防衛大臣記者会見

日時
令和3年6月22日(火)11:26~12:04
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
岸防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 新型コロナウイルス関連ですが、前回の定例会見以降、6名の隊員が新たに感染が確認されました。累計で1,951名となります。陸上幕僚長からも既に公表があったと思いますけれども、明後日から7月11日まで、陸軍種間の日米共同訓練であります「オリエント・シールド21」が実施されます。今年3月の日米防衛相会談において、高度な訓練の実施を通じて即応性を強化することで一致したことを踏まえ、今年は「オリエント・シールド」としては、過去最大級となります日米の隊員約3,000名が参加することに加えまして、矢臼別演習場において陸自のMLRSと米陸軍のHIMARS(ハイマース)による共同射撃訓練、それから陸自の中SAMと在日米陸軍のPAC-3による奄美駐屯地への展開訓練といった新たな訓練も行うこととしています。なお、矢臼別においては6月29日、奄美は7月1日に報道公開を行う予定であります。わが国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中、日米共同訓練を通じて戦術技量を向上させるとともに、自衛隊と米軍の連携を強化することは大変重要であります。本訓練の実施に対する地元自治体の御理解・御協力に防衛大臣として感謝申し上げ、この機会を通じ、日米同盟の抑止力・対処力の一層の強化を図ってまいりたいと考えます。日本時間の6月23日16時から、私は「欧州政策センター(EPC)」からの招待を受け、「東アジアの安全保障課題及び地域における国際協力の展望」というテーマの下、オンライン形式による公開インタビューを受ける予定であります。近年、欧州主要国がインド太平洋地域への関与を強化する中、先般の欧州議会でのスピーチに続き、EUの有力なシンクタンクの一つであるEPCからも、東アジアを含め、インド太平洋地域の安全保障環境について、日本の防衛大臣の考えを発信できる機会をいただけることは非常に有意義であると考えております。私としては、この機会に、インド太平洋地域の安全保障の現実や、「自由で開かれたインド太平洋」というビジョンの下でのわが国の取り組み等について、欧州の多くの方々に理解を深めていただき、支持や共感が得られるよう、そしてこうした取り組みを通じ、EUをはじめとする欧州諸国のインド太平洋地域に対するコミットメントが一層強固かつ不可逆的なものとなるように、積極的に働きかけをしてまいりたいと考えます。

2 質疑応答

Q:新型コロナ対策についてお伺いします。防衛省・自衛隊での職域接種を今月29日から開始する方針ということですが、職域接種を今後どのように進められるのか、また、大規模接種センターの運営業務との両立をどのように図っていかれるのか、お考えをお聞かせください。

A:危機管理職員であり、災害派遣等に従事する自衛隊員への速やかなワクチン接種は、重要なことであると考えております。防衛省・自衛隊は、3月上旬から医療従事者等約14,000人へのワクチン接種を開始し、現時点ではこれをほぼ終了させております。また、5月下旬より、モデルナワクチンの早期健康調査の枠組みを活用した、先行接種を一部の海外派遣隊員や緊急事態対処職員について実施しているところです。今後は、この先行接種に引き続き、順次「職域接種」に移行することを検討しており、全国の自衛隊病院や規模の大きな基地・駐屯地医務室を中核としたワクチン接種体制を早期に構築し、早ければ6月29日から逐次実施できるよう、関係省庁と調整を進めているところであります。防衛省・自衛隊は、引き続き任務に支障が生じることのないよう、速やかに隊員へのワクチン接種を実施すべく調整を進めてまいります。全国の大規模接種センターにつきましては、当初より予定をされていたとおりの任務をしっかり両立させるようにやってまいりたいと考えます。

Q:今、職域接種の質問があった関連なんですけれども、大規模接種センターにそれなりの規模の医官・看護官が取られている状況だと思うんですけれども、29日から始めるその職域接種のですね、隊員への接種についての影響というのはあるのかどうか、その辺りはいかがでしょうか。

A:職域接種への影響。

Q:医官・看護官が大規模接種センターに取られていることで、各自衛隊員への接種というのがうまく進むのかどうか、その辺りの影響についてはどのようにお考えになってますでしょうか。

A:大規模接種センターを予定通り運営するということは、これは任務の一つとしてしっかり続けてまいりたいと思います。その上で、各病院、それから大規模の駐屯地の医務室等でですね、できる範囲でしっかり職域接種というものを進めていきたいと考えているところです。

Q:順調に進められる予定だということでしょうか。

A:これはワクチン自体がですね、供給の問題もありますから、そういったことを総合的に勘案して、できる範囲でしっかり進めていきたいと考えます。

Q:イージス・アショア代替のシステム搭載艦についてお伺いします。先週の会見で大臣、こちらのイージス・システム搭載艦の総経費について、現時点で示すことは困難だとおっしゃっておりました。先週ですね、レーダーも決まって、今後、システム搭載艦の建造に向けて動いていくとは思うのですが、この総経費が示されていない中で、搭載艦の建造ありきで進んでいくことについて、大臣はどのようにお考えか教えていただけますでしょうか。

A:防衛省として、米国のミサイル防衛庁や米海軍から提供を受けた情報に基づいて、SPY-7を含むイージス・アショアの構成品の利活用の方針が適切であることがあらためて確認できたと思います。その旨について、先日、与党の部会においても説明をいたしました。今後、イージス・システム搭載艦について、従来の方針どおり、SPY-7を含むイージス・アショアの構成品を利活用することとして、鋭意検討を進めていく所存であります。その上で、イージス・システム搭載艦全体の総経費については、現在も運用構想の詳細等々ですね、米国政府や日米の民間業者を交えて、鋭意検討を進めているところであります。まだコスト等についてお知らせできる段階ではない。同艦について、そのような観点から、幅広く様々な検討を進めていく中で、総経費についてですね、精緻化を進めていくため、今、総経費をお示しすることは困難ですけれども、同艦の総経費の精緻化にあたっては、厳しい財政事情等も踏まえて、しっかり精査してまいりたいと考えているところでございます。同艦について、そういうことで幅広く検討を進めております。時期については、今の段階では正確にお示しすることはできないと考えます。

Q:重ねての質問になりますけれども、専門家等からですね、総コストが示されない段階で、建造を進めていくのはいかがなものかと。総コスト示した上で、ちゃんと必要性の有無も含めて、国民の間でちゃんと議論をしてやっていくべきではないかという指摘もありますけれども、そういったことについてはどのようにお感じになりますでしょうか。

A:御意見はいろいろとお伺いをしているところでございますけれども、いずれにいたしましても、精緻化が進む中で、できるだけ適時適切に総経費についてもお示ししてまいりたいと考えます。

Q:もう1点、今、結局、イージス・アショアのシステムの利活用を前提に進めてしまっているがために、結局、総コストが示された段階では、引き返しがつかないところにいってしまう可能性もあると思います。そう考えれば、総コストを提示したあとでしっかりプロセスを進めていく、それまでの間、プロセスを停止することも必要ではないかと思いますけれども、その点についてはいかがでしょうか。

A:元々の建設スケジュールということもあります。わが国の防衛に資する装備ですから、しっかり検討を進めてまいりたいと考えています。

Q:SPY-7に関して何点かお伺いします。この日本向けの洋上仕様のSPY-7の完成時期はいつを見込んでらっしゃるのか、教えてください。

A:元々のイージス・アショアにおいて、2019年の契約から約5年間でSPY-7を含むシステム全体を製造の上、その後、性能確認の試験や設置等の作業を行うことを考えておりました。洋上配備に変更となったことに伴い、SPY-7については、レーダーそのものの改修は必要なく、フレームの強化など周辺機材を洋上仕様に変更する必要があるのみと確認されましたが、現在、この変更に要するスケジュール等についても協議中であります。また、イージス・システム搭載艦全体のスケジュールについて、SPY-7及びイージス・システム本体の製造スケジュールのみならず、船体の建造スケジュールやその他の装備品の調達スケジュール等も考慮する必要があります。このため、現時点で、具体的なスケジュールをお答えできる段階ではありませんけれども、いずれにいたしましても、早期に運用開始に至れるよう鋭意検討してまいりたいと考えています。

Q:関連しまして、SPY-7の製造過程において試験を行うということですが、これイージス・システム搭載艦に載せる前に、模擬標的弾を使った実射試験を行うのか、また、その試験費用の規模感と、費用は日本側が負担するのか教えてください。

A:SPY-7の各種の試験に関しまして、弾道ミサイルの模擬標的弾を用いた探知・追尾試験については、イージス・システム搭載艦への搭載をする前に、日本向けSPY-7とベースライン9の連接試験の一環として実施をする予定であります。費用については、既存の契約に係る見積額に含まれていますが、具体的な費用の内訳については、米政府との関係もございますのでお答えを差し控えさせていただきます。また、SM-3を用いた迎撃を伴う実射試験については、米国政府等と引き続き議論を実施していくため、現時点でその詳細についてお答えすることは困難です。これまで海自イージス艦への弾道ミサイル対処能力の付加に伴って、実射試験を実施してきたことを踏まえますと、イージス・システム搭載艦についても、SPY-7をイージス・システム搭載艦に搭載後に、迎撃を伴う実射試験を実施することについては念頭においているところであります。この費用について、既存の契約に係る見積額には含まれておりません。米国政府等と引き続き議論を実施してまいりますが、わが国の装備品の性能確認のための試験でありますので、日本側で費用を負担することになろうかと考えます。

Q:製造段階の実射試験の費用も日本側が負担するという理解でよろしいでしょうか。

A:最終的には日本側に。契約に含まれておりますけれども、ということは、日本側が負担をしているということであります。

Q:SPY-7はFMSではなく一般輸入調達ですが、納期の遅延や、要求性能を満たさないことがないように、どのようなリスク回避の対策を講じていらっしゃるのか教えてください。

A:SPY-7のレーダー本体については、一般輸入調達。製造会社であるロッキード・マーティンが米国内で実機を用いた試験を行い、単体性能を確認した上で、契約相手である三菱商事を通して納入することになります。このため、防衛省としては、契約相手方を通して状況の把握に努め、納期や性能を満たすように、適宜適切に確認し、着実に事業を進めてまいります。一般調達だからといって、契約の内容についてはしっかり守るというのが当たり前のことだと考えております。

Q:SPY-7の契約上、瑕疵担保責任はロッキード社か米政府かどちらが負うのでしょうか。

A:契約に関しましては、防衛省の契約相手方は三菱商事であります。そういったことから、瑕疵担保責任を含めた契約履行上の責任は三菱商事に一義的にはございます。

Q:外務省の次官が3年半ぶりに交代することが発表されまして、森外務審議官が後任となりますけれども、防衛省も外務省と一緒に安全保障をめぐる交渉をすることがあると思いますが、新しい次官に期待すること、それから、大臣が外務副大臣時代に、森さんは北米局長だったと思いますけれども、印象に残っていること等あればお願いできますでしょうか。

A:秋葉次官ですね、私も外務副大臣をやっておりましたその以前からよく存じ上げていました。中国関係等々においてもしっかり対応していただいた方というふうに考えております。森さんについても、副大臣をやっていた当時はおっしゃる通り北米局長の時期ではなかったかと思います。日米同盟の強化等々についても、しっかりした交渉を行っていただけたというふうに思っております。

Q:明日23日、沖縄では戦後76年目の慰霊の日を迎えます。今年も新型コロナの影響で大臣の出席を見合わせていると思いますが、改めて平和に対する大臣の思いをお聞かせ下さい。

A:明日、沖縄戦で亡くなられました戦没者の鎮魂と恒久平和を希求するために、沖縄県が定めました「慰霊の日」であります。沖縄県民にとっても、また、日本国民全体にとっても大変意義のある日だと受け止めております。本年の追悼式については、昨年に引き続いて新型コロナウイルスに対する感染拡大防止のため、県外の感染者の招待を見送るという、沖縄県が判断をされたと承知をしております。追悼式の参列はかないませんけれども、戦没者の御霊に対しまして、哀悼の誠を捧げ、国の安全保障を預かる一人として、戦争の惨禍を二度と繰り返すことのないよう誓いたいと思います。

Q:先ほど冒頭でありましたオリエント・シールドについてなんですけれども、過去最大級となる3,000人の方が参加されるということなんですけれども、あらためて、取り巻く安全環境、厳しさを増してるということですけれども、過去最大級となられた背景について教えていただければと思います。

A:冒頭にもお話ししましたけれども、わが国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増しているわけでございます。その中で、今年の日米防衛相会談の中でですね、高度な訓練を通じて即応性を強化することでオースティン長官と一致をしたことを踏まえて、過去最大級となるオリエント・シールドを実施する、こういうことに至ったわけであります。この訓練を通じて、戦術技量の向上、それから日米同盟のさらなる強化、こうしたことをしっかり進めてまいりたいと考えております。

Q:この訓練とは関係ないかとは思うのですけれども、日露関係、ロシアが北方領土周辺の海域を指定して16日から18日に爆撃を行うということを日本に通告して、日本が外交ルートで抗議したという報道がありましたけれども、その後、軍事演習を実施したのかどうかというのを含めて把握されている事実関係がありましたらお願いします。北海道で行われているというところではあるんですけれども。

A:今回のロシアからの通告に対しては、今、お話にあったとおりですね、外交上、わが国として抗議を申し入れていると、こういうところかと思います。その後については、訓練がどういうことになっているかにつきましては、状況についてしっかり注視してまいりたいと思います。

Q:大規模接種センターの開設からまもなく1ヵ月となります。あらためて、この間の活動を振り返られての大臣の御所見をお願いします。

A:5月24日から大規模接種センターが開始されまして、約1ヵ月ということであります。5月24日から6月20日までの期間においては、東京センターで約26万人、大阪で13万人のワクチン接種を実施をいたしました。両センターにおいて、特に大きなトラブルというのは発生することなく、円滑に運営されていると思います。隊員諸君、また民間の看護師、また契約の役務職員の皆さまが、しっかり組織の垣根を超えて連携を強めて、団結していただいて、高い使命感を持って最大の能力を遺憾なく発揮をしていただく、そのことに心強く感じているところでございます。また、両センターには、これまで様々な自治体にも視察をしていただいております。多くの自治体において、ワクチンの大規模接種が進む中で、両センターの運営実績はですね、大規模接種のモデルとなるものとしてですね、わが国におけるワクチン接種の向上に貢献するものであるというふうに自負しているところであります。防衛省・自衛隊は、引き続き、安全かつ効率的に一人でも多くの方に円滑にワクチン接種が行えるように、全力で取り組んでまいりたいと思います。

Q:自治体の方の視察もあったという話がありました。職域接種、大規模なものがどんどん広がっていますが、この大規模接種センターでの教訓としてですね、各地でのセンターでまずこんなところが活かせるんじゃないのか、その辺りはどのようにお考えでしょうか。

A:専門的にはいろいろ出てきていると思いますので、後ほど事務方にお聞きしていただきたいと思いますけれども、私も東京とそれから大阪と、それぞれを視察をすることができました。一つは、自衛隊の組織力とですね、それから民間の方々の来場者に対する心配り、そういったものがですね、相まって、非常にいい形で連携が取れていたんじゃないかなと。その中でスムーズに行われていた、というふうに感じます。人の流れ、動線ですね、そうしたものも安全性が確保されてしっかり考慮されているな、そういうことは感じました。個人的な意見です。

Q:先ほど入った情報で恐縮なんですけれども、長崎県の壱岐空港にアメリカ軍のものとみられるヘリコプターが着陸したとの情報があるのですが、今、もし分かってらっしゃったらその範囲でお願いできますでしょうか。

A:本日、午前10時頃、米軍のヘリコプター1機が長崎県壱岐空港に着陸したと承知をしております。詳細については、現在確認中であります。現時点での情報については、関係自治体にお知らせをしたところであります。今後、新たな情報が得られ次第、地元自治体等の関係者に速やかにお知らせをいたします。今回の着陸による民航機への影響は生じていないものと承知しています。防衛省として、米軍機の飛行に際しては安全の確保が大前提との認識の下で、引き続き米側に対して、安全管理に万全を期すよう求めてまいります。

Q:先日、山形空港でもオスプレイが着陸したという事案があったと思うんですけれども、こういうアメリカ軍機の着陸が続いているということに関して、所感をお願いしてもよろしいでしょうか。

A:今、申しましたけれども、安全確保についてですね、これは大前提であります。そうした中から、しっかり米側にも安全管理に万全を期していただきたい、こういうふうに思います。今回、予防着陸等についてですけれども、パイロットが飛行中の航空機に通常とは異なる何らかの兆候を察知した場合において、周辺地域等の安全を確保する観点から、最寄りの着陸可能な場所に速やかに着陸を実施するものであって、安全確保の手段の一つであると承知をしております。本件については、まず事実関係を把握した上で、防衛省として適切に対応してまいります。

Q:イージス・アショアについて、まもなくですね、NSCで配備断念というのを決めてから1年ということになると思うんですけれども、この1年を迎えるということについての受け止めとですね、当時、前任の河野防衛大臣は、地元にしっかり説明していきたいということで住民に対して説明する場を設けたいということを話していたと思うんですけれども、それについての考えをお願いします。

A:イージス・アショアの配備断念については、ブースターの落下に係る安全対策については相当のコストと期間をかけてシステム全体を大幅に改修することが必要であって、この改修は合理的でないとの判断に至り、その結果、地元に約束しました安全対策が実現できなくなったということ、それから適切な代替地がないということの結論に至ったことによるものであります。イージス・システム搭載艦については、防衛省全体で運用構想の詳細、搭載機能、艦の設計等について、米国政府、また日米の民間業者を交えて、鋭意検討を進めているところであります。コスト等についてお示しできる段階ではございませんが、厳しい財政状況も踏まえつつ、わが国の防衛にとってしっかりと貢献するものとなるように精査をしてまいります。地元説明については、地元自治体とよく相談して、御要望・御意向を踏まえてどのように実施するべきか、新型コロナウイルスの感染拡大の状況も考慮しつつ、検討してまいりたいと考えております。 現時点では、地元説明の時期についてお答えできる段階ではございません。

Q:昨日、秋田県の佐竹知事がですね、この住民説明が一つの区切りをつけてほしいと、この住民説明で一つ区切りにしてほしいというようなことを話しました。住民の間からはですね、断念の理由として、先ほどおっしゃっていただいたようにブースターの関係だと思うんですけれども、住宅地との距離というのを、新屋演習場とのですね、どういうふうに評価していたのかということが一番基本になっているようなんですけれども、その辺については、どういうふうにお考えでしょうか。

A:ブースターの落下の位置ですね、こうしたものについて住民の皆さんにお約束ができなかった。このため、またシステム改修については、大幅にコスト・期間がかかってしまう、合理的でないというふうに判断をしたものだと考えております。

Q:中国海警局の船の関係なんですけれども、沖縄県の尖閣諸島の沖合に領海に入って、一旦出て、また今日未明に侵入したという話なんですが、今海保の方で対応というか、警告を続けているという状況なんですが、あらためて現状とですね、対応についてお聞かせください。

A:今、お話がございました、自衛隊としてはそういうことだと思いますけれども、海上自衛隊としては、引き続いて警戒監視をしっかり進めているところであります。

Q:米軍の海洋圧力戦略と重要土地規制法の関係についてお伺いします。中国の台頭、特にミサイル力の充実を受けて、米軍は「エア・シー・バトル」と「オフショア・コントロール」の要素を取り入れた海洋圧力戦略による再編を進めているとのことです。海上では、台湾有事の際に、米軍主力は第2列島戦まで退却し、残りの米軍と自衛隊によるミサイル部隊が日本全土に分散し、軍事標的となり、第1列島線、つまり日本列島で中国ミサイルを吸収するとされています。トランプ大統領の補佐官であったピーター・ナバロ氏は、軍事標的を第1列島線に多数分散配置することで中国はターゲットの絞り込みが困難になると述べていますが、反面、自国を主戦場とするこの戦略は、住民の草の根的反対運動にあう可能性があるとしています。重要土地利用規制法が、この草の根の反対運動の取締りに使用される可能性はないでしょうか。

A:まず、台湾有事という想定についてですね、予断をもってお答えすることは差し控えたいと考えております。重要土地利用規制法についてはですね、土地等の利用により安全保障上重要な施設に対する機能阻害行為が行われるというリスクに対応するということを目的として取りまとめられたものでございます。そういう観点から、安全保障上のリスクとなる機能阻害行為を未然に防止するという本法の目的は明確であります。防衛関係施設の機能発揮を完全にする観点から意義があると、こういうふうに考えているところであります。

Q:G7やNATO首脳会談にて、フランスのマクロン大統領は「我々は誰とも提携しない。米国と提携せず、中国のしもべにもならない」と述べて、イタリアのドラギ首相は「地球温暖化やパンデミック後の世界の復興について、中国と協力していく必要がある」と述べました。また、ドイツのメルケル首相は「中国に対しては、ドアを閉めずにバランスを求める」と述べて、英国のジョンソン首相は「誰もが中国との新たな冷戦に陥ることを望んでいない」と、それぞれ発言しています。各国は主権国家としての方針を掲げていますが、米国と緊密な連携一辺倒な日本政府は、本当に国土と国民を守れるとお考えでしょうか。お考えをお教え下さい。

A:わが国の平和と安全を守る、国民の平和な暮らしをしっかり守っていく、そしてわが国の領土・領海・領空を守り抜いていく、これが我々に課された使命だというふうに思っております。誰も他国と戦争になることを望んでいるわけではありません。そういう意味で、我々としてもしっかり平和を守り抜くための力をしっかり示していければというふうに思っております。

以上