防衛大臣記者会見

日時
令和3年5月28日(金)09:22~09:45
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
岸防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 新型コロナウイルス関連についてですけれども、前回の定例会見以降、34名の隊員が感染いたしました。累計は1,844名となります。

2 質疑応答

Q:東京オリンピック・パラリンピックの医官・看護官派遣についてですが、昨日の参院外防委で、防衛省側は医官数人、看護官20人を派遣すると明らかにしました。より具体的な派遣人数、派遣場所等、現在の検討状況を教えて下さい。

A:オリパラ大会への医官・看護官の派遣につきましては、組織委員会との間で、陸自の朝霞訓練場に設置をされた射撃競技会場の医務室への派遣等、1日あたり、医官数名、看護官等は20名程度による協力について、今、調整中ということであります。いずれにいたしましても、この大規模接種センターの運営や災害派遣を含む自衛隊の任務の遂行に支障の生じない限度で、協力が行えるように、組織委員会と調整をしてまいります。

Q:医官については数人ということで、まだ詳細は決まっていないんでしょうか。

A:今はまだ調整中であります。

Q:緊急事態宣言なんですけれども、今日にも延長される見通しとなっていますけれども、今でも大規模接種センターの運営をされてますし、災害も今後起こってくる季節になると思います。大臣の方としてはですね、宣言の延長の中でいろんな支援を求められる可能性もあると思うんですけれども、いろいろ運営している中でどのような準備をされていくか、どのような指示を出されていくか、お考えをお聞かせいただけますでしょうか。

A:大規模接種センターに派遣をしている医官、看護官ですね、こうしたものが自衛隊の組織全体の見直しを行った上で、この数字を出してきたものであります。そうした中で、今後ですね、災害等発生する機会というのも考えられるわけでありますが、そうした中でも自衛隊の任務として支障がないように、両立できるようにしっかり対応してまいりたいと考えております。

Q:期限が延長される中でですね、自治体から医療支援の要請等くる可能性もまだあると思うんですけれども、そういった準備ですね、それはどういうふうに部隊に指示をされていく御予定でしょうか。

A:これはまず、自治体のですね、要請が出てきた段階で、自治体との間でしっかり相談をし、そして厚労省等の国の組織とも連携をしながら進めていくことになると考えます。

Q:大規模接種センター、月曜日に開設して5日間が経ちますが、これまでに得られた教訓ですとか、見えてきた課題ですとか、これから都道府県も大規模接種センターを立ち上げる動きが広がってくると思いますが、教訓やノウハウ、あるいは共有すべき運営のコツみたいなのがあれば教えていただけますでしょうか。

A:大規模接種センターで、昨日までの4日間で、東京センターにおいては2万人を超える方々、大阪においては1万人を超える方々に接種を行ってきております。全体としては概ね大きな問題は発生しておらず、順調な滑り出しかなと考えております。現場で様々創意工夫をいたしまして、例えば、東京センターでは、接種会場のフロアを色分けして、接種券や予診票等を入れた色付きクリアファイルを渡された来場者は、同色の案内ラインに沿って、直通エレベーターによって同色の接種会場のフロアに誘導されることになります。これによって、来場者は迷うことなく接種会場に到着しやすくなっております。こういった工夫については、ぜひ自治体の皆様にも参考にしていただければと考えています。他方で、大規模接種センターの予約システムについては、国民の皆様からも様々御指摘をいただいているところであります。防衛省としても、こうした意見は真摯に受け止め、予約の真正性や利用者の利便性を向上するための改修、こういったものをしっかり行っていく、そして改善をしていきたいと考えております。来週月曜日からは、東京センターにおいては1日当たり1万人、大阪センターにおいて1日5千人のワクチン接種に臨むことになります。大規模接種センターがいよいよ本格稼働ということになるわけです。これからが、ある意味では真価を問われてくるかなというふうに考えますので、防衛省・自衛隊としては、引き続き、省全体が一致協力して、国民の暮らしと命を守り抜くわが国の「最後の砦」として、しっかり役割を果たしていければと考えます。

Q:昨日、沖縄県の玉城デニ―の知事の方からですね、自衛隊を活用した沖縄県への大規模接種センターの設置を要請されたと思いますが、防衛省としてどのように対応していかれますでしょうか。

A:先月27日の総理の御指示を踏まえて、この大規模接種センターの運営が24日から開始をされたところで、今、全力で運営に取り組んでいるところであります。ワクチンの接種自体ですね、これは国全体の事柄ですので、玉城知事からのお話につきましては、関係省庁とよく相談する必要があるということで、その旨お答えをしているところです。現時点では、東京、大阪以外での計画というものは予定をしていないところであります。

Q:クアッド並びにARC(アーク)21について伺います。前回5月25日の記者会見で、弊社からのクアッド並びにARC21の目的についての質問に対し、岸大臣からは「中国を念頭に置いたもの、あるいは中国包囲網というものは考えていません。あくまでもわが国の防衛に資する共同訓練である」旨の回答をいただきました。2020年、令和2年度の防衛白書では、中国の軍事動向について「わが国を含む地域と国際社会の安全保障上の強い懸念」と呼び、米国を分析した節、インド太平洋地域の関与の中では、日米豪印4ヵ国の協力について記されております。また、その防衛白書の中では、中国を仮想的国として合同演習を行うとも書いており、実際に各国の軍と合同演習が行われています。にもかかわらず、具体的な国を念頭に置いて行われるものではないとおっしゃっているのはなぜなのでしょうか。中国政府の反発を恐れているということでしょうか。今や中国は日本最大の貿易相手国です。財務省のデータによると、中国は2020年に日本の最大の輸出先となり、海外で販売される日本製品の22%以上が中国で消費されています。大臣の回答は、日本は中国を包囲していると明言できないほど中国の反発に怯えているように世界の目に映るのではいないでしょうか。実際に、中国が反発して日本製品を購入しないとされるだけで、日本経済は大きなダメージを被るものと思われます。また、軍事面ではクアッドアルファによる中国包囲網、インド太平洋戦略で軍事演習をしておきながら、経済では中国と日本を含めたアジア諸国が初めて、包括的経済連携協定、RCEP(アールセップ)を結んでいるというのも矛盾します。むしろ、RCEPのように中国を入れた安定したインド太平洋を構築した方が安全保障上も合理的で安上がりではないでしょうか。平和で安定した東アジア、太平洋、インド洋の実現は、各国の兵器産業に不利益を与え、不人気を被るものであるかもしれませんが、それ以上に大きなメリットがあると考えます。大臣の御見解をお聞かせください。よろしくお願いします。

A:まず、白書においてはですね、中国を仮想敵国としているような事実はありません。前回もお答えしたとおりでありますが、自衛隊及び各国との共同訓練は、特定の国を対象としたものではございません。各国との連携強化、また自衛隊の練度の向上、こうしたものを各共同訓練によって得られると、こういうふうに考えております。

Q:大規模接種センターの質問に戻ります。東京会場では、今日から埼玉、千葉、神奈川での予約を前倒しして行いますが、あらためてこの予約範囲の拡大を早めた理由と、これが接種の能力を最大限発揮することに繋がるか、お考えをお聞かせください。

A:予約については、今、お話のあったように、対象範囲の拡大をしていくということでございます。今月24日に、東京23区を含む都内の方々を対象として予約を開始いたしましたが、昨日15時現在で、約1万8千件の予約枠が余裕がございました。提供できる接種能力を無駄にすることないように、本日の午前11時頃より、東京都に加えまして、埼玉県、千葉県、神奈川県に居住する65歳以上の方、また、住民票がこれらの地域にはなくても、65歳以上の方であって、単身赴任者等、居住の実態がある方、こういった方々についても受付の対象として拡大をすることとなりました。これまで、先ほども申しましたけれども、東京も、大阪会場も、ともに大きなトラブルの報告はなくて、ワクチン接種等の実績の積み重ねから、対象地域を拡大してもスムーズに接種が可能であると、このように考えております。防衛省・自衛隊として、自衛隊大規模接種センターを利用される皆様に対しまして、安全かつ効率的にワクチンの接種を実施できるように、引き続き取り組んでまいりたいと考えます。

Q:自衛隊へのワクチンの優先接種についてお伺いします。昨日の自民党の国防部会がですね、25万人いる全自衛隊員へ優先接種するように求める決議をまとめました。なかなか防衛省だけで判断できることではないと思いますけれども、一方で、昨日とか、赤羽国交大臣とかも、国際線のパイロットに優先接種を菅総理に求めたりといった動きもあります。岸防衛大臣として、あらためて今、どういうふうにお考えでしょうか。

A:自衛隊員の皆さんもですね、今後、災害派遣等ですね、様々な状況に対処しなければいけない場面も出てくると思います。そうした状況に対応するためにも、ワクチン接種が大きな鍵になってくると、こういうことは認識をしております。優先については全体の話でもありますので、今後調整をしていかねばならない話だろうというふうに考えております。

Q:イージス・システム搭載艦についてお伺いいたします。朝日新聞の取材でですね、実射試験に関して新たに、コストがどれだけかかるかというのは、昨年11月の段階でまとめていたといったことを把握しておりますが、事実関係についてと、国会や会見でも既に何度か議論になっておりますけれども、議論の土台となるために、ある程度の総額、検討中ということでしたけれども、これぐらい必要なんじゃないかとか、最低これぐらいかかるんじゃないかといった、そういったものはお示しできるんじゃないかなと思うんですが、その辺りをあらためてお願いいたします。

A:まず、イージス・システム搭載艦につきましては、現在、運用構想の詳細、搭載機能、艦の設計等についてですね、米政府や日米の民間事業者を交えて鋭意検討を進めているところでございますので、そのコスト等をお示しできるような段階ではございません。同艦については、そのような観点から、幅広く様々な検討を進めていく中で、総経費について精緻化をしてまいります。現時点で総経費をお示しすることは困難でありますが、同艦の総経費の精緻化にあたっては、厳しい財政事情を踏まえ、しっかり精査をしてまいります。イージス・システム搭載艦につきましては、導入コストは、昨年11月の中間報告等を踏まえ示した洋上プラットフォームの各プランの導入コストが参考となりますが、それらはあくまで経費の規模感を示したものであります。また、それらをそのまま事業化するということではなくて、30年間の運用・維持経費等については、イージス艦の維持整備の実績や、米側から提供されました情報など、一定の情報を入手しておりますが、搭載する装備品の詳細細部資料や運用の形態等、様々な要因によって経費が変動することがあり得るということに鑑みまして、現時点で精緻な数値を示すことは困難であるということを御理解をいただきたいと思います。実射試験等も記事にもあったと思いますが、米政府と引き続き議論を実施していくために、現時点でその詳細について明確にお答えすることは困難でございます。その上で、海自イージス艦への弾道ミサイル対処能力の不可に伴って、実射試験を実施してきたことを踏まえれば、イージス・システム搭載艦についても、その性能を確認を行うために実射試験を実施することは念頭に置いていることであります。

Q:大規模接種センターの関係で2点ばかりお尋ねします。都内の区役所の方でですね、二重予約の確認作業に職員さんたちが追われている状況にあります。防衛省の方でもホームページを通じてですね、早期のキャンセルを呼びかけられていらっしゃると思うんですけれども、更に何か、防衛省の方としてとれる対策というものはどんな事をお考えなのかというのが1点と、それから前回の記者会見の時に、大規模接種センターの当日キャンセルの状況とかその理由については、分析中とおっしゃられていましたけれども、そこはどんなふうに今進んでいるんでしょうか。教えて下さい。

A:二重予約につきましては、当初からですね、自治体との情報ともリンクしておりませんので、当初からその可能性についてはあるということで予約される方に対して、二重予約はしないように、あるいは二重予約になる方は必ず片方をキャンセルするようにということをサイト等にも記しておったところでありますが、実際に二重予約があって、そのまま予約がですね、残ったままになっておられる方が結構な数おられるというような状況でありました。そういったことも踏まえまして、もう一度その二重予約された方の二重予約しないことと、された方はキャンセルを確実に事前にしてもらうようにということをですね、様々な機会を通じて周知をするようにいたしたいと思っております。それから2点目については、事務方からまた申し上げるようにします。

Q:昨日、玉城デニー知事との面談の関連なんですけれども、沖縄県の要望の中にですね、米軍専用施設面積の全国比を現在の70.3%から5割に引き下げることだとか、沖縄周辺の訓練水域・空域の削減等も求められていましたけれども、これについてどういった対応をしていきたいとお考えでしょうか。

A:わが国を取り巻く安全保障環境は一層深刻な厳しさを増しているところでありますが、こういった認識については、日米共有されているところであります。このような中で、非常に重要な位置にあります沖縄には、優れた機動性、即応性によって、幅広い任務に対応可能な米海兵隊が駐留すると。こういうことは日米同盟の抑止力を構成するに重要な要素であります。わが国の平和と安定を確保するためにも重要な必要なものと考えております。他方で、沖縄における大きな基地負担を沖縄には負っていただいている。負担の軽減を図っていくということは、これは政府の大きな責任であります。防衛省として、引き続き日米間で合意されている嘉手納以南の土地の返還、米海兵隊のグアム移転、こうしたものについて、可能な限り早い実現に全力で取り組んでいく考えであります。このような考え方について、玉城知事にはお伝えをしたところでございます。訓練空域の問題についても、まず、米軍が使用します水域・空域の在り方については、米軍の運用における所要等を勘案しつつ、日米間で協議されるものであります。引き続き、個々の施設・区域の実情を踏まえながら、適切に対応してまいりたいと考えます。いずれにいたしましても、防衛省として引き続き、地元の皆様の御理解を得る努力を続けながら、基地負担の軽減を図っていきたいと考えております。

以上