。

A:状況が非常に流動的に動いている中ですので、明言することは差し控えさせていただきたいと思います。

Q:先ほど別の記者の質問の関連なんですが、対空脅威について質問された際、安全が確保されていると仰られたと思うんですけれども、先般イタリアの航空機が銃撃を受けたという情報がありますけれども、この件についてはどのように受け止めていらっしゃるんですか。対空脅威はないんでしょうか。

A:そういう情報は承知をしておりますけれども、全般的な対空の脅威というふうに分析をするのかどうか、こうしたことも含めてしっかり情報収集しながら分析をしていかなければいけないと思います。

Q:つまりまだ一時的なものだというふうに考えていらっしゃると。

A:今の時点で安全は確保されていると考えております。

以上