防衛大臣記者会見

日時
令和3年3月23日(火)09:35~09:56
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
岸防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 新型コロナですけれども、前回の会見以降、14名の隊員が新型コロナウイルスに感染していることが確認されました。合計で1,127名が感染したことが確認されております。

2 質疑応答

Q:先日のアメリカと中国の外交当局トップの会談についてお伺いします。会談全体を通じてですね、安全保障面でも厳しく、率直なやり取りが行われたようですが、会談全体に対しての大臣の受け止めをお願いします。

A:米中双方が安全保障をはじめ、様々な分野で率直な意見交換を実施されたというふうに承知しております。その中で、米国は中国の行動に対して、重大な懸念を伝達したと承知をしております。第三国間の外交上のやり取りですので、これ以上のコメントは差し控えさせていただきたいと思いますが、米国と中国、経済規模で言えば世界第一位、第二位の国ですから、こうした米中の間で安定的な関係を構築していくこと、このことは国際社会の平和と安定に極めて重要であると、こういうふうに考えております。わが国としては、同盟国である米国との強固な信頼関係の下で、様々な協力を進めながら、中国に対しては冷静かつ毅然と対応して、また一方で、意思疎通を図っていくという考えであります。

Q:先日の日米防衛相会談で、台湾海峡の平和と安定の重要性について認識されたと発表されていますが、その後共同通信が、大臣とオースティン国防長官との間で、台湾有事で緊密に連携する方針を確認したという報道がありまして、これが事実かどうか。これが事実だった場合に、どのような連携を具体的に確認したのか教えて下さい。

A:台湾海峡については、防衛大臣会合の中でですね、台湾海峡の平和と安定が地域の平和と安定にとって重要であるという認識を共有したところでございます。これ以上の具体的なやり取りの内容については、答えを差し控えさせていただきたいというふうに思います。わが国として領土・領海・領空、そして国民の命、平和な暮らしをしっかり守り抜くという政府の責任をしっかり果たしていかなければいけません。防衛省・自衛隊としてもあらゆる事態に備えて、わが国の法令の範囲内で適切に対応できるように不断に検討をしているところでございます。台湾海峡を巡る問題については、当事者間の直接の対話によって平和的に解決をされる、また、地域の安定に寄与することを期待するというのがわが国の立場でございます。中国が軍事力を強化させる中で、中台の軍事バランスは全体として中国側に有利な方向に変化し、その差が年々拡大しているような状況が見られます。防衛省としても、引き続きこの状況については、しっかり注視をしてまいりたいと考えております。

Q:法律に基づいてあらゆる事態に備えてというお話があったのですが、その法令というのは昔でいう周辺事態法、今でいう重要影響事態法、そういった法律に基づいてということですよね。

A:わが国は、我々はですね、しっかり全体の法体系に沿って物事を進めていかなければいけないということは当然のことだと思います。

Q:昨日も国会で取り上げられました、在日米軍のヘリコプターの低空飛行問題の関係でまずお尋ねします。飛行高度等を定めた99年の日米合意について、在日米軍は毎日新聞の取材に、ヘリコプターは適用外だと回答しております。日米間での合意内容に関する認識の違いが、低空飛行を生む要因になっている可能性があると思うのですが、このことについて大臣の御所感と今後の対応についてお聞かせください。

A:そもそもですね、日米間において米軍が日本で運用される場合は、日本の法令を遵守するということが必要であります。その上で、米軍の飛行について、米側と様々なやり取りを行っておりますが、米側から今般あらためて、飛行に当たっての安全確保は最優先であり、従来からの米軍の飛行は、ICAOのルールや日本の航空法と整合的な米軍の規則に従って行われているという説明を受けております。また、各部隊においては米軍の規則に沿った飛行を徹底するよう、あらためて指示した旨の説明も受けているところです。いずれにいたしましても、わが国の法令をしっかり遵守して運航されるということでございますが、合同委員会の合意の詳細等については、外務省にお尋ねいただければと思います。

Q:重ねてお尋ねします。そうしますと、規則に沿った運航を徹底するということは、低空飛行が一部行われていたというのが、米側からも説明があったという意味なのでしょうか。

A:米側からの説明については、飛行に当たっては安全確保が最優先であると、従来からの飛行についてICAOのルール、日本の航空法と整合的な米軍の規則に従って行われているという形の説明があったところであります。

Q:「2+2」の会談の冒頭で大臣は、平和安全法制に触れて、自衛隊と米軍のこれまで以上に一緒に協力できるパートナーになっているという御発言があったかと思いますが、平和安全法制に関して、昨年9月の記者会見で、透明性のある丁寧な説明が国民の理解を得るために、重ねていくことが必要だというふうにおっしゃられていたかと思うんですが、いわゆる武器等防護の関係で申し上げますと、年1回の公表、しかも概略のみの公表に留まっている状況があります。大臣が昨年9月に言われた透明性のある丁寧な説明というのは、武器等防護についてはどのような具体的なことをお考えになっておられるのでしょうか。教えてください。

A:昨年そういう形で御説明いたしましたけれども、平和安全法制については、法律の成立後も、国会や記者会見等で様々な機会を利用して透明性のある丁寧な説明に努めてきているところでございます。今後とも、平和安全法制の運用に万全を期すとともに、丁寧な説明を重ねていきたいと、こういうふうに思っております。武器等防護につきましては、米軍の運用そのものに関わるものです。また、米軍が警護を必要とするような状況に置かれている場合に行うということでございますので、従って、警護が必要になる具体的な装備品や、活動の種類、実施場所、こういったものはですね、警護の詳細ということになりますので、これを明らかにすることは、この活動に影響を及ぼすことにもなりますので、逐一公にすることは適切ではないと考えております。その上で、米軍と調整の上で、今後の米軍の活動に影響を与えることのない範囲で、可能な限り情報を提供してまいりたいと、こういうふうに考えております。

Q:先ほどの低空飛行に関連してなんですが、今回の報道を受けて、防衛省として、在日米軍の方に見解についてあらためて確認はされたのでしょうか。

A:先ほど私が申しましたけれども、あらためて米軍に確認したところのコメントが、先ほどのコメントであります。

Q:先日の日米「2+2」の関連でお伺いいたします。日米の共同発表に関して、中国政府の外務省スポークスマンが非常に厳しい言葉で反発を表明しております。強烈な不満と断固たる反対、さらに、米国の戦略的属国となり、信義に背いて中日関係を破壊した等と、非常に外交上近年なかった厳しい言葉となっていますが、大臣の受け止めをお願いいたします。

A:今回の「2+2」においては、日米が中国による既存の国際秩序と整合的でない行動は、日米同盟及び国際社会に対する様々な課題を提起しているとの認識で一致をしている。また、東シナ海・南シナ海において一方的な現状変更の試み、あらゆる行動に反対することで日米で一致をしている、中国の海警法に関する深刻な懸念を共有、こういったことを申し上げたわけですけれども、同盟国である米国との強固な信頼関係の下に、様々な協力を進めて、中国には冷静かつ毅然と対応していく、さらに意思疎通を図っていく、こういう考えでございます。外交上のやり取り、色々ありますけれども、詳細については差し控えさせていただきたいと思います。

Q:大臣、中国との電話会談、防衛相会談をされたり、意思疎通の必要性というのを重ねて表明されておりますが、意思疎通を図っていく上でも、戦略的属国であるとか、かなり感情的な表現になっていると、なかなかそういう環境整備も難しくなってくるのではないかという指摘もありますが、いかがでしょうか。

A:先ほども申しましたけれども、中国に対しては冷静かつ毅然と対応しなければいけないと考えております。中国側の、相手側の対応に一つ一つ反応するということではなくて、ちゃんと我々の、わが国の立場から言うべきことは言っていく、そして協議するべきことは協議していくということであります。

Q:先週金曜日に「はぐろ」の、イージス艦の最新鋭の就役があったと思うんですが、それで今、例のイージス・アショア、陸上配備のイージス・アショアのキャンセルで、イージス搭載艦2隻の話が出ているじゃないですか。それで、ジェーンズもそうなんですけれども、その2隻が、「まや」型の3・4番艦になるのか、それとも「まや」型から性能向上したものになるのか、ちょっと色んな憶測が流れていて、今、イージス・システム搭載2隻というのは、どのようなものを、進捗状況としてどうなっているのか。さっきの透明性の話ではないですけれども、色々海幕の方でもどうなるんだろうという話があるのですが、もしお分かりになる範囲で、今答えられる範囲でお願いいたします。

A:「はぐろ」の就役についてはですね、これをもって自衛隊としてイージス護衛艦8隻の体制ができるわけでございます。イージス・システム搭載艦については、こうしたイージス護衛艦とは別のものであって、BMDを主たる任務とする搭載艦を2隻造ると。このことによってですね、BMD、ミサイル対処を更に能力の高いものにしていくということ。それと一方で、これまでイージス艦自体にかかっていた負荷を軽減させていくと。こういったことを企図したものであります。ですから、イージス護衛艦の更にプラス2という位置付けとはやっぱり違って、イージス搭載艦はそれはそれという存在だと思います。

Q:今質問した背景に、「まや」型2番艦で最終ですかどうかで聞いたときに、海幕さんの方から、まだ決まっていませんというお話があったので、そしたら、3番艦、4番艦とひょっとしたらあるのかなというニュアンスで今伺ったのですが、大臣の話を聞くと「まや」型2番艦で最終という話のように伺えるのですが。

A:イージス艦の我々の体制というのはそういうことで、全体で8隻のイージス艦で運用をすることになります。これはBMDだけではなく、わが国の防衛全般ということになるわけですけれども。1つは、アショアとの関係もあると思いますけれども、アショアについては、SPY-7レーダーを選定していました。既存の契約ということで活用してまいるわけですけれども、BMDの機能以外は何を付加するかということについては、まだ、今後スペックを検討しているところであります。あくまでも、イージス・システム搭載艦は、このBMDの任務を中心として、必要な装備を考えていくと、こういう位置付けになると思います。

Q:先ほどございました武器等防護の公表について1点お伺いします。先ほど大臣は、可能な限り情報を提供していきたいというふうにおっしゃられていましたけれども、透明性ある丁寧な説明の背景には、自衛隊がどういう活動をしているかというのを国民の皆様に理解していただいて、今後の自衛隊の行く道というのを国民全体で考えていく必要があるからこそ、そういった説明が必要だと思うんですが、現状の発表の内容というのが、大臣にとっては、これが限度と考えますでしょうか。それとも、もう少し例えば、説明するべきことですとか、改善の可能性というのはあるとお考えでしょうか。

A:透明性のある説明については、これまでもできる範囲できっちり説明をしてまいりました。また、ツールですね。どういう機会と通してやるか。硬い場面だけではなくて、様々なSNS等も通じて、一般の国民の皆様に広くその情報が届くような形で、また、理解していただきやすい形で発信をすることに心掛けてきたということであります。これまでも色々、例えば、2016年の11月の南スーダンの派遣要員に対する、いわゆる駆け付け防護の問題。宿営地の共同防護といった新たな任務の付与。こうしたことについてもしっかり発信をしてきた。この米軍の武器等防護についても、米軍に対して今回25回という形で発信してきたわけです。相手のあるような話については、当然ながら、相手との関係で発信できる情報というのも限られてしまう。状況次第でということは、これは配慮しながら、できる範囲でしっかり透明性をもって説明をしていきたいと、情報開示をしていきたいと考えています。

Q:大臣のコメント、明日の「とうりゅう」の就役があって、今コメントを、大臣に少し今お話いただければ使いたいと思いますが。明日で「とうりゅう」就役して、そうりゅう型の12番艦が最終艦の就役になるんですよ。その重要性というか潜水艦の、少しコメントをいただければと思います。

A:潜水艦についても、わが国を取り巻く安全保障環境は非常に厳しい中でですね、わが国の防衛の能力を固めていくために、そういう警戒監視活動を中心に必要な装備であると考えております。領土・領海・領空、特に潜水艦の場合、領海ということにもなるわけですけれども、しっかり守り抜くために必要な装備を揃えていくということは責務であると考えています。

以上