防衛大臣記者会見

日時
令和3年4月2日(金)09:32~09:58
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
岸防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 まず新型コロナです。前回の会見以降、14名の隊員が新たに感染していることが確認をされました。合計で1,183名となります。「サイバーセキュリティ統括アドバイザー」の募集についてです。防衛省・自衛隊では、日々高度化、複雑化するサイバー領域における脅威に対応するため、サイバー防衛能力の抜本的強化のための様々な取組を行っているところですが、このような取組の一環として、令和3年度からサイバー領域における最新技術やサイバ―攻撃の最新動向等に関します高度な知識・スキル、経験・実績を有する人材を「サイバーセキュリティ統括アドバイザー」として採用し、防衛省のサイバーセキュリティ関連の業務について、研究・助言などを行っていただくこととしております。このアドバイザー募集を4月5日から25日まで行います。知見を活かして国の安全保障分野に貢献する意欲のある方の募集をお待ちをしておるところでございます。ただ詳細はホームページに掲載をいたします。

2 質疑応答

Q:先日のインドネシアとの「2+2」に関して伺います。防衛装備品や技術移転協定締結に関して、大臣は協議を加速すると述べておられましたが、今後どのように進めていかれるのか、スケジュール感と併せてお聞かせください。

A:3月30日の日インドネシア「2+2」で「防衛装備品・技術移転協定」が署名されました。これによって、移転される防衛装備品及び技術の適正な管理が確保されるとともにですね、両国間のより緊密な防衛装備・技術協力の強化、それについては、安全保障に資することが期待できるということでございます。インドネシアとの防衛装備・協力を今後どのように進めていくかということについては、相手国との関係もありますので、詳細は控えますけれども、具体的な移転の実現に向けて、例えば、商社の持つ海外ネットワークを活用した防衛装備移転に係るフィージビリティ・スタディを引き続き実施するとともに、インドネシア側との協議を加速させていきたいと考えております。

Q:佐賀空港へのオスプレイ配備計画について伺います。先日、九州防衛局は、一部地権者らに対して買収額や振興策を示されました。依然として賛否はあるようですけれども、理解が進んでいるとお考えでしょうか。

A:このオスプレイの佐賀空港への配備計画についてですね、昨年9月に有明海漁協内のオスプレイ等配備計画検討委員会において、防衛省から地権者への説明を実施してほしいという旨の要望がなされました。この要望に早期に対応できるように調整をしているところですけれども、現在調整中の地権者説明会を実施した後には、漁協のオスプレイ等配備計画検討委員会で本計画への漁協としての御理解をいただく必要があります。その上で、有明海漁協と佐賀県との公害防止協定の取扱いに係る協議が整えばと考えているところでございます。いずれにしましても、引き続き、漁協の皆様の御理解をいただけるように丁寧な対応に努めてまいりたいと思います。

Q:NSSの北村局長が訪米をしていまして、日米韓の安全保障担当の高官が会談するということになっていると思いますが、大臣としてどのような点に注目されておりますでしょうか。

A:これからまさに、様々な協議が行われると思いますので、予断をもってコメントすることは差し控えたいと思いますけれども、今、わが国を取り巻く安全保障環境が非常に厳しさを増している中でですね、日米あるいは日米韓、こうした枠組みの強化ということが大変重要であるということは、認識をしております。

Q:関連しまして、この会談で北朝鮮がテーマになるということです。先日もミサイルを発射しましたけれども、この北朝鮮の情勢について、どのような意見交換をしていくべきだというふうにお考えでしょうか。

A:北朝鮮は、まさに先般も弾道ミサイルを発射しました。これは、国連安保理決議違反であります。そうしたことに対して、やはり我が国としても、断固とした扱いをしていかなければいけませんし、国際社会との間で、しっかり認識のすり合わせをしていく必要が十分あると思います。

Q:先日、23日のアメリカの米上院軍事委員会の公聴会で、次期米インド太平洋軍司令官に使命されたアキリーノ氏がされた証言についてお伺いしたいのですが、アキリーノ氏はですね、中国軍が中距離弾道ミサイルの保有数を増やしているとして、中国軍の戦力向上に警戒感を表明されました。日本としてはですね、中国軍のミサイル戦力向上について、どのように分析・評価、それから対処というのを考えてますでしょうか。

A:3月23日、次期インド太平洋軍の司令官であるアキリーノ氏が証言をされているということは承知しております。発言のひとつひとつ、コメントすることは差し控えたいと思いますけれども、非常に緊張感が高まっているわが国周辺の状況においてですね、特に、この際には、台湾海峡の問題についても発言をされていると、このように承知をしておりますけれども、そうしたことにつきましては、地域の安定のために当事者間の直接の対話により平和的に解決すること、これがわが国の基本的な立場でございますけれども、そうした立場でございます。いずれにしましても、この周辺の平和と安定の重要性というものについては、先般の日米防衛相会談でも共有をしているところであります。ミサイルの強化ということでありますけれども、非常に中国側がですね、特に中台関係でいいますと、中国側にバランスが傾いている、こういうような状況で、その差は年々拡大している、そういう状況につきましては、我々も高い関心をもって注視してまいりたいと思います。

Q: 関連してですが、公聴会でのアキリーノ氏の証言に関してですけれども、日本にもミサイル防衛ですとか、制空権、海上安全保障などの分野で能力を高める必要があるという指摘もされたりですとかですね、中国が開発を進めます極超音速兵器への防衛力強化を巡り日米協力をしていくとも強調されておりますけれども、こういった、特にミサイル防衛については日本としてはどのように向き合って米側と協力を進めたいと考えておりますでしょうか。

A:今後、日米間で様々な協議も行われている中ですね、実際のこの安全保障に対応するための具体的な協議も、さらに深めていきたいと考えております。

Q:北朝鮮に関連して伺います。朝鮮中央通信が31日の論評で、長距離ミサイルの開発や合同軍事演習等、日本の軍事増強を例に挙げた上で、菅政権発足を軍事大国化を目指す日本の野望がより顕著になっていると批判をしている韓国の一部報道がありますが、大臣のこの受け止めを教えて下さい。

A:外国の報道の逐一についてですね、コメントすることは差し控えたいと思います。我々として、わが国の領土・領空・領海をしっかり守っていくこと、平和と安全を確保していくこと、このことに努めてまいりたいと思います。

Q:関連してもう1点。大臣がおそらく「はぐろ」就役の時の挨拶だと思うのですが、自衛隊を巡って万全の態勢を整えると発言したことについてですね、この同じ論評の中で、いつでも侵略を開始できる準備を進める発言と同じで、非常に危険な発想という指摘をしていますが、この発言・指摘について大臣受け止めを教えて下さい。

A:わが国の防衛に万全を期することは当然のことだと思います。

Q:先日の統幕長による他国軍と共同のミャンマーに対する非難声明についてお伺いします。専門家の方からですね、自衛隊法の61条の政治的行為に当たるのではないかという指摘も出ています。大臣、事前に了承されているというふうに、昨日統幕長は明かされてますし、また、統幕長は政治的な行為ではないというふうにおっしゃっていますけれども、大臣としてこれは政治的な行為に当たらないという理由をどのようにお考えか、教えていただけますか。

A:まさにその通りだと思いますけれども、61条にあります「政治的行為の制限」についてはですね、「隊員個人」が行う政治的行為について、その制限を定めたものであります。他方で、本共同声明は、隊員個人としての行為ではなくて、関係部局と調整した上で、私の了解を得て発出されたものでありまして、統幕長名義ではありましたけれども、防衛省組織として意見を発出したものであります。従いまして、隊員個人の行う「政治的行為の制限」について定めたこの隊法61条には該当しないとこういうことであります。

Q:関連してもう一点お願いします。専門家から専守防衛を前提とした組織であるからには、他国軍と一線を引くべきだという指摘もあります。自衛隊でなければいけなかった理由、国、政府として非難メッセージも出されていると思いますけれども、自衛隊としてメッセージを出さなければいけなかった理由は大臣としてどのようにお考えでしょうか。

A:そもそも他国の参謀長と連名で発出をされておりますけれども、いわゆるプロフェッショナルの軍事組織として、あるべき姿、民主主義国家の中で、自国の国民に対して銃を向けたなどということはあってはならない。そうした基本的な考え方について、認識を表明したものだと思いますので、全く問題はないと思っております。

Q:米軍機の低空飛行の問題なんですけれども、国会の方でもヘリコプターの運用実態についてですね、更にもっと確認できないのかといった意見や、記録が残っているんじゃないのかというふうな指摘も上がっていましたけれども、こういった声に対して、大臣、今後どのように対応されていくお考えなのか、まずお聞かせください。

A:まず米軍に対しては、様々なレベルで申し入れを行っております。その上で何より住民の皆様の安全、こうしたことに配慮が払われるのは当然であると、こういうことであります。米国からはもちろん航空機の運用については、わが国の法律に沿った、米軍の規制に適合する形で行っている、というような回答を得ておりますけれども、引き続き、先方にはしっかりこの安全に対する配慮に対して申し入れをし、またルールに従った、その飛行について要請をしていく、こういうことだと思います。

Q:大臣は毎日新聞の報道を見て、低空飛行というのはそもそも行われていたと思われますか。

A:画像は拝見させていただきました。それだけをもって判断をするというのは難しいところもあると思うのですけれども、引き続きしっかり対応してまいりたいと思います。

Q:日米「2+2」を受けまして、大臣の方から各幕の方にですね、共同訓練等を行った際のプレスリリースについて、よりメッセージ性といいますか、意図をもっと分かりやすく出してほしいというふうな指示、助言が行われたと聞いているんですけれども、裏返ししますと、これまでのそういった共同訓練等の発信について、大臣、どのような点が足りなかったのかというふうにお考えなんでしょうか、教えてください。

A:自衛隊の共同訓練については、もちろん自身の技量の向上、諸外国軍隊との連携強化、こうした意味も当然あるわけですけれども、それとは別に、よりプレゼンスを高めること、また、わが国の意思と能力をしっかり示していくこと、こうした様々な意味はあると思います。私もいろんな場でも申し上げているところですけれども、そうしたところが、自衛隊自身の発信がやはり足りなかったんだろうなというふうに考えます。共同訓練自体は、日米同盟の抑止力・対処力の強化、わが国が進める「FOIP」の推進ですね、こうしたところにも本来資するものであると考えております。個々の意義、もちろん共同訓練それぞれの意味とか意義、それぞれあると思います。そうしたことをしっかり伝えていくこと、そして国民の皆様にも理解していただくということ、これがやっぱり必要なのではないかなと。そのために説明をしていくということが必要だというふうに考えています。

Q:これは、日米が一緒に行動している、例えば画像といいますか、写真といいますか、そういうのを、もう少し分かりやすいものを出していってほしいという意味なのかなと私は思ったんですが、ちょっと違いますか。

A:実際報道していただくのに、報道の各社の皆様が取り扱いやすい形を作っていくというのも我々の仕事だと思っています。ですから、訓練の中で、文書で示すところと画像でお示しできるところとあると思いますけれども、より分かり易い形で説明できるように、また、皆さんの報道に資するような形があればですね、努めてまいりたいと思います。

Q:沖縄のキャンプ・シュワブへの陸上自衛隊の配備の件について伺いたいんですが、大臣は今年の1月27日の参院予算委員会で、陸自配備の計画図案について、「きちっとした計画があったわけではないが、そういう形での図があったという話がある」というふうな発言をされています。その発言に基づいて、フリージャーナリストの布施祐仁さんがその計画図案の開示請求をしたところ、防衛省は3月30日付で、「他国との信頼関係が損なわれる恐れがある」などとして、存在するかしないかを明らかにすることは出来ないという通知書を出しました。その整合性が全く取れていないと思うんですが、その点について大臣の見解を教えてください。

A:まず、1月27日の私の予算委員会における発言ですけれども、「そういう形での図があったということはお話しはありますけど」ということでありました。私の発言は、白委員が、「報道によると、陸自の使う施設の計画図まで作成したってなっていますけど」、こういう形で報道を引用されていたので、そういう話もあるということは聞いていますけど、承知しているけどという趣旨で申し上げたものであって、この時点で、計画図自体の存在というものを肯定したということではございません。その上で、日米間では様々なやり取り、検討も行われております。そうした中で、そうした地図とか、そうしたものを使うということはよく行われているところでありますけれども、通常、協議の過程で使用されるものについては公表していないものであります。ですからそういう答えになったんだと思いますけれども、整合性が取れていないということではないと思います。

Q:不開示決定であるんだったら理由が分かるんですが、存否の応答を拒否するのはどういう理由でしょうか。

A:協議の途中では、図を使うケースも多々あります。使わないことももちろんあります。そうした協議の内容については、お示しをしていないということであります。

Q:内容についてではなくて、その図があるかどうかの存否の応答を拒否するというのは、理由が全く分かんないんですが。

A:それは、何というんですかね、日米間で様々なやりとりが通常行われていますよね。そういう協議の過程において、どういったことが協議されているか、こういうことについて中身を明示することにもなります。ですから、図についてもこれまでも開示をしていないというのが方針であります。

Q:そのやりとりがあったかどうかということ自体を国民に示さないというのは、国民の知る権利に対する侵害ではないでしょうか。

A:この問題は、組織同士で協議がされていたものでありますし、その時点で結論をなされたものでもございません。そのいう意味で協議の途中において、様々なやりとりがあると思います。この件だけではなくて、一般に様々な協議が行われて、その過程で様々な図が使われるケースもあると思います。そうしたものについて、その途中において、使用されたものについて、開示をしないということであります。

Q:今おっしゃられた主旨ですと、途中で使われた図はあったけど、それは開示しないという主旨ですね。

A:あったということではなくて、一般論で申し上げていますけれども、それは、様々な協議が行われる中で、図が使われるケースもあります。しかしながら、このケースにおいて、そういう図があったかなかったかを含めて、開示をしていないということであります。

Q:昨夜の菅総理の民放の報道番組出演された際の発言についてお伺いしたいのですが、解散総選挙に関して、コロナ対策を優先する必要をあらためて示されて、最優先はコロナ感染拡大を防ぐことが政権の使命であると、感染拡大防止を最優先に行っていくことが大事だと重ねて慎重な姿勢を示されました。総理の発言について、大臣どのように受け止められておられますでしょうか。

A:今、コロナの感染拡大をいかに抑えていくか、これはまさに、もっとも重要な政策だと思っております。その上で、総理がそういう発言をされたのだと思いますけれども、いずれに致しましても解散自体は総理がお考えなることだというふうに考えております。

Q:クワッドの関係で、大臣、クワッドの重要性を重ねて、これまでもお話されていますが、昨日のロシアのラブロフ外務大臣が国営テレビの取材に対して、クワッドに関して中国への封じ込めであるという認識を示し、ロシアも呼ばれていないと、ロシアに対しても同じ意味であるという、ロシアも念頭に置いたものだという見解を示しております。ロシア外相の発言について、大臣、どのように受け止めておられますでしょうか。

A:クワッドについては、わが国にとっては、わが国の推奨する「FOIP」をしっかり推進していくためにも重要な考え方だと思います。その上で、そういう枠組みというのは、様々な枠組みがあると思います。クワッド、あるいは、様々な2国間関係、もちろん、日米同盟というものもあります。そうしたものの中で、クワッドの重要性について、先般も日米「2+2」でも共有されたところでもありますけれども、そのことに対しての他国からのコメントについて、私の方から申し上げることは控えたいと思います。

以上

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