防衛大臣記者会見

日時
令和3年6月15日(火)10:17~10:46
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
岸防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 新型コロナウイルスでありますけれども、前回の定例会見以降、9名の隊員が新たに感染が確認されました。合計で1,936名となります。欧州議会「安全保障・防衛小委員会」への出席についてであります。日本時間の6月17日17時から、私は、欧州議会の「安全保障・防衛小委員会」からの招待を受けまして、この委員会での公開セッションにオンラインで参加をし、「日EU戦略パートナーシップ:安全保障・防衛分野における相互協力の強化の動向と見通し」というテーマの下で、スピーチを行うことにしております。日本の防衛大臣が欧州議会においてスピーチを行うのは、今回が初めてとなります。近年、欧州主要国に加え、EUもインド太平洋地域への関与を強化する中で、今般のセッションでは、本年9月のインド太平洋戦略に関するEUの「共同コミュニケーション」の策定に向けて、欧州議会から日本の防衛大臣としての「インプット」が求められております。これは、EUが外交・安全保障上の重要政策を策定するに当たり、戦略的パートナーである日本の視点が不可欠なものになっている証と言えます。私としては、この機会に、地域の安全保障をめぐる現実についてEUと認識をすり合わせ、わが国の推進する「FOIP」ビジョンについて丁寧に説明をし、更なる理解と支持を求めるとともに、EUをはじめとする欧州諸国のインド太平洋地域に対するコミットメントが不可逆的なものになるよう、積極的かつ主体的に働きかけてまいります。私は、16日、テレビ会議方式で開催されます第8回の拡大ASEAN国防相会議、いわゆるADMMプラスに出席をする予定であります。ADMMプラスは、ASEAN10カ国及び日、米、オーストラリア、ニュージーランド、インド、韓国、中国及びロシアの合計18カ国の国防大臣が一堂に会する会議であり、インド太平洋地域における唯一の政府主催の国防相会議です。 この会議は、多くの国々の国防大臣との間で、安全保障政策について意見交換を行うことができる有意義な機会であることから、私としてもわが国の立場や見解を積極的に発信をし、インド太平洋地域の平和と安定をいかに確保していくかについて、各国国防大臣と充実した議論を行っていきたいと考えております。

2 質疑応答

Q:自衛隊が運用する新型コロナワクチンの大規模接種センターで、昨日から、自衛隊や警察、消防、海保など危機管理対応にあたる公務員の接種を始めましたが、受け止めと狙いをお願いします。

A:自衛隊大規模接種センターでは、政府の方針の下で、7月31日までにワクチン接種を希望する65歳以上の方々に対して、2回接種を完了するよう取り組んでいるところです。今般、予約受付期限までに高齢者の方々からの予約を受け付けた上で、なお予約枠に一定数の余裕が出たことから、危機管理を担い、災害等の緊急時に対応を行う職員(自衛隊員、警察職員、消防職員、海上保安庁職員)に対しまして、新型コロナウイルスワクチンの接種を実施をいたしました。防衛省・自衛隊として、センターの接種能力を最大限有効に活用するとの考えの下、平素より危機管理対応を担う関係省庁職員にワクチンの接種を行うことが出来たことは有意義なことであったと考えます。今後についても、自衛隊大規模接種センターにおける接種予約、受付の状況に応じて、必要な場合には一般の方々に対するワクチン接種に支障を及ぼさない範囲において、危機管理対応を担う関係省庁の職員に対するワクチン接種を実施をいたします。いずれにいたしましても、防衛省・自衛隊は、政府全体におけるワクチン接種の加速化といった方針に基づいて、一人でも多くの方にワクチンを接種することが出来るように、引き続き全力を挙げて取り組んでまいります。

Q:G7サミットですね、首脳宣言の中に、台湾海峡の平和と安定ということが初めて言及されたということなんですけれども、それの意義について大臣がどのように受け止められているかということと、先ほど発表がありました欧州議会でのオンラインでのスピーチやですね、ADMMプラスで大臣もスピーチされると思うんですけれども、こういった場所で台湾海峡についてはどのような言及をされるおつもりか、どういうような議論をされるおつもりか、教えていただけますでしょうか。

A:今般のG7首脳コミュニケにおいて、台湾海峡の平和と安定の重要性を強調し、両岸問題の平和的解決を促すことで一致をし、その旨を共同宣言として発出できたことは、地域の平和と安定の観点から大きな意義があるものと考えています。 防衛省・自衛隊としても、関係国と緊密に連携を図りながら、引き続き関連動向を注視してまいりたいと考えております。これからのEUの議会、委員会でのスピーチ、またADMMプラスを控えておるところであります。先ほど申しましたけれども、EU諸国については、アジア、インド太平洋地域へのコミットメントを強めてきているところであって、そうした国々との間で認識を一致をさせていくことは、地域の平和と安定のために大変重要なことだと、こういうふうに思っております。中身については、今現在調整中でございます。予断をもってこれ以上お答えすることは差し控えたいと思いますけれども、インド太平洋地域の安全保障の環境、そしてわが国が推進するFOIPの理念等について丁寧に説明をしていきたいと考えております。ADMMプラスについても、これは昨年もADMMプラスに参加をして、様々意見交換を行ってきたところでございます。これも多国間の会議でありますから、前もって議題の内容について予断をすることは差し控えたいと考えておりますが、いずれにいたしましても、我々としてですね、地域の情勢について認識を意見交換していく、このことは大変重要なことだと考えております。

Q:立憲など野党4党が共同で内閣不信任決議案を衆院の大島議長に提出しました。新型コロナ対策の失敗等を提出理由に挙げているようですが、ワクチン接種対応に関わる内閣の一員として受け止めをお願いします。

A:9時頃ですね、野党から不信任案が提出されたと承知をしております。この処理については、菅総理が御判断をされると認識しております。政府の一員として、菅総理の御意向を踏まえて適切に判断してまいりたいと考えております。

Q:粛々と否決すべきか、解散をすべきか、大臣のお考えがあれば伺わしてください。

A:これは、ひとえに菅総理のお考えによるところだと考えております。

Q:重要土地等規制法案についてお伺いします。所管外ですが、もし可能でしたらお答えいただければと思います。昨日、与党が参考人質疑の中でですね、与党推薦の参考人の方から「歯止めがないものについて、新たな別の不安が国民の間に呼び起されては決していけない」というような発言がありました。歯止めがない法案に様々な機能阻害行為ですとか、もしくは対象となる施設に明記がないのは、これ防衛上の要請の部分も大きいと思いますが、こういった声が上がっていることについて、大臣の受け止めとですね、もし今後政府として可能な対応等あればご意見お願いできますでしょうか。

A:これは、内閣委員会においてですね、連合審査も行われました。さらに参考人質疑も行われて、参議院においても十分な質疑期間が確保されたものと考えております。その中で、必要な議論が尽くされたものと考えておるところであります。

Q:今後ですね、基本方針等で国民の間での不安というものを払拭するために必要なことがもしあれば教えていただけますか。

A:分かりにくい点がですね、国民の皆様に対してあるとすれば、そういったことについてはきちんと認識を深めるための努力はしていかなければならないものだと、こういうふうに思っております。

Q:話題変わりまして、韓国軍が今日、竹島で訓練を行うと報じられています。大臣としてこれに対する受け止めをお聞かせください。

A:韓国は、本日ですね、竹島周辺のわが国の領海を含む海域において訓練を実施する旨を明らかにしていると承知しております。現時点で、韓国側はこの訓練についてこれ以上の情報を公開しておりません。詳細については明らかではありませんが、本件は、竹島が歴史的な事実に照らしても、かつ、国際法上もわが国の固有の領土であることに鑑みまして、わが国として到底受け入れることができない、極めて遺憾なことであります。防衛省としては、6月12日、国際政策課長から東京の韓国大使館の武官に対して、事実関係の説明を求めつつ、わが国の立場を改めて伝え、強く抗議をいたしました。また、外交ルートを通じても累次にわたり抗議が行われたものと承知をしております。北朝鮮の核やミサイルをめぐる状況を含め、わが国や地域をとりまく安全保障環境が引き続き厳しさを増す中で、日韓・日米韓の連携は重要であると考えています。日韓・日米韓の連携を損なうようなことのないように、韓国側の適切な対応を強く求めてまいります。

Q:重要土地規制法案について1点伺います。6月8日にこの法案に対する抗議集会があったんですけれども、その場で「沖縄の風」の伊波洋一参議院議員が「この法案は立法事実はないが、アメリカの戦略はある」と述べ、台湾有事が前提となっていると指摘しておられました。伊波議員はまた、「今日本列島にミサイル基地を1,000個作れと米国から要求されている」、「法案でいう重要土地とは、アメリカ軍が使う土地である。これは日本全体を戦争に巻き込む法案なのです」と強調されておりました。これは事実なのでしょうか。つまり、重要土地規制法案によって、台湾有事を理由に日本列島全土に1,000カ所のミサイルを配備する。それは先日質問させていただきました、スタンドオフミサイル配備構想と結び付くという話なのでしょうか。確認させてください、よろしくお願いします。

A:そもそもですね、この法案につきましては、土地等の利用によって、安全保障上重要な施設に対する機能阻害行為が行われるというリスクに対応することを目的として、とりまとめられたものと承知しておるところでございます。わが国の安全保障環境が厳しさを増す中で、各種の措置によって、安全保障上のリスクとなる機能阻害行為を未然に防止するという本法案の目的は明確であり、防衛関係施設の機能発揮を万全にする観点から意義のあるものと考えております。また、本法案に基づく措置については、土地等の利用状況を調査し、必要に応じて、利用規制を行う一方で、経済活動への影響を最小限にするため、取得規制といった私権制限の程度が大きい措置は導入しておりません。そのため、通常の国民生活や経済活動への負担や影響は、限定的であると承知しております。安全保障の確保と自由な経済活動の両立に留意されているものと認識しております。

Q:大規模接種センターでですね、64歳以下の人を受け入れる方針という報道が一部出ておりますけれども、現在の検討状況について教えて下さい。

A:大規模接種センターにつきましては、最大限国民の皆様にコロナワクチンの接種を提供するというためにですね、予約に必要な情報を積極的に発信するということに加え、先週には地域制限の撤廃、電話予約の追加の措置を行っておるところでございますが、本日午前8時の時点における6月16日から27日までの間の予約状況は、東京センターが合計12万人分の予約枠に対して約9万人分、それから大阪センターが6万人分の予約枠に対して約3万4千人分の予約枠が残っている状態であります。昨日は、危機管理に関係する省庁の職員を急遽招集して、予約の余り枠でワクチン接種を行いました。大規模接種センターは、国民に対してワクチン接種の機会を提供することが本来の目的であります。このことを踏まえれば、より本質的な対応策を講じる必要があると考えているところです。このため、本日、防衛副大臣が大規模接種対策本部を開催をいたしまして、大規模接種センターの予約状況の推移等の状況を踏まえ、今後の対応について議論する予定であります。

Q:先週の時点で、64歳以下の予約というのが検討の俎上に上がっていると思いますけれども、一方で自治体はまだ接種券を64歳以下の全国民が広まっていない状況もあると思われます。一部の自治体は配布が進んでいると思いますけれども、そういった状況下でも64歳以下の予約を開放を検討するのかどうかということについてコメントお願いします。

A:大規模接種センターの趣旨からして、65歳以上の方を7月末までに接種を進めていくということではありますけれども、その上で枠が余ってくると、こういう状況において64歳以下の方についてもこれを開放していこうということであります。いずれにしましても、最新の状況を注視しながら対策本部で検討がされるものと考えております。

Q:河野防衛大臣が「イージス・アショア」の停止を表明してから、今日で1年となるかと思うんですけれども、当時、停止の理由について「コストと期間がかかる」という理由をあげていたと思いますが、代替艦イージス・システム搭載艦については、総コストが約2倍の9千億円近くに膨らむ可能性があるんじゃないかというふうに見られていますけれども、あらためて総コストについて、お示しする見通しがたったかどうかというところと、現在のイージス・システム搭載艦についての検討状況について教えていただければと思います。

A:イージス・アショアが配備を断念された状況についてはですね、ブースターの落下にかかる安全対策には相当のコストと期間をかけてシステム全体を大幅に改修することが必要であると、この改修は合理的ではないという判断で、その結果、地元に約束した安全対策が実現できなくなったこと、適当な代替地がないということの結論に至ったことによるものであります。いずれにいたしましても、昨年末の閣議決定以降、イージス・システム搭載艦については、防衛省全体で運用構想の詳細、搭載機能、艦の設計等について、米国政府や日米の民間事業者を交えて、鋭意検討を現在進めているところでございます。同艦については、このように幅広く様々な検討を進めていく中で、その総経費について精緻化してまいります。現時点で、総経費を示すことは困難ですが、同艦の総経費の精緻化にあたっては、厳しい財政事情を踏まえ、しっかり精査をしてまいりたいと考えております。

Q:沖縄県うるま市の米陸軍貯油施設からPFOSを含む水の漏出があったとみられている事案が発生しました。米側からの通報が事案発生から丸一日経過していたということもあって、地元から懸念の声が上がっていますけれども、大臣の受け止めと対応をお願いします。

A:本件につきましては、11日の午後、米側から、沖縄県の陸軍貯油施設において、PFOS等を含む水が貯水槽から溢れ、施設外に流出した旨の通報があって、関係自治体等に速やかにお知らせするとともに、直ちに現地に職員を派遣したところであります。また、PFOS等を巡る一連の問題に対して日米両政府が様々な取り組みを進めている中で、今般の事案が発生したことは遺憾であり、政府として、米側に対して強く抗議をするとともに、事実関係の速やかな確認と情報提供、原因究明と再発防止の徹底、そして、環境補足協定に基づく現地への立入り等について要請をいたしました。その上で、翌12日、環境補足協定に基づき米側と調整の上、国と関係自治体の職員が施設に入り、事案発生の原因である貯水槽が溢れた状況について、米側から説明を受け、広く現場確認を行っているところでございます。通報の遅れについて、これについてもですね、政府としても遺憾であって、米側に対して強く抗議をしています。こうした事案への対応については、迅速な情報共有が極めて重要と考えております。事実関係を確認しつつ、米側に対して再発防止を求めてまいります。

Q:昨日、山形空港の方に米軍の輸送機オスプレイが着陸したという話があってですね、事前に連絡はなかったということまで聞いておるんですが、現時点で把握されている状況について教えていただければと思います。お願いします。

A:昨日、午後5時11分頃、米空軍横田飛行場所属のオスプレイ1機が飛行中に何らかのトラブルが発生した可能性があるということから、山形空港に予防着陸したものと承知をしております。また、当該機と共に飛行していたもう1機のオスプレイも山形空港に一旦着陸いたしました。しかし、この同機についてはトラブルが無くて、山形空港を昨日のうちに離陸したものと承知をしております。防衛省としては、これらの情報を受け、速やかに関係自治体の皆様へ情報提供を行うとともに、米側に対して、さらなる情報提供等について申し入れをしたところでございます。今回の着陸による民間機への影響は生じていないものと承知をしております。米側からは、本日、メンテナンス要員を派遣する予定との説明を受けております。新たな情報が得られ次第、速やかに関係自治体等にお知らせをする考えであります。防衛省として、米軍機の飛行に際しては、安全確保が大前提との認識の下で、引き続き米側に対して、安全管理に万全を期すように求めてまいります。

Q:山形空港の件で、関連してお尋ねします。山形県の方の取材によりますと、この空港に着陸することについて、国交省の出先機関に連絡がまず入っていたという話だったんですが、防衛省の方にはその着陸についての事前の連絡というのはあったんでしょうか、なかったんでしょうか、教えてください。

A:防衛省には特に連絡はございません。飛行のことについて国交省の関係先に連絡が入ったということです。

Q:それともう1点。先ほど大臣御説明があったんですけれども、安全な航行に関する何らかの申し入れというのは既に行ってらっしゃると理解したらいいんですか。それともこれからあると思ったらいいんですか。

A:まず、どのような経緯で予防着陸をしたのか、こういったことについてまだ情報が正確に伝わっておりませんので、そういったことを受けて米軍に対してどのように対処するか考えてまいらなければならないと思います。ただ、米側に対しては、情報提供については申し入れをしているところです。

Q:オスプレイに関連しまして、この予防着陸したオスプレイは、機種は何でしょうか。

A:CV-22です。

Q:それと、このCV-22は、機体の特性上低空飛行訓練も実施できるんですが、昨日はどういう飛行目的だったんでしょうか。

A:そういったこともこれから連絡があるというふうに考えております。

以上