防衛大臣記者会見

日時
令和3年7月6日(火)11:15~11:40
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
岸防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 コロナです。前回の定例会見以降、29名の隊員が新たに感染していることが確認されました。累計は2,020名感染されたことが確認されています。次に熱海市内における土砂災害に関して、静岡県知事からの災害派遣要請を受けた自衛隊は人命救助を第一義として活動を実施し、警察や消防と連携して、これまでに4名を救助しております。陸上自衛隊・航空自衛隊は、総計約980名の態勢をもって、被災現場には410名、救助犬5頭及び重機5両を投入して、安否不明の方々の捜索救助活動及び情報収集を実施をしております。このうち、上空からの情報収集活動については、本日の朝から東京・立川のUH-1ヘリコプター1機及び全天候型ドローン7機をもって、被災現場の情報収集及び映像の伝送を実施をしております。防衛省・自衛隊としては、引き続き関係省庁や自治体と密接に連携し、未だ安否不明の方々に対する人命救助に全力を挙げてまいります。

2 質疑応答

Q:熱海市の災害派遣についてなんですけれども、災害発生から72時間が経過しました。現在も捜索活動が続いております。2次災害の危険がある中での活動だと思いますが、どのような点を注意しながら自衛隊として救助活動にあたっていくか大臣のお考えをお願いします。

A:先ほども述べましたけれども、陸自、それから空自合わせて980名の態勢をもって被災現場には410名、救助犬5頭、重機5両を投入して、安否不明の方々の捜索救助活動及び情報収集を実施をしているところです。土石流による被害を受けた地区の住民の方々の安否を自治体が確認している状況においては、引き続き関係省庁や自治体と密接に連携をして、未だ安否不明の方々に対する人命救助に全力を挙げて対応する必要があると考えておるところです。

Q:熱海の災害派遣に関連してなんですけれども、派遣されている自衛官の方々への新型コロナのワクチンの接種状況について、どのようなことになっているか教えていただけますでしょうか。

A:現地で活動している隊員のワクチン接種状況ですけれども、これは昨日の時点で360名でありましたけれども、これをチェックして少なくとも1回目の接種を終えている方が40名です。災害派遣等に従事する自衛隊員は危機管理職員であり、速やかなワクチン接種は、重要であると考えております。防衛省・自衛隊として、引き続き任務に支障が生じることのないように全国の部隊等において順次職域接種を開始できるように関係省庁と調整を進めてまいります。

Q:360人出られている中で40人というのは、さすがにちょっと少ないのかなと感じもするんですが、その辺りはどのように受け止めてらっしゃいますか。

A:今申し上げましたけれども、職域接種をできるだけ早くですね、広めていけるように関係省庁と調整を進めているところであります。

Q:重ねてすみません。自民党からも自衛官に優先接種というものやるべきだと声があったかたと思うんですけれども、大臣として、政府として、もう少し早く優先的にやるべきだったという思いはありますか。

A:この時期、災害が発生する時期ですので、そういった点については従来より心掛けてきたところですけれども、職域接種については全体のスケジュール等もワクチンの供給状況等もございますので、そういった点を関係省庁と調整しながら、自衛隊に対する接種が遅れることのないように今後進めてまいりたいと思います。

Q:麻生副総理がですね、昨日の自民党議員のパーティーの中での講演でですね、「台湾で大きな問題が起きれば、存立危機事態に関係するといってもおかしくない、日米は台湾を防衛しなければならない」と述べ、集団的自衛権の一部行使の可能性について言及されました。この件についてですね、防衛省としては、この見解についてはどのようにお考えでしょうか。

A:台湾を巡る状況について、仮定の質問にお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。いずれにしても台湾をめぐる問題が当事者間の直接の対話によって平和的に解決されることを期待するというのが従来からのわが国の一貫した立場であります。防衛省としても、引き続き関連動向を注視してまいりたいというふうに思います。また、いかなる事態において例えば存立危機事態とか、あるいは集団的自衛権の問題とかですね、こういうことにつきましては、実際に発生した事態の個別具体的な状況によって政府が総合的に情報を客観的、また、合理的に判断することとなります。一概に申し上げることは困難でございますけれども、副総理のご発言は、基本的にこうした政府の考えを踏まえて行われたものであると承知をしているところでございます。いずれにしましても台湾をめぐる情勢については防衛省としても引き続き注視をしてまいりたいと考えます。

Q:関連で、麻生副総理はですね、NSCの四大臣会合のメンバーでもあります。そういう意味でも発言は重みがあるというか、NSCでも逆に言うとそういう議論をしているのかなというふうにも思うんですけれども、それを踏まえた上で大臣としては今回のこの発言の重みというのはどのようにお考えでしょうか。

A:NSCの中での発言について私からコメントすることは差し控えさせていただきます。いずれにいたしましても、台湾を巡る情勢については中台間の軍事バランスが大きく今中国側に有利に傾いている。また、その状況が更に毎年ですね、広がっているというような傾向にある中ですから、我々としてもですねしっかり台湾問題については注視をしていきたいと考えております。

Q:佐賀空港へのオスプレイ配備計画に関して質問です。地権者への説明会が先般一巡して終わりまして、その説明会が終わったことへの大臣の受け止めをお願いします。

A:防衛省が6月30日から7月4日にかけて、地権者説明会を実施をしたところでございます。この説明会において、陸自オスプレイの佐賀空港配備の必要性・有用性について、丁寧に御説明を申し上げました。また、地権者の皆様からの御質問に対しましても、可能な限り誠実にお答えさせていただいたということでございます。その上で、島嶼防衛能力の構築は喫緊の課題であります。可能な限り早期に有明海漁協の皆様の御理解・御協力を得ることができるように、引き続き、丁寧な対応に努めてまいりたいと思います。

Q:説明会では地権者から説明不足を指摘する声、今後も説明会を開いてほしいという意見もありましたが、その辺対応はどのようにお考えでしょうか。

A:地権者の皆様のお気持ち、また、御意見というものは真摯にうかがってまいりたいと思っています。その上で、今後、防衛省としてもしっかり意見交換会の御意見を受け止めて適切に対応してまいりたいと考えております。

Q:青森県にある小川原湖で米軍横田基地のオスプレイが訓練のような飛行を繰り返し行っている様子が確認されました。漁業者が漁に出ている時間帯に事前通告なく行われており、地元からは懸念、抗議の声も上がっています。この地域は地元では米軍に提供した区域ではないとの見方もございますが、その点も含めて、防衛省として把握している事実関係を教えてください。

A:御指摘の点につきましては、現在、米側に事実関係を確認中でございます。予断をもってコメントすることは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、その上で、米軍機の運用に際しましては、米側が、わが国の公共の安全に妥当な考慮を払って活動するということ、これは大前提であるというふうに思います。防衛省としては、引き続き、米側に対して、安全面に最大限の配慮を求めるとともに、米側から情報が得られた際には、関係自治体に速やかに情報提供する考えであります。

Q:この地域は燃料タンクの投空・投棄事故などを含め、ここ数年、米軍機にまつわるトラブルが続出しています。地元との信頼関係を維持するためにも、事前通告の要請を含めてですね、米側に申し入れ等行う考えはありませんでしょうか。

A:まずは、事実関係を含め確認をしているところでございますので、その上で、適切に対応してまいりたいと思います。

Q:ロシアについてお伺いします。先日、ロシア外務省の情報局長の方がオリエント・シールドを、それから岸大臣の北海道視察での発言について懸念を示されました。これに対して大臣の御所感をいただきたいと思います。あともう1点、今朝の一部報道で大和堆でのロシア軍によるミサイル実験の報道がありました。これについて、把握されている情報と受け止めをお願いできますでしょうか。

A:ロシア外務省のコメントについては、承知しておりますが、防衛大臣として、一つ一つコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。日米共同訓練のオリエント・シールド21を実施していますけれども、本訓練は、ロシアを含む特定の国を念頭において行われているものではございません。また、先日、千歳基地における私の訓示は、南西方面だけではなくて、北方の空の守りもわが国の平和に直結するということを踏まえて、千歳基地における対領空侵犯措置等の任務の重要性について述べ、隊員を激励をしたというところであります。それから、大和堆の事ですけれども、7日から9日にかけて、ロシア海軍が日本海海域でミサイル発射訓練を実施予定であることを受けて、3日に海上保安庁から日本海海域に航行警報を発出しております。また、これに先立ち、2日、ロシア海軍によるミサイル発射訓練の実施海域の一部にわが国のEEZが含まれていることを踏まえ、外交ルートを通じて、沿岸国であるわが国の権利及び義務に妥当な考慮を払うようにロシア側に申入れを行うとともに、わが国周辺におけるロシア軍の活動を関心を持って注視していることを伝達をいたしました。わが国周辺において、演習や訓練を含めたロシア軍の活動が活発化する傾向にあります。防衛省としては、今般のミサイル発射訓練を含めて、わが国周辺におけるロシア軍の動向について、引き続き注視してまいります。

Q:先程のですね、麻生副総理の発言について確認なんですが、麻生氏はNSCのコアメンバーでもありますし、元総理ということで自衛隊の最高指揮官を経験している方でもあります。その方の発言ということで、非常に国際社会でも大きな強いメッセージになったという見方もありますが、大臣はこの点についてはどのように受け止めておられますでしょうか。

A:麻生副総理は、御立場上も、また台湾との関係という意味においても非常にお詳しい方であります。そういう意味で副総理の御発言に関心が集まるということもこれは理解できるところでございますが、いずれにいたしましても台湾問題に関する仮定の質問については、私からコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。ただ、防衛省としても引き続きこの台湾問題については、各動向を注視してまいりたいというふうに考えているところでございます。

Q:国家安全保障局の北村滋局長の明日付での退任が先ほど決定されましたが、外交安全保障に尽力された北村氏の退任について大臣どのように受け止めておられますでしょうか。

A:北村局長におかれては、長年にわたってこのNSCの中でですね、自らの御経験を活かして役割を果たしていただいたというふうに考えております。明日付で人事が行われますけれども、外務事務次官だった秋葉さんがなられるということですが、これも秋葉氏においてもですね、十分な見識をお持ちの方でございますので、今の厳しい安全保障環境の中で、またリーダーシップを発揮していただきたいというふうに考えております。

Q:陸上自衛隊の普通科の個人装備になんですけれども、これ先進国のレベルだと大臣はお考えでしょうか。

A:わが国の防衛装備については、これまでもですね、大綱、中期防に沿ってわが国にとって必要な防衛力の整備に向けて整えてきたところでございます。

Q:例えばですね、ヘルメットに関しては米軍のヘルメットは小銃弾に耐えられるけれども自衛隊のはダメだと。あとはポリカーボネートのサングラスも自衛隊は持っていない。服に関して言うと、非常に性能の低いビニロンを使っていると。それからあと、ここでちょっと持ってきたんですけれども、ボディーアマーを使っているんですね。ソフトアーマーに、前と裏に防弾板を入れているものですごく重たいんです。こういうものを使っているんですけれども、よその国は今プレートキャリアと言って、こういうものを使っているんですね。前と後ろに防弾プレートを入れているだけなんですよ。これは今、途上国でも使ってます。なぜかというと、こういうフル装備のアーマーだと重たくて動けない。特に日本の夏のような暑い所で動けないにもかかわらず、途上国ですら装備しているようなものをこういうものを全然陸自やってませんよね。これで隊員の命を守れるんでしょうか。大臣どうお考えですか。

A:装備の詳細につきましては、これは事務方にお問い合わせを下さい。

Q:詳細ではなく、全般的に装備がはっきり言って30年台遅れてるんですよ。それを放置することを大臣はどうお考えなんですかということなんです。

A:そのような御意見についてもおうかがいをいたしますとともに、対応については事務方にお問い合わせいただきたいと思います。

Q:熱海のドローンの件で一応確認の意味で教えて下さい。7機というお話だったと思いますが、この7機は日本のメーカー、つまり国産メーカーなのかそれともアメリカとか中国製なのか。あと、ドローンをそもそも自衛隊で約何機ぐらいになっているのか、その2点教えて下さい。

A:7機全天候型のドローンというふうに聞いてますけれども、生産をどこで行われているかとか全体の機数等々についてですね、詳細については事務方から後程お答えをいたします。

Q:今日の夕方、経済財政諮問会議で2022年度予算の概算要求基準が示される予定です。防衛省の要求につきまして、日本の防衛費はこれまでGDP比1%以下に抑えられてきて、諸外国に比べて低いと。自民党の国防部会なんかは増額を求めていますけれども、この新たな予算でどのようにこうした指摘に対応し、どういう分野に力を入れていくのかという現時点の方針を教えて下さい。

A:これからの経済財政諮問会議、この後行われるわけですけれども、しっかり我々としてもですね、厳しい安全保障環境を踏まえて対応してまいりたいと思っております。

Q:熱海の現場についてなんですけれども、一部ですね、作業が現在中断している地域があるという話が入ってきているんですけれども、もし現状がご確認できているところがあればお伺いしたいんですが。

A:現在の状況については確認して、また事務方から連絡をさせます。

Q:オリエント・シールド21について、先ほど岸大臣は特定の国を念頭に置いたものではないとおっしゃられました。また、菅総理は6月17日の会見で「私は中国包囲網などを作りませんから」と述べられています。ですが、中国もロシアも日本の動きは米国主導の対中・対露包囲網に追随したものと認識し、強く反発しています。このような現状について、岸大臣の認識をお聞かせください。

A:常々申し上げてますとおり、わが国を取り巻く安全保障環境というものは一層厳しさを増しているところです。こうしたことに対して、日米同盟の抑止力と対処力をしっかり強化をしていくことは大変重要であります。今回のオリエント・シールドについても、陸上自衛隊と米陸軍が矢臼別演習場における共同射撃訓練を含むこのオリエント・シールドを実施をしたところでございますが、先ほど申し上げましたけど、これはわが国の防衛という観点から実施は必要なことというふうに考えております。その中で、特定の相手国を念頭に置いたものではないということであります。

Q:大規模接種センターについて1点伺います。一部報道では、センター予定通り3カ月間8月末で終わるという報道もありますけれども、出口について大臣は今どう考えられているか。また、仮に8月末で終わるとすればですね、1回目しか接種できない人も出てくるわけですけれども、もしかしたら不満の声も上がるかもしれません。どのような対応を考えているか、接種の出口戦略、いつ頃までに示したいか教えて下さい。

A:当初5月23日より大規模接種センターをスタートしました。3カ月ということでスタートしたところでございます。今、キャパいっぱいに稼働しているところであると認識をしているところでございますけれども、まずは自治体が行っております接種の状況、日本全体の状況、ワクチンの需給状況、そういったものを踏まえていかなければならないと考えておりますけれども、出口のタイミングが近づいている中で様々な御意見を頂戴しながら対応して進めていかなければいけないというふうに思っているところでございます。

以上