防衛大臣記者会見

日時
令和3年7月9日(金)11:13~11:28
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
岸防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 コロナですが、前回の定例会見以降、14名の隊員が新たに感染していることが確認されました。累計で2,034名となります。防衛省・自衛隊は、本年2月の日英「2+2」での議論を踏まえまして、イギリス側との間で、空母「クイーン・エリザベス」を旗艦とする英空母打撃群「CSG21」との共同訓練の実施に向けて調整を進めてまいりました。今般、海上自衛隊と「CSG21」との初めての共同訓練として、ソマリア沖・アデン湾において海賊対処共同訓練を実施することといたしました。防衛省・自衛隊としては、今般の共同訓練を通じ、イギリスと共に、海賊というグローバルな安全保障上の課題に対処し、世界の繁栄の礎である海上交通の安全を確保していくという意志と能力を示すとともに、地域と国際社会の平和と安定に積極的に貢献していく考えであります。今週火曜日、私からの提案で、スリランカのゴタバヤ・ラージャパクサ大統領とのテレビ会談を実施をいたしました。スリランカは、インド洋のシーレーンの要衝に位置する重要国であります。「FOIP」の維持・強化にとって、また、自衛隊の活動にとっても極めて重要な国であります。私とラージャパクサ大統領は、6月30日に海上自衛隊艦艇がスリランカ沖で開催されました米スリランカ共同訓練「CARAT」に初参加するなど、日スリランカ防衛当局間の協力・交流が着実に進展していることなどについて歓迎をいたしました。今後も、2019年に署名をされました防衛協力・交流の覚書も踏まえて、「FOIP」の維持・強化に向けて、スリランカと緊密なコミュニケーションを継続してまいります。2021年度の第1四半期におけるスクランブルについてですが、航空自衛隊による緊急発進の回数は、第1四半期において142回でありました。このうち、中国機に対する緊急発進回数は94回であり、ロシア機に対する緊急発進回数は48回でした。この期間において、空母「遼寧」から発艦したヘリコプターが尖閣諸島領空から50kmまで接近するといった事案や、中国の情報収集機等が沖縄本島と宮古島の間を通過するなど、わが国周辺空域における特異な飛行が確認されました。防衛省・自衛隊としては、わが国の領土・領海・領空を断固として守るという方針の下、引き続き国際法及び自衛隊法に従い、対領空侵犯措置を万全に期していく所存であります。新田原基地の騒音訴訟の一次判決の発言の訂正についてありますが、6月29日の記者会見において私が発言した内容に一部に誤りがありましたので訂正をいたします。6月28日に新田原基地騒音訴訟の一次判決があった件につきまして、過去の損害賠償について、「遅延損害金を除く元本約1億2,026万円」の支払いが命ぜられたと申しましたが、これは「遅延損害金を含む損害賠償金約1億2,026万円」が正しく、改めて訂正をさせて頂きます。

2 質疑応答

Q:日英防衛相会談について、今月20日に都内でウォレス国防大臣と会談するとの見通しが報じられていますが、現在の調整状況について教えてください。

A:そのような報道について承知をしておりますが、現在、調整中でありまして、まだ決まったものというのはございません。

Q:オリンピックについてお尋ねします。オリンピックに際してですね、防衛省から自衛官を約9,000人、陸自の部隊でいえば3個旅団相当の人員を派遣するとのことなんですけれども、これに係る隊員の費用ですね、手当とかその他移動費用など、おいくらぐらいかかってるものでしょうか。また、その支出はどういう名目から支出されるんでしょうか。

A:オリンピックに対する防衛省・自衛隊の活動については、後ほど事務的にご報告をいたします。

Q:緊急事態宣言がですね、4回目発出されるということになって、オリンピックもですね、無観客に1都3県なるということで調整が進んでいると思うんですけれども、自衛隊の派遣等もですね、検討されている中で、この無観客になることで自衛隊の派遣規模が変わるとかですね、何か対応の変化っていうのはあるんでしょうか。

A:オリンピックの開催について、更に詳細が決まっていく中でですね、関係機関・関係省庁との間で更に詳細を煮詰めていく中で決まってまいると思います。

Q:現時点では、まだ具体的な体制等決まっていないと。あと災害がまた増えてきているというふうに思うんですけれども、自衛官の接種ですね、なかなか進んでないところもあったと思うんですけれども、現状どのようになっているかということと、今後どのように接種を進めていかれるか、お考えをお聞かせいただけますでしょうか。

A:先般の静岡県の熱海での災害の発生等々ですね、現在、これから災害の季節になってまいります。そうした中で自衛隊に対する災害派遣等も考えられる訳ですけれども、まだ十分に職域接種等々が進んでいない等の御指摘はですね、しっかり踏まえまして、今後、職域接種等々を通じてですね、自衛官の接種が進むように関係省庁、関係自治体と調整してまいります。

Q:政務に関する質問なんですが、昨日の「平成研」の竹下会長がですね、引退を表明されました。伊吹元衆院議長ですね、塩崎元官房長官等、今回ベテランの引退表明が相次いでおりますが、大臣、どのように受け止められているかというのと、今後の自民党に何らかの影響があるとお考えでしょうか。

A:防衛大臣としてのコメントは差し控えさせていただきたいと思います。それぞれの先生方については、これまで長年にわたって党のため、あるいは国のために国政のために、御尽力をいただいたものと思います。敬意を表したいと思います。

Q:本日までロシア軍が日本海で日本のEEZを含む日本海で予定しておりましたミサイル訓練について、外交ルートを通じて中止の通知を送ってきたと聞いております。一応、事実確認とですね、この中止について大臣の受け止めを伺えますでしょうか。

A:ロシア側から7日から9日までの間で、発出をされていました空域に関する事前通報いわゆる「ノータム」については、7日にキャンセルをされました。また、8日には同じく航行警報もキャンセルされたというふうに承知をしております。他方で、当該海空域における訓練実施の有無等の詳細については、わが方の情報収集能力を明らかにする恐れがありますことから、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。なお、現時点においてロシア側から当該海空域における訓練の実施を具体的に発表をしているということは承知をしておりません。いずれにいたしましても、わが国周辺において、演習・訓練を含むロシア軍の活動が活発化する傾向にあります。引き続きわが国周辺におけるロシア軍の動向について注視をしてまいります。

Q:23日の五輪開会式当日のブルーインパルスの飛行についてお伺いしますが、昨日、五輪無観客という方針が打ち出されました。ブルーインパルスが飛行するとなれば都内の人流を招きかれないと思うんですけれども、当日の飛行の取り止めの検討はされているんでしょうか。

A:詳細について確認をして、またお答えいたします。

Q:在沖米海兵隊がですね、米側普天間飛行場の中に毒性が指摘される有機フッ素化合物(PFAS)を含む水があり、公共下水道に放出する考えがあることを明らかにしました。防衛省が把握している事実関係と大臣の受け止めをお願いします。

A:まずは、PFOSを巡ります一連の問題につきましては、沖縄県民の皆様をはじめとする国民のご不安、これを払拭すべくですね、現在、関係省庁、関係自治体と協力の上、日米間で緊密に連携して様々な取組みを行っています。こうした取組の一環として、普天間飛行場内の地下貯水槽に保管されていますPFOSを含む水の取り扱いについては、処分方法を含めて、現在、日米間で協議をしているところであります。その上で、これまでも米側は、PFOS等の処理について、日本環境管理基準(JEGS)等を踏まえ、適切に実施してきたものと承知しているところでございます。協議内容の詳細については、相手方との関係もありますのでお答えを差し控えますが、本件について適切な処理がなされるように、関係省庁と協力の上、日米間で緊密に連携して、早急に結論が出るように努めてまいりたいと思います。

Q:関連ですけれども、今の段階で防衛省としては止めるように求めるようなお考えはあるんでしょうか。

A:今関係省庁と協議中のことでございます。

Q:サイバー戦に関してお伺いしたいんですけれども、来年度の予算でサイバー戦関連の予算と人員を増やす方向にあるかと思うんですけれども、基本的に自衛隊は自衛隊関係しか防御できないようになっています。ところがサイバー戦と言ってもサイバーの空間の中で戦うわけではなくって、民間のある施設とかですね、インフラを攻撃されると自衛隊もこれ多大な影響を受けると思うんです。例えばの話、IXP(インターネット・エクスチェンジポイント)、日本で十数カ所あって、ほとんど東京に集中してます。それからあとは、海底ケーブルの陸揚所ですね、これも十何カ所あるんですけれど、そのうち2カ所がほとんど千葉と三重で、場所ももう公開されてます。これを物理的に攻撃されると、ほぼ日本の通信は途絶してしまうんですけれども、こういうものを例えば自衛隊及び防衛省で守ろうとかというような考えというのはお持ちでしょうか。

A:サイバーセキュリティにつきましては、国全体の問題でもあります。そして、NISCを中心にして政府全体で取り組むものと考えております。

Q:基本的に例えば自衛隊が持っている装備、部隊等、戦闘機だとか戦車は基本的に国民の財産・領土を守るために全部使えるわけですけれども、サイバーに関してで言うと、自衛隊だけを守るというような形になっているかと思うんですね。これに関して、大臣、違和感は覚えませんでしょうか。諸外国では、民間のファシリティやインフラも守るようなことが普通だと思うんですけれども、何か法的に問題があるんでしょうか。

A:まずは、サイバーセキュリティ自体ですね、サイバー攻撃というものは、国に対する問題でありますから、政府全体で取り組んでいく問題であると思います。その中で、NISCを中心として対処をしてまいります。自衛隊も様々な形で協議、あるいは協力をして、体制を作っていくということになると思います。

以上