防衛大臣記者会見

日時
令和3年3月26日(金)08:42~08:54
場所
国会議事堂本館内閣議室前
備考
岸防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 まず、コロナは、前回の会見以降、20名の隊員が感染をいたしました。合計で1,147名となります。北朝鮮のミサイル事案であります。現時点までに得られた諸情報を総合的に勘案しますと、北朝鮮は昨日7時4分頃及び7時23分頃、北朝鮮の東海岸のソンドク付近から、合計2発の弾道ミサイルを東方向に発射した模様です。従来から北朝鮮が保有しているスカッドの軌道よりも低い高度、すなわち、100km未満をいずれも約450km飛翔したものと推定されます。なお、落下したのは、わが国の排他的経済水域外と推定されます。発射された弾道ミサイルは、これまでに発射されたことのない新型の弾道ミサイルで、朝鮮労働党第8回の大会にあわせて開催された1月14日の軍事パレードに登場したものと同系統、すなわち、5軸のTELのものとみられています。日米局長級協議について、25日夜に岡防政局長と先方ヘルビー国防次官補代行は電話で意見交換を行いました。今般の北朝鮮による弾道ミサイル発射は、わが国を含む周辺地域と国際社会の平和と安定を脅かす行為であるという認識を共有をし、引き続き日米韓3カ国で緊密に連携していくこと、国連安保理決議の履行を確認するため、日米を含む各国が実施している取組が重要であることを確認しました。先日の「2+2」や防衛相会談を含め、日米間では、北朝鮮の核・ミサイル問題について、安保理決議の完全な履行を確認することの重要性を一貫して確認してきており、引き続き、米国と緊密に連携してまいります。日英防衛相会談です。昨日の21時45分から約30分間、イギリスのウォレス国防大臣との間で「日英防衛相電話会談」を実施しました。今回の会談は、今月16日に英国がいわゆる「統合的見直し」を発表したことを受けて、ウォレス大臣から本見直しを私に対して直接説明したいとして英側から提案があったものです。特に「統合的見直し」の中で打ち出された英国の「インド太平洋への傾斜」という戦略的決定に関して、私からも高く評価をする旨申し上げ、「自由で開かれたインド太平洋」の維持・強化に向けて、日英協力関係を一層強化していくことを確認をいたしました。私とウォレス大臣との会談はですね、先月の日英「2+2」に引き続き合計で3度目となります。これは日英の連携が一層緊密になっている大きな証だと考えます。今般、英国が「インド太平洋への傾斜」を打ち出して、わが国を「安全保障を含む最も緊密な戦略的パートナー」であるとしたことを踏まえて、中長期的にわたり、英国と共に「自由で開かれたインド太平洋」の維持・強化に向けて、協力をさらに強化させていきたい考えであります。その他にも、地域情勢については昨日の2発の弾道ミサイル発射を含む北朝鮮をめぐる情況、海警法を含む中国の情勢、東シナ海・南シナ海の情勢、本年に予定されている英空母打撃群の東アジアへの展開について意見交換を行いました。詳細につきましては、現在、英国と公表内容の詰めの調整をさせていただいているところでございます。調整が整い次第、事務方から公表がされます。インドネシアですね、日インドネシア外務・防衛閣僚会合、それから防衛相会談の開催について、来週3月30日に、第2回の日インドネシア外務・防衛閣僚会合を東京で開催することとなりました。本会合は、2015年に第1回を開催して以来、5年ぶりの開催となります。本会合においては、東シナ海・南シナ海を含む地域や国際社会の課題について意見交換を行い、日インドネシア両国の「戦略的パートナーシップ」を一層強化していきたい考えであります。今般、日本を訪問しますプラボウォ大臣でございますが、明後日28日、防衛省において防衛相会談を行います。昨今の地域情勢を始めとして、二国間・多国間の防衛協力・交流について意見交換を行う予定です。私としては、人口・面積ともにASEANで最大で、基本的価値を共有するインドネシアとの間で、東シナ海・南シナ海における「力による一方的な現状変更の試み」を含む地域情勢について率直な意見交換を行うとともに、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて、防衛協力の強化を図っていきたいと考えています。米国における練習機墜落事故で殉職した隊員の葬送式について、本年2月20日に発生をいたしました練習機墜落事故により殉職をした故植﨑廉偲1等空尉の葬送式が、明日、航空自衛隊浜松基地において執り行われる予定です。私も参列を予定しております。将来を期待する航空自衛隊の若手操縦士がお亡くなりになられたことは、防衛大臣としても痛恨の極みであります。心より哀悼の意を表するとともに、ご家族の皆様にお悔やみを申し上げる次第です。防衛省・自衛隊としては、今後、米国による事故の原因等に関する調査の状況を踏まえつつ、適切に対応してまいります。また、このような事故が再び発生しないように、飛行の安全に万全を期してまいりたいと考えております。

2 質疑応答

Q:まず、北朝鮮のミサイル発射に関連してなんですが、北朝鮮の労働新聞が、新型の戦術誘導弾であるという発表をいたしました。北朝鮮の発表や、日本側の分析で、冒頭触れられた以外で新たに分かっている部分がありましたら、お願いいたします。

A:北朝鮮からの報道に関しては、我々も承知しておるところでございます。先ほど申しました我々からの発表はですね、諸情勢、諸情報を総合的に勘案して判断したものでございます。北朝鮮が発射した一連のミサイルが今どのようなものであったか、こうしたことも含めて、現在情報収集・分析を重ねているというところです。

Q:日本時間の深夜、バイデン大統領が初めての記者会見に臨まれました。北のミサイル発射について国連安保理決議違反であると示され、完全な非核化を目指して外交対応をおこなっていく姿勢も示されました。バイデン大統領の発言についての大臣の受け止めをお願いします。

A:今回、バイデン大統領からもそのような発表がございました。日本との関係、これは従来から様々な情報交換を行っておりますけれども、日米同盟の強化に向けて、しっかり今後も関係を強化してまいりたいというふうに考えます。

Q:新型の戦術誘導弾についてなんですけれども、これまでもですね戦術誘導弾、もしくは誘導兵器については、イスカンデルやATACMSに類似したものが発射されていたと思うんですけれども、今回の特徴については何かありますでしょうか。

A:今、様々な報道もございます。また、北朝鮮からの発表ということもあると思います。こうしたことは承知しております。その上で今、情報収集・分析を行っているところであります。

Q:来週で、安保法制が施行5年を迎えますが、それについて大臣はどのような思いでいられるか、今後の課題がありましたら教えていただけますか。

A:今年で5年ということであります。いかなる事態においてもわが国の平和と安全をしっかり守り抜くということが、今政府の一番重い責務でございます。2015年に成立したこの安保法制によって、日米同盟はかつてないほど、強固なものになりました。抑止力・対処力も向上しているところです。このことは、地域の平和と安定にも寄与していることと考えています。国際社会の平和と安定によって、積極的に貢献できるようになったと考えます。法律施行後、必要な教育訓練を重ねつつ、米軍等の部隊の武器等の警護、米軍に対する物品・役務の提供、いわゆる「駆けつけ警護」の任務付与、シナイ半島の多国籍部隊・監視団への司令部要員の派遣、こういった平和安全法制に基づく任務の実績というものを一つ一つ積み重ねているところでございます。政府としては、引き続き、平和安保法制を効果的に運用して、いかなる事態でも国民の平和と安全を確保してまいりたいと、緊張感を持って取り組んでまいりたいというふうに思います。

Q:ミサイルに関連してなんですが、今回発射されたミサイルが、防衛省が分類する短距離弾道ミサイルA型の派生型という見方がありますが、この点についていかがでしょうか。

A:先ほどから申しましたとおり、今情報の分析をさらに重ねているところです。いずれにいたしましても、わが国のミサイル防衛体制、しっかりしたものにして、平和と安全を確保してまいりたいと思います。

以上