防衛大臣臨時記者会見

日時
令和3年6月9日(水)13:38~13:48
場所
防衛省A棟1階エントランス
備考
第9回日豪外務・防衛閣僚協議(「2+2」)に関する岸防衛大臣臨時会見

1 発表事項

  先ほど第9回目となります日豪の「2+2」を終えたところであります。今般の「2+2」では、日豪間で地域情勢につき高い水準で認識を共有をし、防衛協力を更に引き上げていくとの強い決意を表明できたことは大きな意義があったと思います。地域情勢については、日豪の四大臣が一致して、中国海警法についての懸念を示し、南シナ海をめぐっては、UNCLOS(国連海洋法条約)と整合しない中国の海洋権益に関する主張と活動に反対すると表明しました。また、台湾海峡の平和と安定の重要性を強調するとともに、両岸問題の平和的解決を促すことでも一致をしました。防衛協力については、自衛隊法第95条の2に係る自衛官による豪州軍の武器等の警護任務の実施に向けた体制が構築され、適切な機会において、警護を実施する準備が整ったことを確認をいたしました。日豪防衛協力は、もはや二国間に限らず、インド太平洋地域の平和と安定に一層積極的に貢献するものへと更なる深化を遂げていかなければなりません。防衛省・自衛隊としては、「自由で開かれたインド太平洋」の維持・強化に向けて、豪州との防衛協力を「新たな次元」へと更に引き上げていく考えであります。以上です。

2 質疑応答

Q:今冒頭発言で台湾海峡の平和と安定についても一致をしたということでありましたが、今回オーストラリア間で合意に至るのは初かと思われますが、その意義と、今後どのような形で協力を進めていきたいか、お考えをお願いします。

A:台湾海峡の平和と安定の重要性を豪州との間で確認するとともに、両岸問題の平和的解決を促すことで一致をしたところです。先方の反応を含めて、これ以上の詳細についてはお答えを差し控えさせていただきたいと思います。

Q:武器等防護についてですね、準備が整ったというような御発言があったんですけれども、これは去年10月からですね、いろいろと法律的な整理はされていたと思うんですが、それが完了したという理解でよろしいのかということと、実際、武器等防護のですね、任務をできるようになるのはいつ頃になるのか、この2点について教えていただけますでしょうか。

A:警護を実施する場合については、従来から御説明をしておりますけれども、わが国の防衛に資する活動、例えば、弾道ミサイルの警戒を含む情報収集・警戒監視活動、それから、重要影響事態に際して行われる輸送や補給等の活動、そして、わが国を防衛するために必要な能力を向上させるための共同訓練、こうしたものが該当します。この点は豪側に説明をし、共通の認識に立っているところであります。その上で、日豪防衛当局間で警護を実施できる状況や部隊レベルの意思疎通の方法等について検討をするなど、日豪間で円滑に制度を運用できるか確認してまいったところであります。こうしたところで調整を行ってきたということであります。手続き等については、95条の2の運用に関する指針においては、外国の軍隊等から初めて警護要請があった場合に、原則として、国家安全保障会議において審議を行った上で、防衛大臣が警護の実施を判断をすることとされておるところでございます。このため、今後、豪州軍からそういう要請がですね、あった際についても、この手続きをとることが考えられております。

Q:今日の「2+2」で制度上は整ったということで、あとはNSCの議論、承認を経てから実施していくということでしょうか。

A:要請があった場合。その上でということであります。

Q:武器等防護ですけれども、これアメリカに続いて2カ国目になると思うんですけれども、対中抑止の強化という見方もあるわけですけれども、あらためて、この今回この合意というか、この武器等防護にいたった意義について大臣の考えを教えてください。

A:日豪間でこれまでも様々な防衛協力を行っていきました。更にこれから日豪間の防衛協力を進めていく上で、重要なステップであったなと、こういうふうに考えております。

Q:オーストラリアとともに武器等防護ができることになったことによって、どのような国際社会のメッセージを出していきたいと考えてますでしょうか。

A:日本と豪州、共に米国との同盟国であります。基本的価値や戦力的利益を共有する「特別な戦略的パートナー」であるところです。近年、防衛協力が深化をし、そして自衛隊と豪州軍が平素から連携して様々な活動を行う機会が一層増加してきている、こういうことに伴いまして、日豪間の相互運用性の向上ということが不可欠なんだろうと思います。そうした中で、豪州軍の武器等の警護についてはですね、インド太平洋地域で自衛隊と豪州軍が相互運用性を高めて、平素から連携する基礎となるものであって、わが国の平和と安全及び日豪防衛協力にとっても重要な意義があると、こういうふうに考えております。防衛省・自衛隊として、こうした取り組みを通じて、「自由で開かれたインド太平洋」の維持・強化に向けて、豪州との連携を強化してまいりたいと考えます。

Q:対中抑止の観点で、予期しない武力衝突に巻き込まれる可能性というのが今後増えてくるかな、リスクが大きくなるかなと思うんですけれども、その点どうでしょうか。

A:対中抑止の観点で。

Q:武器等防護で活動範囲を広げると、そういった予期せぬ武力衝突に巻き込まれるリスクが大きくなると思うんですが、その点はどうでしょうか。

A:これはあくまで日豪間の相互運用性、それから協力関係の強化、そうした形をとっているもので、むしろしっかりとした抑止力を高めていく意義があると考えています。

Q:今回オーストラリアが追加されましたけれども、今後、共同訓練を実施している他国への拡大について、将来的な拡大については大臣どうお考えでしょうか。

A:今後のことについては予断を持ってお答えすることは差し控えさせて頂きたいと思います。

Q:大臣、安保法の成立から今年の秋で6年を迎えます。そのような段階で新たな安保法に定義された活動がですね、「新たな段階」に入ると思いますが、ここまでかかった要因と、それと今回その「新たな段階」に行くことによっての大臣の所感というのはどういったところでしょうか。

A:繰り返しになりますけれども、日豪間においてですね、様々な交流を通じて、この協力の関係というものが進化されてきました。その上での今回の武器等防護ということだと考えております。そういう意味で、そういった国々がですね、地域の平和と安定のために協力をする関係にあるということであると考えますし、そのこと自体が地域の抑止力ということにもつながってくるものだと、こういうふうに考えます。

Q:円滑化協定について、今回どのような議論があったかご紹介いただけますか。

A:円滑化協定についても、これまでも大枠で合意はされております。最終的な合意に向けて、署名に向けてですね、加速をさせていくと、こういうことであります。

Q:ダットン大臣が冒頭に、年内にも妥結の見通しというふうなご発言があったんですけれども、そういったスケジュール感を確認されたのでしょうか。

A:我々としては、できるだけ早期に署名ができるように準備をしていくということであります。期限ということにおいては、特にダットン大臣は、その気持ちの表れだとこういうふうに理解をしておりますけれども。

Q:武器等防護、年内に行うことはありますでしょうか。

A:時期については、これは要請があってとのことでありますし、予断を持ってお答えすることはできません。

以上