防衛大臣記者会見

日時
令和3年7月2日(金)11:06~11:20
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
岸防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 まずコロナ関係です。前回の会見以降、21名の隊員が新たに感染が確認されました。このうちの8名については、米国アラスカ州において実施されました米空軍のレッド・フラッグ・アラスカ演習に参加した航空自衛隊の隊員です。これまでの合計は1,991名となっております。それから、来週7月5日から東京での大規模規模接種センターでの予約の追加分300人分、大阪での75人分の1回目接種分の予約につきましては、本日の夕刻から受付を開始するべく準備を進めています。この会見の後、具体的要領について、なるべく速やかに公表することとなります。米ウクライナ共同洋上演習「シーブリーズ2021」について。防衛省・自衛隊としては、今年3月の「日ウクライナ防衛相テレビ会談」の成果を踏まえて、明日から7月10日までの間、黒海において、米国及びウクライナの共催で実施される多国間共同演習「シーブリーズ2021」に、わが国として初めて、海上自衛隊から1等海佐1名をオブザーバーとして参加させます。この演習は、共催国である米国及びウクライナに加えて、NATO、イギリス、ジョージア、トルコ等32カ国が招待され、多数の艦艇・航空機、部隊等の参加を得て、水陸両用戦や海上阻止作戦を含む各種演習を実施するものと承知をしています。防衛省・自衛隊として、自由、民主主義、法の支配といった基本的価値を共有するパートナーであるウクライナとの防衛交流、防衛協力が着実に進展していることの証であり、大変意義深いものと考えており、ウクライナとの防衛協力・交流を強化し、地域や国際社会の平和と安定に寄与していく考えであります。防衛省と地域社会との協力を象徴するエンブレムについてですが、防衛省は、日頃から、全国8カ所の地方防衛局を通じて、安全保障政策への理解促進や危機管理対応、地域の皆様の生活環境改善等を目的とした「地域社会との協力に係る施策」に積極的に取り組んできています。特に、防衛施設の周辺地域が被る騒音等の不利益の是正や、防衛施設と地域社会の共存・共生の観点から、関係自治体等に対する補助金・交付金の施策を実施をしています。具体的には、地域や学校の防音工事のほか、医療費助成・消防車・コミュニティバスの整備など、様々な形で地域社会に裨益するべく努めています。その上で、今般、この取組に対する国民の皆様の御理解をより一層深めるために、防衛省と地域社会との協力を象徴するエンブレムについて、部内公募の上、作成をいたしました。背景は握手のデザイン、前面は人と人とが手を取り合うデザイン、そして緑色の色調により、防衛省が地域社会の理解と協力を得ながら施策に全力で取り組んでいく意思を表現しています。今回作成したエンブレムについては、防衛省の補助事業で整備した施設等への標示をはじめ、各種イベントのパンフレットや広告での使用など、防衛省全体として、広く活用していく考えであります。

2 質疑応答

Q:中国共産党の習近平国家主席が、昨日、党創立100年を記念する式典で、「台湾問題を解決し、祖国の完全統一の実現が今後、歴史的任務になる」と述べました。こうした発言に対する大臣の受け止めをお願いします。

A:御指摘の中国共産党創立100周年行事の開催については承知をしているところですが、他国の政党に関する事柄でありまして、日本政府としてコメントをすることは差し控えたいと思います。その上で、台湾をめぐる問題については、当事者間の直接の対話によって平和的に解決されることを期待するというのが従来から一貫した日本の立場であり、この立場に変わりはありません。台湾をめぐる情勢の安定は、南西地域を含むわが国の安全保障にとって重要ですが、近年、中国が軍事力の強化を急速に進める中で、中台の軍事バランスは全体として中国側に有利な方向に変化し、その差は年々拡大をする傾向がみられるところです。防衛省としても、引き続き動向を注視する必要があると考えています。また、中国との安定した関係は、両国のみならず、地域、また国際社会の平和と繁栄のために重要であります。日中は世界第2位、第3位の経済大国として、地域と国際社会の諸課題に取り組んでいく責務を共有しており、両国が国際社会のルールに則り、その責任をしっかり果たし、国際社会の期待に応えていくことが重要であると考えております。

Q:今の中国共産党の100年の質問に関連しましてですね、台湾の統一は歴史的な任務だというふうな発言の他にですね、兼ねてから中国も言っていると思うんですが、世界一流の軍隊を建設するという発言もあったと思うんですけれども、台湾に対する圧力ですね、それは今後強まってくると思うんですが、その辺りの情勢の分析はどのようにされていますでしょうか。

A:まず中国は、透明性を欠いたままですね、継続的に高い水準で国防費を増加させています。核・ミサイル戦力や海上・航空戦力を中心に、軍事力を広範かつ急速に強化しているものと認識をしています。また、宇宙・サイバー・電磁波領域といった新たな領域に関する能力の強化や、ゲーム・チェンジャー技術の開発にも注力しているところです。例えば、中国の国防費については、対前年度比でも6.8%の伸びを示しておって、1兆3,553億元になる旨公表したと承知しております。これは、日本円に換算すると20兆3,300億以上になります。令和3年度のわが国の防衛関係費の約4倍と試算されるところです。2021年には、最新鋭といわれる第四・第五世代戦闘機を1,146機、近代的な潜水艦52隻、駆逐艦・フリゲート71隻を保有しています。中国の軍事動向は、軍事力強化を含め、国防政策や軍事に関する不透明性と相まって、わが国を含む地域と国際社会の安全保障上の強い懸念となっています。今後も強い関心を持って注視してまいりたいと考えています。また、台湾についてですが、わが国としては台湾をめぐる問題は、やはり当事者間の直接の対話によって、平和的に解決させることを期待するというのが従来から一貫した立場で、これに変更はございません。一方で、近年中国が軍事力の強化を急速に進める中で、中台の軍事バランスは全体として中国側に有利な方向に変化をしています。その差は、年々拡大する傾向にあって、引き続き、関連動向に注視してまいりたいと考えております。

Q:F-15の能力向上について、今米側との協議について進捗状況をお聞かせください。

A:F-15の能力向上事業は、航空優勢の確保・維持のための防空能力の総合的な向上を図るという観点から重要な事業であります。他方で、本事業については、令和元年度から着手してきているところですが、これまで日米間で具体的な改修計画の詳細に関する技術的な検討を進める中で、経費の増加や初号機改修期間の延長が発生することが明らかになりました。このような状況を踏まえまして、現在、米国政府や国内企業との交渉・調整を実施をしております。経費の削減や改修期間の短縮を追及しているところですが、F-15の能力向上の改修計画の変更を決定したということではございません。

Q:今年の参議院の4月の決算委員会で、「事業の継続について検討する必要がある」というふうに御発言されていますけれども、事業の継続性について現状、どのようにお考えでしょうか。

A:現在、様々な状況について、鋭意検討を進めているところでございます。

Q:自衛隊の大規模接種センターについて、延長しない方向で調整に入ったという一部報道がありました。事実関係について教えてください。

A:当初よりこの自衛隊の大規模接種センターについては、地方自治体の接種を後押しするという立場で、期間については3ヵ月間ということで、5月の24日から進めてきているところであります。進展状況等も検討しながら、今後決定をしていきたいと考えております。

Q:延長しないことも選択肢ということでよろしいでしょうか。

A:そういうことも含めて、これは対策本部で検討を進めてまいります。

Q:ワクチン接種の副反応について伺います。中央病院が東京の大規模接種センターで接種を受けた20万人余りの調査結果を公表して、接種後30分以内に副反応が0.19パーセントだったと明らかにしました。大臣はこの結果をどのように受け止めているかということと、今後、職域接種等でモデルナの接種が拡大することが見込まれますが、こうしたことに先駆けて中央病院が報告することの意義についてお聞かせください。

A:ワクチンの副反応についての調査結果について発表したということについては承知をしておりますが、詳細についてはまた事務方にお問い合わせいただきたいというふうに思います。

以上