防衛大臣記者会見

日時
令和3年6月8日(火)09:20~09:45
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
岸防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 まず、新型コロナの状況ですが、前回の定例会見以降、10名の隊員が新たに感染をいたしました。合計で1,914名ということになります。大規模接種センターの予約についてであります。24日に大規模接種センターが開設され、半月が経ちました。昨日までに、東京センターにおいては約12万6千人、大阪センターにおいては約6万3千人、合計約18万9千人の接種を実施しております。これまでのところ大きな混乱はなく、順調にワクチン接種を進めているところであります。現在の予約状況について、昨日から今月13日までの接種分については、全ての予約受付が満了しております。さらに、今月14日から27日までの接種分の受付を昨日より開始をいたしました。東京センターにおいては合計14万人の予約枠に対して、現在12万5千人、大阪センターについては7万人の予約枠に対して、5万7千人の予約枠が残っております。なお、6月28日以降は2回目の接種が始まりますので、1回目の接種枠が非常に少なくなってきます。1回目の接種を希望される方は、今月27日までの予約枠を確保されるよう、早めの予約をお願いを致したいと思います。引き続き、安全かつ効率的に1人でも多くの方に一日でも早くワクチンを接種していただくことができるよう、全力で取り組んでまいりたいと思います。以上です。

2 質疑応答

Q:1点目ですけれども、明日、オーストラリアと9回目の「2+2」を開かれます。あらためてオーストラリアとの間でどういったことを確認したいか、大臣のお考えをお願いします。

A:明日、9回目となる日豪の「2+2」をテレビ会議形式で実施をする予定であります。私としては、日豪両国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す、また、不確実性を増す中で、東シナ海・南シナ海を含む地域情勢などについて豪州側と認識をすり合わせる、その上で、「自由で開かれたインド太平洋」の下で、日豪が地域の平和と安定に、より積極的に貢献できるように、日豪間の安全保障・防衛協力を「新たな次元」に引き上げるべく、率直かつ充実した議論を行う考えであります。

Q:2点目ですけれども、岸大臣の御就任後ですね、オンラインを含めて外国要人との面談をハイペースでこなされている印象がありますけれども、あらためて大臣の狙いや目的を教えてください。

A:昨年9月に就任をさせていただいて以降ですね、二国間の交流は、テレビ会議・電話会談を合わせてこれまで21か国との間で延べ35回の「2+2」、防衛大臣会談を実施をいたしました。この他にも、多国間の交流として、昨年12月には、テレビ会談方式で実施をされました第7回の拡大ASEAN国防相会議、いわゆるADMMプラスにも参加をしたところです。諸外国との直接の往来は、なかなかこういう状況で困難なところが続いてますが、このような状況だからこそ、各国との間で意思疎通をとっていく、継続していくことは重要だと考えます。特に、新型コロナウイルスの世界的な拡大以降ですね、自らに有利な国際秩序・地域秩序の形成や、影響力の拡大を目指した国家間の戦略的な競争がより顕在化する可能性も指摘されております。こうした中で価値観を共有する国々と連携がこれまで以上に重要だと考えています。こうした問題意識から、私は、感染症対策分野での協力なども含めて、各国国防大臣と幅広く意見交換を行い、関係の強化に努めてまいりました。地域情勢についても意見交換を行う中で、最近では中国海警法についても意見交換を行い、米国、豪州などとの間で共に懸念を表明しました。今後とも、テレビ会議、電話会談といった手段も引き続いて積極的に活用しながら、FOIPの維持・強化に向けて各国との防衛協力・交流を戦略的に推進してまいりたいと考えます。

Q:ドイツ海軍のフリゲート艦が11月に日本への寄港を予定し、併せて日米の共同訓練を行うという一部報道がありますが、事実関係について教えてください。

A:御指摘の点については、本年4月に開かれました日独の「2+2」において、日本側からは、ドイツによりますインド太平洋地域への関与を歓迎するとともに、この地域へのフリゲートの派遣の機会に、共同訓練の実施や、あるいは北朝鮮による「瀬取り」に対する警戒監視活動での協力を実施する可能性があることなどについて提起をしたところであります。これ以上の詳細については、現在日独間で調整中であります。そのため、お答えは差し控えさせていただきますが、政府としては、この派遣が、地域の平和と安定に積極的に貢献するものとのドイツのコミットメントを示す上で、重要な意義を有するものと考えており、FOIPの維持・強化に資するものとなるように、ドイツと調整を加速してまいります。

Q:ドイツは経済分野で中国との結びつきが強いわけですけども、一方でこのアジア太平洋地域へのフリゲート艦の派遣を計画していてですね、経済面と防衛面で微妙に立場が違うのかなと感じるんですけれども、ドイツが防衛面でアジア太平洋地域への関与を強めていく狙いについて大臣はどういうふうにお考えなのか、あらためて教えてください。

A:ドイツの関与政策について、私からコメントをすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、いずれにいたしましても、FOIPの理念に共鳴していただいける欧州の地域の国々が増えてきている。その上で、地域に関与していくという動きが増えているということは、これは、これからも地域の平和と安定のために寄与するものにしていかなければいけないと、こういうふうに考えております。

Q:中国による尖閣諸島の占拠を想定し、自衛隊などが参加する図上演習を実施しているとの報道がありますが、事実関係をお願いします。

A:自衛隊の協同訓練等々について、特定の国を念頭に置いたものではありませんが、地域の平和と安定の維持、自衛隊の練度の向上、日米同盟の強化といった観点から、こうした訓練を続けていくことに意義があると考えております。

Q:確認ですけど、図上演習は実施しているが、中国は念頭に置いたものではないという理解でよろしいでしょうか。

A:我々は、あらゆる事態に適切に対応できるように、武力攻撃に至らない侵害や武力攻撃への対処を含む各種の訓練を行うとともに、関係機関との情報共有・連携を不断に強化しているところであります。平時から緊急事態までのいかなる段階においても、切れ目のない形でわが国の平和・安全を確保するために、米軍との間の共同訓練を着実に実施する等の日米同盟の抑止力・対処力の不断の強化に努めているというところであります。

Q:2016年に発覚した防衛省・自衛隊に対するサイバー攻撃について伺いたいのですが、このDII(防衛情報通信基盤)を通じて陸上自衛隊のシステムが攻撃されて、情報が流失したと言われていますが、その後の調べについて、調べた内容について教えてください。

A:防衛医科大学校も含めて、防衛省・自衛隊では、日頃から数多くのサイバー攻撃と思われる不審メールや不審な通信を受信しておるところですが、記事にあったような情報流出などの事実は確認されておりません。また、個別具体的なサイバー攻撃の有無や手法については、わが方の対処能力が明らかになることから、従前よりお答えを差し控えさせていただいているところです。いずれにいたしましても、防衛省としては、サイバー防衛隊が情報通信ネットワークの監視、サイバー攻撃への対処を24時間体制で実施をしております。引き続きサイバーセキュリティの確保に努めてまいりたいと思います。

Q:この2016年に発覚した当時に、防衛省内局、それから陸上自衛隊の将官級幹部がそろって言ってたのは、危機的な情報流出があったというふうに断言しておりましたが、それについて大臣の御所見を伺わせてください。

A:先ほども申しましたけれども、記事にあったような情報流出などの事実は確認されておりません。

Q:続けて伺います。6月3日付の週刊新潮で、元東部方面総監の渡部悦和さんが実名で書いている記事によりますと、少なくともこのときに陸自の機密情報が流出したというのは関係者達の一致した見方であるというふうに断言していますが、それについての大臣の考えを教えてください。

A:週刊誌の記事にいちいちコメントすることは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、いずれにいたしましても我々はその記事にあったような情報流出については、事実は確認されていないということであります。

Q:大臣、もしその今、事務方の用意した答弁をそのまま信じていたとしたら、かなり危険な状況だと思うんですが、もう一度調査されるお考えはありませんか。

A:これは過去にも調べてきた結果として、記事にあったような情報流出などの事実は確認されていないというところであります。

Q:元東部方面総監という、自分で肩書と実名を名乗って書いている記事に対して信用できないというふうに考えられますか。

A:信用できる、できないというよりも、週刊誌の記事に我々としていちいちコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。

Q:それは週刊誌の情報を軽視しているということですか。

A:いちいちにコメントすることは控えさせていただきます。

Q:冒頭で幹事社からの質問でありました大臣の各国との会談についてお伺いします。先ほど大臣おっしゃいましたように中国の海警法への懸念を示されたり、全てが中国を念頭にしたわけではないと思うんですけれども、中国に対する圧力をかけるという意味合いも会談にはあるのではないかと思います。一方で、実力組織を所掌する大臣として、対中の圧力を強めすぎることによって不用意な軍事的な緊張を生む可能性もあると思います。そこのバランスをどのようにとっていく必要があるか、大臣どのようにお考えか教えていただけますか。

A:基本的にはですね、わが国の「自由で開かれたインド太平洋」、こういう考え方にのっとって各国との意見交換、また、地域情勢についての認識を確認をしているところであります。その中で、特に特定の国を念頭においていることではなくてですね、地域の安定を守るために我々認識を同じくする国々との間で様々な防衛協力、そういったものを進めていこうという考えです。

Q:重ねて1点だけ。現実問題として先日フランス軍も含めた訓練を行ったりということで、東シナ海・南シナ海周辺の軍事的緊張、どうしても高まざる得ない状況もあると思うんですけれども、そこら辺への御懸念の声が上がると思うんですけれども、それについてどのように大臣お考えでしょうか。

A:こうした国々との共同訓練等を通じてですね、わが国の領土・領海・領空を断固として守り抜くというわが国の意思を明確にするとともにですね、そのために必要な行動をとっていくと、訓練を通じての練度向上、日米同盟の強化、また、国際社会との連携、こうした面をさらに進めてまいりたいと考えます。

Q:岸大臣の地元の山口では、大臣の自民党県連会長の続投が正式決定されたところだと思うんですけれども、最近では二期4年続けた、4年以上続けられた国会議員はいなかったと思うんですが、大臣の業務でなかなか地元に戻れないということも多いかと思うんですけれども、今回続投要請を受けられた理由と今後どういう形で職務を果たしていかれたいとお考えなっているのか教えてください。

A:今お話のありましたとおりですね、これまでは国会議員が会長をする場合に、二期4年というのは、ひとつのタームになっていたと思います。今回、コロナ禍という状況の中で、国会議員誰しもなかなか地元活動を十分にできる、健全に活動をですね、十分できるような体制ではないかもしれませんけれども、そうした中で県政の更なる発展のために少しでも力を尽くせるならということで続投の要請をお受けしたところであります。

Q:山口を巡っては河村元官房長官の地元の衆議院3区に林芳正参議員が鞍替えを模索しているというような報道もあると思うんですけれども、大臣は以前、当事者同士で話をしていたことが必要だとお話されていたかと思うんですが、当事者同士の話し合いというのは現在進んでるとの御認識でしょうか。その上で今後どうご対応されるお考えでしょうか。

A:地元の選挙区の一つ一つの情勢についてですね、ここで私からお話することは差し控えさせていただきたいと思います。

Q:前半質問ありましたドイツとの安全保障協力の関係でお伺いしたいんですが、大臣就任されてからドイツとの初めての「2+2」を開催されたりですね、とりあえずインド太平洋ガイドラインを制定するなど、この地域へのコミットを強める方針をドイツが表明されております。日豪「2+2」を臨むに当たってですね、「新たな次元」に日豪関係を引き上げるというふうに、大臣先ほど御説明がありましが、今後日独のですね、安全保障関係について新たなフェーズにいくのか、どのような認識をお持ちなんでしょうか。

A:まずは、ドイツがこのインド太平洋地域の平和と安定、「自由で開かれたインド太平洋」という考え方、こうしたことにドイツがコミットメントを示すという意味で今回「2+2」とかやってまいりましたけれども、これは重要なことだったんだろうと思いますし、そのことを歓迎しているところであります。今後、そのドイツとの間で様々な具体的な協力については、調整を加速してまいりたいと考えております。今後のあり方については、予断を持ってコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。

Q:一部の台湾のメディア報道によると、今回、日本は台湾にワクチンを渡したときにですね、日本の航行の安全性の確保のために自衛隊の軍用機ではなく在日米軍の軍機が一緒に飛行したとのことですが、それについて教えていただけませんか。

A:日本のワクチンを台湾へ供与については、記事にもありましたとおりですけれども、そのことについて米軍が関与したことは認識しておりません。日本のワクチンは民航機で運んでます。そのことじゃなくて、米軍が警護についたという意図ですか。

Q:ワクチンはもちろん日本航空の飛行機で運ばれていると思いますが、飛行機の安全のために軍機が一緒に飛行機の傍について飛ばしたということがあるんですか。

A:そういうことは特に認識はしておりません。ないと思います。

Q:冒頭触れられた大規模接種センターの予約についてお伺いします。14から27日の予約については、これまでの予約に比べると少し出足が鈍い印象なのですが、そのことをどのように分析していらっしゃるのかということと、この14日から27日の分について、今後枠に余裕がある状態が続いた場合に、7都府県の65歳以上以外にも対象を広げるお考えがあるのか、2点お願いします。

A:今回、2週間まとめての予約枠ということで、全体の予約枠が広がりました。そういう意味で予約する方にとっても多少の余裕があったということがございます。あと、自治体の接種が本格化してきているところと思いますので、そういったことが要因としてあるのかもしれません。予約状況につきましては、地域の感染状況とか自治体の接種の進捗状況、こうした様々な要因があるというふうに思います。一概に申し上げることは困難かというふうに思っております。いずれにしましても、防衛省・自衛隊としては、安全かつ効率的に1人でも多くの方に接種を受けていただけるように、これからも全力で取り組んでまいりたいと考えます。

Q:今後の枠の拡大というのは、特に今の時点でお考えではないということでしょうか。

A:まずは予約の日々の進捗状況をしっかり分析してまいりたいと思います。

以上